2016年06月25日
Flacのすすめ
■「MP3は128kbpsでCD並の音質!」はWindows95時代のうたい文句
今を遡ること20年前、Windows95の時代のパソコン雑誌の表紙には、「MP3は128kbpsでCD並の音質!」このようなうたい文句が踊っていた。
その影響か、今でもMP3は128kbpsでCD並の音質と書いているサイトやブログが少なからず存在する。
実際には、MP3の128kbpsを聞くと、元データにはない雑音が加わって「シュワシュワ」「チリチリ」と常時聞こえる・・・。書いてる人は実際に128kbpsで聞いてCD並の音質だと思っているのだろうか・・・。
(いや、絶対ない。ライター達は自分用にはちゃんとした高音質音源を使っている。)
「安いプレーヤーやイヤフォンではどうせ差がわからない!意味がない!」と書いてあることもあるが、100均のかろうじて音が鳴ってるだけのイヤホンならともかく、イヤフォンを家に忘れて間に合わせに買ったコンビニの1000円のイヤフォンや、ヤマダ電機で1500円のイヤフォンでも十分128kbpsはわかりますって・・・。
何万円もヘッドフォンにかけないと違いが判らないような世界では決してないので、だからこそ、音源のファイルをあまり粗末にしないでもらいたいという話である。
圧縮音源に人間が気が付かないってエピソードは、人間のいい加減さを強調する方向で、話が盛りに盛られてることが多々あるのだ。
LAMEエンコーダーの320kbps、または--preset extremeを使っていれば、気が付けない、というのには同意するが、いくらなんでも128kbpsでCD相当だったりは盛りすぎである。
敢えていうなれば、MP3はPentium90MHz、HDD250MBの時代の遺物なのである。
携帯音楽プレーヤーの容量が64MB(メガバイト)だった時代ならともかく、64GBのマイクロSDカードが1980円で買える2016年にあっては、1曲を3メガバイトに圧縮する必要性は全くもってなくなったのだ。
もちろんスマホの通信料が厳しく制限されているこの時代に、ストリーミング用にチューニングされた256kbpsの音源を使うことにケチをつける趣旨ではないし、ましてやプレゼンテーションのファイルに無圧縮のWAV効果音をつけてバカでかいファイルサイズのメールを送り付けるという無神経な行為を推奨するという趣旨でもない。
持ち歩く音源としてのMP3はもう、役目を終えたのではないかということである。
■MP3による劣化具合を体感する
でもすでにMP3で構築したライブラリはどう考えるべきなのか?
お題目上は「MP3は人間に聞こえない音を削っているから、違いなんてわからない」
こうであるが、果たして本当にそうだろうか。
そこでMP3の中では最高音質とされるLAMEエンコーダーで--preset extremeで取り込んだデータをWAVEに戻して、元データとの差分を作り出して聞いてみることにした。
お題目が本当なら、差分から音はしないはず・・・。
簡単なので、以下の手順で作って聞いてみてほしい。
作り方(sound engine使用)
1.MP3のデータをWAVに戻したものを「波形反転」する。
2.元データ(CDからWAVにしたもの)とミックスする。
3.名前を付けて保存して、差分の出来上がり
波形表示
1.元データ
2.MP3
3.差分
リズム楽器の高音部だけでなく、伴奏や、あろうことか主旋律さえところどころ聞こえてくるところがポイントである。
つまりこれがMP3が「人間には聞こえてないだろうと決めつけてカットした音」の正体である。
本来鳴っているはずの音がこれだけカットされていて、音質に影響がないなんて言えるのだろうか?
事実上MP3で最高音質と言われるLAMEの--preset extremeでこれなのだから、MP3でどんなに高音質を志向しようと、削除して捨てている音がこんなにもあるということになる。128kbpsで差分を作ったらもっとひどいことになったのは言うまでもない。
MP3(128kbps)
差分
また、作られた差分の「音」の全体の大きさが320kbpsの時とくらべものにならないほど上がっているのもわかるだろう。
これがMP3に変換する際に削除された音である。
「MP3は人間の耳には聞こえない16kHz以上の高周波のデータを削除しているので容量が小さくなる」と説明されてきたが、実は聞こえない高音域以外についても「回りで大きな音がなっているから聞いてないだろうと思われる成分」とみなしてバシバシ切り捨てることによって、高い圧縮率を獲得しているというのが実態なのである。
Oh、なんてことだ・・・。
■MP3を捨ててCDからのリッピングはFLACに
ポータブルオーディオプレーヤーの容量も128GBまで到達し、FLACを使えばCDと変わらない音質がCDの約7割のサイズ(800〜1100kbps)で持ち運べるようになった今、データを破壊してまでMP3に拘るメリットはなんだろうか?
