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2017年10月15日
選挙 その NO-19 勝敗のカギを握る東京&大阪 総選挙「序盤情勢」徹底検証日刊ゲンダイ
最重点区の10区も自民鈴木隼人が優勢(C)日刊ゲンダイ
勝敗のカギを握る東京&大阪 総選挙「序盤情勢」徹底検証
日刊ゲンダイDIGITAL 2017年10月15日
投開票日まで1週間。主要メディアの情勢調査では「自民が単独過半数を大きく上回る勢い」「自公で300議席超」と早くも与党の圧勝ムードだが、勝敗のカギを握るのが大都市圏だ。選挙区が多い大票田のうえ、有権者は無党派層が大部分を占める。つまり、無党派層が動けば、選挙結果は大きく変わってくるのだ。東京・大阪の序盤情勢を検証してみた。
■長妻当確、海江田が当落線上
都議選を大勝に導いた小池都知事の人気は陰りどころか、地に落ちている。小池率いる希望の党は、お膝元の東京で惨敗が濃厚だ。序盤の情勢調査などによると、約1130万人の有権者を抱える東京の25選挙区は自公候補が22勝の見通し。希望候補で見込みがありそうなのは、早々に民進党を離れた松原仁、長島昭久の2人しかいない。ヒドイありさまだ。
政治評論家の野上忠興氏は言う。
自民党は22選挙区を取って圧勝した14年選挙と変わらない勢いです。都知事選、都議選の余勢を駆って、小池都知事が希望の党を立ち上げ、民進党の前原代表と事実上の合流を協議し、連合の支援を取り付けたところまではよかった。
ところが、排除の論理を持ち出し、民進党を分断させて世論の反発を招いた。希望の党と立憲民主党の候補乱立を招き、自民党をアシストしている格好です。前回の選挙結果を分析すると、東京の小選挙区の当選ラインは約10万7000票。ポッと出の候補が集められる票数ではありません」
希望候補の陣営は軒並みお通夜状態で、「選挙区はダメだ、比例もダメかもしれない」と肩を落とす前職もいる。
自民は都議選の雪辱で燃えたぎっている。内閣支持率が反落し、不支持が支持を上回る安倍首相は露出させず、客寄せパンダの小泉進次郎を集中投入。「東京は安倍首相ではなく、進次郎で勝ちにいく」(自民党関係者)戦略だ。
立憲民主は海江田万里、落合貴之、菅直人、末松義規の4人が残り1週間の戦いぶり、投票率次第で逆転する可能性がある。
大阪
辻元は正真正銘の「野党」(C)日刊ゲンダイ
■辻元が大奮闘、佐藤ゆかりは落選ピンチ
維新との選挙区調整で希望が候補を擁立していない大阪では、当初は公明が立つ4選挙区以外はほぼ自民と維新の一騎打ちになるとみられていた。そこへ立憲民主が割って入り、健闘している。
「小選挙区で勝てそうなのが10区の辻元。候補を降ろした共産票の上積みも見込めます。立憲では6区の村上も、反自公票の受け皿を一手に引き受ける格好になり、公明の伊佐を猛烈に追い上げている。同様に、公明が相手の5区の長尾、16区の森山も急速に支持を集めています」(地元記者)
維新は今回、公明の選挙区を除くすべての選挙区に15候補を擁立した。そのうち7人が現時点で優勢に選挙戦を進めている。
「1区と9区は自民と拮抗。南に行くほど地力があり、14区の谷畑、17区の馬場、18区の遠藤は頭ひとつ抜け出した。19区の丸山も勢いがあります」(在阪テレビの選挙担当者)
8区の木下、15区の浦野も自民を僅差で追っていて、勝機はある。
公明は4選挙区を死守。微妙なのが自民だ。確実に勝てそうなのは2区の左藤、12区の北川くらいだという。
「4区の中山、7区の渡嘉敷は序盤情勢が優勢でも安心できない。相手候補はともに新人で、序盤は苦戦しても、伸びしろがある。11区の佐藤ゆかりは厳しい。大阪の選挙区は公明が4、立憲民主が1、維新は最大で11を取る可能性がある。そうなると、自民はわずか3に落ち込みます。森友問題は大阪の事件だし、中央権力への反抗心や安倍不信から、維新に票が流れることが予想されます」(野上忠興氏=前出)
維新が野党なのかは別として、大阪自民は大苦戦だ。
最側近なのに落選危機(C)日刊ゲンダイ
【東京10区】小池代表の最側近 若狭氏まさかの落選ピンチ
鈴木 隼人40自(前)
若狭 勝60希前
鈴木 庸介41立新
岸 良信62共新
絶望的だ――。希望の党を率いる小池代表の側近、若狭勝が落選濃厚となっている。
12日の東京メトロ要町駅。午前7時半。通勤・通学に向かうせわしない人波の中、若狭は駅頭でマイクを握っていた。「希望の党は志半ばです」「もう一度私を国会に押し上げていただきたい」と熱弁を振るっていたが、足を止めて耳を傾ける聴衆や握手を求める人は、ほとんどいない。
連日の演説でノドを潰しているのか、有権者に聴いてもらえない悲しみのせいなのか、若狭はかすれ声で時折言葉に詰まりながら「しがらみ政治」からの脱却をひたすら訴え続けていた。
若狭が再選を目指す東京10区は、もともと小池が出馬していた選挙区だが、今回は、7万票以上をかっさらった昨年の補欠選挙のようにはいきそうにない。
12日の朝刊各紙は「自公300議席超」との情勢調査を報じた。調査などによると、若狭は自民の鈴木隼人に大きく差をつけられている。自民を離党して公明票を失った上に、希望の失速に伴って小選挙区での勝利が“望み薄”の状態だ。加えて、無党派の浮動票は、飛ぶ鳥を落とす勢いの立憲民主の鈴木庸介に流れている。
「若狭さんは当選2回ですが、選挙は素人です。1回目は比例単独での当選。2回目は、自民党丸抱えの選挙でした。なのに、本人はまったく地元活動をしてこなかった。しかも、希望の党は混乱し、頼りの小池さんもすっかり有権者から嫌われてしまった。これで勝てるはずがありませんよ」(地元関係者)
演説後の若狭に「危機感を感じているか」と直撃すると、「票が割れて厳しい? そういう意識はないですよ。手ごたえはあります。自民、立憲、共産などの各候補者と競い合うのはシビれる。刺激的な戦いですね」と何とも前向きな様子。
比例区にも重複立候補しているが、比例で救われるかは微妙だ。
自民は、裏切り者の若狭を落選させるために、東京10区を「最重点選挙区」にし、人寄せパンダの小泉進次郎をはじめ、大物の応援弁士を続々と送り込んでいる。
タグ:衆院選
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2017年10月14日
選挙 その NO-18 ン なこと あたりめー だっつうの
選挙 その NO-18
10月22日は投票日です。その前日に、パリへ出張だそうです。党首不在で投票結果に臨むことになります。日程を見ると、23日に出かけても間に合いそうですし、行かなくて「ビデオメッセージ」を送ってもいいですし、もう少し知恵を出せばなんとか方法が見つかるのではないですか。
東京都HPに都知事の予定が載っています。下記。
このたび、小池知事がパリ市へ出張することになりましたので、お知らせします。
1 目的
世界大都市気候先導グループC40※1の運営委員として、運営委員会及び関連イベントに出席し、環境先進都市・東京の取組をアピールする。また、CityLab2017※2に参加し、世界の都市の首長らと、都市が直面している共通課題等について意見交換を行う。
内容
10月21日(土曜日) 東京発パリ着
10月22日(日曜日) CityLab2017・関連イベントC40関連イベント
10月23日(月曜日) CityLab2017・関連イベントC40運営委員会
日仏経済交流委員会(パリ・イル=ド=フランス地方商工会議所)※3年次会合における講演
10月24日(火曜日) OECDグリーン投資・金融フォーラム※4面会等パリ発
10月25日(水曜日) 東京着
※日程については、現在も調整中であり、今後変更となる可能性があります。以上東京都HP。
化けの皮が剥がれた(C)日刊ゲンダイ
選挙後に始まる“小池降ろし” 独裁気質に有権者もソッポ
日刊ゲンダイDIGITAL 2017年10月14日
開票後に即、「小池降ろし」が始まりそうだ。大手メディア各社の衆院選の序盤情勢調査が出そろったが、希望の党はいずれも60議席前後にとどまる。公認候補235人のうち実に4分の3が討ち死に必至だ。大失速の要因は、権力欲ムキ出しの“緑のたぬき”の化けの皮が剥がれたこと。とにかく小池都知事の嫌われようは半端ない。今度の選挙で女性初の首相の野望どころか彼女の政治生命は絶たれたも同然だ。
「小池代表が民進党のリベラル派を『排除いたします』と宣言し、ニコリと笑った。あの映像が繰り返し流れて以降、風向きは完全に変わりました」
そうタメ息交じりに語るのは、希望の関係者だ。こう続けた。
「安倍首相よりも独裁的な『ヤバい女』というイメージが浸透し、『安倍嫌い』よりも『小池嫌い』の有権者が日ごとに増えている実感です。異常なまでの急速な嫌われ方で、党勢には想定外の大打撃です」
小池代表の嫌われっぷりは序盤情勢に悪影響を与えている。希望の小選挙区候補198人のうち優位に立つのは、笠浩史氏(神奈川9)、細野豪志氏(静岡5)、古川元久氏(愛知2)、古本伸一郎氏(愛知11)、玉木雄一郎氏(香川2)らにとどまる。小池代表のお膝元の東京でも苦戦を強いられ、松原仁氏(東京3)は劣勢。小池代表の側近気取りの若狭勝氏(東京10)も落選の危機だ。
■民進出身者は再結集を模索
「比例区の東京ブロックの獲得議席も立憲民主党を下回る可能性があります。何せ前回、前々回と2度の逆風をはね返して当選を重ねた馬淵澄夫氏(奈良1)や階猛氏(岩手1)、山井和則氏(京都6)など選挙に強い候補が軒並み、劣勢に立たされているほど。希望は小池頼りの選挙のはずが、アテ外れ。小池嫌いの有権者が離れる逆効果で、公示前の57議席を維持できない確率も高い」(メディア関係者)
希望に移った民進出身者から怨嗟の声が巻き起こり、すでに「小池おろし」の機運は高まっている。小川敏夫民進党参院会長は「民進党は解党しない。民進党を守り、再びリベラル勢力を結集する」と発言。民進の参院内はもともと連合の組織内議員が多く、小池代表が提示する安保法制・改憲容認の「踏み絵」には猛反発している。
「地方組織は今なお『民進党』の看板を掲げ、選挙戦でフル回転。野田佳彦氏や岡田克也氏など無所属のベテラン組も、実は民進に党籍を残したまま。そこで選挙後に希望に移った民進出身者もまとめて再結集を目指す動きがある。選挙が終われば、議席のない小池代表の影響力が弱まるのは確実ですしね」(参院民進党関係者)
■国政にうつつで都民の支持も失った
プライドの高い小池代表のことだ。改憲発議に必要な3分の2議席のキャスチングボートを握れなければ、「排除」される前にサッサと希望からずらかりそうだが、都政に専念しても前途多難だ。五輪の準備や築地市場移転など難問山積。豊洲市場の追加工事は2度も入札不調となり、来年秋までの移転予定が皮算用となりかねない。都民ファーストも小池人気の陰りで分裂含み。何より小池代表は都民の支持を大きく失っている。
JX通信が今月7、8日に実施した調査によると、都知事としての小池代表の支持率は37%で、不支持率は54%に達した。9月23、24日の調査では支持率は58%だっただけに、国政にうつつを抜かす小池代表に皆、そっぽを向き始めているのだ。
SNSでは、都知事リコールを呼びかける声も広がっている。人気頼みの“緑のたぬき”は有権者に見放された時点で、もはや存在価値ゼロ。選挙後はアノ「排除」宣言の瞬間が政治家人生のピークだったと思い知るだろう。
10月22日は投票日です。その前日に、パリへ出張だそうです。党首不在で投票結果に臨むことになります。日程を見ると、23日に出かけても間に合いそうですし、行かなくて「ビデオメッセージ」を送ってもいいですし、もう少し知恵を出せばなんとか方法が見つかるのではないですか。
東京都HPに都知事の予定が載っています。下記。
このたび、小池知事がパリ市へ出張することになりましたので、お知らせします。
1 目的
世界大都市気候先導グループC40※1の運営委員として、運営委員会及び関連イベントに出席し、環境先進都市・東京の取組をアピールする。また、CityLab2017※2に参加し、世界の都市の首長らと、都市が直面している共通課題等について意見交換を行う。
内容
10月21日(土曜日) 東京発パリ着
10月22日(日曜日) CityLab2017・関連イベントC40関連イベント
10月23日(月曜日) CityLab2017・関連イベントC40運営委員会
日仏経済交流委員会(パリ・イル=ド=フランス地方商工会議所)※3年次会合における講演
10月24日(火曜日) OECDグリーン投資・金融フォーラム※4面会等パリ発
10月25日(水曜日) 東京着
※日程については、現在も調整中であり、今後変更となる可能性があります。以上東京都HP。
化けの皮が剥がれた(C)日刊ゲンダイ
選挙後に始まる“小池降ろし” 独裁気質に有権者もソッポ
日刊ゲンダイDIGITAL 2017年10月14日
開票後に即、「小池降ろし」が始まりそうだ。大手メディア各社の衆院選の序盤情勢調査が出そろったが、希望の党はいずれも60議席前後にとどまる。公認候補235人のうち実に4分の3が討ち死に必至だ。大失速の要因は、権力欲ムキ出しの“緑のたぬき”の化けの皮が剥がれたこと。とにかく小池都知事の嫌われようは半端ない。今度の選挙で女性初の首相の野望どころか彼女の政治生命は絶たれたも同然だ。
「小池代表が民進党のリベラル派を『排除いたします』と宣言し、ニコリと笑った。あの映像が繰り返し流れて以降、風向きは完全に変わりました」
そうタメ息交じりに語るのは、希望の関係者だ。こう続けた。
「安倍首相よりも独裁的な『ヤバい女』というイメージが浸透し、『安倍嫌い』よりも『小池嫌い』の有権者が日ごとに増えている実感です。異常なまでの急速な嫌われ方で、党勢には想定外の大打撃です」
小池代表の嫌われっぷりは序盤情勢に悪影響を与えている。希望の小選挙区候補198人のうち優位に立つのは、笠浩史氏(神奈川9)、細野豪志氏(静岡5)、古川元久氏(愛知2)、古本伸一郎氏(愛知11)、玉木雄一郎氏(香川2)らにとどまる。小池代表のお膝元の東京でも苦戦を強いられ、松原仁氏(東京3)は劣勢。小池代表の側近気取りの若狭勝氏(東京10)も落選の危機だ。
■民進出身者は再結集を模索
「比例区の東京ブロックの獲得議席も立憲民主党を下回る可能性があります。何せ前回、前々回と2度の逆風をはね返して当選を重ねた馬淵澄夫氏(奈良1)や階猛氏(岩手1)、山井和則氏(京都6)など選挙に強い候補が軒並み、劣勢に立たされているほど。希望は小池頼りの選挙のはずが、アテ外れ。小池嫌いの有権者が離れる逆効果で、公示前の57議席を維持できない確率も高い」(メディア関係者)
希望に移った民進出身者から怨嗟の声が巻き起こり、すでに「小池おろし」の機運は高まっている。小川敏夫民進党参院会長は「民進党は解党しない。民進党を守り、再びリベラル勢力を結集する」と発言。民進の参院内はもともと連合の組織内議員が多く、小池代表が提示する安保法制・改憲容認の「踏み絵」には猛反発している。
「地方組織は今なお『民進党』の看板を掲げ、選挙戦でフル回転。野田佳彦氏や岡田克也氏など無所属のベテラン組も、実は民進に党籍を残したまま。そこで選挙後に希望に移った民進出身者もまとめて再結集を目指す動きがある。選挙が終われば、議席のない小池代表の影響力が弱まるのは確実ですしね」(参院民進党関係者)
■国政にうつつで都民の支持も失った
プライドの高い小池代表のことだ。改憲発議に必要な3分の2議席のキャスチングボートを握れなければ、「排除」される前にサッサと希望からずらかりそうだが、都政に専念しても前途多難だ。五輪の準備や築地市場移転など難問山積。豊洲市場の追加工事は2度も入札不調となり、来年秋までの移転予定が皮算用となりかねない。都民ファーストも小池人気の陰りで分裂含み。何より小池代表は都民の支持を大きく失っている。
JX通信が今月7、8日に実施した調査によると、都知事としての小池代表の支持率は37%で、不支持率は54%に達した。9月23、24日の調査では支持率は58%だっただけに、国政にうつつを抜かす小池代表に皆、そっぽを向き始めているのだ。
SNSでは、都知事リコールを呼びかける声も広がっている。人気頼みの“緑のたぬき”は有権者に見放された時点で、もはや存在価値ゼロ。選挙後はアノ「排除」宣言の瞬間が政治家人生のピークだったと思い知るだろう。
タグ:衆院選
2017年10月13日
選挙 その NO-17 ナア おら こんな 選挙 いぐの よすかな
選挙 その NO-17
ナア おら こんな 選挙 いぐの よすかな
最高の働きぶり(C)日刊ゲンダイ
自公、圧勝で安定多数へ…希望の党惨敗で消滅も、小池百合子は女性支持失い政治生命終了
2017年10月12日 22時55分 ビジネスジャーナル
投開票日22日に向けて衆議院総選挙が熱を帯びているが、永田町ではすでに次の政局がどのように動くのかに注目が集まっている。注目点は、希望の党や立憲民主党の躍進で「安倍一強政治」が終わるのか、という点だ。
