2017年08月15日
『ツナカユリコ』の都市伝説とは
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『ツナカユリコ』の都市伝説が登場した正確な時期は不明ですが、ネット上に拡がるキッカケになったのは2ちゃんねるの書き込みのようです。
366 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2011/11/29(火) 12:33:52.95 ID:SieuC5dZO [1/1回(携帯)]
主人公の名前を変えられるゲームで主人公の名前を
ツナカユリコにすると不吉なことが起きるらしい。
『ユリコ』だけでも不吉なことが起こる。
ネットで噂される内容をまとめてみた。
原因不明の高熱で病院送りになる。
「ツナカユリコ」という名前をRPGの名前に利用した人が、
アキレス腱を切って熱出した。
ゲームの主人公につける名前を「ツナカユリコ」にすると霊障がある。
発生条件や終わらせ方が明確でない。
「ツナカユリコ」という名前を使ったら、どこからともなく視線を感じる。
モバゲーのクリエイターに「ツナカ ユリコ」って女の人がいたらしい。
ゲームプレイ中に女性2人の話し声が聞こえる。
これはオカルト板の「誰かアニメの都市伝説を教えてくれ」というスレの2011年11月29日の書き込みです。この書き込みがコピペとしていろんな板のいろんなスレッドに貼りつけられていったようです。
この書き込みには「ネットで噂される内容をまとめてみた。」とあるので、ネット上に関連する話は存在しているのでしょう。都市伝説というのは人から人へと伝わっていく過程で内容がどんどん変化していく伝言ゲームなのですが、その過程を探れるのがネットのいいところですよね。
というわけで、ネット上に存在する『ツナカユリコ』の話を追いかけてみました。
時系列順に『ツナカユリコ』を追いかけてみる
調査の方法は、Google検索で期間を指定することで行います。そうやってできるだけ古い情報を追うことで『ツナカユリコ』が初登場した瞬間を見つけようというわけです。
で、もっとも古いと思われるサイトがこちら。
http://toshidensetu.fc2web.com/
このサイトの「世相&ストリート、地方」のところに以下の記述があります。
▼RPGゲームの名前入力で『ツナカユリコ』を使うと原因不明の高熱で病院送りになる。『ユリコ』だけでも不吉なことが起こる。
このページが作成された正確な日付はわかりませんが、Google先生の検索結果画面では2006年3月11日となっていました。フレームを使ったレイアウトが時代を感じさせますが、サイト下部のCopyrightの表記は2003になっています。また、このサイトを運営者が出版した『平成の都市伝説』という書籍は2003年に発売されているようなので、『ツナカユリコ』についてもそのくらいの時期に書かれたと推測。
ちなみにこの本、レビューを見る限りでは噂や都市伝説を大量に収録しているようですが1つ1つを追いかける内容ではなさそうです。
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ともあれ、これが現在Google検索から追いかけられる『ツナカユリコ』最古の記録になります。実は、これ以上遡っても検索にヒットするのですが、残念ながらブログのサイドメニューなどに存在する『ツナカユリコ』にヒットしているだけだったので除外してます。
この時点では2ちゃんねるの書き込みとは違って、
次に『ツナカユリコ』が登場するのは2007年頃。10代の女性がメインターゲットのコミュニティサイトの掲示板です。
O.77 まーしー 09/17(水) 17:56 IP:118.240.149.153 削除依頼
RPGで名前を「ツナカユリコ」にしたら呪われて、不可解なバグが起こるらしい。
実際にやった人の、モ○ゲータウンの小説を見たら
名前を入れて決定したら視線を感じて、
しばらくプレイしたら、フリーズしたらしい。
ちなみに、FF9でプレイしたらしい(笑)。
プレイを止めた後も、視線を感じるから「ギャランドゥ!」って叫びまくったら視線を感じなくなったらしい(何故!?)(笑)。
この書き込みの日付はわかりますが、何年なのかがわかりません。「ふみコミュ!」の掲示板は2007年11月くらいに新しい掲示板に移行したようなので、旧掲示板の上記はそれ以前、ということになりそうです。おそらく2007年の9月17日ではないかと。
