2018年09月12日
ふるさと納税返礼品の見直しが決定。ふるさと納税で「損をする人」は誰なのでしょう?
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一つの事実から、解釈はいくつも生まれるものですが
前回の記事の続編、のようなものです。
・総務省怒りの情報を利用する、お得なふるさと納税の自治体の見つけ方
ふるさと納税で過熱する返礼品争い。
健全な競争であれば、魅力的な返礼品を用意できなかった自治体から税金が逃げていくのは当然のこと。
ただ問題は、「換金性の高い返礼品」「地場と何の関係もない返礼品」という、明らかにふるさと納税の
趣旨から外れた、脱法的な節税手段として有名になってしまったことでしょう。
つい先日(9/11)、総務省からふるさと納税の見直しに関する発表がありました。
・ふるさと納税見直しへ 高額返礼は優遇除外
内容@:返礼品の調達価格を、寄付額の3割以下とする
内容A:返礼品には地場産品を使用する
内容B:@とAを満たさないふるさと納税は、税優遇の対象から外す
この通達については、現状ふるさと納税が脱法的な節税手段という側面を持ってしまっている以上、必要な
措置でしょうし、私も異論はありません。
しかし、視座の違いによってはミスリードを狙うような記事も出てくるもの。
そんな中の一つを紹介したいと思います。
ちょっとお粗末な記事かと
紹介する記事は、President Onlineです。
・もはや"官製通販"ふるさと納税で損する人
内容としては、上記のような総務省の指示を受け、返礼品競争は収束に向かうのではないか。
その結果、納税者側の関心も落ちていくかもしれない、というものです。
正直なところ返礼率を3割にしたところで、農産物、海産物、畜産物などの調達価格はどうとでもいじる
事ができそうですし、返礼品競争が収束に向かうことは考えにくいと思います。
むしろ、返礼率の縛りができたためにより一層創意工夫をすることになる可能性すらあるでしょう。
寄付を集めているのはごく一部の地方自治体だけ。自治体間に納税格差が広がっており、返礼品合戦に疲れてくるはずです。そして返礼率3割という縛りを受けて、返礼品のバリエーションも減るうちに、納税者の関心も落ちていくのではないでしょうか。
どうも、「一部の自治体」を悪者にしようとする雰囲気が感じられる文章です。
むしろ、同じ土俵の中で寄付を集められなかった他の自治体の無能を指摘すべきであり、寄付を集めた一部
の自治体は称賛されるべきではないでしょうか。
ふるさと納税の目的が「都市部に集中する税金を地方に分配する」事である以上、各自治体が使える限りの
方法を使い、寄付を集めようとする行為が明らかに正しい行為です。
それに成功した自治体を例外扱いするというのは、私には適切な態度とは思えません。
記事のツッコミどころ
他にも、いくつかの発言については「それはちょっと」とツッコみたいところがあります。
ただでさえ寄付文化があまりない日本で、『見返りのない寄付はしない』という意識が醸成される恐れもあります。
寄付文化が根付いている欧米では、「寄付をして売名する」もしくは「寄付をしなければ糾弾される」から
寄付をしているわけで、見返りがないわけではありません。
もちろん一部には、本当に善意からの寄付もあるでしょう。
しかし、理由が善意であれ売名であれ糾弾を避けるためであれ、寄付された1円は1円。
お金には色も意志もありません。どんな理由であれ、寄付は受ける側にとっては同じ価値です。
見返りのない寄付はしない、なら見返りがあれば寄付をするのですから、それで何が悪いのでしょう。
他の地域へ税金を納める分、自分が住んでいる地域の行政サービスが損なわれている可能性があることは理解しておくべきです。
たまに目にする論調ですが、これは脅迫以外何物でもないでしょう。
ふるさと納税というルールができた以上、そのルールの中で税金を確保し、行政サービスを損なわないよう
にする責任は、その地方の役人にあります。納税者ではありません。
これはともすれば、納税者と非納税者の間で分断を生み、事実から目を逸らそうとする発言です。
私が思うに、問題の本質は2つです。
@返礼品の中に、適切でないものがあること
Aふるさと納税で、自治体の間に優勝劣敗があること
このうち@は確かに問題であり、今回の総務省の通達で緩和されることが期待されます。
Aは単純で、「負けている自治体が悪い」だけです。
「魅力的な返礼品を用意する能力がなかったので税収が落ちました。行政サービスが維持できません」
と悪びれもせず言って、住民がそれで納得すると思っているのでしょうか。
ふるさと納税で損をする人は
記事では、「ふるさと納税で損をする人」を、富裕層としています。
今回の総務省通達により返礼率が落ちた影響は、富裕層ほど大きいというのがその理由。
考えるまでもないことですが、「得が減った」と「損をした」とはまったく異なります。
返礼率が落ちたところで富裕層は得が減るだけ。損をするわけではありません。
そして得がある限り、ふるさと納税は続く事になるでしょう。
そう考えると、本当に「ふるさと納税で損をする人」は誰なのか。
こちらは考えるまでもなく「魅力的な返礼品を用意できなかった自治体」です。
もし、そんな自治体が返礼品を魅力的にする努力をするのではなく、手っ取り早くふるさと納税を下火に
させようとして記事を依頼した・・・と考えれば結構辻褄は合うのですが、まさかですよね。
最後に宣伝です。
私は複数のふるさと納税サイトを利用して、もちろん限度額いっぱいまで納税をしています。
その中で、納税から返礼品の発送までが最も早いのは、おそらくこの「さとふる」でしょう。
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posted by SALLOW at 09:00
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