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淡い思い出〜中学時代の夏祭り〜

夏祭り・・・・・・・・甘酸っぱい響きを持つ言葉だ。
この言葉にこういう響きを感じるのは、過去の淡い思い出のせいか?

前に一度書いた、交換日記の話(7月6日)、その話にもちょっとだけ登場する秀才の女の子の思い出。
中学3年生になって、この子・・・・・・Rともクラスが別れた。
実は2年生の時から好きだったのは、交換日記を先に始めたクラスのアイドルだったのだが、このRも気になる存在だった。
・・・・・・・・・・・気が多い? いやそんなことはないだろう。それぐらいの年頃の男子は、きっと2〜3人ぐらい気になる女の子はいるはずだ。
この二人と同じクラスだった時、後ろからこの二人の綺麗な髪と髪留めをよく見ていた。クラスのアイドルはたいてい黄色。秀才のRはたいてい紫。これもイメージどおりだった。
この子とも交換日記が始まる。まったく酷い男だった。

俺が実はこの子の方が好きなんじゃないかって言う人は周りに結構いた。親しくしていた男友達、女友達、結構みんな冷やかす。なんでそう思われたかはわからない。俺の言葉の端々にそういう雰囲気があったのだろうか?
Rは、俺が入っていた塾にも後から入ってきた。はっきり言って、塾なんて行かなくても、Rの成績は学年トップクラスだ。
でも、なんだか嬉しかった。つながりが増えたみたいで。

ある時、一番親しかった友人と、その彼女が提案してきた。
「今度の夏祭り、Rちゃん誘って一緒に行かない?」
その頃は、クラスのアイドルだった子との交換日記は終わっていた。
中学生にありがちなグループ交際だ。その友人と彼女も付き合い始めたばかりだ。何かしら口実は欲しかったんだろう。
その友人は、九州男児にありがちな無口な奴で、その彼女と一緒に下校する時だって、ほとんどしゃべらないという話を聞いていた。男同士ならまあまあしゃべるんだが。
一方その彼女はというと、その時点でもう何人付き合ったか噂が知れないほどの恋愛達者だった。その子が「私まだ処女だよ」って発言した時は、失礼ながら大げさに驚いた。

その友人の彼女・・・・・・H(別にこの文字を当てたのには悪意はない)がRを誘ってくれた。だが、この二人、今までそんなに親しくはなかったはずだ。
俺は・・・・・・・・というと、なぜだか誘えない。こっぱずかしいのだ。俺はシャイだった。少なくともこれぐらいの歳の時は。俺もその友人のことは笑えない。
何なんだろう? 交換日記の中では饒舌なのに、面と向かって誘えない。交換日記を渡す時だって、廊下で人目の少ない時に、すれ違いざまにさっと渡して離れてしまう。
Hとは簡単にしゃべれるのに、もうRとはしゃべれなかった。2年生の頃は、授業中だって先生を無視してよくしゃべってたのに。二人そろって注意されたりしてた。
これが大人の階段を昇る過程の戸惑いなんだろうか? 意識してしまったら、もうしゃべれない。



夏祭り当日、Rはちゃんと来てくれた。
だが、ほとんど男二人と女二人同士で会話することが多い。
そんな感じだが、なんとなくは4人一緒になって、夜店を回る。
夜店の食べ物は、なぜこんなにおいしいのだろうとか思う。りんご飴とかトウモロコシとかかき氷とか買った気がする。
俺なりには楽しんでいた。なんとなくこれからへの期待もある。Rは色の白い、髪の綺麗な女の子だ。この子が髪をたばねているのを後ろから見ると、たまにどきっとするほど項のあたりにも色気がある。
俺は、ムッツリスケベだった。(/∀\*)キャ)・・・・・・・・・・・自己弁護じゃないが、この頃の男子ってそういう奴が多いだろう。みんなエロ本の隠し場所に苦慮していたはずだ。

夜店をある程度回った後、4人で夜の公園に移動する。何せ地元の小さな夏祭りだ。ちょっと回ったら回りつくす。祇園祭のような大きな祭りじゃない。
夜の公園は、街灯があるとはいえ、暗かった。他の人も誰もいない。会場からはちょっと離れたところだ。
だが、あいかわらず男二人と女二人同士で会話している。たまに目的のRに話しかけるが、しらじらしい。Rも別人みたいに大人しい。もともとは結構よく笑う子だ。

そういう状況の中、懐中電灯が近づく。
よ〜く見ると、ガタイのいい担任の先生だ。どうやらこの辺りを巡回していたみたいだ。
「お前ら、受験生なのにこんなとこで何やってんだ!」一喝。
この先生は怖い。クラスの半数が不良という、地元新聞紙上をたびたびにぎわす悪名高い中学だったが、そんな中学でもこの先生は押しがきく。
「もっと明るいとこに行け」

すごすごと4人は会場の方へ戻る。
会場でちょっと男と女別行動になった。たしか、違う店を見たいということで離れたと思う。
しばらくすると、Hが走ってきた。
「Rちゃんが、お父さんに連れられて帰っちゃった」
「え??」
どうやら娘の事が心配になった父親が会場に迎えにきてたみたいだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
その後ちょっとして3人は家路についた。

それから、Rには俺は話しかけることもなく、終わった。
なんであんなに許せなかったんだろう? 今考えると、仕方なかった気がする。
まだ15歳の女の子だ。

その後同じ高校に進学したが、ついに高校3年間も口をきかなかった。たまに目が合うことがあったのだが、二人ともばつの悪そうな顔で目をそらす。

本当に切ない思い出だ。

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