2017年04月04日
金融庁Webサイトを散歩してみたA:金融レポートが深くて面白い(後編)
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前回の記事の続きです。
金融庁Webサイトを散歩していましたら、H27年の金融レポートを見つけました。
面白い事が色々書いてありましたし、なかなか攻めた内容になっていましたので、紹介します。
平成27事務年度 金融レポート
前回の記事では、上記レポートのP.59〜P.65くらいまでを取り上げましたが、今回はその続きです。
(以下、特記ない限り全ての画像や図表は、金融庁レポートより引用しています)
投資信託を一通り撫で切りにした後、金融レポートの次の標的は保険商品です。
2015年に相続税法が改正され、基礎控除が3割減少した一方、生命保険料について控除が新設されました。
(法改正前)
基礎控除 5,000万円+(法定相続人数×1,000万円)
(法改正後)
基礎控除 3,000万円+(法定相続人数×600万円)
死亡保険金の非課税枠 法定相続人数×500万円(新設)
この法改正により、2015年から保険商品のニーズが高まってはいるのですが、それでもその規模はまだ
投信には及んでいません。ですが、銀行の手数料収入に占める保険の割合はかなり大きくなっています。
これはつまり、前回の記事で取り上げたように「手数料高すぎ」と撫で切りにされた投資信託よりも
保険商品(特に一時払い生命保険)の手数料が輪を掛けて高い、ということです。
しかもその中で、外貨建て保険商品に関してはさらにさらに手数料が高い、と指摘しています。
そして、トドメの一言が下。痛快ですね。
金融庁:
「外貨を一部組み込んだ一時払い保険商品」というのは、投資商品として分解して考えると
「外国国債+低コスト投信かETF+掛け捨て生命保険」で構成できて、そっちの方が手数料低いんだけど、
どうして顧客にそれを提示しないの?
次に、最近よく見かけるファンドラップ(投資一任)です。
こちらも2015年くらいから、口座数・残高ともに増えているのが分かります。
一方でファンドラップは、「顧客のリスク許容度や目標利回りなどを確認した上、これに沿ってプロが
投資を行う」という特性上、通常の投資信託に加えて投資一任報酬が発生します。
平たく言いますと、散々「手数料が高い」と言われた投資信託より、さらに高い手数料が取られます。
金融庁の調査によると、主たるファンドラップの年間手数料は平均2.2%。
これを、一般の手数料の高い投資信託(年間手数料1.5%、買付手数料3%)と比較して運用シミュレートを
行うと、長期的には驚くべき結果になります。
この結果は、金融庁が誘導しようとしている「中長期的な安定した資産形成」という目標と真っ向から
対立するため、レポートの中でもかなり語気強く指摘しています。
またもう一つの突っ込みどころは、下の内容。これも顧客との利益相反を起こす可能性があります。
金融庁:
証券会社や信託銀行提供のファンドラップの中を見ると、系列会社の投資信託が平均で半分、ひどいものは
系列会社の投信だけで7割占めてるけど、これちゃんと顧客目線で選んだ投信パッケージなの?