しかし、自公が安定多数を獲得して希望の党が失速、小池百合子代表の政治生命も事実上終わるとの見方も強い。政治ジャーナリストの山田厚俊氏は、「希望の党は、選挙後消滅した日本未来の党と同じ道をたどる可能性がある」と語り、安倍晋三首相の進退についても「2期任期満了で終えることが一番良い引き際」と言う。そこで、今秋から冬にかけての政局の見通しなどについて、山田氏に話を聞いた。
●自公は安定多数獲得
――本格的に選挙戦に突入しています。現時点(取材時:10月11日)で注目度の高い、自民党・公明党、希望の党、立憲民主党の獲得議席の予想をお願いします。
山田氏(以下、山田) 今のところ、マスコミの世論調査で各党支持率を見ると、当初よりも希望の党が失速しています。希望の党が50から60、立憲民主党がそれをやや下回り、自民党・公明党の合計獲得議席は290から300議席になり、自公は安定多数を獲得するとみています。
――一時期は希望の党は100議席を超えるとの見方もありましたが、なぜ失速したのでしょうか。
山田 端的に言うと、小池氏の支持率の低下です。小池氏は、都知事選、都議選の両選挙でも女性の支持が強かった。“強い自民党に立ち向かうジャンヌダルク”のように映りました。しかし、潮目が変わったのは、小池氏が「民進党の方々を全員受け入れる気持ちはさらさらない」「排除します」と発言し、そして公認候補者に憲法改正、安全保障法制などの「踏み絵」を踏ませた結果、ジャンヌダルクから傲慢な王妃であるマリーアントワネットになってしまったのです。この傲慢な姿を見て、女性たちからは「なんだ、小池さんは」ということになり、多くの女性の怒りを買ったわけです。
この結果、これまで仮に女性の3〜4割ほどから支持があったとしたら、今は2割を下回る支持率です。小池代表がもっとも強いといわれる東京25選挙区で、小選挙区で勝ち上がる希望の党候補者は1人か2人、もしかすると全敗もあり得ます。
――-東京25選挙区の小選挙区で勝てる可能性のある候補者と、そこまで敗北する理由を教えてください。
山田 東京10区の若狭勝氏、東京21区の長島昭久氏。東京に限らず希望の党が敗北する理由は、日本労働組合総連合会(連合)の協力が得られないことが大きい。しかも、希望の党が立候補している小選挙区は共産党も立候補するので、票が割れます。ですから、自公勢力が自然に強くなるのです。
ただし、民進党出身者で元から政治基盤や票田を持っている希望の党候補者であれば、勝ち上がるケースはあります。小池氏の政経塾「希望の塾」出身や票田・基盤を持たない候補者は大惨敗するというのが大方の見方です。
――もし希望の党が敗北すると、小池氏に対して代表辞任を要求する声も出ると思います。
山田 おっしゃる通りです。50から60という数字ですが、勝ち上がる候補者は、ほぼ民進党出身者が多数を占めます。そもそも現在、希望の党の役職は、小池代表と選挙対策事務局長の樽床伸二氏が決まっているだけです。幹事長ほか、党三役が誰になるのか選挙後に決めるという話です。そこで「小池代表は辞めるべき」という意見や、民進党議員を排除に向かわせた若狭氏や細野豪志氏は、小選挙区で勝てば役職に就任するかもしれませんが、比例復活なら無理です。
希望の党の大勢は民進党出身議員で占められます。そこで人事を間違えれば、党がバラバラになる可能性があります。そうなれば、議員は無所属になるか、それとも不満分子が集まって新党を立ち上げていくかわかりませんが、しぼんでいくでしょう。
――日本未来の党も選挙後に消滅しましたが、そのデジャブを見ているようです。
山田 日本未来の党と同じ道を行く可能性は十分にあり得ます。実は、「ひらがな」の「の」がある政党は短命に終わるというジンクスがあります。みんなの党、結いの党、日本未来の党も短命で、例外は日本維新の会です。
●小池氏の失敗
――小池代表の求心力は選挙後、相当低下するのではないでしょうか。
山田 現在でもすでに低下し、今後はさらに低下していくでしょう。さまざまな見方はありますが、都知事の後継候補を決められないなか、行き場を失い、国政出馬を断念しました。それでは都政に専念するかといえば、都民ファーストの会の足下もゆらぎ、先日も上田令子・音喜多駿両都議が離党しました。さらに都議会公明党との関係も希望の党を立ち上げたため悪化しています。
そこで今後、都議会自民党は前回の都議選で大幅に議席を失ったので、選挙に強い都民ファーストの議員を誘い込む戦略に出ると考えます。それが、がたがたになった都議会自民党を立て直すもっとも有効な手段です。最初は離党させ、しかるべき後に自民党に入党させて都議会自民党の議員を増やし、小池都知事に対抗する。実際、小池氏はイメージでここまでやってきましたが、都知事としての実績は何もありません。近く都知事としても希望の党代表としてもレームダック(死に体)になり、小池氏の政治生命はこれまでと見てよいでしょう。
――小池氏は、何を間違えたのでしょうか。
山田 あそこまで上り詰めた勝負師としてのカンは素晴らしいし、目を見張るべきところがあります。しかし、小池氏は大臣の経験はありますが、党務の経験値が足りなかった。新党は人気と大臣経験があるだけでつくれるものではありません。小池代表は、民進党の98億円といわれる運営資金とスタッフが、喉から手が出るほどほしかったと思います。
希望の党はスタッフがいないので、民進党のカネと人が欲しい一方、保守派からの「野合」批判を受けることも恐れたので、「排除します」「全員受け入れるつもりはさらさらない」発言につながったのでしょう。それで一気に支持を失いました。党務を理解しているのは玄葉光一郎氏だけです。先日、公認候補を玄葉氏、若狭氏、細野氏の3人で発表したことがすべて物語っています。
細野氏と若狭氏が希望の塾出身者を有力選挙区でねじ込もうとし、民進党出身者は比例下位、勝てる見込みのない選挙区で冷遇しようと試みましたが、それを玄葉氏が押し戻した。玄葉氏は個別の選挙区の情勢を詳しく分析する能力に長け、説得したのでしょう。
細野氏は党務経験が少ないですし、若狭氏は国会議員としてはよちよち歩きですので、党務を行なうというのは無理です。ただ、希望の塾出身者と面接して情もでき、お金も払ってもらうなかで、無意識のうちにしがらみができたのでしょう。小池氏代表は勝負師のカンで花火をぶち上げた策も失敗し、目論見も外れ焦ったからこそ「排除」発言が生まれたのでしょう。
●立憲民主党
――立憲民主党は、どう見ていますか。
山田 もはや時計の針を9月28日の民進党両院議員総会には戻せないことに、民進党の悲劇があります。私は前原誠司代表が同党議員たちを「騙した」「騙された」という以前に、「何があっても罪はすべて自分が贖う」という贖罪の意識で政治活動を行なっていることについて評価はしています。力量不足でありましたが、いずれは通らなければならない道でもありました。
一方、立憲民主党を立ち上げた枝野幸男代表ですが、両院議員総会で「前原さん、今までありがとうございました。しかし、希望の党と理念や政策が違いますのでわれわれは新党を立ち上げます」と言えば素晴らしかった。結局のところ、希望の党から排除された結果として立憲民主党が誕生したのですが、それは選挙民のほうを見ていない。結果、自公で安定政権を許すことになるでしょう。
――野党がもっとしっかりしていれば、このような結果にならなかった。
山田 一番悩ましいのが、安倍首相に対して「ノー」を突きつける場面がなくなったことでした。四党合意の枠組みをしっかりと維持し、野党を乱立させず一対一の構図で戦えば、こうはなりませんでした。その意味で、前原氏にも枝野氏にも一定の評価はしつつも残念に思います。ただし、安倍政権に対する国民のフラストレーションもたまっているなか、自民党も内部改革をしようという動きが出でこないと困ります。
●安倍首相の引き際
――自民党は今後どう動きますか。
山田 自民党の支持層も同党に対し不満を抱いています。現況の世論調査では、安倍内閣の支持率よりも不支持率のほうが高く、大幅な支持率アップは望めません。8月に内閣改造を行いましたが、なんの仕事もせず、臨時国会で冒頭解散をし、選挙で勝利した後でこのままの内閣で国会を運営していくでしょう。ただ、数的優位を確保し、日本維新の会や希望の党も加えて、安倍首相の念願である改憲に舵を取ろうとしていますが、それはかなりのハレーションを引き起こします。安倍首相を支える山口那津男公明党代表、麻生太郎副総理兼財務相、二階俊博自民党幹事長は今の改憲には反対です。ちなみに、解散総選挙に反対だったのは菅義偉官房長官です。ですから、そう簡単には改憲には進みません。
――安倍内閣の支持率は低下するなかで、有権者の不満は高まりそうですね。
山田 内閣支持率回復のためにやるべきことは、森友・加計学園問題の説明責任をしっかりとすることですね。今、街の声を拾ってみると、「森友・加計問題は、なかったことになるのでしょうか」という声が多いです。不支持率が高い理由はここにあります。しかし、それ以上に野党がだらしない。今までも、豊田真由子氏の暴言や稲田朋美元防衛相による混乱があり、その鬱憤により都議選で自民党の敗北につながりました。さらに今後、誰かが暴言を吐いたり不適切行為すれば、国民の不満は一気にそちらに向かい、メディアも総叩きになる構図ができ、安倍内閣は今まで以上に大変なことになります。
メディアにも問題があり、政治と国民の双方で健全なメディアのありようを考え、メディアも世論を受け、変革していく必要があります。私は10年以上、政治の現場を取材していますが、ここまで有権者を愚弄し軽んじる選挙は初めてで、見るに見かねているというのが本音です。この総選挙でとんでもない議員が選出され、歳費も付与されますが、その原資は税金です。政治のツケはすべて国民が払っているので、不満が溜まるのが当然です。
しかし、国民は忘れやすい。橋下徹氏が登場したとき、彼をスターとして迎えました。次に小池氏が登場したときも同様で、二度あることは三度あるでしょう。国民は新しいスターを常に待望し、そして失望を繰り返してきました。同じことを繰り返すのは、そろそろやめたほうがいいでしょう。
――安倍首相は、どのような引き際が望ましいとお考えですか。
山田 2期満了で後継指名するのが一番いい辞め方です。つまり、来年の自民党総裁選に出馬しないことが晩節を汚さない引き際です。仮に3期目に突入した際、小池代表が言うようにGDPが上がっても国民には景気高揚の実感がありません。若者の就職率がやや向上したため、なんとか支持がとどまっています。企業の内部留保は将来のことを考えてはき出しません。給料は3000円アップしても5万円昇給することはありません。子どもの教育無料化といっても、認可外は対象外となると、「やはり安倍さんは信用できない」という声がますます高まります。
3選後は安倍首相の限界が来ます。安倍下ろしが始まるので、3期任期満了はとても無理です。安倍首相は死にものぐるいでやっているということは、さまざまな方から聞いており、理解していますが、ここまでやってきましたので引き際は綺麗にしたほうがいいと考えています。
(構成=長井雄一朗/ライター)
よくぞ気がふれないものだ 希望の候補者たちの選挙運動
日刊ゲンダイDIGITAL2017年10月12日
公示後、選挙運動が本格化しているが、街頭でマイクを握る希望の党の候補者は一体、どんな気持ちなのだろう。
衆院解散の日、民進党の前原代表が「どんな手段を使っても安倍政権を倒す」と言って、希望との合流を決めた時には、政権交代もあるのではないかと一瞬、世論が沸き立った。野党が結集し、傍若無人の安倍政権を倒す。相手は憲法すら無視する政権なのである。何しろマトモじゃないのだから、正攻法で倒すのは難しい。出来たての新党に野党第1党の民進党が合流するという奇策は、それこそ“希望”の光にも見えたものだ。
ところが、希望の小池代表は、憲法改正や安保政策の踏み絵で民進党出身者を選別。野党共闘も分断され、すっかり雲行きが怪しくなってしまった。
「憲法観や安保政策において、小池氏と安倍首相は、ほぼ一致している。それは党首討論などで本人も認めています。今や希望の党が自民の補完勢力であることは誰の目にも明らかですが、安倍政権へのアシストでいえば、野党共闘を潰したことが何より大きい。野党が結集して共産党とも選挙協力し、森友・加計学園疑惑を徹底追及すれば、公示日には安倍首相の退陣が確実になっていた可能性が高いのです。ところが現実は、希望の党がフラフラして有権者を惑わしているうちに、安倍政治の是非という選挙の争点はかき消され、野党は乱立し、結果的に安倍自民を助けている。しかも、公示日までテレビは小池氏の動向一色で、森友・加計は吹っ飛んでしまいました。安倍首相は今頃、高笑いでしょう」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
■希望への期待感は急激に失速
当初「100議席以上は堅い」とみられていた勢いはどこへやら、報道機関の世論調査では、希望の獲得議席は50前後なんて予測数字も出てきている。そうなると、自公が過半数割れすることもなく、ただ民進が分裂しただけという選挙結果になりかねない。
「希望の党の失速は、小池氏の支持率と連動しています。この2週間で小池氏に対する期待感は急速にしぼみ、支持率が大きく下落しました。まず、小池氏が民進党の全員を『受け入れる気はさらさらない』と言って、排除の論理を振りかざしたことが致命的だった。都知事選、都議選では悪の自民党にひとりで立ち向かうジャンヌ・ダルクのイメージだったのに、マリー・アントワネットか女ヒトラーかという悪役に変わってしまい、特に女性票が離れています。そんな小池氏に屈服し、自分が当選するために政治信条もなげうって、民進党から希望の党に移った候補者にも批判の目が向けられつつあります」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
小池の踏み絵に異論があっても、党代表が決めたことだからと従った人もいるだろう。これまで「憲法違反の安保法には反対」「人権を侵害する共謀罪は廃案」などと訴えてきたのに、今後は小池が押し付ける正反対の主張をするという理不尽な条件をのんだのも、政権交代という目的があってこそ、だったはずだ。その大義が失われてしまった今、希望の党の政策を訴える演説なんかしていて、民進党出身者はむなしくないのか。何の葛藤も感じないのか。もともと保守思想に固まっていた確信犯は別として、よくぞ、大真面目な顔で選挙運動を続けられるものだ。
政治家の野心のために有権者がないがしろにされた
高圧的な小池の「排除の理論」に反発して立ち上がった立憲民主党が支持を集めているのも、「主義主張を貫いた」ように見えるからだ。民進党が内包していた理念の違いによる足並みの乱れをスッキリさせたことは、小池の功績と言えるかもしれない。だが、リベラル勢力が躍進し、議席を伸ばしたところで、自公の安定多数を崩すには至らない。そこが、この選挙の不毛なところだ。
「世論調査では、安倍内閣は今も不支持率の方が高い。現政権に不満を持っている人は多いのです。それなのに、小池氏は選挙後に自民と大連立の可能性も隠そうとしなくなり、希望の党は、有権者が政権に対する『NO』を意思表示する受け皿ではないことが分かった。希望と民進のゴタゴタは政治不信を加速させただけで、このままでは投票率も低下するでしょう。戦後最低だった前回選挙の52・66%を下回る可能性もあり、そうなると、ますます組織票の自公に有利になります。小池氏にしても、希望の党に移った民進議員にしても、彼らの野心のために有権者がないがしろにされてしまった格好です」(山田厚俊氏=前出)
審判を受ける立場のはずだった安倍は、余裕の表情で野党批判に精を出している。
8日のインターネット番組では、多くの候補者が民進から希望に移ったことを「食中毒を起こして、看板を替えればいいというものではない」と揶揄。女性活躍だ、地方創生だ、1億総活躍だ、人づくり革命だ……と看板のかけ替えばかりで何ひとつ成果を出していないのは誰なのか。
森友・加計疑惑にしても、解散時には「選挙戦を通じて国民に丁寧に説明をしていく」とか言っていたくせに、街頭演説では触れずじまい。そこを党首討論で突っ込まれると、「15分の街頭演説では他に話すことがたくさんあるから、森友・加計は国会で説明する」と言い出した。こんなデタラメがまかり通り、選挙にも勝てそうなのだから、安倍自民は笑いが止まらないだろう。
■国会と聴衆から逃げても楽勝
安倍は都議選最終日の秋葉原演説で聴衆から「辞めろコール」をされ、「こんな人たちに負けるわけにはいかない!」と逆上した結果、大敗したことがトラウマになっているという。それで当初は遊説日程を公表しない“ステルス作戦”を敢行していたのだが、それでも事前に日程が漏れれば、「国難来たる」「Aアラート」「会いに行ける国難」などというハッシュタグとともにツイッターで拡散され、「こんな人たち」が集まってくる。
苦肉の策が公示日の第一声だった。各メディアに映し出されたのは、稲穂が実る田園風景をバックに演説する安倍の姿。違和感を覚えた人も多いのではないか。
