2018年07月08日
「お金2.0」を読んでの所感:価値主義は既得権益を克服できるのか
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次世代のお金
今回は随筆風味、感想文風味です。
以前ベストセラーになった、「お金2.0」という本がありました。
正直なところ、書籍の帯でこの書を絶賛していたのが元金融担当大臣のT中氏と、逮捕歴のある有名人の
H江氏という時点で敬遠していたのですが、実際読んでみるとなかなか面白かったです。
この本は、お金と経済の次世代のあり方を平易に綴ったもの。
中央集権型の銀行を介さない仮想通貨や、旧来の与信モデルに変わる信用ベースのフィナンシャル。
もしくは分散化する社会や、急速に発展するシェアリングエコノミーなど。
そういった既に訪れている、あるいは今後訪れるだろうお金・経済の大変革について説明しています。
本の一つのベースとなっているのは、「資本主義は限界に近づいている」というもの。
肥大化して金余りが見られる資本主義から、共有、感謝、承認という内面的な価値を可視化し、それを
あたかも商品やお金のように流通させていく「価値主義」への転換。
そういった、既存のお金や経済から解放される未来を語っています。
私もいずれは、この書籍が提唱している方向に進むとは思います。
しかし、現状では既存経済に対して既得権益を持つ者の数が数だけに、そういった動きに対する抵抗は
極めて激しいものになるでしょう。
さらに、そういった既得権益者は大抵が国の中枢に食い込んでいますので、抵抗は社会的・経済的なものに
留まらず、警察力・軍力を使ったものになる可能性もあります。
(H江氏も、現実の警察力の前には屈さざるをえませんでした)
「お金2.0」で提唱している価値主義は、果たして物理的な暴力についても有効に働くのでしょうか。
もちろんそんなことが起きないのが一番なのですが、お金は魔物です。
資本と権力は命より尊いという考え方の者が強者である限り、最悪の事態は想定しておくべきでしょう。
個人的な考えですが、世界の一部の地域は「お金2.0」の方向に進むかもしれません。
ただし少なくとも近い将来においては、そうである国家の数は限られるでしょう。
まずアメリカは無理。ヨーロッパはいくつか候補ありそうですが、全体的には疑問。中国は絶対無理。
現在の新興諸国においても、西側寄りの国では難しいのではないでしょうか。
資本主義経済が根付いている国、西側よりの新興国、国家権力が強い国においては、既存のお金や権力に
対する執着、あるいは既得権益がとても強く、新たな価値観を受け入れる事は難しいと思います。
もちろんこれらの国においても、変わっていくお金や経済は影響を及ぼすでしょう。
例えば、中国はシェアリングエコノミーの先駆けとも言えるほど、共有が進んでいます。
仮想通貨も盛り上がっていますし、ソーシャルレンディングだって既存の銀行を通さない融資ということで
これらの動きの一端と捉えることもできます。
ただ、それが「為政者に不都合な領域」まで届くかというと・・・? と言うのが正直なところ。
いずれはそこまで届く時も来るのでしょうが、そのためには資本主義や現在の世界のあり方が一度、誰にも
分かりやすい形でぶっ壊れる必要があるように思います。
それは、現状安定を求める投資家としては、できれば勘弁してもらいたいもの。
ですので私は、この本の内容については共感しつつも、これが来たら困るな、という感想を抱いています。
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posted by SALLOW at 08:30
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