2017年10月16日
選挙 その NO-20 アチコチ の選挙 と 今時の情勢
選挙 その NO-20
衆院選・注目区を行く=東京12区、同 24区【17衆院選】
時事ドットコムニュース2017/10/16
◇緊張はらむ自公協力=残る都議選のしこり−東京12区
7月の東京都議選で、都知事小池百合子率いる地域政党「都民ファーストの会」と組んで勝利を収めた公明党。多くの議席を失った自民党との間に、しこりを残したまま衆院選に突入した。自公両党とも、国政では結束を維持する方針を打ち出していたが、水面下では緊張感をはらんだやりとりが交わされた。(敬称略)
「実績を見ても、自公連立政権しかない」。東京12区で立候補した公明党前代表の太田昭宏は12日夕、JR大塚駅前で、こうアピールした。だが、ここに至る道のりが平たんだったわけではない。
衆院解散を間近に控えた9月下旬。与党関係者によると、公明党側から自民党側に「もし東京12区や比例代表で自民党が協力しないのならば、東京は自主投票にする」と伝えたという。公明党が強気の態度に出たのは、希望の党結成を準備中の小池から、太田への対抗馬を立てないと内々に聞いていたからだ。
自民党都連幹部らには、都議選での大惨敗の記憶が生々しい。「公明党に協力しない選択肢はない」「断るべきだ」。都連内の意見は二分された。
都議選では七つある1人区で、公明党の支援を失った自民党は1勝しかできなかった。首相安倍晋三は、衆院選で公明党の協力が得られなければ都議選の二の舞いになると恐れ、解散前に受け入れを決断。落選した元都議らも太田の選挙対策本部に入った。
今月2日、公明党代表の山口那津男と並んで駅頭に立った安倍は、山口と太田の名を挙げ「安倍政権が4年半やってこられたのも、2人の力があったからこそだ」と持ち上げた。
2003年の衆院選以降、自民党は12区を公明党に譲ってきた。ある自民党区議は「自前の候補者を出したいという思いを、いっときも忘れたことはない」と語り、唇をかんだ。
共産党の池内さおりは、安倍政権のブレーキ役を自任してきた公明党を「アクセル以外の何ものでもない」と断じ、返す刀で「気を使って候補者を立てない希望の党も、しがらみだらけだ」と切って捨てた。
【東京12区】
中村 勝65 会社社長 諸 新
池内 沙織35 准中央委員 共 前
太田 昭宏72 元国交相 公 前
推(自)
◇対希望で与党結束=東京24区
衆院選公示までは話題をさらった小池も、選挙戦に入り勢いを失っている。小池が首相指名選挙の投票先を山口とする可能性に触れ、自公連立を揺さぶろうとしたことは、公明党の警戒心をあおり、かえって与党の結束につながっているようだ。
東京24区全体を覆う八王子市は、創価大のキャンパスがあり、公明党の支持母体である創価学会の影響力が強い地域でもある。自民党の萩生田光一は個人演説会で「比例は公明党」と呼び掛け、同党の市議にあいさつの時間を設けるなど配慮を欠かさない。
萩生田の事務所開きに駆け付けた公明党都議の東村邦浩は「決戦を前に小事を捨てて、都全域でがっちりスクラムを組むことになった」と語り、都政と国政で対応を区別する方針を強調した。
「私は何があっても、この街から出ない。選挙区である前にふるさとであり、最期は八王子の土になる覚悟だ」。萩生田は13日の集会で、郷土愛を強調した。小池が送り込んだ「刺客」で、元大阪府寝屋川市議の吉羽美華への対抗心がにじむ。
その吉羽は同日朝、JR八王子駅前に居た。小雨が降る中でビラを配りながら「忖度(そんたく)やしがらみという古い体質を打ち破ることができるのは希望の党だ」と訴えた。だが、ビラを受け取る人はまばらだ。
準備不足のまま出馬に踏み切った吉羽は住民票も移せておらず、事務所を設置したのは公示の数日前。都民ファーストの会の都議2人を頼りながら、手探りの選挙運動を続けている。
希望の失速は、他の野党の選挙運動に変化をもたらした。「踏み絵を踏まなかった」。立憲民主党の高橋斉久が希望の政策協定書への署名を拒んだことは、今やセールスポイントだ。「希望の党は自民党の補完勢力だ」との主張にも力が入る。
だが、この選挙区では共産党の飯田美弥子も立候補しており、野党候補の乱立が萩生田を利しているのは間違いない。高橋陣営からは「コップの中の嵐みたいだ」と、政権批判票の受け皿分散を嘆く声が漏れる。