「演説会場になった福島市の『踊る小馬亭向かい広場』は、喫茶店『躍る小馬亭』が所有する私有地で、入場が許可されたのは約300人の自民党後援会関係者だけでした。会場に支援者しかいないので、総理の演説は拍手に包まれ、混乱もなく終わりましたが、地元の一般有権者は会場に入れなかった。せっかく総理が来るなら、できれば市内の中心部で大々的にやってほしかったですよ。演説中にヤジが飛んだり、『お前が国難』というプラカードを掲げられるのがテレビに映されないように安全な場所を選んだのでしょうが、人が集まらない方がいいという態度では、何のための応援演説なのかと思ってしまいます」(地元の自民党関係者)
国会からも聴衆からも逃げ回る御仁に首相が務まるとは思えないのだが、希望の党がおかしなことになってしまったおかげで、自民が逃げ切り、安倍が首相に居座る展開が現実味を帯びてきたわけだ。
前出の金子勝氏が言う。
「希望の党が失望に終わるだけならまだいいが、これで安倍1強が補強され、選挙後には自公希維の改憲翼賛政治なんてことになれば絶望的です。民主主義も基本的人権も葬り去られるでしょう。戦前回帰をもくろむ保守界隈からすれば、この選挙戦で小池氏の希望の党は最高の働きをしたわけです」
後になって、この選挙が転換点だったと国民も気づくのかもしれない。民主主義の破壊者として歴史に刻まれることになる希望の党の候補者は、果たして正気でいられるのか。
ナア おら こんな 選挙 いぐの よすかな
最高の働きぶり(C)日刊ゲンダイ
自公、圧勝で安定多数へ…希望の党惨敗で消滅も、小池百合子は女性支持失い政治生命終了
2017年10月12日 22時55分 ビジネスジャーナル
投開票日22日に向けて衆議院総選挙が熱を帯びているが、永田町ではすでに次の政局がどのように動くのかに注目が集まっている。注目点は、希望の党や立憲民主党の躍進で「安倍一強政治」が終わるのか、という点だ。
しかし、自公が安定多数を獲得して希望の党が失速、小池百合子代表の政治生命も事実上終わるとの見方も強い。政治ジャーナリストの山田厚俊氏は、「希望の党は、選挙後消滅した日本未来の党と同じ道をたどる可能性がある」と語り、安倍晋三首相の進退についても「2期任期満了で終えることが一番良い引き際」と言う。そこで、今秋から冬にかけての政局の見通しなどについて、山田氏に話を聞いた。
●自公は安定多数獲得
――本格的に選挙戦に突入しています。現時点(取材時:10月11日)で注目度の高い、自民党・公明党、希望の党、立憲民主党の獲得議席の予想をお願いします。
山田氏(以下、山田) 今のところ、マスコミの世論調査で各党支持率を見ると、当初よりも希望の党が失速しています。希望の党が50から60、立憲民主党がそれをやや下回り、自民党・公明党の合計獲得議席は290から300議席になり、自公は安定多数を獲得するとみています。
――一時期は希望の党は100議席を超えるとの見方もありましたが、なぜ失速したのでしょうか。
山田 端的に言うと、小池氏の支持率の低下です。小池氏は、都知事選、都議選の両選挙でも女性の支持が強かった。“強い自民党に立ち向かうジャンヌダルク”のように映りました。しかし、潮目が変わったのは、小池氏が「民進党の方々を全員受け入れる気持ちはさらさらない」「排除します」と発言し、そして公認候補者に憲法改正、安全保障法制などの「踏み絵」を踏ませた結果、ジャンヌダルクから傲慢な王妃であるマリーアントワネットになってしまったのです。この傲慢な姿を見て、女性たちからは「なんだ、小池さんは」ということになり、多くの女性の怒りを買ったわけです。
この結果、これまで仮に女性の3〜4割ほどから支持があったとしたら、今は2割を下回る支持率です。小池代表がもっとも強いといわれる東京25選挙区で、小選挙区で勝ち上がる希望の党候補者は1人か2人、もしかすると全敗もあり得ます。
――-東京25選挙区の小選挙区で勝てる可能性のある候補者と、そこまで敗北する理由を教えてください。
山田 東京10区の若狭勝氏、東京21区の長島昭久氏。東京に限らず希望の党が敗北する理由は、日本労働組合総連合会(連合)の協力が得られないことが大きい。しかも、希望の党が立候補している小選挙区は共産党も立候補するので、票が割れます。ですから、自公勢力が自然に強くなるのです。
ただし、民進党出身者で元から政治基盤や票田を持っている希望の党候補者であれば、勝ち上がるケースはあります。小池氏の政経塾「希望の塾」出身や票田・基盤を持たない候補者は大惨敗するというのが大方の見方です。
――もし希望の党が敗北すると、小池氏に対して代表辞任を要求する声も出ると思います。
山田 おっしゃる通りです。50から60という数字ですが、勝ち上がる候補者は、ほぼ民進党出身者が多数を占めます。そもそも現在、希望の党の役職は、小池代表と選挙対策事務局長の樽床伸二氏が決まっているだけです。幹事長ほか、党三役が誰になるのか選挙後に決めるという話です。そこで「小池代表は辞めるべき」という意見や、民進党議員を排除に向かわせた若狭氏や細野豪志氏は、小選挙区で勝てば役職に就任するかもしれませんが、比例復活なら無理です。
希望の党の大勢は民進党出身議員で占められます。そこで人事を間違えれば、党がバラバラになる可能性があります。そうなれば、議員は無所属になるか、それとも不満分子が集まって新党を立ち上げていくかわかりませんが、しぼんでいくでしょう。
――日本未来の党も選挙後に消滅しましたが、そのデジャブを見ているようです。
山田 日本未来の党と同じ道を行く可能性は十分にあり得ます。実は、「ひらがな」の「の」がある政党は短命に終わるというジンクスがあります。みんなの党、結いの党、日本未来の党も短命で、例外は日本維新の会です。
●小池氏の失敗
――小池代表の求心力は選挙後、相当低下するのではないでしょうか。
山田 現在でもすでに低下し、今後はさらに低下していくでしょう。さまざまな見方はありますが、都知事の後継候補を決められないなか、行き場を失い、国政出馬を断念しました。それでは都政に専念するかといえば、都民ファーストの会の足下もゆらぎ、先日も上田令子・音喜多駿両都議が離党しました。さらに都議会公明党との関係も希望の党を立ち上げたため悪化しています。
そこで今後、都議会自民党は前回の都議選で大幅に議席を失ったので、選挙に強い都民ファーストの議員を誘い込む戦略に出ると考えます。それが、がたがたになった都議会自民党を立て直すもっとも有効な手段です。最初は離党させ、しかるべき後に自民党に入党させて都議会自民党の議員を増やし、小池都知事に対抗する。実際、小池氏はイメージでここまでやってきましたが、都知事としての実績は何もありません。近く都知事としても希望の党代表としてもレームダック(死に体)になり、小池氏の政治生命はこれまでと見てよいでしょう。
――小池氏は、何を間違えたのでしょうか。
山田 あそこまで上り詰めた勝負師としてのカンは素晴らしいし、目を見張るべきところがあります。しかし、小池氏は大臣の経験はありますが、党務の経験値が足りなかった。新党は人気と大臣経験があるだけでつくれるものではありません。小池代表は、民進党の98億円といわれる運営資金とスタッフが、喉から手が出るほどほしかったと思います。
希望の党はスタッフがいないので、民進党のカネと人が欲しい一方、保守派からの「野合」批判を受けることも恐れたので、「排除します」「全員受け入れるつもりはさらさらない」発言につながったのでしょう。それで一気に支持を失いました。党務を理解しているのは玄葉光一郎氏だけです。先日、公認候補を玄葉氏、若狭氏、細野氏の3人で発表したことがすべて物語っています。
細野氏と若狭氏が希望の塾出身者を有力選挙区でねじ込もうとし、民進党出身者は比例下位、勝てる見込みのない選挙区で冷遇しようと試みましたが、それを玄葉氏が押し戻した。玄葉氏は個別の選挙区の情勢を詳しく分析する能力に長け、説得したのでしょう。
細野氏は党務経験が少ないですし、若狭氏は国会議員としてはよちよち歩きですので、党務を行なうというのは無理です。ただ、希望の塾出身者と面接して情もでき、お金も払ってもらうなかで、無意識のうちにしがらみができたのでしょう。小池氏代表は勝負師のカンで花火をぶち上げた策も失敗し、目論見も外れ焦ったからこそ「排除」発言が生まれたのでしょう。
●立憲民主党
――立憲民主党は、どう見ていますか。
山田 もはや時計の針を9月28日の民進党両院議員総会には戻せないことに、民進党の悲劇があります。私は前原誠司代表が同党議員たちを「騙した」「騙された」という以前に、「何があっても罪はすべて自分が贖う」という贖罪の意識で政治活動を行なっていることについて評価はしています。力量不足でありましたが、いずれは通らなければならない道でもありました。
一方、立憲民主党を立ち上げた枝野幸男代表ですが、両院議員総会で「前原さん、今までありがとうございました。しかし、希望の党と理念や政策が違いますのでわれわれは新党を立ち上げます」と言えば素晴らしかった。結局のところ、希望の党から排除された結果として立憲民主党が誕生したのですが、それは選挙民のほうを見ていない。結果、自公で安定政権を許すことになるでしょう。
――野党がもっとしっかりしていれば、このような結果にならなかった。
山田 一番悩ましいのが、安倍首相に対して「ノー」を突きつける場面がなくなったことでした。四党合意の枠組みをしっかりと維持し、野党を乱立させず一対一の構図で戦えば、こうはなりませんでした。その意味で、前原氏にも枝野氏にも一定の評価はしつつも残念に思います。ただし、安倍政権に対する国民のフラストレーションもたまっているなか、自民党も内部改革をしようという動きが出でこないと困ります。
●安倍首相の引き際
――自民党は今後どう動きますか。
山田 自民党の支持層も同党に対し不満を抱いています。現況の世論調査では、安倍内閣の支持率よりも不支持率のほうが高く、大幅な支持率アップは望めません。8月に内閣改造を行いましたが、なんの仕事もせず、臨時国会で冒頭解散をし、選挙で勝利した後でこのままの内閣で国会を運営していくでしょう。ただ、数的優位を確保し、日本維新の会や希望の党も加えて、安倍首相の念願である改憲に舵を取ろうとしていますが、それはかなりのハレーションを引き起こします。安倍首相を支える山口那津男公明党代表、麻生太郎副総理兼財務相、二階俊博自民党幹事長は今の改憲には反対です。ちなみに、解散総選挙に反対だったのは菅義偉官房長官です。ですから、そう簡単には改憲には進みません。
――安倍内閣の支持率は低下するなかで、有権者の不満は高まりそうですね。
山田 内閣支持率回復のためにやるべきことは、森友・加計学園問題の説明責任をしっかりとすることですね。今、街の声を拾ってみると、「森友・加計問題は、なかったことになるのでしょうか」という声が多いです。不支持率が高い理由はここにあります。しかし、それ以上に野党がだらしない。今までも、豊田真由子氏の暴言や稲田朋美元防衛相による混乱があり、その鬱憤により都議選で自民党の敗北につながりました。さらに今後、誰かが暴言を吐いたり不適切行為すれば、国民の不満は一気にそちらに向かい、メディアも総叩きになる構図ができ、安倍内閣は今まで以上に大変なことになります。
メディアにも問題があり、政治と国民の双方で健全なメディアのありようを考え、メディアも世論を受け、変革していく必要があります。私は10年以上、政治の現場を取材していますが、ここまで有権者を愚弄し軽んじる選挙は初めてで、見るに見かねているというのが本音です。この総選挙でとんでもない議員が選出され、歳費も付与されますが、その原資は税金です。政治のツケはすべて国民が払っているので、不満が溜まるのが当然です。
しかし、国民は忘れやすい。橋下徹氏が登場したとき、彼をスターとして迎えました。次に小池氏が登場したときも同様で、二度あることは三度あるでしょう。国民は新しいスターを常に待望し、そして失望を繰り返してきました。同じことを繰り返すのは、そろそろやめたほうがいいでしょう。
――安倍首相は、どのような引き際が望ましいとお考えですか。
山田 2期満了で後継指名するのが一番いい辞め方です。つまり、来年の自民党総裁選に出馬しないことが晩節を汚さない引き際です。仮に3期目に突入した際、小池代表が言うようにGDPが上がっても国民には景気高揚の実感がありません。若者の就職率がやや向上したため、なんとか支持がとどまっています。企業の内部留保は将来のことを考えてはき出しません。給料は3000円アップしても5万円昇給することはありません。子どもの教育無料化といっても、認可外は対象外となると、「やはり安倍さんは信用できない」という声がますます高まります。
3選後は安倍首相の限界が来ます。安倍下ろしが始まるので、3期任期満了はとても無理です。安倍首相は死にものぐるいでやっているということは、さまざまな方から聞いており、理解していますが、ここまでやってきましたので引き際は綺麗にしたほうがいいと考えています。
(構成=長井雄一朗/ライター)
よくぞ気がふれないものだ 希望の候補者たちの選挙運動
日刊ゲンダイDIGITAL2017年10月12日
公示後、選挙運動が本格化しているが、街頭でマイクを握る希望の党の候補者は一体、どんな気持ちなのだろう。
衆院解散の日、民進党の前原代表が「どんな手段を使っても安倍政権を倒す」と言って、希望との合流を決めた時には、政権交代もあるのではないかと一瞬、世論が沸き立った。野党が結集し、傍若無人の安倍政権を倒す。相手は憲法すら無視する政権なのである。何しろマトモじゃないのだから、正攻法で倒すのは難しい。出来たての新党に野党第1党の民進党が合流するという奇策は、それこそ“希望”の光にも見えたものだ。
ところが、希望の小池代表は、憲法改正や安保政策の踏み絵で民進党出身者を選別。野党共闘も分断され、すっかり雲行きが怪しくなってしまった。
「憲法観や安保政策において、小池氏と安倍首相は、ほぼ一致している。それは党首討論などで本人も認めています。今や希望の党が自民の補完勢力であることは誰の目にも明らかですが、安倍政権へのアシストでいえば、野党共闘を潰したことが何より大きい。野党が結集して共産党とも選挙協力し、森友・加計学園疑惑を徹底追及すれば、公示日には安倍首相の退陣が確実になっていた可能性が高いのです。ところが現実は、希望の党がフラフラして有権者を惑わしているうちに、安倍政治の是非という選挙の争点はかき消され、野党は乱立し、結果的に安倍自民を助けている。しかも、公示日までテレビは小池氏の動向一色で、森友・加計は吹っ飛んでしまいました。安倍首相は今頃、高笑いでしょう」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
■希望への期待感は急激に失速
当初「100議席以上は堅い」とみられていた勢いはどこへやら、報道機関の世論調査では、希望の獲得議席は50前後なんて予測数字も出てきている。そうなると、自公が過半数割れすることもなく、ただ民進が分裂しただけという選挙結果になりかねない。
「希望の党の失速は、小池氏の支持率と連動しています。この2週間で小池氏に対する期待感は急速にしぼみ、支持率が大きく下落しました。まず、小池氏が民進党の全員を『受け入れる気はさらさらない』と言って、排除の論理を振りかざしたことが致命的だった。都知事選、都議選では悪の自民党にひとりで立ち向かうジャンヌ・ダルクのイメージだったのに、マリー・アントワネットか女ヒトラーかという悪役に変わってしまい、特に女性票が離れています。そんな小池氏に屈服し、自分が当選するために政治信条もなげうって、民進党から希望の党に移った候補者にも批判の目が向けられつつあります」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
小池の踏み絵に異論があっても、党代表が決めたことだからと従った人もいるだろう。これまで「憲法違反の安保法には反対」「人権を侵害する共謀罪は廃案」などと訴えてきたのに、今後は小池が押し付ける正反対の主張をするという理不尽な条件をのんだのも、政権交代という目的があってこそ、だったはずだ。その大義が失われてしまった今、希望の党の政策を訴える演説なんかしていて、民進党出身者はむなしくないのか。何の葛藤も感じないのか。もともと保守思想に固まっていた確信犯は別として、よくぞ、大真面目な顔で選挙運動を続けられるものだ。
政治家の野心のために有権者がないがしろにされた
高圧的な小池の「排除の理論」に反発して立ち上がった立憲民主党が支持を集めているのも、「主義主張を貫いた」ように見えるからだ。民進党が内包していた理念の違いによる足並みの乱れをスッキリさせたことは、小池の功績と言えるかもしれない。だが、リベラル勢力が躍進し、議席を伸ばしたところで、自公の安定多数を崩すには至らない。そこが、この選挙の不毛なところだ。
