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2014年02月09日
デボルポポル
姉妹の刀匠 「デボ」 と 「ポポ」 が叩き上げた剣。デボの剛力とポポの繊細さ。王国のどんな鍛冶屋が挑んでも、この二人に勝てるものはいなかった。
ある日、二人の評判を聞きつけ一人の吟遊詩人が現れる。詩人の天使のような美しい容姿とやさしい性格に二人は心を一瞬にして奪われた。
詩人の愛をその身に受けようと必死で剣を作る二人。だがお互いが詩人を求め醜く競いあったために出来上がるものはなまくらな刀ばかり。
それを見かねた詩人は二人を嫁に迎え入れる。深い愛情に満たされた姉妹は、更に腕に磨きをかけ、この銘刀 「デボルポポル」 を作り上げた。
ある日、二人の評判を聞きつけ一人の吟遊詩人が現れる。詩人の天使のような美しい容姿とやさしい性格に二人は心を一瞬にして奪われた。
詩人の愛をその身に受けようと必死で剣を作る二人。だがお互いが詩人を求め醜く競いあったために出来上がるものはなまくらな刀ばかり。
それを見かねた詩人は二人を嫁に迎え入れる。深い愛情に満たされた姉妹は、更に腕に磨きをかけ、この銘刀 「デボルポポル」 を作り上げた。
2014年02月08日
連合兵士の剣
ある一族が守り続けてきた特殊な製法で鍛え上げられた剣。その製法は決して他者が知ることはなく、一族のものだけに伝えられる術だった。
門外不出の剣の製法を奪いに、この一族に入門した敵国の兵士。兵士はその技法を習得し国へ帰る手筈を整えていた。
しかし、彼には大きな悩みがあった。一族の血を引く娘に恋してしまったのだ。一緒に駆け落ちしようとすすめる兵士。娘も共に歩むことにした…。
一族の元から立ち去る日全てを知った娘は秘術を守るため兵士を切り殺して自らの命を絶つ。そして今も、秘術は一族に伝えられている……。
門外不出の剣の製法を奪いに、この一族に入門した敵国の兵士。兵士はその技法を習得し国へ帰る手筈を整えていた。
しかし、彼には大きな悩みがあった。一族の血を引く娘に恋してしまったのだ。一緒に駆け落ちしようとすすめる兵士。娘も共に歩むことにした…。
一族の元から立ち去る日全てを知った娘は秘術を守るため兵士を切り殺して自らの命を絶つ。そして今も、秘術は一族に伝えられている……。
2014年02月07日
人斬りの断末魔
人を切る快感に溺れ、毎夜罪もない者の命を奪い、その血でこの世のものとは思えぬ素晴らしい絵を描き続けた悲しき哀れな絵師の剣。
絵師には夢があった。「僕の絵で世の人々の気持ちが安らげばいい」そんな気持ちで絵を描き続けていたのだが…。
彼の芸術は認められず、そればかりか変人として街の人々から冷たい視線を受け続ける。絵師の繊細な心は次第に崩壊していった。
「赤!赤い色!!アガーッ!!」叫びながら人々を殺め続ける哀れな絵師。最後は自らに刃を刺し、笑顔で息絶えた…
絵師には夢があった。「僕の絵で世の人々の気持ちが安らげばいい」そんな気持ちで絵を描き続けていたのだが…。
彼の芸術は認められず、そればかりか変人として街の人々から冷たい視線を受け続ける。絵師の繊細な心は次第に崩壊していった。
「赤!赤い色!!アガーッ!!」叫びながら人々を殺め続ける哀れな絵師。最後は自らに刃を刺し、笑顔で息絶えた…
2014年02月06日
カイムの剣
カイムの父の形見の剣。国王であった父は強く優しい存在で、幼い頃からこの剣を持ち闘う彼の姿にカイムは憧れていた。
しかし、平和だったカイムの国にも帝国の影が忍び寄る。帝国は日々勢力を拡大し、やがてカイムの城にブラックドラゴンの軍勢が襲い掛かる。
「カイム…フリアエを連れて逃げろ」襲撃された城の中で、父はカイムにそう告げる。カイムが返事をする間もなく、目の前で父と母が惨殺された。
「国を滅ぼし、父と母を殺した帝国とドラゴンを倒す!」 亡き父の形見を手にカイムは誓う。たとえそれが憎悪の炎で彼を焼き殺そうとも。
しかし、平和だったカイムの国にも帝国の影が忍び寄る。帝国は日々勢力を拡大し、やがてカイムの城にブラックドラゴンの軍勢が襲い掛かる。
