2013年06月11日
185. 五木寛之 80歳・髪を洗わない・漂泊・対談キング 「サワコの朝」
「ちょっとお会いしないうちに80歳になられたのですね」とアガワさん。続いて五木神話(?)を確認しました。「髪を洗わない記録更新を?」
「昨年の12月にシャンプーとカットをして…」「ほぼ半年近く?」
驚きです。白髪ですが(80歳ですからね)豊かで艶があります。本当に洗髪の必要なんてあるのだろうかと、五木さんを拝見するたびに感じます。
五木寛之さんは1966年、34歳の時に「さらばモスクワ愚連隊」で作家デビュー。以来「青春の門」「大河の一滴」等、幾多の作品を世に送り出してきました。また、「愛の水中花」等、ヒット曲の作詞家でもあります。
「選ぶ力」
アガワさんと五木さんの間にはこんなことがありました。
前に対談された時、五木さんはアガワさんに、「『聞く力』の続編を出しなさい」「次は『選ぶ力』がいいよ」という提案をしたそうなのです。
「選ぶ力があったら、私とっくに結婚してます」という、いつもの自虐ネタで返したアガワさん。
「君が書かないのならぼくが書くよ」と言って別れたのですが、しばらくすると、五木さんの「選ぶ力」が書店に平積みに…。アガワさんは驚きました。
「(その場にいた)編集の人に押されて」と苦笑する五木さん。「背中をどんと押してくれてね」「『聞く力』のそばに添え物のように置いてくれて得しました」と五木さんが言うと「やめてください」(笑)
五木先生、まだまだ現役ですよね。本当に編集の人に押されたのでしょうか?
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「記憶の中で今もきらめく曲」
「燃える秋」ハイファイセット
五木さんが作詞、クラシックの作曲家の武満徹さんが作曲し、映画の主題歌となった歌です。
「作詞家としても大変な数を…」とアガワさんが言うと「あの世界での『落穂ひろい』って言ってるんですけれども…」と五木さん。 これはけっこう秀逸なギャグだと思うんですが、アガワさん、スルーでした。
漂泊への思い
五木さんは、今でも年間100日くらい旅行をしています。
「旅の目標は『千所千泊(せんじょせんぱく)』なんです。日本列島の中で1000カ所、知らないところへ行ってみよう…980くらい行きました」
ただ今は交通機関が発達したので、泊まらずに日帰りで戻ってくることもあるそうです。
「そういうときは公衆便所をお借りしておしっこをして、「千所一滴(せんじょいってき)」ってね…ずっとマーキングして歩いているんですけれど」
これも秀逸!ご自身の「大河の一滴」と掛けていますね。しかし、これもアガワさん、スルー。少し緊張されているような…。
本業は…
「本業は小説ですか?」
「小説を書くのも、こういう対談、グラビア、インタビューを受けるとか、すべて同じ比重で考えているんです」「だからアガワさんは対談クイーン」突然命名されたアガワさん。
「五木さんは対談キングだったという…」と切り返すアガワさん。
「数だけ言うなら今でも月に10回くらいは(対談しています)」と五木さん。本当に現役ですね。
「お風呂に入って対談とかもしました。アガワさんもいいと思うけどね。温泉対談とか…」「アタシ?」「ええ…」
下ネタ(?)系でも現役です。いいなあ、五木先生、わたし(よしろう)もこんな80代になりたい!
「対談というのは表現の王道なんですよ」と五木さん。「ですから80歳になって、まだ対談ていうのは珍しいことだし、ありがたいことだし」
「アガワさんは聞くのがうまい。ぼくは喋っちゃうんです。九州弁で…」「非常に反省しましてね…聞くことに徹しようって、アガワさんの力を借りて」
そしてアガワさんに重い言葉をさりげなく語ります。
「一度踏み込んだ道なんだから、『対談者』という感じで生涯おやりになるといいと思いますね」
「そうですか?けっこう疲れるんですけど…」とアガワさん。行くしかないでしょう!五木先生もおっしゃってるんだから。対談はアガワさんの天職です!
