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2018年08月11日
アメリカの自動車を支えた大量生産方式
生産性を向上させたさまざまな工夫
アメリカでの自動車生産台数は1907年の
約4万台から1913年には約50万台に増えました。
その大量生産を可能にしたのが
フォード・システムと呼ばれる大量生産方式
だったといわれています。
フォード・システムは、
コンベアによる移動式組立ラインを
さすものと考えられがちですが、
そんな単純なお話ではありません。
まずは、その前提として
部品の加工精度を向上させる必要がありました。
実は、当時の部品の加工精度は低かった為に
フィッターと呼ばれる熟練した仕上げ工が、
組立現場で部品にやすりをかけて
調整する作業を行っていました。
この状況では生産性は向上しようがありませんでした。
そこで加工精度を向上させフィッターの仕事なく
組付けられるようにしたのです。
こうして作られた互換性部品のおかげで、
生産性は大いに向上しました。
また、さらに移動式組立ラインの
導入も可能になりました。
移動式組立ライン導入後も、
人があまり動かなくてもいいように
作業を細分化したり、
腰の高さで作業できるように
背の高い人用と低い人用の別のラインを作ったり、
さらに、スピードを速くしたり遅くしたり、
人員を増やしたり、減らしたり、
部品の流れと組立ラインのスピード、
間隔が完全に同期化するまで、
タイミング合わせと再調整を繰り返したのです。
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今や世界的に浸透した経営用語
標準の「維持」と「現状打破」
工場の採算性を向上させるために、
作業者・機械設計・在庫・運送システムなどから
生産プロセス全体の効率化を図る工学的なアプローチを
インダストリアル・エンジニアリング(IE)といいます。
狭義のIEは、生産性向上を目的とする作業研究のことで
手法的には、テイラー氏の時間研究を継承した稼動分析、
ギルブレス夫妻の動作研究を継承した方法研究があります。
目標・標準のまわりにせっていした許容範囲を逸脱した場合、
原因を分析し、除去する矯正的行動がとられます。
カイゼン(改善)、英語でもkaizenという経営用語は
1980年代以降、自動車やエレクトロニクスなどの日本の
加工組立メーカーの強い国際競争力の源泉の1つとして
注目されてきました。
手法はIE的でも、その発想はIEとかなり違います。
日本の会社でも従業員は設定された
標準に基づいて働いています。
ただし、日本の会社では、訓練及び規律を通じたそうにした
標準の「維持」と、そうした標準自体を向上させる
「現状打破」という2つの要素から仕事が成り立っている
と考えられているのです。
つまり、「標準がないところに改善はない」のであり、
「標準はより良い標準にとってかわられるためにのみ存在する」のです。
どんだけ売れればトントンになる?
製品を作っても、売れなけば大損害
製品を製造するための材料費や燃料費は、
生産量に比例するコストなので変動費と言います。
それに対して、製造設備の減価償却費や
工場の人件費などは、生産量に関係なく
一定額かかるコストなので固定費と言います。
直感的に理解できると思いますが、
固定費部分が大きい場合、
ある程度の量の製品を作って売らないと、
固定費が回収できません。
つまり赤字です。
このことをもう少し倫理的に整理すると
固定費と変動費をあわせた費用と売上高が
等しくなるポイントを損益分岐点と言います。
固定費の割合が大きい場合、
固定費を回収するまで、
すなわち、損益分岐点を超えるまで赤字が続きますが、
いったん損益分岐点を超えてしまえば、
あとは売り上げ増加分の多くが利益になります。
したがって、利益を出そうと思ったら、
固定費の割合が大きい製造業などでは
操業度や稼動率を常に念頭に置く必要があるわけです。
ただし、このことが経営判断を狂わせる原因にもなります。
つまり、売れもしないのに、操業度や稼働率を
あげて固定費を回収したいという圧力が生まれ
時にはせっかっくの在庫削減努力を台無しにしてしまうからです。
作りすぎて売れなければ、製品は不良在庫となり、
結局は大損害だということを忘れてはいけません。
2018年08月10日
作業の無駄を顕在化させる手段
生産システム全体の流れをよくする
原料在庫、部品在庫を極限まで減らしてしまったら、
一体どんなことが起こるでしょうか?
生産システムのごく一部でも流れが悪いと
すぐに生産システム全体が止まってしまいます。
ジャスト・イン・タイム(JIT)は
トヨタ生産方式の主要部分です。
英語でそのまま通じるほど有名になった
かんばん方式はJITの一部です。
しかし、それを導入したからといって、
生産性が向上するわけではありません。
JITは、作業の無駄を顕在化させるための手段なのです。
作業の無駄が把握されると、現場監督クラスを中心とした
作業標準改訂、作業者個人の改善提案、小集団活動
といった現場主導型の問題解決サイクルが回り始めます。
多工程待ち、多能工化、幅広い職務区分が手持ちの圧縮、
正味作業時間の拡大、再編成された作業プロセスの
作業標準としての速やかなマニュアル化、
作業組織内に固定、、、、、
このサイクルが繰り返されることで、
初めて生産性が向上し始めるのです。
大量生産すれば生産性が向上すると、
根拠もなく主張されることがありますが、
実際には、生産システム全体の流れが良くなるので、
生産量も増加し、生産性も向上するのです。
メーカーで生産量と生産性に関係が見られても、
それは見かけ上の関係にしかすぎません。