「カイム…フリアエを連れて逃げろ」襲撃された城の中で、父はカイムにそう告げる。カイムが返事をする間もなく、目の前で父と母が惨殺された。
「国を滅ぼし、父と母を殺した帝国とドラゴンを倒す!」 亡き父の形見を手にカイムは誓う。たとえそれが憎悪の炎で彼を焼き殺そうとも。
2014年02月05日
貴正
初めて彼に出会った時、鼻を突く異臭と苛立ちさえ覚えるみすぼらしい坊主姿からはとても名高い君主の下に仕えていた武士とは思えなかった。
脇に差した愛刀がかろうじて彼の話が本当なのかもしれないと思わせた。いったい何が彼をここまで落ちぶれさせたのであろうか。
彼の話によると、お家騒動に嫌気が差し自ら浪人になったのだという。しかし、見てくれに気を使い剣の修行を怠った武士に世の中は厳しかった…。
「あの時…掬鯖錆家とうまくやっていれば……。」そう言いながら彼はまた空をみつめる。今もどこかで彼は途方に暮れているのであろう…。
脇に差した愛刀がかろうじて彼の話が本当なのかもしれないと思わせた。いったい何が彼をここまで落ちぶれさせたのであろうか。
彼の話によると、お家騒動に嫌気が差し自ら浪人になったのだという。しかし、見てくれに気を使い剣の修行を怠った武士に世の中は厳しかった…。
「あの時…掬鯖錆家とうまくやっていれば……。」そう言いながら彼はまた空をみつめる。今もどこかで彼は途方に暮れているのであろう…。
2014年02月04日
信義
遥か東の国の都に歌を詠むことで生計を立てている歌人がいた。自分の才能に限界を感じ始めていた彼は、ある日妖怪と契約をしてしまう。
妖怪の力により、次々と新しい歌を発表する歌人。どの歌も素晴らしく、都中の評判となる。ついには将軍家のご指南役にまで昇進した。
ある日、妖怪が再びやってきて歌人に言った。「おまえの一生分の才能はもう使い果たした。おまえは二度と歌を詠むことはできないだろう。」
妖怪の言ったとおり、彼は一行の歌も詠めなくなってしまう。世を儚んだ彼は、自害してしまった。その剣は今でも彼の血で鈍く光っているという。
妖怪の力により、次々と新しい歌を発表する歌人。どの歌も素晴らしく、都中の評判となる。ついには将軍家のご指南役にまで昇進した。
ある日、妖怪が再びやってきて歌人に言った。「おまえの一生分の才能はもう使い果たした。おまえは二度と歌を詠むことはできないだろう。」
妖怪の言ったとおり、彼は一行の歌も詠めなくなってしまう。世を儚んだ彼は、自害してしまった。その剣は今でも彼の血で鈍く光っているという。
2014年02月03日
焔の簧
「火炎」の意味を持つ剣。波状の刃は相手の傷口を広げ致命傷を負わせる。元々、この剣はどこにでもある普通の剣だったという。
太古の時代、竜との果たし合いに挑んだ者がいた。灼熱の炎に溶かされ続ける刀身。戦士は最後の力を振り絞り竜の舌を引き抜き刀身に巻きつける。
刀身は瞬く間に炎に包まれ、竜の炎と互角の力を持つようになる。しかし、その灼熱ゆえ最後には竜も兵士も灰となり、この剣だけが残った。
以来、この剣には竜の炎の力と強力な魔力が宿り、力のないものが振るおうとするとたちまち紅蓮の炎にその身が包まれてしまうという。
太古の時代、竜との果たし合いに挑んだ者がいた。灼熱の炎に溶かされ続ける刀身。戦士は最後の力を振り絞り竜の舌を引き抜き刀身に巻きつける。
刀身は瞬く間に炎に包まれ、竜の炎と互角の力を持つようになる。しかし、その灼熱ゆえ最後には竜も兵士も灰となり、この剣だけが残った。
以来、この剣には竜の炎の力と強力な魔力が宿り、力のないものが振るおうとするとたちまち紅蓮の炎にその身が包まれてしまうという。
2014年02月02日
鉄塊
この世界で最も大きな剣。普通の人間では振るうどころか動かすことすらできず、今までこの剣を使おうと思う人間はいなかった。
この大剣を所持していた「バッカス将軍」は、弱者の命でさえも容赦なく奪う冷血漢で、自分の力を誇示するために殺した敵の鎧を溶かし作り上げた。