「五木さんも80歳ですけど、私も60歳で」とアガワさんが言うと、五木さん、「えっ!!」と声をあげて驚愕の表情を。
「そんなに驚かないでください」「あっ、そう、えらいね…」昭和天皇を彷彿とされる五木さんのお言葉。
生業が大事
五木さんは「日刊ゲンダイ」に40年近く「流されゆく日々」というコラムを連載しています。
「書きだめはしない。書きだめしたら新聞じゃない」確かに。「12時半までに入稿すると昼頃には駅のキオスクに並んでいるんです」
「飽きる、ということはないんですか?」
「生業(なりわい)ですからねえ…生業というのは大事なことだと思うんですよ」「それで生きているわけですから…」いいお話だなあ…と聞いていたら、「もっと軽い話しません?」とアガワさんに提案。確かに朝の番組ですからね。さすが対談キング。
1人1人違っている
「選ばないといけない場面があまりにも増えていると思いません?」五木さんの近著にちなんだ話題にすぐさま切り替えるあたり、対談クイーンの面目躍如!
「正反対の情報が増えているんです。そのときどっちに行くべきか、すごく迷うと思うんです」と五木さん。
「先生のように、髪は洗わないほうがいい、という方もいらっしゃるし、髪の汚れは落としたほうがいいという人もいるし…」とアガワさん。五木さんが髪を洗わないのが気になる?
「一滴のアルコールもよくない、という人もいるし、好き放題飲んで長生きする人もいる…結局は自分の問題だと思うんです」「アガワさんにいいことがぼくにいいとも限らない」「1人1人、人間は違うんだ」
1人1人違っている例として、五木さんは就寝時間を例にとります。
「多くの人が早寝早起きを勧めるんですけれど、ぼくは縄文時代の日本人は夜行性だったと思っていて…生活のリズムがぜんぜん違うんです」
「夜行性というと太陽が出てる間は寝てるという?」とアガワさん。
「朝日を拝んでから寝る」と五木さん。この朝日は太陽と新聞を掛けているんでしょうか?考えすぎ?
「治す」のではなく「治める」
続いて「医者に行かない神話」です。
「医者に行くのは嫌いじゃなんだ。(医者に)任せると自分で自分のケアをしなくなるでしょ?」
若いころ偏頭痛に悩まされた五木さん、気圧が関係していると考え、低気圧が来ているときの生活を工夫し、ついに偏頭痛を克服したのだとか。
「病気を『治す』のではなく、『治める』しかない。『治った』とかいう人を信用しない」
そして80歳を迎えた自分に対して、「生き延びた人間は悪人であるという、人を押しのけてでも行く、という人間が生き延びていくわけで…」「中国の言葉に『善き者は逝く』という…いい人間から死ぬんです」
「亡くなられたから善く見えるのでは?」とアガワさん。
「それもあるんでしょうけど…」と言いつつ「いい人が先に行きます」と五木さん。
「父は生き残ってるんですよ」とアガワさん。やっぱりそこに来ましたか?
「それは業の強い…」「心のうしろめたさを抱えながら長く生きている人は生きている」
「今、心に響く曲」
「インディオの道」アタウアルパ・ユパンキ (1908〜1992)
「アルゼンチンの人。世界的な文法学者で詩人で、小説家として素晴らしい人で、最高のギタリストで、そしてフォルクローレの歌い手なんですね。アルゼンチンの宝です」
聞き終わって「明日のことはわからない」という五木さん。「お見舞いに来てもらうかもしれない」
そしてアガワさん、「できるだけ髪も洗ってください」…やっぱりそこ?
五木さんのご先祖は漂泊の民だったのかもしれません。旅行好きなところと髪を洗わなくても平気なところ、医者にかからず自分で「治めて」しまうところなど。
聞きごたえのある対談で、あれもこれもと書き込み、かなりのボリュームになってしまいました…さすがキングとクイーンの対談。
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