2017年10月15日
選挙 その NO-19 勝敗のカギを握る東京&大阪 総選挙「序盤情勢」徹底検証日刊ゲンダイ
最重点区の10区も自民鈴木隼人が優勢(C)日刊ゲンダイ
勝敗のカギを握る東京&大阪 総選挙「序盤情勢」徹底検証
日刊ゲンダイDIGITAL 2017年10月15日
投開票日まで1週間。主要メディアの情勢調査では「自民が単独過半数を大きく上回る勢い」「自公で300議席超」と早くも与党の圧勝ムードだが、勝敗のカギを握るのが大都市圏だ。選挙区が多い大票田のうえ、有権者は無党派層が大部分を占める。つまり、無党派層が動けば、選挙結果は大きく変わってくるのだ。東京・大阪の序盤情勢を検証してみた。
■長妻当確、海江田が当落線上
都議選を大勝に導いた小池都知事の人気は陰りどころか、地に落ちている。小池率いる希望の党は、お膝元の東京で惨敗が濃厚だ。序盤の情勢調査などによると、約1130万人の有権者を抱える東京の25選挙区は自公候補が22勝の見通し。希望候補で見込みがありそうなのは、早々に民進党を離れた松原仁、長島昭久の2人しかいない。ヒドイありさまだ。
政治評論家の野上忠興氏は言う。
自民党は22選挙区を取って圧勝した14年選挙と変わらない勢いです。都知事選、都議選の余勢を駆って、小池都知事が希望の党を立ち上げ、民進党の前原代表と事実上の合流を協議し、連合の支援を取り付けたところまではよかった。
ところが、排除の論理を持ち出し、民進党を分断させて世論の反発を招いた。希望の党と立憲民主党の候補乱立を招き、自民党をアシストしている格好です。前回の選挙結果を分析すると、東京の小選挙区の当選ラインは約10万7000票。ポッと出の候補が集められる票数ではありません」
希望候補の陣営は軒並みお通夜状態で、「選挙区はダメだ、比例もダメかもしれない」と肩を落とす前職もいる。
自民は都議選の雪辱で燃えたぎっている。内閣支持率が反落し、不支持が支持を上回る安倍首相は露出させず、客寄せパンダの小泉進次郎を集中投入。「東京は安倍首相ではなく、進次郎で勝ちにいく」(自民党関係者)戦略だ。
立憲民主は海江田万里、落合貴之、菅直人、末松義規の4人が残り1週間の戦いぶり、投票率次第で逆転する可能性がある。
大阪
辻元は正真正銘の「野党」(C)日刊ゲンダイ
■辻元が大奮闘、佐藤ゆかりは落選ピンチ
維新との選挙区調整で希望が候補を擁立していない大阪では、当初は公明が立つ4選挙区以外はほぼ自民と維新の一騎打ちになるとみられていた。そこへ立憲民主が割って入り、健闘している。
「小選挙区で勝てそうなのが10区の辻元。候補を降ろした共産票の上積みも見込めます。立憲では6区の村上も、反自公票の受け皿を一手に引き受ける格好になり、公明の伊佐を猛烈に追い上げている。同様に、公明が相手の5区の長尾、16区の森山も急速に支持を集めています」(地元記者)
維新は今回、公明の選挙区を除くすべての選挙区に15候補を擁立した。そのうち7人が現時点で優勢に選挙戦を進めている。
「1区と9区は自民と拮抗。南に行くほど地力があり、14区の谷畑、17区の馬場、18区の遠藤は頭ひとつ抜け出した。19区の丸山も勢いがあります」(在阪テレビの選挙担当者)
8区の木下、15区の浦野も自民を僅差で追っていて、勝機はある。
公明は4選挙区を死守。微妙なのが自民だ。確実に勝てそうなのは2区の左藤、12区の北川くらいだという。
「4区の中山、7区の渡嘉敷は序盤情勢が優勢でも安心できない。相手候補はともに新人で、序盤は苦戦しても、伸びしろがある。11区の佐藤ゆかりは厳しい。大阪の選挙区は公明が4、立憲民主が1、維新は最大で11を取る可能性がある。そうなると、自民はわずか3に落ち込みます。森友問題は大阪の事件だし、中央権力への反抗心や安倍不信から、維新に票が流れることが予想されます」(野上忠興氏=前出)
維新が野党なのかは別として、大阪自民は大苦戦だ。
最側近なのに落選危機(C)日刊ゲンダイ
【東京10区】小池代表の最側近 若狭氏まさかの落選ピンチ
鈴木 隼人40自(前)
若狭 勝60希前
鈴木 庸介41立新
岸 良信62共新
絶望的だ――。希望の党を率いる小池代表の側近、若狭勝が落選濃厚となっている。
12日の東京メトロ要町駅。午前7時半。通勤・通学に向かうせわしない人波の中、若狭は駅頭でマイクを握っていた。「希望の党は志半ばです」「もう一度私を国会に押し上げていただきたい」と熱弁を振るっていたが、足を止めて耳を傾ける聴衆や握手を求める人は、ほとんどいない。
連日の演説でノドを潰しているのか、有権者に聴いてもらえない悲しみのせいなのか、若狭はかすれ声で時折言葉に詰まりながら「しがらみ政治」からの脱却をひたすら訴え続けていた。
若狭が再選を目指す東京10区は、もともと小池が出馬していた選挙区だが、今回は、7万票以上をかっさらった昨年の補欠選挙のようにはいきそうにない。
12日の朝刊各紙は「自公300議席超」との情勢調査を報じた。調査などによると、若狭は自民の鈴木隼人に大きく差をつけられている。自民を離党して公明票を失った上に、希望の失速に伴って小選挙区での勝利が“望み薄”の状態だ。加えて、無党派の浮動票は、飛ぶ鳥を落とす勢いの立憲民主の鈴木庸介に流れている。
「若狭さんは当選2回ですが、選挙は素人です。1回目は比例単独での当選。2回目は、自民党丸抱えの選挙でした。なのに、本人はまったく地元活動をしてこなかった。しかも、希望の党は混乱し、頼りの小池さんもすっかり有権者から嫌われてしまった。これで勝てるはずがありませんよ」(地元関係者)
演説後の若狭に「危機感を感じているか」と直撃すると、「票が割れて厳しい? そういう意識はないですよ。手ごたえはあります。自民、立憲、共産などの各候補者と競い合うのはシビれる。刺激的な戦いですね」と何とも前向きな様子。
比例区にも重複立候補しているが、比例で救われるかは微妙だ。
自民は、裏切り者の若狭を落選させるために、東京10区を「最重点選挙区」にし、人寄せパンダの小泉進次郎をはじめ、大物の応援弁士を続々と送り込んでいる。
タグ:衆院選
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