【東京24区】
吉羽 美華37 元市議 希 新
萩生田光一54 幹事長代行 自 前
推(公)
飯田美弥子57 弁護士 共 新
高橋 斉久44 弁護士 立 新
(注)候補者名簿は敬称略。届け出順。年齢は投票日現在。党派名は諸=諸派、共=共産、公=公明、自=自民、希=希望、立=立憲民主。丸かっこは推薦政党。(2017/10/16-07:09)
立憲民主党 枝野幸男代表「安倍政権の政治は権力ゲーム」
日刊ゲンダイDIGITAL2017年10月16日
新党設立について「受け皿をきちんとつくらなければいけないと考えた」/(C)日刊ゲンダイ
小池新党の事実上の民進党“乗っ取り”に奮起し、枝野幸男代表がリベラル新党「立憲民主党」を立ち上げてから2週間。党公式ツイッターのフォロワー(読者)数は既に17万人を突破するなど、有権者の注目度は高い。12日間の選挙戦、「日本国民の生活の安心・立憲主義・民主主義、自由な社会をしっかり守っていく」「安倍政権をストップさせる」を柱に訴える。支持はどこまで広がるか――。
■誰でも普通に家庭を持てるのが「まっとうな社会」
――あらためて新党立ち上げの動機を振り返ると。
民進党というのは確かに不十分かつ、頼りない面もありましたが、それでも相当数のボリュームゾーンを持つ国民の選択肢のひとつでした。しかし、その政党が候補者を立てない、となると、これまでの支持者はどこに投票したらいいのか。自らの立ち位置とは違う候補者に投票せざるを得ない状況というのは、民主主義論としても不幸であり、(政治家として)政治の責任を果たすためにも、受け皿をきちんとつくらなければいけないと考えました。それが最大の理由です。
――街頭演説では聴衆からの「枝野コール」がすごいですね。手ごたえはどうですか。
短期間でこれほど大きな反響を頂けるとは思っていませんでした。正直言って期待以上です。
――大反響の理由をどう捉えていますか。
私は「右」や「左」という既存の概念や、トップダウン型の強権的な政治ではなく、一人一人の価値観を大事にする政治を尊重し、できる限り多くの声に耳を傾けながら合意形成を図りたいと考えています。おそらく、有権者も、そういう姿勢が欠如した民主主義では困る、と潜在的に思っているのではないでしょうか。
――安倍政権の最もダメだと思う部分は。
政治を権力ゲームと捉えていることです。権力ゲームに勝つこと自体が目的化していて、勝ったことに喜んでいる。それは19世紀の専制政治の発想であって、21世紀は民主主義の時代です。政治家の権力闘争は途中経過であり、我々政治家は国民の声を反映させるという道具に過ぎません。その意識が欠けているのではないか。選挙に勝てば好き勝手にやっていいと思っているのでしょうが、国民は政治家に白紙委任、全権委任をしているわけではない。
――新党のスローガンを「まっとうな政治」にした理由は。
自然と浮かびました。安保法や共謀罪など、安倍政権は多数議席を使って強行採決を繰り返し、異論や反対意見に対して説得しようという意思がまるで感じられませんでした。これは、まっとうな姿ではありません。加計問題でも、友達(加計学園理事長)であれば、本来は(特区申請を)遠慮してしかるべき。それが、まっとうな政治というものだと思います。
――「まっとうな政治」による社会とは。
今の日本では、学校を卒業し、正社員を希望しながらも、なれない人がたくさんいます。結婚して家庭を持ちたいという希望すら持てない人も多い。(政治が)そういう状況を放置し、景気が良くなった、などと開き直る社会というのは、やはり、まっとうではない。誰でも希望すれば、収入を得て、ごく普通に家族を持てる。よほど本人が怠けたり、サボったりしない限り、ローンを組んで自動車を買える。そういう生活を送ることができるのが、まっとうな社会だと思います。
新自由主義路線の希望の党は自民と変わらない
――安倍首相は景気が上向き、雇用が拡大したと言っています。