「世論調査では、安倍内閣は今も不支持率の方が高い。現政権に不満を持っている人は多いのです。それなのに、小池氏は選挙後に自民と大連立の可能性も隠そうとしなくなり、希望の党は、有権者が政権に対する『NO』を意思表示する受け皿ではないことが分かった。希望と民進のゴタゴタは政治不信を加速させただけで、このままでは投票率も低下するでしょう。戦後最低だった前回選挙の52・66%を下回る可能性もあり、そうなると、ますます組織票の自公に有利になります。小池氏にしても、希望の党に移った民進議員にしても、彼らの野心のために有権者がないがしろにされてしまった格好です」(山田厚俊氏=前出)
審判を受ける立場のはずだった安倍は、余裕の表情で野党批判に精を出している。
8日のインターネット番組では、多くの候補者が民進から希望に移ったことを「食中毒を起こして、看板を替えればいいというものではない」と揶揄。女性活躍だ、地方創生だ、1億総活躍だ、人づくり革命だ……と看板のかけ替えばかりで何ひとつ成果を出していないのは誰なのか。
森友・加計疑惑にしても、解散時には「選挙戦を通じて国民に丁寧に説明をしていく」とか言っていたくせに、街頭演説では触れずじまい。そこを党首討論で突っ込まれると、「15分の街頭演説では他に話すことがたくさんあるから、森友・加計は国会で説明する」と言い出した。こんなデタラメがまかり通り、選挙にも勝てそうなのだから、安倍自民は笑いが止まらないだろう。
■国会と聴衆から逃げても楽勝
安倍は都議選最終日の秋葉原演説で聴衆から「辞めろコール」をされ、「こんな人たちに負けるわけにはいかない!」と逆上した結果、大敗したことがトラウマになっているという。それで当初は遊説日程を公表しない“ステルス作戦”を敢行していたのだが、それでも事前に日程が漏れれば、「国難来たる」「Aアラート」「会いに行ける国難」などというハッシュタグとともにツイッターで拡散され、「こんな人たち」が集まってくる。
苦肉の策が公示日の第一声だった。各メディアに映し出されたのは、稲穂が実る田園風景をバックに演説する安倍の姿。違和感を覚えた人も多いのではないか。
「演説会場になった福島市の『踊る小馬亭向かい広場』は、喫茶店『躍る小馬亭』が所有する私有地で、入場が許可されたのは約300人の自民党後援会関係者だけでした。会場に支援者しかいないので、総理の演説は拍手に包まれ、混乱もなく終わりましたが、地元の一般有権者は会場に入れなかった。せっかく総理が来るなら、できれば市内の中心部で大々的にやってほしかったですよ。演説中にヤジが飛んだり、『お前が国難』というプラカードを掲げられるのがテレビに映されないように安全な場所を選んだのでしょうが、人が集まらない方がいいという態度では、何のための応援演説なのかと思ってしまいます」(地元の自民党関係者)
国会からも聴衆からも逃げ回る御仁に首相が務まるとは思えないのだが、希望の党がおかしなことになってしまったおかげで、自民が逃げ切り、安倍が首相に居座る展開が現実味を帯びてきたわけだ。
前出の金子勝氏が言う。
「希望の党が失望に終わるだけならまだいいが、これで安倍1強が補強され、選挙後には自公希維の改憲翼賛政治なんてことになれば絶望的です。民主主義も基本的人権も葬り去られるでしょう。戦前回帰をもくろむ保守界隈からすれば、この選挙戦で小池氏の希望の党は最高の働きをしたわけです」
後になって、この選挙が転換点だったと国民も気づくのかもしれない。民主主義の破壊者として歴史に刻まれることになる希望の党の候補者は、果たして正気でいられるのか。
タグ:衆院選
2017年10月12日
選挙 その NO-16 日経の報じた 序盤 野党、共闘不発で伸び悩み 自民は都市部で堅調
選挙 その NO-16
日本経済新聞 電子版
野党、共闘不発で伸び悩み 自民は都市部で堅調
2017/10/11 23:00日本経済新聞 電子版
日本経済新聞社が衆院選の公示直後に実施した全国世論調査では、自民党が小選挙区で安定した戦いを展開していることが分かった。地方に加えて都市部でも堅調だ。一方の野党は共闘不発で伸び悩んでおり、小池百合子東京都知事が率いる希望の党の新党効果も出ていない。22日の投開票に向けて無党派層の動向や投票率の行方が焦点となりそうだ。
情勢調査によると、自民党の選挙区での議席獲得が「有力」または「優勢」となったのは204議席。先行を許している接戦区を逆転すればさらに248まで議席を伸ばす可能性がある。都市部、地方を問わず全国で安定した戦いを進めており、青森、富山、鳥取、島根、山口、徳島、宮崎の7県では全選挙区を独占する勢いだ。野党勢力がリードする選挙区が多いのは岩手、佐賀、沖縄の3県にとどまる。
47都道府県庁がある「1区」でも、35選挙区で自民候補が「有力」または「優勢」となっている。2014年の前回衆院選で自民党は35勝だった。1区は無党派層が多いとされ、選挙戦全体の流れを反映しやすい。選挙区によって事情は異なるものの、趨勢が前回と変わらないのは1区の状況からも分かる。
自民党が堅調な戦いを進める理由は選挙区の構図からも透ける。289の小選挙区のうち野党が候補者を一本化したのは61。民進党から立憲民主党に移った前議員が多い北海道、無所属の野党候補が目立つ新潟などがそうだ。これらの地域では与野党候補が競っている選挙区が多い。「反自民」勢力を糾合したことで野党票が固まっている。
ただ、全選挙区の半分以上にあたる160選挙区は「自民党・公明党」「希望の党・日本維新の会」「共産党・立憲民主党・社民党」の3極が争う。反自民票は保守か、革新かによって2つに割れた。調査結果をみると、与党以外の2極がまとまれば、野党候補が与党候補の支持を上回る結果も出ている。この3極構造で自民党は漁夫の利を得ている形だ。
野党候補が3人以上出馬している乱立型選挙区(51選挙区)は、与党にとってはさらに都合が良い。共産党は安全保障関連法反対で足並みをそろえる立憲民主や社民とは候補者調整したものの、保守色を強める希望には積極的に候補者をたてた。これらの選挙区で野党勢力が有利に戦う選挙区はほとんどない。
22日投開票に向けて、カギを握るのは無党派層の動向だ。調査では小選挙区ではまだ投票先を決めていないと答えた人が約2割おり、これらの多くが無党派とみられる。内閣支持率を見ると不支持(48%)が支持(37%)を上回っており、野党側には開拓の余地はあるといえる。前回過去最低を記録した投票率が上向くかも焦点だ。
日刊ゲンダイは下記
日刊ゲンダイDIGITAL2017年10月12日
総選挙予測 自民「大幅71議席減」の可能性…希望は失速93
10日公示された10.22総選挙。焦点は、自民党が単独過半数を確保するかどうかだ。安倍首相は「勝敗ラインは自公あわせて過半数」と予防線を張っているが、自民党が単独過半数の233議席を割り込んだら、安倍首相は即刻、退陣となる可能性が高い。「自民」「希望」「立憲」の3党はどのくらいの議席を取りそうなのか。波乱は起きるのか。
■立憲民主党が躍進30議席も
「自民無風」「希望失速」「立憲追い風」――これが現時点の選挙情勢だ。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏がこう言う。
「内閣支持率と不支持率が逆転しているように、国民は安倍首相に対して根強い不信感を持っています。もし、“モリカケ疑惑”や“大義なき解散”が選挙の争点になっていたら、自民党には強い逆風が吹いていたはずです。ところが小池劇場が勃発したために、モリカケ疑惑も大義なき解散も話題から消えてしまった。小池都知事が自民党のために“安倍隠し”に協力した形です。安倍首相本人も露出を控えている。結果的に自民党には追い風も向かい風も吹いていない。だから多くの自民党候補者は、『個人の力で勝つしかない』と選挙を戦っています。その分、過去2回、風だけで当選してきたいわゆる“魔の2回生”約100人は、ことごとく落選する可能性があります」
鈴木哲夫氏は、現時点では、<自民235 希望93 立憲30>と予測している。自民は<プラス11〜マイナス22>、希望は<プラス8〜マイナス10>、立憲は<プラス2〜マイナス5>の幅で増減する可能性があるという。自民党は213まで減らす可能性があるということだ。公示前の284から71も減らす計算である。
自民党が週末に調査したとして政界で流布されている選挙情勢は、<自民239 希望100 公明34 立憲29 維新25 共産22 社民2 大地1 無13>だ。
希望の党は、小池代表が「排除の論理」を持ち出したために失速。民進党から移った45人は、もともと選挙に強く当選が濃厚だが、新人は苦戦必至だ。鈴木哲夫氏も、<選挙区52 比例41>と予測している。
「もし、選挙の争点がもう一度、モリカケ疑惑や解散の大義に戻り、無党派層が決起し、投票率が60%を大きく超えたら、自民党は大敗する可能性があります。その時は、立憲民主党が議席を伸ばすでしょう。安倍首相は、自公で過半数を取れば首相を続けると宣言していますが、50人以上、落選させたら党内政局が勃発するはずです」(鈴木哲夫氏)
投票率は2012年は59.32%、14年は52.66%と、戦後最低を更新している。政権交代があった09年は69.28%だった。安倍首相に鉄槌を下すためにも、有権者は絶対に投票に行かなくてはダメだ。
■鈴木哲夫氏の予測
予想 公示前
・自民 235 284
(+11〜−22)
・希望 93 57
(+8〜−10)
・立憲 30 15
(+2〜−5)
日本経済新聞 電子版
野党、共闘不発で伸び悩み 自民は都市部で堅調
2017/10/11 23:00日本経済新聞 電子版
日本経済新聞社が衆院選の公示直後に実施した全国世論調査では、自民党が小選挙区で安定した戦いを展開していることが分かった。地方に加えて都市部でも堅調だ。一方の野党は共闘不発で伸び悩んでおり、小池百合子東京都知事が率いる希望の党の新党効果も出ていない。22日の投開票に向けて無党派層の動向や投票率の行方が焦点となりそうだ。
情勢調査によると、自民党の選挙区での議席獲得が「有力」または「優勢」となったのは204議席。先行を許している接戦区を逆転すればさらに248まで議席を伸ばす可能性がある。都市部、地方を問わず全国で安定した戦いを進めており、青森、富山、鳥取、島根、山口、徳島、宮崎の7県では全選挙区を独占する勢いだ。野党勢力がリードする選挙区が多いのは岩手、佐賀、沖縄の3県にとどまる。
47都道府県庁がある「1区」でも、35選挙区で自民候補が「有力」または「優勢」となっている。2014年の前回衆院選で自民党は35勝だった。1区は無党派層が多いとされ、選挙戦全体の流れを反映しやすい。選挙区によって事情は異なるものの、趨勢が前回と変わらないのは1区の状況からも分かる。
自民党が堅調な戦いを進める理由は選挙区の構図からも透ける。289の小選挙区のうち野党が候補者を一本化したのは61。民進党から立憲民主党に移った前議員が多い北海道、無所属の野党候補が目立つ新潟などがそうだ。これらの地域では与野党候補が競っている選挙区が多い。「反自民」勢力を糾合したことで野党票が固まっている。
ただ、全選挙区の半分以上にあたる160選挙区は「自民党・公明党」「希望の党・日本維新の会」「共産党・立憲民主党・社民党」の3極が争う。反自民票は保守か、革新かによって2つに割れた。調査結果をみると、与党以外の2極がまとまれば、野党候補が与党候補の支持を上回る結果も出ている。この3極構造で自民党は漁夫の利を得ている形だ。
野党候補が3人以上出馬している乱立型選挙区(51選挙区)は、与党にとってはさらに都合が良い。共産党は安全保障関連法反対で足並みをそろえる立憲民主や社民とは候補者調整したものの、保守色を強める希望には積極的に候補者をたてた。これらの選挙区で野党勢力が有利に戦う選挙区はほとんどない。
22日投開票に向けて、カギを握るのは無党派層の動向だ。調査では小選挙区ではまだ投票先を決めていないと答えた人が約2割おり、これらの多くが無党派とみられる。内閣支持率を見ると不支持(48%)が支持(37%)を上回っており、野党側には開拓の余地はあるといえる。前回過去最低を記録した投票率が上向くかも焦点だ。
日刊ゲンダイは下記
日刊ゲンダイDIGITAL2017年10月12日
総選挙予測 自民「大幅71議席減」の可能性…希望は失速93
10日公示された10.22総選挙。焦点は、自民党が単独過半数を確保するかどうかだ。安倍首相は「勝敗ラインは自公あわせて過半数」と予防線を張っているが、自民党が単独過半数の233議席を割り込んだら、安倍首相は即刻、退陣となる可能性が高い。「自民」「希望」「立憲」の3党はどのくらいの議席を取りそうなのか。波乱は起きるのか。
■立憲民主党が躍進30議席も
「自民無風」「希望失速」「立憲追い風」――これが現時点の選挙情勢だ。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏がこう言う。
「内閣支持率と不支持率が逆転しているように、国民は安倍首相に対して根強い不信感を持っています。もし、“モリカケ疑惑”や“大義なき解散”が選挙の争点になっていたら、自民党には強い逆風が吹いていたはずです。ところが小池劇場が勃発したために、モリカケ疑惑も大義なき解散も話題から消えてしまった。小池都知事が自民党のために“安倍隠し”に協力した形です。安倍首相本人も露出を控えている。結果的に自民党には追い風も向かい風も吹いていない。だから多くの自民党候補者は、『個人の力で勝つしかない』と選挙を戦っています。その分、過去2回、風だけで当選してきたいわゆる“魔の2回生”約100人は、ことごとく落選する可能性があります」
鈴木哲夫氏は、現時点では、<自民235 希望93 立憲30>と予測している。自民は<プラス11〜マイナス22>、希望は<プラス8〜マイナス10>、立憲は<プラス2〜マイナス5>の幅で増減する可能性があるという。自民党は213まで減らす可能性があるということだ。公示前の284から71も減らす計算である。
自民党が週末に調査したとして政界で流布されている選挙情勢は、<自民239 希望100 公明34 立憲29 維新25 共産22 社民2 大地1 無13>だ。
希望の党は、小池代表が「排除の論理」を持ち出したために失速。民進党から移った45人は、もともと選挙に強く当選が濃厚だが、新人は苦戦必至だ。鈴木哲夫氏も、<選挙区52 比例41>と予測している。
「もし、選挙の争点がもう一度、モリカケ疑惑や解散の大義に戻り、無党派層が決起し、投票率が60%を大きく超えたら、自民党は大敗する可能性があります。その時は、立憲民主党が議席を伸ばすでしょう。安倍首相は、自公で過半数を取れば首相を続けると宣言していますが、50人以上、落選させたら党内政局が勃発するはずです」(鈴木哲夫氏)
投票率は2012年は59.32%、14年は52.66%と、戦後最低を更新している。政権交代があった09年は69.28%だった。安倍首相に鉄槌を下すためにも、有権者は絶対に投票に行かなくてはダメだ。
■鈴木哲夫氏の予測
予想 公示前
・自民 235 284
(+11〜−22)
・希望 93 57
(+8〜−10)
・立憲 30 15
(+2〜−5)
タグ:選挙
2017年10月11日
選挙 その NO-15 女のコが両親と一緒に姿を見せて『私を手伝う担当はダレ?』 まるで喜劇 「希望の党」シロウト新人候補ドタバタ出馬劇
選挙 その NO-15
こんな テイタラクに 税金を使うんじゃ 唸りたくなる。
この程度の候補者で、政権を云々とは、なんという無責任。
こんな選挙今すぐ止めろ、なんて゛ザマだ。
ヤイ 責任者 出てこいッ
御粗末でした。
すっかりバケの皮が剥がれた(C)日刊ゲンダイ
まるで喜劇 「希望の党」シロウト新人候補ドタバタ出馬劇
日刊ゲンダイDIGITAL 2017年10月11日
第48回衆院選が10日公示され、与野党は12日間の選挙戦に突入した。政治を私物化し、憲法を蹂躙する安倍暴政をストップさせるために立ち上がった新党「立憲民主党」の動向に注目が集まっているが、対照的にガタついているのが小池都知事率いる「希望の党」だ。
希望は、代表の小池知事以外は全員ヒラ。きちんとした執行部が存在しないため、選挙戦に向けた組織的な指揮命令系統もないという。この状況に右往左往しているのが、数合わせでかき集められたシロウト候補たちだ。民進党関係者がため息交じりでこう明かす。
「本来は、役所で立候補届け出書類の事前審査があるため、新人であっても問題なく公示日を迎えられます。ところが、希望の新人は突然、公認に決まったケースが多く、ロクに事前審査を受ける時間がなかったために、民進党の地元組織を頼ってくるケースがほとんどでした。役所側も混乱して、『今、希望で立候補したいという人が来たが、書類は大丈夫か』なんて問い合わせの電話がしょっちゅう入っていましたね。
北関東のある県連事務所では、希望の公認候補となった女のコが両親と一緒に姿を見せて『私を手伝う担当はダレ?』と言い出し、職員が呆れたようです。別の事務所では、希望の落下傘候補が誤って自分の選挙区の隣に事務所を構えようとして、記者から『あなたの選挙区は隣じゃないのか』と突っ込まれた、なんて話も聞きました。ホント、喜劇ですよ」
■“選挙ブローカー”が暗躍?