MP3が320kbpsであることを考えれば、容量はその3〜4倍程度である。
2000円を切るような普及価格帯になった64GBのマイクロSDカードでだって、CDそのものの音質で軽くアルバム100枚は持ち運べるのである。
とてもじゃないが聞ききれる量ではない。
かくして、MP3の登場によってCDから音質的に後退したポータブルオーディオの世界が、記録媒体の容量拡大という技術革新によって、20年の時を経てCD水準まで戻ってくることができたのである。
ここで大きな問題になるのは、MP3へのCDリッピングと異なり、FLACにはスタンダードになるような使い勝手のいい「リッピングソフト&エンコーダの組み合わせ」がないことだと思う。
リッピング・タグ付け、カバーアート付与、FLAC化、ライブラリ管理までの工程を自動で行ってくれる物はないだろうか、と探して、私はsony謹製のMedia Goを使用することにした。これが意外に簡単で便利なのである。
ユーザー設定からCDのインポートを「FLAC」に設定するだけ。もちろん無損失圧縮。簡単である。
圧縮率が選べないことには目を瞑ろう。出来上がりの容量は、ざっとアルバム一枚の容量で比べたところ当方の環境では最高圧縮(8段階)とメガバイト単位まで同じだった。
MediaGoの入手先
http://mediago.sony.com/jpn/download
また、購入したハイレゾのFLAC楽曲は高音質をアピールするためか.flacファイルでありながら「無」圧縮の場合があるので、取り回しを考えてxrecode IIで最高圧縮率のFLACにエンコードしてしまうのも手である。
※FLACはMP3と異なり、可逆圧縮なので、音を破壊しない。ようは、MP3のように捨てている音がない代わりに圧縮率が非常に低いのである。
FLACは圧縮率の指定を高くしても、効果に対して処理時間がかかるので意味はないといわれてきたが、こちらもCPU回りの技術革新によって、最高の圧縮率を設定しても全くと言っていいほど時間がかからなくなってしまったのだから、素直に最高圧縮率の8段階に設定すればいい。96kHz24bitのハイレゾ楽曲で4608kbpsのファイルが2600〜3200kbps程度にまでは縮んでくれる。
xrecode IIの入手先
http://xrecode.com/
今を遡ること20年前、Windows95の時代のパソコン雑誌の表紙には、「MP3は128kbpsでCD並の音質!」このようなうたい文句が踊っていた。
その影響か、今でもMP3は128kbpsでCD並の音質と書いているサイトやブログが少なからず存在する。
実際には、MP3の128kbpsを聞くと、元データにはない雑音が加わって「シュワシュワ」「チリチリ」と常時聞こえる・・・。書いてる人は実際に128kbpsで聞いてCD並の音質だと思っているのだろうか・・・。
(いや、絶対ない。ライター達は自分用にはちゃんとした高音質音源を使っている。)
「安いプレーヤーやイヤフォンではどうせ差がわからない!意味がない!」と書いてあることもあるが、100均のかろうじて音が鳴ってるだけのイヤホンならともかく、イヤフォンを家に忘れて間に合わせに買ったコンビニの1000円のイヤフォンや、ヤマダ電機で1500円のイヤフォンでも十分128kbpsはわかりますって・・・。
何万円もヘッドフォンにかけないと違いが判らないような世界では決してないので、だからこそ、音源のファイルをあまり粗末にしないでもらいたいという話である。
圧縮音源に人間が気が付かないってエピソードは、人間のいい加減さを強調する方向で、話が盛りに盛られてることが多々あるのだ。
LAMEエンコーダーの320kbps、または--preset extremeを使っていれば、気が付けない、というのには同意するが、いくらなんでも128kbpsでCD相当だったりは盛りすぎである。
敢えていうなれば、MP3はPentium90MHz、HDD250MBの時代の遺物なのである。
携帯音楽プレーヤーの容量が64MB(メガバイト)だった時代ならともかく、64GBのマイクロSDカードが1980円で買える2016年にあっては、1曲を3メガバイトに圧縮する必要性は全くもってなくなったのだ。
もちろんスマホの通信料が厳しく制限されているこの時代に、ストリーミング用にチューニングされた256kbpsの音源を使うことにケチをつける趣旨ではないし、ましてやプレゼンテーションのファイルに無圧縮のWAV効果音をつけてバカでかいファイルサイズのメールを送り付けるという無神経な行為を推奨するという趣旨でもない。
持ち歩く音源としてのMP3はもう、役目を終えたのではないかということである。
■MP3による劣化具合を体感する
でもすでにMP3で構築したライブラリはどう考えるべきなのか?
