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タグ / 斧
記事
悲しみの棘 [2015/05/08 00:00]
「…クイタイ」
ホブゴブリンの彼は、いつもどおり指導者の手伝いをすることにした。大抵は雑用をすることで食欲は満たされていたが、この日は何をすることもなく食べ物をあてがわれた。明晩人間の村落を襲うということだったが、さておき食欲は満たされた。
果たして彼らは攻め込んだ。彼らが襲った村落の人間は必死で抵抗し、戦いは激化した。熾烈な殺し合いの最中、彼は井戸に落ちてしまった。何とか上れそうであったが、彼は井戸の底で禍々しい形状の鎌を見つけた。それは歪んだ付与魔術師の失敗作であった。..
不浄なる斧 [2015/05/07 00:00]
汚れた魂の魔術師により、火トカゲが封じ込められた斧。持つ者の心に他者への憎悪を囁きかけ、狂気へと駆り立てる。
この斧を手に入れたこそ泥は、その力で瞬く間に近隣の峠を制し、大きな山賊団の首領となった。
この斧を手に入れた小姓は、比類なき武勇で手柄を得て、大きな騎士団の千人隊長となった。
ただし、山賊団の首領も、騎士団の千人隊長も、最後は敵味方構わずに殺戮を行い、自らの部下に殺されたという。
処刑台の記憶 [2015/05/06 00:00]
“斧”は考えていた……。「私は…幾人の首を刎ねただろう」悪人、反逆者、革命家、政治家……中には全く罪のない人間もいた…。もう何も覚えていない。ただ一人、あの男……いや、男というには早い、あの少年を除いて…。
その少年は、断頭台に頭を置いても全く動じる気配がなかった。どんな屈強な男でも卑劣な悪人でも死を目前にすると、わずかな希望や行き場のない絶望が精神を支配する。それは刎ねる瞬間、わが刀身から直接伝わってくるのだ。
しかし!彼は他の誰とも違った!彼の精神はただ希望が溢れてい..
赤の旋風 [2015/05/05 00:00]
ふと声が聞こえたような気がし目が覚めた。耳元で悪魔のような囁き声が聞こえた。まだ足りない。まだ足りないんだ。間違いなく、その斧から囁くように声が聞こえた。
その日から魔術師は何かに憑依されたかのような顔つきに変貌していった。その面影はかつて王国を恐怖に震え上がらせたあの義賊を思わせた。
斧の中で時を、ひたすら時を待っていた義賊は、力を解放していった。さすがに魔術師も必死に抑えようとした。しかしついに義賊は魔術師の精神を乗っ取ってしまった。
外見は高名な魔術師であるが故に..
ユーリックの斧 [2015/05/04 00:00]
命を刈り取る死神への供物を捧げ、自らの延命を祈ったある王が、若き美丈夫の首を落とす神器として造らせたこの斧は、実に数百人の生贄の血を啜っている。正に死神の振るう武器といっても良いだろう。
毎月の祭事において王は、二人の生贄を選出した。一人に斧を振るわせもう一人の首を刎ねるのだ。そして翌月には、生き残った方の生贄を、新たに選んだ生贄に殺させる。この祭事は王の存命中絶えることなく続けられ、王は百五十年を生きたと伝えられている。
最後の月。生け贄に選ばれた二人の男は互いに親友同..
折れた鉄塊 [2015/05/03 00:00]
かつて世界で最も大きな剣と称され見る者をその迫力で圧倒していた雄姿は見る影もなく、剣というにはあまりにも惨めな塊に変わり果てていた。
剣が健在でいた時代。以前の持ち主は、この剣をとても人の力では扱えない代物までに鍛え上げ、それでもまだ何かに取り憑かれるように、刀身に使える素材を探し集めた。躯から鎧を剥ぎ取り、武器を奪い骨をも抜き出しては、打ち合せ剣の一部としていた。
次第に剣は斑に色を変え、剣先に行くほど赤黒く伸びていく。その相反する色は、まるで隠り世と現世の境にも見えた..