いやはや、確か小池知事は「政権交代を狙う」とか言っていたが、笑止千万ではないか。果たして希望のシロウト新人は選挙を戦えるのか。ポスター張りや街宣車の確保、ウグイス嬢の手配だって大変だったろう。
「どうやら事務所や街宣車などの手配をパッケージ化して販売した“選挙ブローカー”のような存在があったようです。かなりの金額を支払った新人候補もいたようで、『選挙後に詐欺事件が起きるのでは』との声も出ています」(前出の民進党関係者)
供託金没収どころか、身ぐるみ剥がされてスッカラカン。「緑のタヌキ」が船頭を務める船に乗った新人候補のたどり着く先は「希望」か「絶望」か。
こんな テイタラクに 税金を使うんじゃ 唸りたくなる。
この程度の候補者で、政権を云々とは、なんという無責任。
こんな選挙今すぐ止めろ、なんて゛ザマだ。
ヤイ 責任者 出てこいッ
御粗末でした。
すっかりバケの皮が剥がれた(C)日刊ゲンダイ
まるで喜劇 「希望の党」シロウト新人候補ドタバタ出馬劇
日刊ゲンダイDIGITAL 2017年10月11日
第48回衆院選が10日公示され、与野党は12日間の選挙戦に突入した。政治を私物化し、憲法を蹂躙する安倍暴政をストップさせるために立ち上がった新党「立憲民主党」の動向に注目が集まっているが、対照的にガタついているのが小池都知事率いる「希望の党」だ。
希望は、代表の小池知事以外は全員ヒラ。きちんとした執行部が存在しないため、選挙戦に向けた組織的な指揮命令系統もないという。この状況に右往左往しているのが、数合わせでかき集められたシロウト候補たちだ。民進党関係者がため息交じりでこう明かす。
「本来は、役所で立候補届け出書類の事前審査があるため、新人であっても問題なく公示日を迎えられます。ところが、希望の新人は突然、公認に決まったケースが多く、ロクに事前審査を受ける時間がなかったために、民進党の地元組織を頼ってくるケースがほとんどでした。役所側も混乱して、『今、希望で立候補したいという人が来たが、書類は大丈夫か』なんて問い合わせの電話がしょっちゅう入っていましたね。
北関東のある県連事務所では、希望の公認候補となった女のコが両親と一緒に姿を見せて『私を手伝う担当はダレ?』と言い出し、職員が呆れたようです。別の事務所では、希望の落下傘候補が誤って自分の選挙区の隣に事務所を構えようとして、記者から『あなたの選挙区は隣じゃないのか』と突っ込まれた、なんて話も聞きました。ホント、喜劇ですよ」
■“選挙ブローカー”が暗躍?
いやはや、確か小池知事は「政権交代を狙う」とか言っていたが、笑止千万ではないか。果たして希望のシロウト新人は選挙を戦えるのか。ポスター張りや街宣車の確保、ウグイス嬢の手配だって大変だったろう。
「どうやら事務所や街宣車などの手配をパッケージ化して販売した“選挙ブローカー”のような存在があったようです。かなりの金額を支払った新人候補もいたようで、『選挙後に詐欺事件が起きるのでは』との声も出ています」(前出の民進党関係者)
供託金没収どころか、身ぐるみ剥がされてスッカラカン。「緑のタヌキ」が船頭を務める船に乗った新人候補のたどり着く先は「希望」か「絶望」か。
タグ:衆院選
2017年10月10日
選挙 その NO-14 さて、一体 何処 に しましょうか
選挙 その NO-14
今日は衆院選の公示日です。18歳以上が選挙権ほ得てはじめての衆院選。
選挙の度に想うことがある。昔の美しい精神の日本の姿が「消えてゆく」
と、つくづく想う。今回もそうだ、ヘンなオバサマが出てきて希望とかなんとか
耳障りが良さそうだが、よく考えると、気持ち悪くなる。
見識も教養もない「ワル」が隠れているのが見える。
安岡正篤先生は、昭和58年に没している。その直前こんな言葉を残している。
「このまま進むと、日本は破滅する」
私の解説など、耳に障るだけだろう。
それよりも、下記。
「戦争の真実を活字で残すことが、われわれの世代の義務」(C)日刊ゲンダイ
丹羽宇一郎氏が提言 今の日本こそ「戦争の真実」学ぶべき
日刊ゲンダイDIGITAL2017年10月10日
この国のトップは緊迫する北朝鮮情勢に「対話より圧力」と拳を振り上げ、設立されたばかりの新党の女性党首は「リアルな安保」を入党条件に掲げる。社会全体に開戦前夜のようなムードが漂う中、中国大使を務めた経験を持つ国際ビジネスマンである日中友好協会会長の丹羽宇一郎氏は近著「戦争の大問題」で、こう訴えかけている。今こそ日本人は「戦争の真実」を知らなければいけない。
■今の政治は「民の声」が反映されていない
――近著をまとめるのに多くの戦争体験者や軍事専門家に直接、話を聞き歩くのは大変だったと思います。そこまでの労力を払って、この時期に「戦争の大問題」を世に問うたのはなぜですか。
トランプ米大統領の誕生により、世の中に幾つもの「真実」が出てきました。ポスト・トゥルース、オルタナティブ・ファクト、フェイク・ニュースとか。客観的な事実より虚偽であっても、個人の感情や心情に訴えかける方が世論に強い影響力を与えてしまう。「真実とは何か」と考える機会をくれたトランプ大統領には感謝しますが、「戦争の真実」について私は考えました。戦争を知らない人々がますます増えゆく日本で戦争が近づく中、戦争とは一体何か、その真実は誰が決めるのか。
――確かに「真実」にもいろいろありますね。
戦争から帰還した人がオルタナティブ・ファクトを語っている可能性もあるわけです。ならば大勢から話を聞かなければ真実は分からない。真実の度合いを広く深く自分の感覚で正確に知りたかった。戦争のリアルを知る人々は90歳を越えています。私も含め戦争体験者にはあまり時間はない。存命中にお会いして話を聞き、戦争を知らない世代に戦争の真実を活字で残す。それが、われわれの世代の義務です。
――本の冒頭に引用された「戦争を知らない世代が政治の中枢となったときはとても危ない」という田中角栄元首相の言葉が印象的です。
やはり戦争を知らない世代は戦争のリアルなイメージを持ちえない。戦争の「におい」とか「味わい」とか。最近も麻生副総理が北朝鮮からの武装難民の射殺に言及しましたが、彼は人を撃った経験があるんですか。人と人が1対1で撃ち合うなんてできません。人間ができない残酷なことは戦争体験者は絶対口にはしません。
――角栄氏の危惧がまさに顕在化しています。
若い人は、先の大戦で日本兵は勇ましく撃ち合って戦場に散ったと思っているけど、帰還者に話を聞くと、大半は撃っていない。ひたすら歩き、さまよい、飢餓や疫病で亡くなった人々が圧倒的に多い。実際に引き金を引いた人も敵兵を目の前にして撃ってはいない。あの辺にいるはずだと目をつぶってバババッと撃っている人が大半です。今のシリアの戦闘映像と同じ。だから人を殺した実感がない。だが、それが戦争の本当の残酷さです。
――そんな目には遭いたくありませんね。
ただ、本当の戦争を知る人々は、その体験を自分の子供たちにも話せない。食料を奪ったり、友達の肉を食べたり。いざという時にそこまで残酷な動物となった経験を語れるわけがない。戦争は人を狂わせます。だから体験者は皆「戦争だけはやらないでくれ」と口をそろえるのに、戦争をイメージできない世代には「やろう」と粋がる人が多い。こんな怖いことはない。
「あきらめない対話」が回避の唯一の道
――北朝鮮問題では、日本のトップが率先して戦争に向かおうとしているように見えます。
日米両国が世界から孤立するように「力には力」と叫び、トランプ大統領は国連で北朝鮮の「完全破壊」に言及しましたが、出口なき戦略です。北朝鮮が崩壊すれば、日本にも中国や韓国と同じく難民が漂着します。日本海側には人口60万人から80万人の県が並ぶ。北朝鮮の人口は2500万人余り。数十万人が生きるために必死になって日本海側に押し寄せたら、食料や宿はどうするのか。想像を絶する事態となります。
――今の北朝鮮の立場は日米開戦前夜の日本に似ています。
金正恩委員長を追い込めば、「野垂れ死にするぐらいなら玉砕してでも」と、第2次大戦突入時の日本の心境にさせるだけです。そこまで追い詰められた経験を持つ日本が、声高に制裁を叫ぶのは歴史を学んでいない証拠。トランプ大統領の挑発に真っ先に反対すべきは本来なら日本のはずです。
――「地下に逃げろ」というミサイル避難訓練も無意味です。
今やロケット戦争の時代です。中国の習近平国家主席も昨年、陸海空軍に加え、「ロケット軍」を新設し、党中央軍事委員会の組織を変えました。最近明らかとなった新たな人事では、軍事戦略を立案する「連合参謀本部」の中枢を7人もの幹部で構成する最大の組織に改変しました。7人のうち陸軍出身2人、海空軍出身は1人ずつ。ロケット軍出身は3人を占め、軍の主流に躍り出ました。これからはロケット中心の戦いになると、中国はみているのです。
――なるほど。
ロケット中心の戦争で、最大の脅威は原発です。日本に現存する原発は54基。原発は1基で広島型原爆の1000倍の放射性物質が貯め込まれているといわれています。どこか1つでもロケット弾が落ちれば、日本は広島型原爆の1000倍、5カ所なら5000倍の放射能に覆われてしまいます。この狭い国土がそれだけの放射能汚染を浴びれば、日本人はどうなりますか。だから、戦争は絶対に避けなければいけないのです。
今度の選挙は民主主義の根幹が問われている」(C)日刊ゲンダイ
――トランプ大統領の口汚い舌戦に同調する安倍首相は本当に日本の安全を考えているのか疑問です。
北朝鮮のロケット弾は日本列島を射程内に捉えていますが、米国全土にICBMを飛ばす能力はまだない。米国は難民ラッシュも逃れられる。日本が北朝鮮を敵に回した時のリスクは米国とは比較になりません。また、米国は原爆を落とされたことも、本土爆撃や侵略された経験もない。「戦争の怖さ」を知らない人ばかりの国と、世界唯一の被爆国のトップが同じ「イケイケ」の考えでは、世界的な信用を失います。
■安倍首相は2年間の「核凍結」を米ロに迫れ
――国連演説で安倍首相は「対話による(北朝鮮)問題解決の試みは一再ならず無に帰した」とまで言い切りました。
安倍首相自身、どれだけ北朝鮮と対話してきましたか。ひとこともしていないのに等しい。拉致問題だって何ら進展していない。「対話は無力」と言う前に、まず話し合うべきです。そもそも先の大戦の戦勝5カ国がまず核兵器を持ち、インドやパキスタンは“やり得”で保有を認められた。いつでも保有国は核兵器を使えるのに、北朝鮮だけ許さないのは常識的にみてアンフェア。核開発を放棄してイラクやリビアの二の舞いになるのを避けるなら、北朝鮮も命懸けで核を持つしかない。他に力がないのですから。
――核保有国は身勝手です。
だからこそ、戦争と核兵器の怖さを思い知らされた日本が核保有国を説得すべきです。安倍首相が真っ先に説得すべきは核大国の米国とロシアです。表向きは北朝鮮を非難し続けてもいい。何らかの理由をつけてドイツとともにトランプとプーチン両大統領と会談し、水面下で2年間の核兵器凍結を提案する。1年は短いし、3年は長すぎます。簡単ではないのは百も承知です。それでもケンカは最後に強い者が一歩、引くものです。解除すれば再び核戦争の危機ですから、2年間の凍結は自動延長されます。ここまで深謀遠慮を巡らせて実現させれば、安倍首相はノーベル平和賞ものです。
――歴史に名を残したがる首相ですから、ぜひ動いて欲しいものです。
核戦争回避にはこの道しかない。安倍首相はこの国を放射能の渦に巻き込み、滅ぼしていいのですか。日本には何ら得はないのに、米国と一蓮托生の北朝鮮への強烈非難には中国もおかしいと感じています。あそこまで日米同盟に懸命なのは、北朝鮮ではなく、中国が攻撃対象の「本命」なのかと。
――今度の総選挙は、敵ばかり増やした安倍首相の外交姿勢が問われるべきです。
安倍首相にはひとこと言いたい。「あなたの民主主義とは何ですか」と。今の政治は「民の声」が反映されていません。日本は議会制民主主義の国とはいえ、選挙に勝てば何でも許されるわけではない。民主主義とはオールウェイズ(常に)民が主です。「力対力」では民が犠牲となる戦争を近づけるだけです。野党が今、手を結ぶべきは戦争を遠ざけること。民が主なら、最後まで対話をあきらめてはいけません。「戦争の大問題」に比べれば、小池都知事がどうこう言ったなんて、非常に些末な話です。そういう意味で今度の選挙は民主主義の根幹が問われているのです。
(聞き手=本紙・今泉恵孝)
今日は衆院選の公示日です。18歳以上が選挙権ほ得てはじめての衆院選。
選挙の度に想うことがある。昔の美しい精神の日本の姿が「消えてゆく」
と、つくづく想う。今回もそうだ、ヘンなオバサマが出てきて希望とかなんとか
耳障りが良さそうだが、よく考えると、気持ち悪くなる。
見識も教養もない「ワル」が隠れているのが見える。
安岡正篤先生は、昭和58年に没している。その直前こんな言葉を残している。
「このまま進むと、日本は破滅する」
私の解説など、耳に障るだけだろう。
それよりも、下記。
「戦争の真実を活字で残すことが、われわれの世代の義務」(C)日刊ゲンダイ
丹羽宇一郎氏が提言 今の日本こそ「戦争の真実」学ぶべき
日刊ゲンダイDIGITAL2017年10月10日
この国のトップは緊迫する北朝鮮情勢に「対話より圧力」と拳を振り上げ、設立されたばかりの新党の女性党首は「リアルな安保」を入党条件に掲げる。社会全体に開戦前夜のようなムードが漂う中、中国大使を務めた経験を持つ国際ビジネスマンである日中友好協会会長の丹羽宇一郎氏は近著「戦争の大問題」で、こう訴えかけている。今こそ日本人は「戦争の真実」を知らなければいけない。
■今の政治は「民の声」が反映されていない
――近著をまとめるのに多くの戦争体験者や軍事専門家に直接、話を聞き歩くのは大変だったと思います。そこまでの労力を払って、この時期に「戦争の大問題」を世に問うたのはなぜですか。
トランプ米大統領の誕生により、世の中に幾つもの「真実」が出てきました。ポスト・トゥルース、オルタナティブ・ファクト、フェイク・ニュースとか。客観的な事実より虚偽であっても、個人の感情や心情に訴えかける方が世論に強い影響力を与えてしまう。「真実とは何か」と考える機会をくれたトランプ大統領には感謝しますが、「戦争の真実」について私は考えました。戦争を知らない人々がますます増えゆく日本で戦争が近づく中、戦争とは一体何か、その真実は誰が決めるのか。
――確かに「真実」にもいろいろありますね。
戦争から帰還した人がオルタナティブ・ファクトを語っている可能性もあるわけです。ならば大勢から話を聞かなければ真実は分からない。真実の度合いを広く深く自分の感覚で正確に知りたかった。戦争のリアルを知る人々は90歳を越えています。私も含め戦争体験者にはあまり時間はない。存命中にお会いして話を聞き、戦争を知らない世代に戦争の真実を活字で残す。それが、われわれの世代の義務です。
――本の冒頭に引用された「戦争を知らない世代が政治の中枢となったときはとても危ない」という田中角栄元首相の言葉が印象的です。
やはり戦争を知らない世代は戦争のリアルなイメージを持ちえない。戦争の「におい」とか「味わい」とか。最近も麻生副総理が北朝鮮からの武装難民の射殺に言及しましたが、彼は人を撃った経験があるんですか。人と人が1対1で撃ち合うなんてできません。人間ができない残酷なことは戦争体験者は絶対口にはしません。
――角栄氏の危惧がまさに顕在化しています。
若い人は、先の大戦で日本兵は勇ましく撃ち合って戦場に散ったと思っているけど、帰還者に話を聞くと、大半は撃っていない。ひたすら歩き、さまよい、飢餓や疫病で亡くなった人々が圧倒的に多い。実際に引き金を引いた人も敵兵を目の前にして撃ってはいない。あの辺にいるはずだと目をつぶってバババッと撃っている人が大半です。今のシリアの戦闘映像と同じ。だから人を殺した実感がない。だが、それが戦争の本当の残酷さです。
――そんな目には遭いたくありませんね。