安倍さんがどんなに強弁しても、若い世代の中には苦しい生活を強いられている人が相当数います。繰り返しますが、これは「まっとうな社会」ではありません。ある切り口で経済統計を見れば、安倍さんが言うような意見もあるのは事実です。しかし、実際の国民生活に目が向いていれば、ああいう強弁はできません。少しでも国民の声に耳を傾けていれば気付くはずなのに、安倍さんは気付いていない。政治から排除、排斥されているという感覚が積み重なると、社会が分断され、活力が失われていく。今の日本は明らかにそういう状況に入っている。これは早く止めなければいけません。
――野党共闘について、どう考えていますか。
我々は、市民連合から「安倍政権のもとでの9条改定は許さない」「安保法制、秘密保護法、共謀罪などの違憲立法は廃止する」――という7項目の政策について要望を受けました。それらの政策は最優先で取り組む課題であり、7項目に共感する候補者を乱立させ、そうでない人たちに漁夫の利を得させるべきではない、と思っています。ただ、一方で、他党では受け止めきれない声を我々が受けるために立ち上がったわけです。ここは、明確にしておく必要があると思うのですが、(右でも左でもなく)真ん中がスポッと抜けていると考えている有権者にとって、共産党や社民党が受け皿になることは難しいでしょう。
私は自衛隊は合憲という立場であり、平和憲法の原則や専守防衛も含め、より良くなる法改正が可能であるならば改憲を否定しません。その意味では、保守の側面も持っています。市民連合が要望した7項目の政策や、安倍さんの政治姿勢におかしいと疑問を唱える部分では、他党と協力できるけれども、基本的には違う立場だということをしっかりと位置付けないと、受け止めきれない声がたくさん出てしまうと思います。
――希望の党について、どう見ていますか。
理念や政策が我々とは違います。規制緩和で競争を加速させれば景気が良くなるという新自由主義の経済政策や自己責任を強調する路線は、安倍さんと共通です。また、我々は、国が専守防衛から逸脱せず、領土・領海をきちんと守るけれども、外に行く(集団的自衛権の行使)ことはない、というスタンスですが、希望の党はそうではない。我々と立ち位置は明確に違います。
――小池さんと枝野さんの言う「保守」の違いは何でしょうか。
私は日本の歴史と伝統を大事にしています。急激な変化を求めず、漸進的に世の中を良くしていくというのが保守の定義。保守そのものです。日本の戦後70年の歩みというのは、リベラルな社会をつくってきました。そのリベラルな社会を守るというのが、本当の保守だと思います。保守とリベラルはイコールなのです。このリベラルな社会を壊そうというのは、現状の社会秩序を壊そうとしているのだから、革新です。本来の定義でいえば、安倍さんや小池さんは革新です。そこが混乱していると思います。私は保守であり、リベラルであるし、むしろ右と言うべきではないかとも思います。
■国会では足掛かりとなる勢力を作りたい
――選挙後に自公、希望による巨大連立与党が誕生するかもしれません。立憲民主党は、どう向き合う方針ですか。
民主主義は1回の選挙で終わるわけではありません。我が党は今回、過半数の候補を立てられてはいませんが、次回は政権を取るかもしれない。そのような足掛かりをつくらせていただきたい。共産党や社民党も含め、国会の議席数がどのくらいのバランスになるか分かりませんが、足掛かりのある勢力がきちんと存在していれば、野党としてやれることはたくさんあります。そういうポジションの受け皿をつくり、国会のなかで一つの勢力をつくる。全てはそこからだと思います。
――民進党出身者の中には、不本意ながら希望の党から出馬を決めた候補者も多数いると聞きます。当選後に立憲民主党入りを望む場合の対応はどうしますか。
確かに短い期間内での選択を迫られ、判断を誤ったという人もいると思います。(立憲民主党入りを求められた場合は)踏み絵や排除の論理を持ち出すつもりはありません。ただ、だからといって「はい分かりました」というのも民主主義論としては違う。まずは有権者との関係をきちんと整理し、理解を得られるプロセスを踏んでいただけるかどうか、が大変重要ではないか。
――当選者の目標ラインはありますか。
選挙には始まる前から結果が見えている場合と、投票日の3日ぐらい前まで分からない場合があり、今回は後者だと思います。あまり見通しを立てても仕方がない。全力でやるしかありません。
(聞き手=本紙・遠山嘉之)
マンション売買に本気出すなら コレ