お題目上は「MP3は人間に聞こえない音を削っているから、違いなんてわからない」
こうであるが、果たして本当にそうだろうか。
そこでMP3の中では最高音質とされるLAMEエンコーダーで--preset extremeで取り込んだデータをWAVEに戻して、元データとの差分を作り出して聞いてみることにした。
お題目が本当なら、差分から音はしないはず・・・。
簡単なので、以下の手順で作って聞いてみてほしい。
作り方(sound engine使用)
1.MP3のデータをWAVに戻したものを「波形反転」する。
2.元データ(CDからWAVにしたもの)とミックスする。
3.名前を付けて保存して、差分の出来上がり
波形表示
1.元データ
2.MP3
3.差分
リズム楽器の高音部だけでなく、伴奏や、あろうことか主旋律さえところどころ聞こえてくるところがポイントである。
つまりこれがMP3が「人間には聞こえてないだろうと決めつけてカットした音」の正体である。
本来鳴っているはずの音がこれだけカットされていて、音質に影響がないなんて言えるのだろうか?
事実上MP3で最高音質と言われるLAMEの--preset extremeでこれなのだから、MP3でどんなに高音質を志向しようと、削除して捨てている音がこんなにもあるということになる。128kbpsで差分を作ったらもっとひどいことになったのは言うまでもない。
MP3(128kbps)
差分
また、作られた差分の「音」の全体の大きさが320kbpsの時とくらべものにならないほど上がっているのもわかるだろう。
これがMP3に変換する際に削除された音である。
「MP3は人間の耳には聞こえない16kHz以上の高周波のデータを削除しているので容量が小さくなる」と説明されてきたが、実は聞こえない高音域以外についても「回りで大きな音がなっているから聞いてないだろうと思われる成分」とみなしてバシバシ切り捨てることによって、高い圧縮率を獲得しているというのが実態なのである。
Oh、なんてことだ・・・。
■MP3を捨ててCDからのリッピングはFLACに
ポータブルオーディオプレーヤーの容量も128GBまで到達し、FLACを使えばCDと変わらない音質がCDの約7割のサイズ(800〜1100kbps)で持ち運べるようになった今、データを破壊してまでMP3に拘るメリットはなんだろうか?
MP3が320kbpsであることを考えれば、容量はその3〜4倍程度である。
2000円を切るような普及価格帯になった64GBのマイクロSDカードでだって、CDそのものの音質で軽くアルバム100枚は持ち運べるのである。
とてもじゃないが聞ききれる量ではない。
かくして、MP3の登場によってCDから音質的に後退したポータブルオーディオの世界が、記録媒体の容量拡大という技術革新によって、20年の時を経てCD水準まで戻ってくることができたのである。
ここで大きな問題になるのは、MP3へのCDリッピングと異なり、FLACにはスタンダードになるような使い勝手のいい「リッピングソフト&エンコーダの組み合わせ」がないことだと思う。
リッピング・タグ付け、カバーアート付与、FLAC化、ライブラリ管理までの工程を自動で行ってくれる物はないだろうか、と探して、私はsony謹製のMedia Goを使用することにした。これが意外に簡単で便利なのである。
ユーザー設定からCDのインポートを「FLAC」に設定するだけ。もちろん無損失圧縮。簡単である。
圧縮率が選べないことには目を瞑ろう。出来上がりの容量は、ざっとアルバム一枚の容量で比べたところ当方の環境では最高圧縮(8段階)とメガバイト単位まで同じだった。
MediaGoの入手先
http://mediago.sony.com/jpn/download
また、購入したハイレゾのFLAC楽曲は高音質をアピールするためか.flacファイルでありながら「無」圧縮の場合があるので、取り回しを考えてxrecode IIで最高圧縮率のFLACにエンコードしてしまうのも手である。
※FLACはMP3と異なり、可逆圧縮なので、音を破壊しない。ようは、MP3のように捨てている音がない代わりに圧縮率が非常に低いのである。
FLACは圧縮率の指定を高くしても、効果に対して処理時間がかかるので意味はないといわれてきたが、こちらもCPU回りの技術革新によって、最高の圧縮率を設定しても全くと言っていいほど時間がかからなくなってしまったのだから、素直に最高圧縮率の8段階に設定すればいい。96kHz24bitのハイレゾ楽曲で4608kbpsのファイルが2600〜3200kbps程度にまでは縮んでくれる。
xrecode IIの入手先
http://xrecode.com/
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