ただ、本当の戦争を知る人々は、その体験を自分の子供たちにも話せない。食料を奪ったり、友達の肉を食べたり。いざという時にそこまで残酷な動物となった経験を語れるわけがない。戦争は人を狂わせます。だから体験者は皆「戦争だけはやらないでくれ」と口をそろえるのに、戦争をイメージできない世代には「やろう」と粋がる人が多い。こんな怖いことはない。
「あきらめない対話」が回避の唯一の道
――北朝鮮問題では、日本のトップが率先して戦争に向かおうとしているように見えます。
日米両国が世界から孤立するように「力には力」と叫び、トランプ大統領は国連で北朝鮮の「完全破壊」に言及しましたが、出口なき戦略です。北朝鮮が崩壊すれば、日本にも中国や韓国と同じく難民が漂着します。日本海側には人口60万人から80万人の県が並ぶ。北朝鮮の人口は2500万人余り。数十万人が生きるために必死になって日本海側に押し寄せたら、食料や宿はどうするのか。想像を絶する事態となります。
――今の北朝鮮の立場は日米開戦前夜の日本に似ています。
金正恩委員長を追い込めば、「野垂れ死にするぐらいなら玉砕してでも」と、第2次大戦突入時の日本の心境にさせるだけです。そこまで追い詰められた経験を持つ日本が、声高に制裁を叫ぶのは歴史を学んでいない証拠。トランプ大統領の挑発に真っ先に反対すべきは本来なら日本のはずです。
――「地下に逃げろ」というミサイル避難訓練も無意味です。
今やロケット戦争の時代です。中国の習近平国家主席も昨年、陸海空軍に加え、「ロケット軍」を新設し、党中央軍事委員会の組織を変えました。最近明らかとなった新たな人事では、軍事戦略を立案する「連合参謀本部」の中枢を7人もの幹部で構成する最大の組織に改変しました。7人のうち陸軍出身2人、海空軍出身は1人ずつ。ロケット軍出身は3人を占め、軍の主流に躍り出ました。これからはロケット中心の戦いになると、中国はみているのです。
――なるほど。
ロケット中心の戦争で、最大の脅威は原発です。日本に現存する原発は54基。原発は1基で広島型原爆の1000倍の放射性物質が貯め込まれているといわれています。どこか1つでもロケット弾が落ちれば、日本は広島型原爆の1000倍、5カ所なら5000倍の放射能に覆われてしまいます。この狭い国土がそれだけの放射能汚染を浴びれば、日本人はどうなりますか。だから、戦争は絶対に避けなければいけないのです。
今度の選挙は民主主義の根幹が問われている」(C)日刊ゲンダイ
――トランプ大統領の口汚い舌戦に同調する安倍首相は本当に日本の安全を考えているのか疑問です。
北朝鮮のロケット弾は日本列島を射程内に捉えていますが、米国全土にICBMを飛ばす能力はまだない。米国は難民ラッシュも逃れられる。日本が北朝鮮を敵に回した時のリスクは米国とは比較になりません。また、米国は原爆を落とされたことも、本土爆撃や侵略された経験もない。「戦争の怖さ」を知らない人ばかりの国と、世界唯一の被爆国のトップが同じ「イケイケ」の考えでは、世界的な信用を失います。
■安倍首相は2年間の「核凍結」を米ロに迫れ
――国連演説で安倍首相は「対話による(北朝鮮)問題解決の試みは一再ならず無に帰した」とまで言い切りました。
安倍首相自身、どれだけ北朝鮮と対話してきましたか。ひとこともしていないのに等しい。拉致問題だって何ら進展していない。「対話は無力」と言う前に、まず話し合うべきです。そもそも先の大戦の戦勝5カ国がまず核兵器を持ち、インドやパキスタンは“やり得”で保有を認められた。いつでも保有国は核兵器を使えるのに、北朝鮮だけ許さないのは常識的にみてアンフェア。核開発を放棄してイラクやリビアの二の舞いになるのを避けるなら、北朝鮮も命懸けで核を持つしかない。他に力がないのですから。
――核保有国は身勝手です。
だからこそ、戦争と核兵器の怖さを思い知らされた日本が核保有国を説得すべきです。安倍首相が真っ先に説得すべきは核大国の米国とロシアです。表向きは北朝鮮を非難し続けてもいい。何らかの理由をつけてドイツとともにトランプとプーチン両大統領と会談し、水面下で2年間の核兵器凍結を提案する。1年は短いし、3年は長すぎます。簡単ではないのは百も承知です。それでもケンカは最後に強い者が一歩、引くものです。解除すれば再び核戦争の危機ですから、2年間の凍結は自動延長されます。ここまで深謀遠慮を巡らせて実現させれば、安倍首相はノーベル平和賞ものです。
――歴史に名を残したがる首相ですから、ぜひ動いて欲しいものです。
核戦争回避にはこの道しかない。安倍首相はこの国を放射能の渦に巻き込み、滅ぼしていいのですか。日本には何ら得はないのに、米国と一蓮托生の北朝鮮への強烈非難には中国もおかしいと感じています。あそこまで日米同盟に懸命なのは、北朝鮮ではなく、中国が攻撃対象の「本命」なのかと。
――今度の総選挙は、敵ばかり増やした安倍首相の外交姿勢が問われるべきです。
安倍首相にはひとこと言いたい。「あなたの民主主義とは何ですか」と。今の政治は「民の声」が反映されていません。日本は議会制民主主義の国とはいえ、選挙に勝てば何でも許されるわけではない。民主主義とはオールウェイズ(常に)民が主です。「力対力」では民が犠牲となる戦争を近づけるだけです。野党が今、手を結ぶべきは戦争を遠ざけること。民が主なら、最後まで対話をあきらめてはいけません。「戦争の大問題」に比べれば、小池都知事がどうこう言ったなんて、非常に些末な話です。そういう意味で今度の選挙は民主主義の根幹が問われているのです。
(聞き手=本紙・今泉恵孝)
タグ:衆院選
選挙 その NO-13 過半数擁立焦る希望、支持伸び悩む…小池氏迷走
選挙 その NO-13
過半数擁立焦る希望、支持伸び悩む…小池氏迷走
2017年10月09日 17時30分 Copyright The Yomiuri Shimbun
希望の党は、衆院選で過半数となる233人以上の候補者擁立を急いでいる。
小池代表(東京都知事)は政権獲得を目標に掲げたものの、8日時点では約200人にとどまっており、仮に全員が当選しても単独で政権を獲得することができない。世論の支持も伸び悩んでおり、小池氏の戦略は迷走気味だ。
「今、最後の努力をしている。政権を目指すということは、一つの目標だ」
小池氏は8日の日本記者クラブでの党首討論会で、衆院選の目標や選挙後の首相指名候補について、歯切れの悪い答えに終始した。同日のNHK番組でも目標議席を問われ、「鋭意精査をしつつ最善の努力をする」と明言を避けた。
小池氏は9月25日に希望の結党と代表就任を発表し、与党内には「自民党が惨敗した東京都議選の再現になりかねない」(自民党都連幹部)と警戒感が広がった。
だが、民進党との合流を巡って混乱が続き、反発した民進党前議員らが立憲民主党を結成するなど小池氏にとって誤算が続いた。読売新聞社の全国世論調査でも、支持が伸び悩んでいる。
政権選択選挙という構図が薄れたことで、首相指名を巡る小池氏の姿勢も揺れている。8日の党首討論会では、自民党と連立政権を組む「大連立」の可能性を問われ、「しっかり戦い抜くというのがまずあって、その結果としての判断だ」と述べ、含みを残した。自民党内では「小池氏は思うように支持が伸びず、焦っているのだろう」(幹部)と冷ややかな見方が出ている。
立憲民主党も、小池氏と距離を置いている。枝野代表は8日のフジテレビの番組で、自民党や希望の党はいずれも理念、政策が異なるとして、他党の候補への首相指名選挙での投票を否定した。
これに対し、自民、公明両党は、与党での過半数維持を目標に掲げている。首相は日本記者クラブの党首討論会で、「私が自民党総裁として、過半数を取れば首班指名(首相指名)を受ける候補として出る」と述べた。
与党の解散時勢力は自民党287、公明党35の計322議席。今回の衆院選は定数10減で行われるため単純比較はできないが、90議席減らさない限り、過半数は維持できる。自民党内では「勝敗ラインが低すぎる」(閣僚経験者)との声がもっぱらだ。党内では「30議席減程度なら続投だ。来年の党総裁選で首相の連続3選への流れも強まるだろう」(幹部)との見方が出ている。
過半数擁立焦る希望、支持伸び悩む…小池氏迷走
2017年10月09日 17時30分 Copyright The Yomiuri Shimbun
希望の党は、衆院選で過半数となる233人以上の候補者擁立を急いでいる。
小池代表(東京都知事)は政権獲得を目標に掲げたものの、8日時点では約200人にとどまっており、仮に全員が当選しても単独で政権を獲得することができない。世論の支持も伸び悩んでおり、小池氏の戦略は迷走気味だ。
「今、最後の努力をしている。政権を目指すということは、一つの目標だ」
小池氏は8日の日本記者クラブでの党首討論会で、衆院選の目標や選挙後の首相指名候補について、歯切れの悪い答えに終始した。同日のNHK番組でも目標議席を問われ、「鋭意精査をしつつ最善の努力をする」と明言を避けた。
小池氏は9月25日に希望の結党と代表就任を発表し、与党内には「自民党が惨敗した東京都議選の再現になりかねない」(自民党都連幹部)と警戒感が広がった。
だが、民進党との合流を巡って混乱が続き、反発した民進党前議員らが立憲民主党を結成するなど小池氏にとって誤算が続いた。読売新聞社の全国世論調査でも、支持が伸び悩んでいる。
政権選択選挙という構図が薄れたことで、首相指名を巡る小池氏の姿勢も揺れている。8日の党首討論会では、自民党と連立政権を組む「大連立」の可能性を問われ、「しっかり戦い抜くというのがまずあって、その結果としての判断だ」と述べ、含みを残した。自民党内では「小池氏は思うように支持が伸びず、焦っているのだろう」(幹部)と冷ややかな見方が出ている。
立憲民主党も、小池氏と距離を置いている。枝野代表は8日のフジテレビの番組で、自民党や希望の党はいずれも理念、政策が異なるとして、他党の候補への首相指名選挙での投票を否定した。
これに対し、自民、公明両党は、与党での過半数維持を目標に掲げている。首相は日本記者クラブの党首討論会で、「私が自民党総裁として、過半数を取れば首班指名(首相指名)を受ける候補として出る」と述べた。
与党の解散時勢力は自民党287、公明党35の計322議席。今回の衆院選は定数10減で行われるため単純比較はできないが、90議席減らさない限り、過半数は維持できる。自民党内では「勝敗ラインが低すぎる」(閣僚経験者)との声がもっぱらだ。党内では「30議席減程度なら続投だ。来年の党総裁選で首相の連続3選への流れも強まるだろう」(幹部)との見方が出ている。
タグ:衆院選
2017年10月09日
選挙 その NO-12 かなり かなり ステージそのものに 厳しい見方をしている日刊ゲンダイ 2題です
選挙 その NO-12
低投票率狙いの巧妙な仕掛け “馬の骨”集めたガラクタ選挙
日刊ゲンダイDIGITAL2017年10月8日
左から安倍首相、小池希望代表、枝野立憲民主代表(C)日刊ゲンダイ
モリカケ疑惑から逃げ回る安倍首相に審判を下す衆院選挙が10日、公示される。「政権選択選挙だ」「安倍政権に対峙する」などと勇ましい掛け声で希望の党を旗揚げした小池都知事だが、フタを開けてみたらどうだ。単独過半数獲得をブチ上げ、200人超の候補者を擁立したものの、ゾンビ議員やポンコツ新人の掃きだめ。醜聞続出で“魔の2回生”と呼ばれる安倍チルドレンもひどかったが、それに輪をかける有象無象の寄せ集めだ。
コラムニストの小田嶋隆氏は言う。
「希望の党が公認候補に署名させた10項目の政策協定書でうたう安保法制容認、改憲支持、外国人地方参政権付与反対はネトウヨの3大好物です。こんな極右フィルターを通り抜けられるのですから、トンデモ候補の量産は当然の成り行きでしょう。花がハチを誘い、糞にハエがたかるように、餌によって集まる昆虫が異なるのと理屈は同じですよ。小泉チルドレンしかり、小沢ガールズしかり、膨張期の橋下維新しかり。風頼みで新人が大量当選すると、一定数の欠陥議員が紛れ込んできた。安倍チルドレンも多くが恥さらしですが、希望の新人は中でも最も質が悪い印象です」
その筆頭が熊本県議から鞍替えした荒木章博氏(64=東京7区)。小池の元公設秘書で、都民ファーストの会代表の荒木千陽都議(35)の父親。小池が「お父さん」と呼ぶほど距離が近く、縁故採用はミエミエなのだが、それ以上に問題なのは荒木の“前”だ。
県議時代の1997年、その立場を利用して17歳も年下の女性に男女関係を強要し、半年間にわたって性行為を強いたとして熊本地裁に告訴された。荒木は「合意の上だった」と争ったが、地裁は原告の主張をほぼ全面採用。「女性の意思に反して性行為に及んだもので、刑法上の婦女暴行または、それに準じる行為に当たる」と認定し、300万円の損害賠償を命じたのだ。荒木の訴えによる控訴審は1審判決を支持した上、荒木の謝罪を条件に和解した。強姦魔を国政に送り出そうとする小池新党の異常な倫理観は疑う余地がないが、立憲民主党の長妻昭代表代行にブツけるのだから、世論をナメきっているとしか思えない。
小池が親しくしていた故鳩山邦夫元法相の長男の鳩山太郎元都議(43=東京2区)も身内枠だ。資産面は申し分ないが、独特な言動で悪評しきりなのは広く知られた話である。都知事選出馬をめぐって対立が深まった萩生田光一前官房副長官(54)には、元寝屋川市議の吉羽美華氏(37=東京24区)をあてる。谷川とむ前衆院議員(41=大阪19区)の元嫁だ。2012年の衆院選(大阪1区)、13年の参院選(大阪選挙区)、16年の阪南市長選で玉砕した選挙マニアで、身構えていた萩生田も拍子抜けしているという。
早々に民進に見切りをつけ、小池の下に駆け込んだ細野豪志元環境相(46=静岡5区)が引っ張り出した鈴木望元衆院議員(68=静岡3区)は衆院2期目を争った14年選挙は維新の党所属で、旧民主党との選挙区調整で比例九州ブロックに回され、落選。引退を考えたところに担がれ、地元はひっくり返ったという。
鳩山太郎氏(左)と吉羽美華氏/(C)日刊ゲンダイ
そして、小池の古巣である兵庫に立てた野口威光氏(43=兵庫4区)、幾村奈応子氏(37=兵庫6区)はともに元秘書だ。
希望公認のおよそ半数は、小池が分裂させた民進の現職、元職、新人。残りはこうしたにわか候補や、地方議会経験もないド素人ばかりなのが実情なのだ。
政治学者の五十嵐仁氏は言う。
「安倍首相はこの国の政治や行政を私物化した上に、野党の準備不足を突いた前例のない大義ゼロの解散でトンデモ候補の乱立を招いた。有権者の半数が総選挙に関心を持っていないところに、グチャグチャの選挙戦を展開されたら、嫌気が差して棄権する動きが増えかねない。それが一番心配です。そうなれば、安倍首相は二重三重に日本をぶっ壊すことになります」
投票率を下げるための巧妙な仕掛けなのか。
魔の2回生”はカネ、下半身、人間性でアウト
醜聞をまき散らす安倍チルドレンも平然と3選を狙っている。
「このハゲー!」と絶叫しながら秘書に暴行をはたらいた豊田真由子氏(43=埼玉4区)の厚顔無恥には目を見張る。秘書の告発で大騒ぎになると病院に逃げ込んだくせに、解散風が吹き始めた途端に復帰した。特徴的なへの字眉を女性的なソフトカーブに整形し、会見を開いて出馬宣言。無所属で出馬し、子どもに「ハゲのおばちゃんだ〜」なんて指をさされながらセッセと連日辻立ちに励んでいる。
路チュー不倫を報じられた中川郁子氏(58=北海道11区)と門博文氏(52=和歌山1区)、同僚議員だったダンナのゲス不倫辞職や公用車での保育園送迎問題で火ダルマになった金子恵美氏(39=新潟4区)、「がん患者は働かなければいい」と暴言を吐いた大西英男氏(71=東京16区)、被災地おんぶ視察で復興政務官を辞めた務台俊介氏(61=長野2区)。それに、湾岸タワーマンションでの不倫同棲を報じられた藤丸敏氏(57=福岡7区)、アルコール中毒や中国人女性を議員宿舎に囲った疑惑が浮上した橋本英教氏(50=比例東北ブロック)も出馬する。
豊田真由子氏(左)と中川郁子氏(C)日刊ゲンダイ
ハレンチ議員をよくもここまで全国津々浦々から手繰り寄せたものだ。
■検証すべき信義、信念、社会常識