命を奪う度に重くなる大剣。次第に持ち運ぶのさえも困難になり、誰にも、当の本人さえも扱えなくなっていった。
ある朝、バッカス将軍の惨殺死体が見つかる。屍の傍らには血に染まり肉片の付いたこの鉄塊。いったい誰がこの剣を振るったのであろうか…
この大剣を所持していた「バッカス将軍」は、弱者の命でさえも容赦なく奪う冷血漢で、自分の力を誇示するために殺した敵の鎧を溶かし作り上げた。
命を奪う度に重くなる大剣。次第に持ち運ぶのさえも困難になり、誰にも、当の本人さえも扱えなくなっていった。
ある朝、バッカス将軍の惨殺死体が見つかる。屍の傍らには血に染まり肉片の付いたこの鉄塊。いったい誰がこの剣を振るったのであろうか…
2014年02月01日
月光と闇
常に強烈な熱気を放ち続ける大理石でできた剣。冷気を司る月神の加護を受ける者のみが熱に屈することなく剣を握ることができるという。
ある屈強な戦士がこの剣を手に戦場に向かった。雄叫びを上げ最前線へ向かう戦士。その目の前に幾百の弓兵部隊が…。彼の体を数百もの矢が貫く。
しかし!彼の体からは一滴の血も流れず、それどころか確実に心臓を貫いているのに、その力はいっこうに衰えない。戦いは彼の軍が勝利を収めた。
勝利を手に駐屯地に戻る戦士。そこで剣を置くと同時に彼は氷に包まれて絶命する。月神の強い魔力が彼の命を永遠に奪ってしまったのだ。
ある屈強な戦士がこの剣を手に戦場に向かった。雄叫びを上げ最前線へ向かう戦士。その目の前に幾百の弓兵部隊が…。彼の体を数百もの矢が貫く。
しかし!彼の体からは一滴の血も流れず、それどころか確実に心臓を貫いているのに、その力はいっこうに衰えない。戦いは彼の軍が勝利を収めた。
勝利を手に駐屯地に戻る戦士。そこで剣を置くと同時に彼は氷に包まれて絶命する。月神の強い魔力が彼の命を永遠に奪ってしまったのだ。
2014年01月10日
白蝋の剣
鋸状の刃で相手の剣と肉を切り裂く剣。この剣をあまり使い過ぎると引き裂く時の振動で指がしびれ、蝋のように真っ白くなり体が動かなくなる。
今よりも何百年も昔、黒き肌の騎士はこの剣を使いこなし数々の武勲を立てていった。次第に漆黒の体は雪のように白くなってゆく…。
時が経ち、国の威信を懸けた大戦で敵大将の首を討ち取り勝利を治めた黒き騎士。彼の体は既に白を超え透明で誰の目にも見えなくなっていた。
勝利に喜び歓声が上がる中、一人の兵士が空に向けて放った祝矢が黒き騎士の心臓を貫く。しかし兵士達は誰一人、彼の死を知ることがなかった…
今よりも何百年も昔、黒き肌の騎士はこの剣を使いこなし数々の武勲を立てていった。次第に漆黒の体は雪のように白くなってゆく…。
時が経ち、国の威信を懸けた大戦で敵大将の首を討ち取り勝利を治めた黒き騎士。彼の体は既に白を超え透明で誰の目にも見えなくなっていた。
勝利に喜び歓声が上がる中、一人の兵士が空に向けて放った祝矢が黒き騎士の心臓を貫く。しかし兵士達は誰一人、彼の死を知ることがなかった…
2014年01月09日
涅槃の短剣
神殿建立の際、人柱となる少女が自らの命を絶つために使った短剣。代々の人柱の命を絶ってきた剣身からは少女達の魂が舞い踊るといわれている。
第一代の人柱は敬虔な信者であった。清らかなる少女は純粋に神殿の礎となることを選び、自らの命を絶った。
第二代の人柱は心優しい町娘であった。人柱に選ばれたことを悲しみながらも、人々の役に立つならばと、少女は命を絶った。
第三代の人柱は盗みを働いた娘であった。娘は神を呪いながら息絶えた。その時から、直刀であった剣身は捻じ曲がったといわれている。
第一代の人柱は敬虔な信者であった。清らかなる少女は純粋に神殿の礎となることを選び、自らの命を絶った。
第二代の人柱は心優しい町娘であった。人柱に選ばれたことを悲しみながらも、人々の役に立つならばと、少女は命を絶った。
第三代の人柱は盗みを働いた娘であった。娘は神を呪いながら息絶えた。その時から、直刀であった剣身は捻じ曲がったといわれている。
2014年01月08日
首切り包丁