衆院選・注目区を行く=東京12区、同 24区【17衆院選】
時事ドットコムニュース2017/10/16
◇緊張はらむ自公協力=残る都議選のしこり−東京12区
7月の東京都議選で、都知事小池百合子率いる地域政党「都民ファーストの会」と組んで勝利を収めた公明党。多くの議席を失った自民党との間に、しこりを残したまま衆院選に突入した。自公両党とも、国政では結束を維持する方針を打ち出していたが、水面下では緊張感をはらんだやりとりが交わされた。(敬称略)
「実績を見ても、自公連立政権しかない」。東京12区で立候補した公明党前代表の太田昭宏は12日夕、JR大塚駅前で、こうアピールした。だが、ここに至る道のりが平たんだったわけではない。
衆院解散を間近に控えた9月下旬。与党関係者によると、公明党側から自民党側に「もし東京12区や比例代表で自民党が協力しないのならば、東京は自主投票にする」と伝えたという。公明党が強気の態度に出たのは、希望の党結成を準備中の小池から、太田への対抗馬を立てないと内々に聞いていたからだ。
自民党都連幹部らには、都議選での大惨敗の記憶が生々しい。「公明党に協力しない選択肢はない」「断るべきだ」。都連内の意見は二分された。
都議選では七つある1人区で、公明党の支援を失った自民党は1勝しかできなかった。首相安倍晋三は、衆院選で公明党の協力が得られなければ都議選の二の舞いになると恐れ、解散前に受け入れを決断。落選した元都議らも太田の選挙対策本部に入った。
今月2日、公明党代表の山口那津男と並んで駅頭に立った安倍は、山口と太田の名を挙げ「安倍政権が4年半やってこられたのも、2人の力があったからこそだ」と持ち上げた。
2003年の衆院選以降、自民党は12区を公明党に譲ってきた。ある自民党区議は「自前の候補者を出したいという思いを、いっときも忘れたことはない」と語り、唇をかんだ。
共産党の池内さおりは、安倍政権のブレーキ役を自任してきた公明党を「アクセル以外の何ものでもない」と断じ、返す刀で「気を使って候補者を立てない希望の党も、しがらみだらけだ」と切って捨てた。
【東京12区】
中村 勝65 会社社長 諸 新
池内 沙織35 准中央委員 共 前
太田 昭宏72 元国交相 公 前
推(自)
◇対希望で与党結束=東京24区
衆院選公示までは話題をさらった小池も、選挙戦に入り勢いを失っている。小池が首相指名選挙の投票先を山口とする可能性に触れ、自公連立を揺さぶろうとしたことは、公明党の警戒心をあおり、かえって与党の結束につながっているようだ。
東京24区全体を覆う八王子市は、創価大のキャンパスがあり、公明党の支持母体である創価学会の影響力が強い地域でもある。自民党の萩生田光一は個人演説会で「比例は公明党」と呼び掛け、同党の市議にあいさつの時間を設けるなど配慮を欠かさない。
萩生田の事務所開きに駆け付けた公明党都議の東村邦浩は「決戦を前に小事を捨てて、都全域でがっちりスクラムを組むことになった」と語り、都政と国政で対応を区別する方針を強調した。
「私は何があっても、この街から出ない。選挙区である前にふるさとであり、最期は八王子の土になる覚悟だ」。萩生田は13日の集会で、郷土愛を強調した。小池が送り込んだ「刺客」で、元大阪府寝屋川市議の吉羽美華への対抗心がにじむ。
その吉羽は同日朝、JR八王子駅前に居た。小雨が降る中でビラを配りながら「忖度(そんたく)やしがらみという古い体質を打ち破ることができるのは希望の党だ」と訴えた。だが、ビラを受け取る人はまばらだ。
準備不足のまま出馬に踏み切った吉羽は住民票も移せておらず、事務所を設置したのは公示の数日前。都民ファーストの会の都議2人を頼りながら、手探りの選挙運動を続けている。
希望の失速は、他の野党の選挙運動に変化をもたらした。「踏み絵を踏まなかった」。立憲民主党の高橋斉久が希望の政策協定書への署名を拒んだことは、今やセールスポイントだ。「希望の党は自民党の補完勢力だ」との主張にも力が入る。
だが、この選挙区では共産党の飯田美弥子も立候補しており、野党候補の乱立が萩生田を利しているのは間違いない。高橋陣営からは「コップの中の嵐みたいだ」と、政権批判票の受け皿分散を嘆く声が漏れる。
【東京24区】
吉羽 美華37 元市議 希 新