今度の選挙は安倍、小池という2人の独裁者にひれ伏し、バッジにしがみつく、あるいは取りにいくことだけが目的化した政治家以前の卑劣モノが醜い争いを繰り広げる動物園のショーさながらだ。
マスコミは枝野代表率いる立憲民主の態勢が整いつつあることで、「自民+公明」「希望+日本維新の会」「立憲民主+共産+社民」の3極構図だと解説するが、これはミスリードだ。改憲支持の「希維」は自公政権の補完勢力に過ぎない。「自公希維」を勝たせれば大政翼賛会まっしぐらである。
「選挙は本来、政策の是非で投票先を判断するものですが、今回はさらに2つの要素をプラスする必要があります。信義を重んじ、信頼に足る政党であるかどうか。候補者については、信念を貫く意志を持った人物かどうか。情けない話ですが、社会人としての常識をわきまえているかも見なければならないでしょう。そうした検証をすることで、どの政党、どの候補に投票すればいいかはおのずと浮かび上がってくるはずです」(五十嵐仁氏=前出)
どこの馬の骨を集めたかわからないガラクタ選挙だからこそ、国政を食い散らかす安倍自民、都政と国政を弄ぼうとする小池希望に鉄槌を下す必要がある。
安倍首相の土俵に乗ってはいけない 総選挙「本当の争点」
日刊ゲンダイDIGITAL2017年10月8日
浜矩子同志社大学教授
1952年、東京生まれ。一橋大経済学部卒業後、三菱総研に入社し英国駐在員事務所長、主席研究員を経て、2002年から現職。「2015年日本経済景気大失速の年になる!」(東洋経済新報社、共著)、「国民なき経済成長」(角川新書)など著書多数。
同じニオイがする(C)日刊ゲンダイ
今度の総選挙は当初、安倍首相のご都合主義解散への賛否と、それを自ら「国難突破解散」と名付けたことが最大の焦点でした。もちろん、安倍首相という「国難」を突破するという意味ではその通りなのですが、そこへ「希望の党」なる不気味な存在が出てきて、どうも有権者がまともな選択をできないような異様な与野党対決の構図になってしまった、というのが現状ではないでしょうか。アホノミクスの皿も小池さん(希望の党代表)の皿も、いずれも“毒皿”という感じですからね。
さすがに枝野さんがリベラルの旗を掲げた新党を結成したので、多少は逃げ道というか、正常な受け皿ができたと思っています。
小池新党の不気味さというのは見ての通りですが、「旧民主党系を排除する」「安保法制と改憲に賛成」「改革保守」などと言って、要は「保守」であることを前面に出しています。「リアルな外交安全保障」という表現も使っていました。極めてネオコン的な色彩が濃い。ネオコンの行き着く先は国粋主義です。その意味でグリーンモンスターとアホノミクスの大将は非常に似ていますが、前者の方が「粘り腰」がありそう。パワーアップバージョンの国家主義者に、どうも一段と警戒が必要そうです。
実際、安倍さんと小池さんの発言には共通点が多い。両者が連携してしまう可能性もあり、そこに維新が加わったら、国家主義の大同団結ができあがってしまう。大政翼賛会ですね。だから“本当の”野党が本当に頑張らなければいけないと思います。
■「国難」を突破できるのか
こうした状況を踏まえた上で言いたいのは、争点をどう展開していくのかということです。安倍首相の言う消費税の使い道の変更や少子高齢化などは、すべてが後付け。北朝鮮の危機対応にしても、だったら選挙をやっている場合じゃないということにもなる。
ですから、“本当の”野党は安倍さんが設定する議論の土俵に乗らないで、今、この国が直面している「本当の問題」を争点として打ち出していくべきだと思う。それができれば面白い戦いになる。本当の野党が着眼すべき「本当の問題」とは、何か。それは、まさしく国難突破です。国粋主義化という名の国難から国民を守り切れるか、ということです。「国民の上に国家を置く」ことを目指しているのがチームアホノミクス。グリーンモンスター軍団からも同じ香りがプンプンしてくる。チームアホノミクスは財政節度の放棄を正当化する方向に向かっています。その行き着く先は、日銀による財政ファイナンスの制度化です。そうなれば「経済ファシズム体制」の完成です。そんなことを許してはいけないという観点から、切り込んでいく必要がある。
「人づくり革命」も国家のために国民を使うという考え方ですから、こうしたテーマを「本当の問題」としてうまく議論のテーブルに乗せられるといい。グリーンモンスター軍団からも、その辺についてのスタンスを引っ張り出せるといいですね。緑の衣の陰にどんな鎧が隠れているのか、打倒アホノミクスのついでに暴くことができれば楽しい。
低投票率狙いの巧妙な仕掛け “馬の骨”集めたガラクタ選挙
日刊ゲンダイDIGITAL2017年10月8日
左から安倍首相、小池希望代表、枝野立憲民主代表(C)日刊ゲンダイ
モリカケ疑惑から逃げ回る安倍首相に審判を下す衆院選挙が10日、公示される。「政権選択選挙だ」「安倍政権に対峙する」などと勇ましい掛け声で希望の党を旗揚げした小池都知事だが、フタを開けてみたらどうだ。単独過半数獲得をブチ上げ、200人超の候補者を擁立したものの、ゾンビ議員やポンコツ新人の掃きだめ。醜聞続出で“魔の2回生”と呼ばれる安倍チルドレンもひどかったが、それに輪をかける有象無象の寄せ集めだ。
コラムニストの小田嶋隆氏は言う。
「希望の党が公認候補に署名させた10項目の政策協定書でうたう安保法制容認、改憲支持、外国人地方参政権付与反対はネトウヨの3大好物です。こんな極右フィルターを通り抜けられるのですから、トンデモ候補の量産は当然の成り行きでしょう。花がハチを誘い、糞にハエがたかるように、餌によって集まる昆虫が異なるのと理屈は同じですよ。小泉チルドレンしかり、小沢ガールズしかり、膨張期の橋下維新しかり。風頼みで新人が大量当選すると、一定数の欠陥議員が紛れ込んできた。安倍チルドレンも多くが恥さらしですが、希望の新人は中でも最も質が悪い印象です」
その筆頭が熊本県議から鞍替えした荒木章博氏(64=東京7区)。小池の元公設秘書で、都民ファーストの会代表の荒木千陽都議(35)の父親。小池が「お父さん」と呼ぶほど距離が近く、縁故採用はミエミエなのだが、それ以上に問題なのは荒木の“前”だ。
県議時代の1997年、その立場を利用して17歳も年下の女性に男女関係を強要し、半年間にわたって性行為を強いたとして熊本地裁に告訴された。荒木は「合意の上だった」と争ったが、地裁は原告の主張をほぼ全面採用。「女性の意思に反して性行為に及んだもので、刑法上の婦女暴行または、それに準じる行為に当たる」と認定し、300万円の損害賠償を命じたのだ。荒木の訴えによる控訴審は1審判決を支持した上、荒木の謝罪を条件に和解した。強姦魔を国政に送り出そうとする小池新党の異常な倫理観は疑う余地がないが、立憲民主党の長妻昭代表代行にブツけるのだから、世論をナメきっているとしか思えない。
小池が親しくしていた故鳩山邦夫元法相の長男の鳩山太郎元都議(43=東京2区)も身内枠だ。資産面は申し分ないが、独特な言動で悪評しきりなのは広く知られた話である。都知事選出馬をめぐって対立が深まった萩生田光一前官房副長官(54)には、元寝屋川市議の吉羽美華氏(37=東京24区)をあてる。谷川とむ前衆院議員(41=大阪19区)の元嫁だ。2012年の衆院選(大阪1区)、13年の参院選(大阪選挙区)、16年の阪南市長選で玉砕した選挙マニアで、身構えていた萩生田も拍子抜けしているという。
早々に民進に見切りをつけ、小池の下に駆け込んだ細野豪志元環境相(46=静岡5区)が引っ張り出した鈴木望元衆院議員(68=静岡3区)は衆院2期目を争った14年選挙は維新の党所属で、旧民主党との選挙区調整で比例九州ブロックに回され、落選。引退を考えたところに担がれ、地元はひっくり返ったという。
鳩山太郎氏(左)と吉羽美華氏/(C)日刊ゲンダイ
そして、小池の古巣である兵庫に立てた野口威光氏(43=兵庫4区)、幾村奈応子氏(37=兵庫6区)はともに元秘書だ。
希望公認のおよそ半数は、小池が分裂させた民進の現職、元職、新人。残りはこうしたにわか候補や、地方議会経験もないド素人ばかりなのが実情なのだ。
政治学者の五十嵐仁氏は言う。
「安倍首相はこの国の政治や行政を私物化した上に、野党の準備不足を突いた前例のない大義ゼロの解散でトンデモ候補の乱立を招いた。有権者の半数が総選挙に関心を持っていないところに、グチャグチャの選挙戦を展開されたら、嫌気が差して棄権する動きが増えかねない。それが一番心配です。そうなれば、安倍首相は二重三重に日本をぶっ壊すことになります」
投票率を下げるための巧妙な仕掛けなのか。
魔の2回生”はカネ、下半身、人間性でアウト
醜聞をまき散らす安倍チルドレンも平然と3選を狙っている。
「このハゲー!」と絶叫しながら秘書に暴行をはたらいた豊田真由子氏(43=埼玉4区)の厚顔無恥には目を見張る。秘書の告発で大騒ぎになると病院に逃げ込んだくせに、解散風が吹き始めた途端に復帰した。特徴的なへの字眉を女性的なソフトカーブに整形し、会見を開いて出馬宣言。無所属で出馬し、子どもに「ハゲのおばちゃんだ〜」なんて指をさされながらセッセと連日辻立ちに励んでいる。
路チュー不倫を報じられた中川郁子氏(58=北海道11区)と門博文氏(52=和歌山1区)、同僚議員だったダンナのゲス不倫辞職や公用車での保育園送迎問題で火ダルマになった金子恵美氏(39=新潟4区)、「がん患者は働かなければいい」と暴言を吐いた大西英男氏(71=東京16区)、被災地おんぶ視察で復興政務官を辞めた務台俊介氏(61=長野2区)。それに、湾岸タワーマンションでの不倫同棲を報じられた藤丸敏氏(57=福岡7区)、アルコール中毒や中国人女性を議員宿舎に囲った疑惑が浮上した橋本英教氏(50=比例東北ブロック)も出馬する。
豊田真由子氏(左)と中川郁子氏(C)日刊ゲンダイ
ハレンチ議員をよくもここまで全国津々浦々から手繰り寄せたものだ。
■検証すべき信義、信念、社会常識
今度の選挙は安倍、小池という2人の独裁者にひれ伏し、バッジにしがみつく、あるいは取りにいくことだけが目的化した政治家以前の卑劣モノが醜い争いを繰り広げる動物園のショーさながらだ。
マスコミは枝野代表率いる立憲民主の態勢が整いつつあることで、「自民+公明」「希望+日本維新の会」「立憲民主+共産+社民」の3極構図だと解説するが、これはミスリードだ。改憲支持の「希維」は自公政権の補完勢力に過ぎない。「自公希維」を勝たせれば大政翼賛会まっしぐらである。
「選挙は本来、政策の是非で投票先を判断するものですが、今回はさらに2つの要素をプラスする必要があります。信義を重んじ、信頼に足る政党であるかどうか。候補者については、信念を貫く意志を持った人物かどうか。情けない話ですが、社会人としての常識をわきまえているかも見なければならないでしょう。そうした検証をすることで、どの政党、どの候補に投票すればいいかはおのずと浮かび上がってくるはずです」(五十嵐仁氏=前出)
どこの馬の骨を集めたかわからないガラクタ選挙だからこそ、国政を食い散らかす安倍自民、都政と国政を弄ぼうとする小池希望に鉄槌を下す必要がある。
安倍首相の土俵に乗ってはいけない 総選挙「本当の争点」
日刊ゲンダイDIGITAL2017年10月8日
浜矩子同志社大学教授
1952年、東京生まれ。一橋大経済学部卒業後、三菱総研に入社し英国駐在員事務所長、主席研究員を経て、2002年から現職。「2015年日本経済景気大失速の年になる!」(東洋経済新報社、共著)、「国民なき経済成長」(角川新書)など著書多数。
同じニオイがする(C)日刊ゲンダイ
今度の総選挙は当初、安倍首相のご都合主義解散への賛否と、それを自ら「国難突破解散」と名付けたことが最大の焦点でした。もちろん、安倍首相という「国難」を突破するという意味ではその通りなのですが、そこへ「希望の党」なる不気味な存在が出てきて、どうも有権者がまともな選択をできないような異様な与野党対決の構図になってしまった、というのが現状ではないでしょうか。アホノミクスの皿も小池さん(希望の党代表)の皿も、いずれも“毒皿”という感じですからね。
さすがに枝野さんがリベラルの旗を掲げた新党を結成したので、多少は逃げ道というか、正常な受け皿ができたと思っています。
小池新党の不気味さというのは見ての通りですが、「旧民主党系を排除する」「安保法制と改憲に賛成」「改革保守」などと言って、要は「保守」であることを前面に出しています。「リアルな外交安全保障」という表現も使っていました。極めてネオコン的な色彩が濃い。ネオコンの行き着く先は国粋主義です。その意味でグリーンモンスターとアホノミクスの大将は非常に似ていますが、前者の方が「粘り腰」がありそう。パワーアップバージョンの国家主義者に、どうも一段と警戒が必要そうです。
実際、安倍さんと小池さんの発言には共通点が多い。両者が連携してしまう可能性もあり、そこに維新が加わったら、国家主義の大同団結ができあがってしまう。大政翼賛会ですね。だから“本当の”野党が本当に頑張らなければいけないと思います。
■「国難」を突破できるのか
こうした状況を踏まえた上で言いたいのは、争点をどう展開していくのかということです。安倍首相の言う消費税の使い道の変更や少子高齢化などは、すべてが後付け。北朝鮮の危機対応にしても、だったら選挙をやっている場合じゃないということにもなる。
ですから、“本当の”野党は安倍さんが設定する議論の土俵に乗らないで、今、この国が直面している「本当の問題」を争点として打ち出していくべきだと思う。それができれば面白い戦いになる。本当の野党が着眼すべき「本当の問題」とは、何か。それは、まさしく国難突破です。国粋主義化という名の国難から国民を守り切れるか、ということです。「国民の上に国家を置く」ことを目指しているのがチームアホノミクス。グリーンモンスター軍団からも同じ香りがプンプンしてくる。チームアホノミクスは財政節度の放棄を正当化する方向に向かっています。その行き着く先は、日銀による財政ファイナンスの制度化です。そうなれば「経済ファシズム体制」の完成です。そんなことを許してはいけないという観点から、切り込んでいく必要がある。
「人づくり革命」も国家のために国民を使うという考え方ですから、こうしたテーマを「本当の問題」としてうまく議論のテーブルに乗せられるといい。グリーンモンスター軍団からも、その辺についてのスタンスを引っ張り出せるといいですね。緑の衣の陰にどんな鎧が隠れているのか、打倒アホノミクスのついでに暴くことができれば楽しい。
タグ:衆院選
2017年10月08日
選挙 その NO-12 日刊ゲンダイの報じる 衆院選 前夜
選挙 その NO-12
驚くほどの強権体制(C)日刊ゲンダイ
まるでヤクザ組織 都民ファーストの会を支配する“鉄の掟”
日刊ゲンダイDIGITAL 2017年10月8日
「上納金」に「言論規制」――。何だか「山口組」そっくりではないか。音喜多駿都議と上田令子都議の離党で内実がバレた「都民ファーストの会(都F)」。音喜多は5日の会見で「党運営に疑問を抱いている議員は他にもいる」と言い、“組抜け”を考えている議員が他にも大勢いることを示唆したが、さすがは「緑のタヌキ」と揶揄されている親分・小池百合子氏である。批判が拡大しないように先手を打ったようだ。
月21万円の「上納金」や「飲み会禁止令」、SNS、メディアでの発言制限……。離党した2人の暴露で分かったのは、都Fが山口組もビックリの「鉄の掟」で支配されていることだ。中央大学教授の佐々木信夫氏(行政学)はこう言う。
「反社会的組織と単純に比較することはできませんが、都F内の締めつけは異常です。過剰な発言の制限や会合への参加禁止など、他の会派ではまずあり得ません。都議はそれぞれの地域の都民の代表です。会派として、ある程度の統一性は必要ですが、箸の上げ下げまで規制するのは、議会が知事へのチェック機能を果たす『二元代表制』の趣旨に反します。小池知事は自らの能力に自信を持てず、組織が崩壊するのが怖いから過剰な規制をかけるのでしょう」
■2人離党で小池氏の心境は…?
