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2019年06月19日

ペットな彼ら……な話(コーンスネーク・ロシアリクガメ・クレステッドゲッコー)

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 ヘビは飼い易い。この子を飼育する様になって、とみにそう思う。スペースは要らない。高価な設備も要らない。餌はマウスさえやっていればいい。その餌も週に一回だけ。鳴かないし、臭わないし、大人しいし。飼育動物としてほぼ完璧である。……まあ、種類によっては当てはまらない方々も多いけど……。そんな連中は、その道の方々に任せておけばいいと思う。
 余程とんがった種類を飼わない限り、ヘビは楽。間違いない。だけど、同時にある事も判明した。
 ……この子、楽過ぎて退屈。
 何て言うか、あまりにもやる事が少なすぎて飼ってると言うより、置いてあると言う間隔になりつつある。で、調べてみるとこれは皆さん共通の感想の様で、故にヘビマニアの皆様はコレクションに走ったり、先に言った変態ヘビに手を出したりする様になるらしい。
 折角、省スペースで済むだの手間がかからない等の利点があるのに。それ故に、自らそれを捨てる道に走るのである。考えて見ると、罪な生き物である。
 しかし、自分の様に一匹しかヘビを飼えない身の者はどうしたらいいのだろう。考えて、考えた末にたどり着いた結論は、「ペット的に飼う」である。
 つまりは、愛でるのである。犬や猫に接する様に、触り、抱き、頬ずりし、愛でまくるのだ。そんな接し方をしていれば、十分に満たされ……ここまで考えて、我に帰った。
 アカンわ。
 そんな飼い方、自分には出来ない。そもそも、自分は割と古い世代の爬虫類人である。心の師は、高田榮一先生であり、千石正一先生である。
 爬虫類を愛玩動物として愛でると言う感覚が、あまりない。爬虫類とは、異質な存在。その大自然の異質を一部切り取り、己の部屋で観察する。それが、原点。
 だから、爬虫類にあまり「可愛い」と言う感覚は抱かない。格好良いとか綺麗とか、そういう感覚は持つけれど。故に、望むのは出来るだけ自然のままの姿。レオパでもフトアゴでも、どんなに品種改良された種であっても、そんな飼育スタイルを求めてしまう。部屋を散歩させたりしないし、ハンドリングもほとんどしない。というか、無駄にストレスかけてしまう気がして、出来ない。だから、皆、慣れない。レオパもフトアゴも、触ろうとすると全力で抵抗するし、逃げようとする。でも、それで良いと思っている。それが、自分のスタイルなのだから。
 と言うか、ワンコもニャンコも居るので、そっち方面の欲求は満たされているのだ。なら、それを望まない爬虫類に要求する必要もない。犬には犬の。ヘビにはヘビの良い所があるのだから。

 という訳で、コーンスネーク君との付き合い方も現状維持。週に一回、ワイルドな食事シーンを見せてくれれば、それで満足だったりする。最初と言ってる事違うかもしれないけど、気にしないでw

 何て事を長々と宣ったけど、そんな自分でももうちょっとペットっぽい扱いをしてしまう連中もいる。
 その一つが、彼。



 何げに、ウチで一番の長寿。ワンコよりもニャンコ達よりも、長く一緒に暮らしている。もう、いるのが当たり前。他の爬虫類達とは、一線をがした存在。特別である。
 
 そして、違う存在となったのは彼(彼女)もまた同じ。

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 クレステッドゲッコー。
 この子は、まだウチに来て半年程。最初は、他の爬虫類達と同様の付き合いをするつもりだった。
 けれど、想定外の事が一つ。
 極度の、拒食。
 食べない。何をどうしても、食べない。当時のこの子は、尻尾を入れても小指くらいしかないベビー。どう考えても、持たないと思った。やむなく、アシスト給餌に移る。
 小さいから、口をこじ開けるなんて怖くて出来なかった。レパシーフードを緩く溶いて口に塗り、舐めさせる。でも、それで摂取出来る量なんて、たかが知れている。やがて、目に見えて痩せて来た。もう、これまで。思い切ってカードで小さな口をこじ開けて、コオロギを突っ込んだ。アシストなんてものじゃない。文字通りの、強制給餌。この頃は、半ばヤケだったと思う。何しろ、強制給餌をかけて回復した試しなんて、ほぼなかったから。いつ、落ちるか。そんな思いを抱きながら、毎日給餌を続けた。
 けれど、彼(彼女)は落なかった。えづきながらもコオロギを飲み込み、成長していった。気づけば、すでに中指を越える程の大きさ。餌も、バランスのいいブレンドフードを素直に飲み込んでくれる様になっていた。



 正直、賛否ある育て方だとは思うけど、それでも嬉しい事に変わりはない。
 今では、給餌の際に手に包む彼(彼女)の肌の感触を、愛しく思う。明らかに、今まで爬虫類に持っていたものとは違う感情。
 爬虫類を愛でる人達の気持ちも、今ではよく分かる。悪いものじゃない。
 スタイルも、心情も変わらないけれど、一匹くらいこんな子がいても良いのだろう。
 今でも、彼(彼女)は自発採餌を行わない。ずっと、この綱渡りな生き方を続けていくのかもしれない。でも、それならそれでいい。この触れ合いの時間を、確かに喜ぶ自分がいるのだから。
 まあ、自分勝手な事ではある。向こうとしては、ほっといてくれと思っているかもしれないし。でもまあ、受け入れて成長してくれている事も確か。取り敢えずは、その事実に甘えさせてもらおう。
 そんな事を思いながら、今日も彼(彼女)を手のひらに乗せる。



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