最後に、クラウドファンディングについて何か書いていないか探してみました。
レポートのP.76〜77に、「企業がその発展の度合いにより、色々な資金調達ができる事が重要」とあり、
その方法として、IPOやベンチャーキャピタルと並んでクラウドファンディングの文字がありました。
ただ残念ながら、ここで取り上げられていたのは投資型クラウドファンディングであり、金融レポートの
中には、融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)の言及はありませんでした。
2017年度版の金融レポートでの、SLの登場に期待します。
以上、金融レポートから主に「金融商品目線」「投資家目線」で一部を抜粋して記事にしました。
ここで書いた以外にも、内容は盛りだくさんのレポートですので、是非一読をお勧めします。
本記事の最初の方にあるリンクから、金融庁の該当ページに飛ぶことができます。
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リンク先には同じ話題を取り扱うブログが沢山あります。こちらもいかがでしょうか。
金融庁Webサイトを散歩していましたら、H27年の金融レポートを見つけました。
面白い事が色々書いてありましたし、なかなか攻めた内容になっていましたので、紹介します。
平成27事務年度 金融レポート
前回の記事では、上記レポートのP.59〜P.65くらいまでを取り上げましたが、今回はその続きです。
(以下、特記ない限り全ての画像や図表は、金融庁レポートより引用しています)
6.貯蓄性保険(特に一時払いと外貨建て)は高コスト
投資信託を一通り撫で切りにした後、金融レポートの次の標的は保険商品です。
2015年に相続税法が改正され、基礎控除が3割減少した一方、生命保険料について控除が新設されました。
(法改正前)
基礎控除 5,000万円+(法定相続人数×1,000万円)
(法改正後)
基礎控除 3,000万円+(法定相続人数×600万円)
死亡保険金の非課税枠 法定相続人数×500万円(新設)
この法改正により、2015年から保険商品のニーズが高まってはいるのですが、それでもその規模はまだ
投信には及んでいません。ですが、銀行の手数料収入に占める保険の割合はかなり大きくなっています。
これはつまり、前回の記事で取り上げたように「手数料高すぎ」と撫で切りにされた投資信託よりも
保険商品(特に一時払い生命保険)の手数料が輪を掛けて高い、ということです。
しかもその中で、外貨建て保険商品に関してはさらにさらに手数料が高い、と指摘しています。
そして、トドメの一言が下。痛快ですね。
金融庁:
「外貨を一部組み込んだ一時払い保険商品」というのは、投資商品として分解して考えると
「外国国債+低コスト投信かETF+掛け捨て生命保険」で構成できて、そっちの方が手数料低いんだけど、
どうして顧客にそれを提示しないの?
7.ファンドラップは手数料に注意
次に、最近よく見かけるファンドラップ(投資一任)です。
こちらも2015年くらいから、口座数・残高ともに増えているのが分かります。
一方でファンドラップは、「顧客のリスク許容度や目標利回りなどを確認した上、これに沿ってプロが
投資を行う」という特性上、通常の投資信託に加えて投資一任報酬が発生します。
平たく言いますと、散々「手数料が高い」と言われた投資信託より、さらに高い手数料が取られます。
金融庁の調査によると、主たるファンドラップの年間手数料は平均2.2%。
これを、一般の手数料の高い投資信託(年間手数料1.5%、買付手数料3%)と比較して運用シミュレートを
行うと、長期的には驚くべき結果になります。
この結果は、金融庁が誘導しようとしている「中長期的な安定した資産形成」という目標と真っ向から
対立するため、レポートの中でもかなり語気強く指摘しています。
またもう一つの突っ込みどころは、下の内容。これも顧客との利益相反を起こす可能性があります。
金融庁:
証券会社や信託銀行提供のファンドラップの中を見ると、系列会社の投資信託が平均で半分、ひどいものは
系列会社の投信だけで7割占めてるけど、これちゃんと顧客目線で選んだ投信パッケージなの?
8.クラウドファンディングについて
最後に、クラウドファンディングについて何か書いていないか探してみました。
レポートのP.76〜77に、「企業がその発展の度合いにより、色々な資金調達ができる事が重要」とあり、
その方法として、IPOやベンチャーキャピタルと並んでクラウドファンディングの文字がありました。
ただ残念ながら、ここで取り上げられていたのは投資型クラウドファンディングであり、金融レポートの
中には、融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)の言及はありませんでした。
2017年度版の金融レポートでの、SLの登場に期待します。
以上、金融レポートから主に「金融商品目線」「投資家目線」で一部を抜粋して記事にしました。
ここで書いた以外にも、内容は盛りだくさんのレポートですので、是非一読をお勧めします。
本記事の最初の方にあるリンクから、金融庁の該当ページに飛ぶことができます。
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posted by SALLOW at 12:20
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