ここではRPGとして実際に「FF9」で試していること、ゲームがフリーズしたこと、視線を感じたことが登場します。掲示板のレスにもありますが「FF9」のキャラクター名は6文字までいけるので『ツナカユリコ』は入力可能ですね。そして「モバゲータウンの小説」が登場するのですが、これが後に「モバゲーのクリエイターに「ツナカ ユリコ」って女の人がいたらしい」に繋がるのでしょう。撃退法が追加されているのも都市伝説っぽくていいですね。
2009年2月にはYahoo知恵袋にも『ツナカユリコ』が登場します。
ゲームのキャラの名前を「ツナカユリコ」にすると、どこからか視線を感じたり、高熱が出て病院送りになる等、何か良からぬことが起こるみたいです。
「ユリコ」だけでも良くないみたいです。
ここでは「RPG」ではなく「ゲームのキャラの名前」に変化していますが、視線を感じたり高熱で病院送りなどは変わっていません。
2009年9月、同じくYahoo知恵袋にさらに進化した『ツナカユリコ』が登場。以下のトピックのベストアンサー以外の回答にこんなのがあります。
RPGゲームで主人公の名前を『ツナカユリコ』にすると呪われる。僕と友人で試した。僕はポケモンを使いました。主人公の名前は5文字しか入らないので主人公をツナカにしてポケモンをユリコにしようと考えました。しかしポケモンの名前にユリコと打ってもまた前の画面に戻ってしまい、再び名前をユリコと打ったのですが相変わらず前の画面に戻ってしまいました。以降ずっとこれの繰り返しでした…。友人はナナシノゲエムで試したところ途中でフリーズして動かなくなってしまいました。もし実行するのであれば自己責任でお願いします
ここではじめて「呪われる」ようになります。「ポケモン」で試したらゲームが進まなくなってしまったこと、「ナナシノゲエム」で試したらフリーズしたことが報告されています。ゲームが進行しないだけの呪いなら、高熱で病院送りよりもずっと軽くなっちゃってますが、大丈夫なんでしょうか。
ほぼ同時期の2009年9月に、こちらも実際に試した人がいたようです。
とりあえず俺のやったことのない家にあるRPGはFF\しかなかったので持って行きましたw
んでジダンの名前を【ツナカユリコ】に(>ω<)
さぁユリコちゃんどんとこいやwww
まぁ少しすすめると
ラ「この黒魔道師の名前どうする?w」
俺「【ツナカユリコ】にしようぜwww」
2人目のユリコちゃん完成www
ラ「このオッサンの名前どうする?w」
俺「こいつも【ツナカユリコ】にしようぜwww」
ユリコちゃんが3人完成ww
これやばいんじゃね?w
会話や戦闘がカオスwww
だが異変は何も無い
実に楽しそうな大草原で『ツナカユリコ』に挑む方々。こちらも「FF9」で試したようですが、何の異変もなし。その後のブログのエントリーを見ても高熱で病院送りになったり視線を感じたりした様子はありません。そもそも「FF9」をフリーズせずに遊べているようですし、呪いとは一体何だったのか。
次に『ツナカユリコ』が登場するのは2011年3月。またしてもYahoo知恵袋に登場しますがここでは「どうしてこのような都市伝説ができたんですか?」という質問になっています。ボクも知りたいです、それ。
で、気になる回答は…。
未確定バグが起きるからです、確かデータが飛ぶとか、
画面から知らない人が映るとか、
まあよくある話しですよ
「未確定バグ」で「データが飛ぶ」、「画面から知らない人が映る」と、これまでにまったく報告のない現象ばかりになっています。「まあよくある話し」じゃないですって!いままでそんな話は一度も出てきてなかったじゃないですか! でもデータが飛ぶのは確かに怖いですね。そもそもこのトピックでは質問の中で「最悪死ぬ」とあるので、「不吉なこと」が最大に拡大解釈されているのがわかります。
そして2011年11月29日に最初に貼った2ちゃんねるの書き込みが登場します。もう一度見てみましょう。
366 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2011/11/29(火) 12:33:52.95 ID:SieuC5dZO [1/1回(携帯)]
主人公の名前を変えられるゲームで主人公の名前を
ツナカユリコにすると不吉なことが起きるらしい。
『ユリコ』だけでも不吉なことが起こる。
ネットで噂される内容をまとめてみた。