萩生田光一54 幹事長代行 自 前
推(公)
飯田美弥子57 弁護士 共 新
高橋 斉久44 弁護士 立 新
(注)候補者名簿は敬称略。届け出順。年齢は投票日現在。党派名は諸=諸派、共=共産、公=公明、自=自民、希=希望、立=立憲民主。丸かっこは推薦政党。(2017/10/16-07:09)
立憲民主党 枝野幸男代表「安倍政権の政治は権力ゲーム」
日刊ゲンダイDIGITAL2017年10月16日
新党設立について「受け皿をきちんとつくらなければいけないと考えた」/(C)日刊ゲンダイ
小池新党の事実上の民進党“乗っ取り”に奮起し、枝野幸男代表がリベラル新党「立憲民主党」を立ち上げてから2週間。党公式ツイッターのフォロワー(読者)数は既に17万人を突破するなど、有権者の注目度は高い。12日間の選挙戦、「日本国民の生活の安心・立憲主義・民主主義、自由な社会をしっかり守っていく」「安倍政権をストップさせる」を柱に訴える。支持はどこまで広がるか――。
■誰でも普通に家庭を持てるのが「まっとうな社会」
――あらためて新党立ち上げの動機を振り返ると。
民進党というのは確かに不十分かつ、頼りない面もありましたが、それでも相当数のボリュームゾーンを持つ国民の選択肢のひとつでした。しかし、その政党が候補者を立てない、となると、これまでの支持者はどこに投票したらいいのか。自らの立ち位置とは違う候補者に投票せざるを得ない状況というのは、民主主義論としても不幸であり、(政治家として)政治の責任を果たすためにも、受け皿をきちんとつくらなければいけないと考えました。それが最大の理由です。
――街頭演説では聴衆からの「枝野コール」がすごいですね。手ごたえはどうですか。
短期間でこれほど大きな反響を頂けるとは思っていませんでした。正直言って期待以上です。
――大反響の理由をどう捉えていますか。
私は「右」や「左」という既存の概念や、トップダウン型の強権的な政治ではなく、一人一人の価値観を大事にする政治を尊重し、できる限り多くの声に耳を傾けながら合意形成を図りたいと考えています。おそらく、有権者も、そういう姿勢が欠如した民主主義では困る、と潜在的に思っているのではないでしょうか。
――安倍政権の最もダメだと思う部分は。
政治を権力ゲームと捉えていることです。権力ゲームに勝つこと自体が目的化していて、勝ったことに喜んでいる。それは19世紀の専制政治の発想であって、21世紀は民主主義の時代です。政治家の権力闘争は途中経過であり、我々政治家は国民の声を反映させるという道具に過ぎません。その意識が欠けているのではないか。選挙に勝てば好き勝手にやっていいと思っているのでしょうが、国民は政治家に白紙委任、全権委任をしているわけではない。
――新党のスローガンを「まっとうな政治」にした理由は。
自然と浮かびました。安保法や共謀罪など、安倍政権は多数議席を使って強行採決を繰り返し、異論や反対意見に対して説得しようという意思がまるで感じられませんでした。これは、まっとうな姿ではありません。加計問題でも、友達(加計学園理事長)であれば、本来は(特区申請を)遠慮してしかるべき。それが、まっとうな政治というものだと思います。
――「まっとうな政治」による社会とは。
今の日本では、学校を卒業し、正社員を希望しながらも、なれない人がたくさんいます。結婚して家庭を持ちたいという希望すら持てない人も多い。(政治が)そういう状況を放置し、景気が良くなった、などと開き直る社会というのは、やはり、まっとうではない。誰でも希望すれば、収入を得て、ごく普通に家族を持てる。よほど本人が怠けたり、サボったりしない限り、ローンを組んで自動車を買える。そういう生活を送ることができるのが、まっとうな社会だと思います。
新自由主義路線の希望の党は自民と変わらない
――安倍首相は景気が上向き、雇用が拡大したと言っています。
安倍さんがどんなに強弁しても、若い世代の中には苦しい生活を強いられている人が相当数います。繰り返しますが、これは「まっとうな社会」ではありません。ある切り口で経済統計を見れば、安倍さんが言うような意見もあるのは事実です。しかし、実際の国民生活に目が向いていれば、ああいう強弁はできません。少しでも国民の声に耳を傾けていれば気付くはずなのに、安倍さんは気付いていない。政治から排除、排斥されているという感覚が積み重なると、社会が分断され、活力が失われていく。今の日本は明らかにそういう状況に入っている。これは早く止めなければいけません。
