2013年11月30日
336. いっこく堂 民藝出身・腹話術を猛勉強 「サワコの朝」
1963年生まれ。50歳。沖縄県出身。
腹話術との出会いは中学2年生の時だったそうです。
テレビのニュースで婦人警官が腹話術をやっていたのです。人形を持って「横断歩道は手を上げて渡ろうね」
感動したいっこく堂さんは、「人形を手に入れたい」と110番に電話。
「もしもし腹話術の人形は警察に売ってますか?」「あんた、何言ってんの!」とけんもほろろ。
腹話術への憧れはいったんここで終わり。忘れてしまいました。
そして中3、テレビを見て西田敏行さんに憧れました。「役者になろう!」
お父さんに「高校を卒業したら東京に行って、俳優になりてえけど、いいかな?」と尋ねますと、「ああ、いいよ」(笑)
「ずいぶん寛大なお父さんね」とアガワさん。
許しをもらったいっこく堂少年、高校に入ったら将来に備えて、「積極的に活動して、度胸を付けなければならない。」
そして度胸試しで取り組んだのが「ものまね」だったのです。
「記憶の中で今もきらめく曲」
「ブギ浮ぎ I LOVE YOU」(1981年)田原俊彦
当時俊ちゃんの全盛期。いっこく堂さんはこの歌で深夜のものまね番組で勝ち抜き、チャンピオン大会にも出たそうです。
まず野口五郎の真似から入り、次にフランク永井、そして前川清と歌っていったのだとか。
「俊ちゃんは?」と阿川さん。
「無かったんです」(笑)
度胸を付けるための試みとしては大成功と言えるのではないでしょうか。そして役者になるために東京に…。
「劇団 民藝」を経て
入学したのが「横浜放送映画専門学校」。後の「日本映画学校」でした。
役者になるための勉強を始めたのですが、「その途中でものまね番組に出て…」
そうこうしているうちに、ふと「ぼくは役者になるために出てきたのに、何やってんだ?」
そして、初志貫徹のために「劇団 民藝」を受験。合格します。
「真面目にやってました」といっこく堂さん。
芝居に取り組んで4、5年。だんだんと「劇団と自分の演技が違う、質が違う」と感じ始めたそうです。
小さい役をもらって「どうやったら笑わせられるかな?」と考える。それを実行すると「演出家に怒られる…。『皆命がけでやってるんだ!』」
「ちょっと違うかな…。ふざけるつもりはないんだけど…」悩むようになったのだとか。
そして運命の瞬間が訪れます。
巡業公演中、ホテルではなく旅館に泊まったときがあったそうです。大先輩の米倉斉加年さんが、「今日は宴会でもやろうか」
いっこく堂さんはものまねを披露。これが米倉さんにウケました。
「お前は1人でやってるほうが面白いな。1人で何かやってみなさい」
「そのときから一人芸を目指すようになって」転機が来たのです。「でも米倉さんはそう言ったことを覚えてなくて…」(笑)
そのときに思い付いたのが中2のときに感動した腹話術だったそうです。
図書館で本を借り、猛勉強します。「睡眠時間だけはやろう!」毎日8時間取り組んだのだとか。
「どうして腹話術の先生に弟子入りしなかったの?」とアガワさん。
「自分で考えてやりたかったので…」「新しいものを生み出したかった」といっこく堂さん。独学の末、あの腹話術が生まれたのです。
不可能に挑戦
腹話術では出せない音があるそうです。マミムメモ、バビブベボ、パピプペポ。これらの音は上下の唇を合わせないと出せない音ですので、腹話術では無理だとか。
「ある本では『不可能なので言わないようにしましょう』『マミムメモはナニヌネノで代用できる』『クリスマスはクリスナスと言い換える』」なるほど…。しかし、この説明にいっこく堂さんは納得しません。
「『クリスナスってどんなナスなんだ?』と言われる可能性がある」
そして不可能を可能にするために猛練習。舌を唇に見立てて、出せるようにしました。
「4年すればできます」とサラッと言ってのけます。カッコいいなあ…。
「腹話術の起源は?」とアガワさん。
「アメリカの女優、キャンディスバーゲンのお父さん、エドガー・バーゲンさんがショービジネスの世界で初めて腹話術を取り入れたんです」「人形を使って皆を笑わせる」
キャンディスバーゲン、懐かしい…。美人でカメラが趣味の人気女優さんでした…。(当時から私は人の趣味に興味があったのですね…)
それ以前には、神のお告げの際に、腹話術を使って神様の声を出した、ということもあったそうです。これが本当の起源でしょうね…。
現在、日本には腹話術師が5、6000人ほどいるのだとか。「人形劇もやれば腹話術もやる」という感じだそうです。
「今までにない技法を編み出したい」と声が遅れる「衛星中継」を生み出したりと、腹話術の限界を広げ続けるいっこく堂さん。
「趣味はないの?」とアガワさん。
しばらく考えて、「…ないですね。」
それまではアガワさんの質問によどみなく答えていたのに、この質問のときだけ間が空きました。
「腹話術は天職」といういっこく堂さん。頭の中は今も腹話術のことでいっぱいのようです。この情熱が世界に認められたのですね。
米倉斉加年さんのひとことがきっかけ?いいえ、何者かが米倉さんの口を通して言わしめたのでしょう…。演芸の神様かもしれません。
私(よしろう)は、いっこく堂さんの話を聞いて、私の座右の1冊「仕事は楽しいかね?」を思い浮かべました。おススメです。
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