原因不明の高熱で病院送りになる。
「ツナカユリコ」という名前をRPGの名前に利用した人が、
アキレス腱を切って熱出した。
ゲームの主人公につける名前を「ツナカユリコ」にすると霊障がある。
発生条件や終わらせ方が明確でない。
「ツナカユリコ」という名前を使ったら、どこからともなく視線を感じる。
モバゲーのクリエイターに「ツナカ ユリコ」って女の人がいたらしい。
ゲームプレイ中に女性2人の話し声が聞こえる
最初は「RPG」の話でしたが、ここでは名前を変えられるゲームなら何でもいいようです。ただし「主人公」の名前。「アキレス腱を切って熱出した」「霊障」「モバゲーのクリエイター」「ゲームプレイ中に女性2人の話し声が聞こえる」はここが初出。ネットの噂をまとめたとあるけど、どこで見たんですか…ボクのGoogle先生は見つけてくれませんでしたよ…。もちろん、書いてあったページが消えている可能性もあるのですけど。
というか、モバゲーのクリエイターが『ツナカユリコ』だから何だというのでしょうか。ボクはモバイルゲームには疎いのでわからないのですが、モバイルゲームの開発者ってそんなに恐ろしいものなんですか? モバイルゲームにハマって気が付いたらウン十万の請求がやってきた、みたいな話よりも恐ろしい存在なのでしょうか。
この書き込みは2011年末から2012年初頭にかけてさまざまなスレッドにコピペされ、多くの人に知られるようになったみたいですね。これ以降はかなり多く検索にかかるようになります。
2012年になると、実際に試してみた人たちの動画が出回るようになります。以下は2012年2月のモノ。
動画を投稿している方はオカルト好きの人のようです。動画ではゲームプレイ中に謎の声が聞こえた、ということになっており、問題のシーンを3回連続で見せています。「3回目だけ自分で言ってるじゃん」なんていうと、きぐるみを指さして「ボク知ってるよ!中に人が入ってるんだよね!」と得意げな子供みたいなので、言わないことにします。
1人が試せば同じことを試す人が何人も出てくるわけで、現在ではニコニコ動画やYouTubeにかなりの数の動画がアップされています。『ツナカユリコ』の都市伝説は、誰にでもカンタンに試すことができてしまうため、一気に食い尽くされてしまうのでしょう。仮に視線を感じるようになってしまっても「ギャランドゥ!」と叫べば撃退できるのですからお手軽です。
最後に、2013年10月のYahoo知恵袋に登場した『ツナカユリコ』を見てみましょう。
私は2年くらい前にツナカユリコでプレイしました。
無事にエンディングを迎えました。プレイ中あまりにも変化がないので丑三つ時という、昔から言われているだけでなんの根拠もない時間を選んでプレイしましたが、翌日の仕事がつらいだけでした。
無事にエンディングを迎え、その後の私の人生はなんの変化もなく、もし明日、私の近しい人に不幸があったとしても、今さら呪いだの祟りだのいわれてもなぁ…という時間が平凡と過ぎてしまいました。
がんばって怪奇現象に触れようとする回答者ですが、何も起きないことを証明してしまったようです。現在でもTwitterなどで『ツナカユリコ』の話題が出ることがあるようですが、数々の「やってみた」動画や記事によって叩きのめされてしまった印象です。ネットにより都市伝説の伝播する速度が上がったと同時に、消化スピードも上がってしまったようです。といっても、今後さらにパワーアップした『ツナカユリコ』が登場する可能性もあるでしょうけども。
そんなわけで、時系列順に『ツナカユリコ』の都市伝説を追いかけてみました。どういう都市伝説なのかがおわかりいただけたかと思います。最近までボクがこの話を目にする機会がなかったのは、この話があまり怖くないため、伝播していなかったことが理由なのではないかと推測しています。
だって、怖い話は聞き手を怖がらせるのが目的ですから、怖くない話は人から人へと伝わっていかないわけです。だから尾ヒレをつけてパワーアップを計るのですが、それでもあまり怖くはならなかったという印象。『ツナカユリコ』という人物像を作り上げて掘り下げていけば、或はもっと怖い話になれたかもしれません。少なくとも、モバゲーのクリエイターよりは怖くなったでしょう。みなさんも、都市伝説に尾ヒレを付ける場合はより一層怖くなるように頭を捻って考えましょうね。
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