滴り落ちる肉汁、口の中に広がるハーブの香り。その料理人が作る肉料理は、シンプルでありながら、誰もが唸るほどの美味しさだった。
彼の店には連日行列ができ、贅を知り尽くした時の公爵ですら彼の料理を味わうためならば、お忍びで城から抜け出すほどであった。
料理人の笑顔は、ひとたび調理場に入ると真剣そのものになる。彼が取り出した大きな肉の塊はどうやら食用のものではなかったのである。
時代が移りすぎ、料理人もその店も、その町も消え去った今も、彼が使った包丁だけは錆びることなく次の出番を待ち続けている。
彼の店には連日行列ができ、贅を知り尽くした時の公爵ですら彼の料理を味わうためならば、お忍びで城から抜け出すほどであった。
料理人の笑顔は、ひとたび調理場に入ると真剣そのものになる。彼が取り出した大きな肉の塊はどうやら食用のものではなかったのである。
時代が移りすぎ、料理人もその店も、その町も消え去った今も、彼が使った包丁だけは錆びることなく次の出番を待ち続けている。
2014年01月07日
地竜の鉤爪
帝国の考古学者が聖なる地の遺跡から掘り出した謎の化石。何かの生物の化石らしいのだが、化石を包む岩が異常に硬く手をつけられずにいた。
当初は貴重な化石を前に、慎重に、丁寧に扱っていた考古学者だったが、いかなる道具や強力な火薬を用いても覆った岩を砕くことができない。
壊すどころか削ることもできない化石に苛立ち、己を見失った考古学者は化石に頭を何度も打ちつけ、そのまま絶命してしまった。
黒光りする刀身は地竜。地竜の爪は闘いの中、流れる血で削られていく。それを知っていれば考古学者は無駄な死を迎えずに済んだであろう。
当初は貴重な化石を前に、慎重に、丁寧に扱っていた考古学者だったが、いかなる道具や強力な火薬を用いても覆った岩を砕くことができない。
壊すどころか削ることもできない化石に苛立ち、己を見失った考古学者は化石に頭を何度も打ちつけ、そのまま絶命してしまった。
黒光りする刀身は地竜。地竜の爪は闘いの中、流れる血で削られていく。それを知っていれば考古学者は無駄な死を迎えずに済んだであろう。
2014年01月06日
輪廻転生
深い森に囲まれた領地を持つ貴族に伝わる、丸い刃を持つ特殊な剣。その剣を使う者は大天使の祝福により三度再生するといわれている。
元々は拷問用の武器で、外の刃は相手を両断できるように鋭い切れ味で、内側の刃は苦痛を与えるために刃を鈍くしている。
柄の部分には毒を入れることができ、相手の身体に剣先を突き刺すと鋭い突起の先端から毒が飛び出し、相手を即座に死に至らしめる。
あまりの残虐さゆえ時の皇帝より使用を禁じられた後、歴史の裏舞台で暗殺用の武器として独自の進化を遂げることになった。
元々は拷問用の武器で、外の刃は相手を両断できるように鋭い切れ味で、内側の刃は苦痛を与えるために刃を鈍くしている。
柄の部分には毒を入れることができ、相手の身体に剣先を突き刺すと鋭い突起の先端から毒が飛び出し、相手を即座に死に至らしめる。
あまりの残虐さゆえ時の皇帝より使用を禁じられた後、歴史の裏舞台で暗殺用の武器として独自の進化を遂げることになった。
2014年01月05日
少年の欲望
少年は若く、美しかった。彼は村から村を渡り歩き、次々と娘たちに甘い言葉を囁いて結婚を申し込む。
彼女たちは少年に家畜や、家や、お金、そして愛情を惜しみなく与えた。だがある祭りの夜に少年のウソがすべての村娘達に発覚してしまう。
娘達の怒りは凄まじく、妖精王の力を借りて少年に呪いをかける。それは生きながらにして剣に封印されるという魔術であった。
今も冷たい刃の奥深くから、己の罪深さを嘆く少年の声無き叫びが聞こえるという。
彼女たちは少年に家畜や、家や、お金、そして愛情を惜しみなく与えた。だがある祭りの夜に少年のウソがすべての村娘達に発覚してしまう。
娘達の怒りは凄まじく、妖精王の力を借りて少年に呪いをかける。それは生きながらにして剣に封印されるという魔術であった。
今も冷たい刃の奥深くから、己の罪深さを嘆く少年の声無き叫びが聞こえるという。