ザンポの斧 [2015/05/02 00:00]
小さな農村のはずれの小屋に、一匹のネズミと暮らす男がいた。男は醜い容姿の持ち主で、その不気味さから、村中で疎まれていたが、心根のやさしい男だった。時として村の子供から石を投げられることがあっても、常に笑顔を絶やすことはなかった。
どうにかして不気味な男を追い出そうとした村人達は、男の飼っているネズミが穀物を荒らしたと因縁をつけ、男のネズミを捕まえ、首を切り落として殺してしまった。
ただ一人の友人を亡くした男は正気を失った。人とも思えぬ雄叫びをあげながら、手にした斧で、老人..
封斧・破天の鼓動 [2015/05/01 00:00]
かの地に武具の名匠あり。
神に弄ばれる世界を憂い
神の力に打ち勝つ武具を
生み出すことを決意す。
神に抗うは、封印の力。
封印の力、即ち女神の力。
名匠は女神の力を武具に封入す。
かの女神は、
御使いにより内に卵を秘める
女の力を以て災厄を封じる術を
授かったという伝説の女神。
処刑台の記憶 [2014/03/06 00:00]
帝国軍の牢獄にある処刑台で使われていた斧。この斧で幾千もの首がはねられた。初めは処刑に使われていた、ただの疎むべき存在であった。
製作者自らがこの斧に倒れたことをきっかけに、斧がただの斧でなくなった。斧は何かを求めるように、小枝を落とすように次々と首を狩っていく。
民からの人望も厚い王国の将軍も断頭台に頭を乗せられ、民衆が見つめる中、その血を流していく。処刑者に善悪はなく、あるのは首の無い骸だけ。
幾百年の時を経て、斧はさまざまな首を狩り続ける。幾十の王国の処刑を執行し..
赤の旋風 [2014/03/05 00:00]
数百年前、赤装束に身を包んだ義賊がいた。悪徳商人から奪った財宝の使い道に迷った義賊は集めた金銀を溶かし煌びやかな斧を作り上げる。
初めは財宝の使い道に満足していた義賊であったが、斧がより豪華になるにつれ欲望に心を囚われ、罪のないものからも財宝を奪うようになった。
ある日、王国一の魔術師の屋敷に乗り込んだ義賊は一枚上手であった魔術師に捕まってしまう。真の義賊だった頃に戻るように促す魔術師。
しかし義賊の病んだ心はもう戻せないことを悟った魔術師は、彼の身を真紅の宝石に封じ込..
断罪の斧 [2014/03/04 00:00]
若い二人が祝福を受けながら結婚しようとしていた。結婚式の後、夜の闇の中に小さく光る精霊の姿を花嫁が見つける。
精霊が囁きかける。「お前の夫をお前だけのモノにしないか?お前だけを愛するべきじゃないか?」花嫁の心の隙に精霊が甘く問いかける。
彼女が正気に戻った時には、手には血で染まる斧が握られ、床には夫の首が、首だけ転がっていた。「コレデオマエダケノモノニ…」
時が過ぎた今でも、夫の首を持った妻の亡霊が、血まみれのドレスを着て村を徘徊することがあるという。
渇きの戦斧 [2014/03/03 00:00]
数多くの病人を治してきた名医がいた。彼の名声は都まで届き、やがて時の国王が召し抱えるまでになる。
数年の後、国の王女が不治の病にかかった。名医といえど、どうすることもできず、彼女が楽に逝けるようにしてやるのが精いっぱいであった。
娘を失った国王は医師を逆恨みした。医師の家族すべてを処刑すると宣言。懇願する医師の言葉にも耳を貸そうとしなかった。
激怒した医師は、王家の井戸に毒を投げ入れる。水を飲んだ王室の人間は喉が焼けただれ絶命した。その水で研いだのがこの斧である。
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