2013年08月10日
233. 増田明美 マラソン解説・天城越え・織田裕二 「サワコの朝」
「女子マラソン中継を100倍面白くしてくれる解説」というアガワさんの紹介で始まりました。
「毎週この番組を見させていただいていたので、まさか出演させていただけるとは思わなくて…眠れなかった、昨日からうれしくて…」と感激の増田さん。
増田さんは1964年生まれの49歳、千葉県出身です。「詳しすぎて面白い」マラソン解説者です。
記憶の中で今もきらめく曲
「天城越え」石川さゆり
増田さんが現役時代、「レースが近づくと聞きたくなった曲」だそうです。「バロメーターになったんです」
当時はカセットテープの時代。増田さんはテープの裏表にすべて「天城越え」を入れて走りながら聞いていたのだとか。
「リズムが合うのか女の情念なのか…坂道は『天城越え』なんですよ。」「あの曲が聴きたくなる時は調子がいいんです」と曲に合わせて腕を振る増田さん。アガワさんもそれに合わせます。
「アガワさんもちょっと演歌の香りがするんですけれど」(笑)
マラソンへのきっかけ
増田さんは中学時代はテニス部でした。アニメ「エースをねらえ!」に魅かれ、たくさんの友人とともにテニス部へ。岡ひろみを目指しますが、「才能はなかった」とか。
「上手になった順にコートに出るんですが、私はずっと壁打ちで…」
そのころ、町内1周の駅伝大会があり、増田さんは「助っ人」で出場します。そして高校生3人をごぼう抜きする大活躍。一躍注目の的に。
そして成田高校で故滝田詔生監督(俳優滝田栄さんのお兄さん)の勧誘を受け、マラソンに取り組むことになりました。
「好きじゃないけど良い結果が出たから…」
そして「完璧な高校時代」というほどの好成績を収めることに。トラック種目の3000m、5000m、1万、ハーフ、マラソン、全部の日本記録を塗り替えたのです。小さな体に大変な注目を集めることになりました。
「天才少女?」とアガワさん。
「そうそうそう!」と喜ぶ増田さん。「今だれも言ってくれないんですよ」(笑)
栄光と挫折
「天才少女」の評判を背に増田さんはロサンゼルスオリンピックに出場。1984年20歳のころです。
それまで出ればトップ、走れば優勝と良い結果が出るのが当然だった増田さん。
「大舞台であまり調子はよくなかったんですが」自分なりにイメージトレーニングをして臨みました。
しかし、4qくらいで後ろから来た大集団に追い抜かれます。そして10qあたりで同じ日本人選手の佐々木七恵さん(故人)に抜かれて…。
それまで日本人相手に負けたことがない増田さん、佐々木選手に抜かれたことがショックでした。「今だったら『七恵さん、私の分まで頑張って!』って。当時は七恵さんに抜かれたのがショックで…」
「みじめだ、カッコ悪い、こんな姿を日本中に見られている…」悲しくて16qで動けなくなってしまいました。途中棄権…。
大変だったのは帰国後です。道を歩いていて「おい!非国民!」会社のファクスには「国賊野郎!」
1年間は走れませんでした。
ただ増田さんの気持ちの中で、「自分は大舞台で途中棄権した」「また自分は足を止めるのでは?」という思いが残り、その思いを拭うために活動を再開。アメリカにスポーツ留学するのです。
そしてアメリカのコーチに「あなたを見ていると辛くなる」と言われます。「あなたは毎日練習で『よい結果をだそう!よい結果をだそう!』と思っている。本当によい結果は生きていてハッピーと思えるときに生まれるんだよ」
そして考え方が変わったのです。
「もっと心豊かに…自分中心で生きるのでなく、人が喜ぶ顔を見るたびに何ができるかと…自分がハッピーだと思えることをたくさんやろう」
永六輔さんとの出会い
それにしても詳しすぎる増田さんの解説。他の解説者の方と違いすぎるんですが、どうして?
「(スポーツ選手を)引退した後、出会った人が永六輔さん」だったそうで、永さんから「取材とは材を取ること。あなたも肉声を聞いて表情を見て、肌で感じることが大事」という助言を受けるのです。
そして徹底的な取材をすることに。
自腹で、一人で選手やコーチのいるところに入り込み、食事や酒を酌み交わしながら話をしていると、それまで寡黙だったコーチが「堰を切ったように喋ってくれる」のだとか。
「それって『聞く力』じゃない?」とアガワさん。確かに!
「私、アガワさんの『聞く力』に学んで…」と増田さん。「現場が好きで、(話す)材料はいくらでもあるの…」
増田さんの情熱の背後にあるのは自身の選手時代の思いでした。
「私自身が人間的なことは何も言われなかったので…選手である前に人だから、どうしてこの選手がごぼう抜きできたのか、なぜ怪我を克服してこんないい走りができるのか、人間的な部分、支えてくれている部分も含めて紹介してあげたい…」
「マラソンは35q過ぎたらみんな苦しい」と増田さん。「ギリギリの究極のところで走っている、そこを抜け出すのは人間力」
今心に響く曲
「Love Somebody」織田裕二
「織田さんは選手に対してのリスペクト、愛があるんです」という増田さん。
「私、言いすぎちゃうからNHKに使ってもらえない」という増田さんですが、増田さんの解説を一度聞いてしまうと、病みつきになりますよね。ぜひNHKでも増田さんを!
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