――野党共闘について、どう考えていますか。
我々は、市民連合から「安倍政権のもとでの9条改定は許さない」「安保法制、秘密保護法、共謀罪などの違憲立法は廃止する」――という7項目の政策について要望を受けました。それらの政策は最優先で取り組む課題であり、7項目に共感する候補者を乱立させ、そうでない人たちに漁夫の利を得させるべきではない、と思っています。ただ、一方で、他党では受け止めきれない声を我々が受けるために立ち上がったわけです。ここは、明確にしておく必要があると思うのですが、(右でも左でもなく)真ん中がスポッと抜けていると考えている有権者にとって、共産党や社民党が受け皿になることは難しいでしょう。
私は自衛隊は合憲という立場であり、平和憲法の原則や専守防衛も含め、より良くなる法改正が可能であるならば改憲を否定しません。その意味では、保守の側面も持っています。市民連合が要望した7項目の政策や、安倍さんの政治姿勢におかしいと疑問を唱える部分では、他党と協力できるけれども、基本的には違う立場だということをしっかりと位置付けないと、受け止めきれない声がたくさん出てしまうと思います。
――希望の党について、どう見ていますか。
理念や政策が我々とは違います。規制緩和で競争を加速させれば景気が良くなるという新自由主義の経済政策や自己責任を強調する路線は、安倍さんと共通です。また、我々は、国が専守防衛から逸脱せず、領土・領海をきちんと守るけれども、外に行く(集団的自衛権の行使)ことはない、というスタンスですが、希望の党はそうではない。我々と立ち位置は明確に違います。
――小池さんと枝野さんの言う「保守」の違いは何でしょうか。
私は日本の歴史と伝統を大事にしています。急激な変化を求めず、漸進的に世の中を良くしていくというのが保守の定義。保守そのものです。日本の戦後70年の歩みというのは、リベラルな社会をつくってきました。そのリベラルな社会を守るというのが、本当の保守だと思います。保守とリベラルはイコールなのです。このリベラルな社会を壊そうというのは、現状の社会秩序を壊そうとしているのだから、革新です。本来の定義でいえば、安倍さんや小池さんは革新です。そこが混乱していると思います。私は保守であり、リベラルであるし、むしろ右と言うべきではないかとも思います。
■国会では足掛かりとなる勢力を作りたい
――選挙後に自公、希望による巨大連立与党が誕生するかもしれません。立憲民主党は、どう向き合う方針ですか。
民主主義は1回の選挙で終わるわけではありません。我が党は今回、過半数の候補を立てられてはいませんが、次回は政権を取るかもしれない。そのような足掛かりをつくらせていただきたい。共産党や社民党も含め、国会の議席数がどのくらいのバランスになるか分かりませんが、足掛かりのある勢力がきちんと存在していれば、野党としてやれることはたくさんあります。そういうポジションの受け皿をつくり、国会のなかで一つの勢力をつくる。全てはそこからだと思います。
――民進党出身者の中には、不本意ながら希望の党から出馬を決めた候補者も多数いると聞きます。当選後に立憲民主党入りを望む場合の対応はどうしますか。
確かに短い期間内での選択を迫られ、判断を誤ったという人もいると思います。(立憲民主党入りを求められた場合は)踏み絵や排除の論理を持ち出すつもりはありません。ただ、だからといって「はい分かりました」というのも民主主義論としては違う。まずは有権者との関係をきちんと整理し、理解を得られるプロセスを踏んでいただけるかどうか、が大変重要ではないか。
――当選者の目標ラインはありますか。
選挙には始まる前から結果が見えている場合と、投票日の3日ぐらい前まで分からない場合があり、今回は後者だと思います。あまり見通しを立てても仕方がない。全力でやるしかありません。
(聞き手=本紙・遠山嘉之)
マンション売買に本気出すなら コレ
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