親子の杯を交わしたら裏切りは許さない、ということなのか。改めて恐ろしい女性である。日刊ゲンダイは小池氏を「女ヒトラー」と報じているが、「女毛沢東」「女チャウシェスク」と言っていいかもしれない。とはいえ、側近だった音喜多らの離党に、さすがの小池氏もヘコんでいるかと思ったら、大間違い。「2人は離党したが、新たに(都Fに)入りたいというお願いが来ている」ときた。
「今月1日、都議会民進関係者と都F幹部が秘密裏に会談しています。音喜多都議らの離党を事前に察知し、離党のダメージを広げないために民進都議らに合流を打診した可能性が高いでしょう」(都政関係者)
いやはや、山口組の親分以上の統率力である。
ワルにだまされたアホ(C)日刊ゲンダイ
参院民進“前原離れ”加速 代表解任で150億円乗っ取り阻止
小池都知事が代表を務める「希望の党」の軍門に下ったことで、民進党は3つに分裂。党に残っている民進党の参院議員からは「ひさしを貸して母屋を乗っ取られたようなものだ」と怒りの声が上がっているという。
前原代表は参院議員も含め「希望の党」への合流を目指す方針だが、「そうはさせない」と阻止に向けた動きが出始めている。
「民進党の金庫には150億円ともいわれる政党交付金が眠っているとされます。この資金を自由に差配できるのは前原代表ひとりだけ。選挙が終わったら、党に残る一部の参院議員の分を残し、希望の党に移った議員の頭割りに応じた金額を一緒に持ち出すことになるとみられています」(民進党関係者)
■合流するなら立憲民主党
選挙後、民進党は党籍を残して無所属で当選した衆院議員と参院議員で両院議員総会を開催し、新代表を含めた民進党の今後について協議するという。しかし、前原代表が再選される可能性は低そうだ。
「約50人いる民進党の参院議員の多くは小池知事にだまされ、民進党を解体してしまった前原代表に呆れています。前原代表が民進党の参院議員を希望の党に連れて行こうとしたら、“あなたが出て行ってください”と追い出されるのがオチでしょう」(政治評論家の伊藤達美氏)
実際、民進党の小川敏夫参院議員会長は、自らのツイッターで「立憲民主党の候補も応援する」と支援表明。福山哲郎参院議員は離党届を提出し、立憲民主の幹事長に就任した。“前原代表離れ”が加速している。
「民進党の参院議員は民進党をメチャクチャにした小池知事が、濡れ手で粟で100億円近くもの民進党の資金を手にするなんてトンデモないと考えています。合流するとしたら希望の党ではなく立憲民主党でしょう。立憲民主党を吸収合併する形で枝野代表を新代表にするシナリオが囁かれています。そこに希望の党の“踏み絵”に本音では納得していない元民進議員が加わるといわれています」(前出の民進党関係者)
そもそも無所属で出馬する前原代表は僅差で敗れたとしても比例復活できない。民進党から人もカネも乗っ取ろうとする希望の党のもくろみは崩れつつある。
タグ:衆院選
選挙 その NO-11 日経が 報じる 衆院選 突入前夜
3極対決、7割の小選挙区で 衆院選
2017/10/7 23:00日本経済新聞 電子版
10日公示―22日投開票の衆院選について日本経済新聞社が調べたところ、7日昼時点で約210の小選挙区で「自民、公明両党の与党」「希望の党と日本維新の会」「共産、立憲民主、社民3党」の3つの勢力の候補者が競合する。289の小選挙区の7割にのぼる。野党再編により3極が争う構図が鮮明になっている。
自民・公明両党は合わせて286選挙区で公認候補を擁立する。希望・維新は東京・大阪などですみ分け、両党が競合するのは22選挙区になる。
共産、立憲民主、社民の3党は230超の選挙区で候補者を一本化した。共産は7日までに小選挙区で擁立していた候補者のうち、立憲民主の枝野幸男代表(埼玉5区)らが出馬する選挙区などで64人を取り下げた。安倍政権に批判的な市民団体「市民連合」を介して連携を強める。市民連合は7日、3党の幹部に選挙協力を求めた。
3極の競合になる約210選挙区のうち、自民・公明、希望・維新、立憲民主が争うのは46選挙区。リベラル勢力が共産候補のみのケースは155選挙区だ。
野党はこれ以上の競合は避けたい考え。希望と立憲民主は40選挙区で競合する。希望は枝野氏らに対抗馬を擁立したが、民進党の前原誠司代表は7日の読売テレビ番組で立憲民主と「協力したい」と述べ、今後は立憲民主の候補者がいる選挙区への擁立は見送る考えを示した
安倍VS小池 不信と打算の二重奏
2017/10/7 23:00日本経済新聞 電子版
「小解説⇒ 阿部=不信 VS 小池=打算」
安倍晋三自民党総裁と、希望の党の代表を務める小池百合子東京都知事。10日公示―22日投開票の衆院選で、強い発信力を持つ2人が激突する。政権選択となる衆院選に向けて互いの批判のトーンは強まる一方、どこかで保険をかけあう姿は変わらない。これまで不信と打算の二重奏を奏でてきた2人。見据えるのは、選挙後の政界図だ。
小池氏は7日、東京・銀座で松井一郎大阪府知事、河村たかし名古屋市長と街頭演説に立った。「消費税の増収分の使い道を衆院選で聞くのはテーマ設定としてどうか」と安倍氏の解散決断を批判。6日にまとめた公約では「アベノミクスで一般国民の好景気の実感はない」と断じた。
小池氏が新党結成を宣言してから繰り返すのは「しがらみ政治からの脱却」。ただ、批判するのは自民党政治であって、安倍氏個人への攻撃は控えているようにみえる。「将来へあらゆる選択肢を残すのが小池氏の手法」と周辺は解説する。
安倍氏はどうか。解散表明時の記者会見では「(小池氏と)安全保障の基本理念は同じ」と指摘。希望の党という党名については「いい響き」だと持ち上げたが、最近は対決色を強めだした。7日の千葉県市川市の街頭演説では「ブームからは未来は生まれない」と語った。
「小池氏への個人攻撃は避ける」「小池氏が国政進出しなければ、党代表なのに首相指名できない無責任な体制を攻める」――。首相周辺は対小池戦略の一端を明かす。
安倍氏と小池氏。保守派であることや、改革への前向き姿勢という意味では共通点が多い。政治家になるまでの経歴は違う。祖父に首相をもつ政治家一家である安倍氏と、元キャスターとしての知名度を生かして政治基盤を築いた小池氏。小池氏が衆院選へのスタンスとして最近よく使う「チャレンジャー」という言葉は、サラブレッドたる首相への対抗心も漂う。
1993年。日本新党の衆院議員だった小池氏は同年8月に発足した非自民の細川内閣のキーマンの一人だった。野党自民党の新人議員だった安倍氏とは対照的だった。
2006年。首相に就いた安倍氏は小池氏を首相補佐官として起用した。「女性政治家で他に適当な人がいなかったため」と周囲は解説する。
昨年の都知事選で、自民党は人選に苦労していた。安倍氏は「まあ、小池さんでもいいじゃないか」と語っていた。だが女房役の菅義偉官房長官らが反対し、小池氏とは別の人を擁立した。「あのとき、官邸がうまく振る舞っていたら、今のようにはならなかった」と安倍氏周辺は悔やむ。
都議選後の7月21日、都内で山口県下関市議らと会食した際に、安倍氏は「小池さんは風を吹かせるのがうまい。敵に回してはいけない」と漏らした。「いやらしさを感じつつも、小池さんの持つひらめき力は評価している」。側近は安倍氏の心境を解説する。
小池氏は5日、都内で記者団に昔話を披露した。「自民党は羽田政権の後、(社会党と)村山政権を担いだことがあった。水と油で手を結ばれたことも思い出した」。22日の投開票後は様々な合従連衡が起こりうる。選挙後について聞かれた安倍氏と小池氏はともに同じ言葉を繰り返す。「選挙結果がどうなるかだ」
(島田学、黒沼晋)
2017/10/7 23:00日本経済新聞 電子版
10日公示―22日投開票の衆院選について日本経済新聞社が調べたところ、7日昼時点で約210の小選挙区で「自民、公明両党の与党」「希望の党と日本維新の会」「共産、立憲民主、社民3党」の3つの勢力の候補者が競合する。289の小選挙区の7割にのぼる。野党再編により3極が争う構図が鮮明になっている。
自民・公明両党は合わせて286選挙区で公認候補を擁立する。希望・維新は東京・大阪などですみ分け、両党が競合するのは22選挙区になる。
共産、立憲民主、社民の3党は230超の選挙区で候補者を一本化した。共産は7日までに小選挙区で擁立していた候補者のうち、立憲民主の枝野幸男代表(埼玉5区)らが出馬する選挙区などで64人を取り下げた。安倍政権に批判的な市民団体「市民連合」を介して連携を強める。市民連合は7日、3党の幹部に選挙協力を求めた。
3極の競合になる約210選挙区のうち、自民・公明、希望・維新、立憲民主が争うのは46選挙区。リベラル勢力が共産候補のみのケースは155選挙区だ。
野党はこれ以上の競合は避けたい考え。希望と立憲民主は40選挙区で競合する。希望は枝野氏らに対抗馬を擁立したが、民進党の前原誠司代表は7日の読売テレビ番組で立憲民主と「協力したい」と述べ、今後は立憲民主の候補者がいる選挙区への擁立は見送る考えを示した
安倍VS小池 不信と打算の二重奏
2017/10/7 23:00日本経済新聞 電子版
「小解説⇒ 阿部=不信 VS 小池=打算」
安倍晋三自民党総裁と、希望の党の代表を務める小池百合子東京都知事。10日公示―22日投開票の衆院選で、強い発信力を持つ2人が激突する。政権選択となる衆院選に向けて互いの批判のトーンは強まる一方、どこかで保険をかけあう姿は変わらない。これまで不信と打算の二重奏を奏でてきた2人。見据えるのは、選挙後の政界図だ。
小池氏は7日、東京・銀座で松井一郎大阪府知事、河村たかし名古屋市長と街頭演説に立った。「消費税の増収分の使い道を衆院選で聞くのはテーマ設定としてどうか」と安倍氏の解散決断を批判。6日にまとめた公約では「アベノミクスで一般国民の好景気の実感はない」と断じた。
小池氏が新党結成を宣言してから繰り返すのは「しがらみ政治からの脱却」。ただ、批判するのは自民党政治であって、安倍氏個人への攻撃は控えているようにみえる。「将来へあらゆる選択肢を残すのが小池氏の手法」と周辺は解説する。
安倍氏はどうか。解散表明時の記者会見では「(小池氏と)安全保障の基本理念は同じ」と指摘。希望の党という党名については「いい響き」だと持ち上げたが、最近は対決色を強めだした。7日の千葉県市川市の街頭演説では「ブームからは未来は生まれない」と語った。
「小池氏への個人攻撃は避ける」「小池氏が国政進出しなければ、党代表なのに首相指名できない無責任な体制を攻める」――。首相周辺は対小池戦略の一端を明かす。
安倍氏と小池氏。保守派であることや、改革への前向き姿勢という意味では共通点が多い。政治家になるまでの経歴は違う。祖父に首相をもつ政治家一家である安倍氏と、元キャスターとしての知名度を生かして政治基盤を築いた小池氏。小池氏が衆院選へのスタンスとして最近よく使う「チャレンジャー」という言葉は、サラブレッドたる首相への対抗心も漂う。
1993年。日本新党の衆院議員だった小池氏は同年8月に発足した非自民の細川内閣のキーマンの一人だった。野党自民党の新人議員だった安倍氏とは対照的だった。
2006年。首相に就いた安倍氏は小池氏を首相補佐官として起用した。「女性政治家で他に適当な人がいなかったため」と周囲は解説する。
昨年の都知事選で、自民党は人選に苦労していた。安倍氏は「まあ、小池さんでもいいじゃないか」と語っていた。だが女房役の菅義偉官房長官らが反対し、小池氏とは別の人を擁立した。「あのとき、官邸がうまく振る舞っていたら、今のようにはならなかった」と安倍氏周辺は悔やむ。
都議選後の7月21日、都内で山口県下関市議らと会食した際に、安倍氏は「小池さんは風を吹かせるのがうまい。敵に回してはいけない」と漏らした。「いやらしさを感じつつも、小池さんの持つひらめき力は評価している」。側近は安倍氏の心境を解説する。
小池氏は5日、都内で記者団に昔話を披露した。「自民党は羽田政権の後、(社会党と)村山政権を担いだことがあった。水と油で手を結ばれたことも思い出した」。22日の投開票後は様々な合従連衡が起こりうる。選挙後について聞かれた安倍氏と小池氏はともに同じ言葉を繰り返す。「選挙結果がどうなるかだ」
(島田学、黒沼晋)
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