しかし、まぐれ当たりの新型コロナウイルス対策を日本モデルと言って良いはずがない。
アゴラより、
新型コロナの日本モデルは「まぐれ当たり」だった
2020年05月31日 15:00
池田 信夫
アゴラ研究所所長(学術博士)
http://agora-web.jp/archives/2046365.html
記事より、
新型コロナに関する海外の論調が変わってきた。日本経済新聞は、ドイツの著名なウイルス学者が「日本の新型コロナウイルス対策を近い将来の手本にしなければならない」と語った
これは危険である。ヨーロッパが日本の生ぬるい感染症対策をまねないほうがいい。日本はハンマーとダンスのうち、ハンマーの局面がなかったが、西欧と北米ではハンマーがあった。日本の劇的な成功はまぐれ当たりだったからだ。
その原因は基本再生産数Roの違いである。西浦博氏によるとドイツのRoは2.5だったらしいが、日本はそれよりはるかに小さかった。
実効再生産数Rtだが、Roはその理論的な初期値である。西浦氏は3月19日の専門家会議で、Ro=2.5になると「オーバーシュート」が起こり、「最終的に人口の79.9%が感染する」と予想した。これが「42万人死ぬ」の根拠である。
その後、3月下旬にRtは上がり、この「最悪の予想」は当たるかもしれないと思われたが、4月から大きく下がり、現在の累計感染者は1万7000人。人口の0.01%である。なぜこんなに大きくはずれたのだろうか。
この計算はSIRモデルに依存するのでちょっとむずかしいが、感染可能な人口比S(t)の初期値をS(0)と書くと、Roは
Ro=βS(0)/γ
で定義される。ここでβは感染前の感染速度、γは感染後の回復速度である。接触削減はβを下げる政策、検査による隔離はγを上げる政策と考えることができる。普通はこの二つが政策変数で、S(0)は所与と考えられているが、それは自明ではない。
たとえば日本人の60%が新型コロナに対して(BCG接種で)自然免疫をもっていて、S(0)=0.4だったとすると、日本のRoはドイツの40%つまり1になる。したがって感染の増加率と隔離による減少率が均衡してRt=1のまわりを振動する。
これが上の図のRtの動きに近い。Rtは2月のデータの少ない時期には大きく振動していた(信頼区間の幅も大きい)が、2月下旬からRt<1となった。3月後半に一時的にRtは2を超えたが、4月初めからはずっとRt<1である。
ここで「Ro≦1だったらそもそも感染は拡大しないはずだ」という疑問があるだろう。これはその通りで、このように免疫力の強い日本人に一時的に感染が拡大したのはなぜだろうか。
その原因は輸入感染と考えられる。これについては専門家会議の押谷仁氏も認めている。
第二波は、欧州、米国、東南アジア、あるいはエジプトなど非常に広範な国々からの入国者を起点とした流行です。これらの国からの入国者からは300人程度の感染者を確認しているので、入国した感染者の実数は1000〜2000人と推定されます。
日本での感染は2月初旬に始まり、3月下旬に政府が段階的に入国制限を行うまで、感染者が自由に国内を移動できたので、大規模な流行になりました。この間の対応の遅れは悔やまれます。
これは大澤省次氏とほぼ同じ推定である。彼はRt=0.8として、輸入感染によって実際の感染曲線とおおむね同じ結果を出している。
ただ「入国者した感染者数が1000〜2000人」という押谷氏の推定は、検疫統計では裏づけられない。これは3月28日に自衛隊が入るまで、検疫所でPCR検査を行っていなかったためだ。入国してから発症した人も、そこから感染した人も、保健所の国籍統計がないのでわからない。国が「国籍別の発表は適切でない」と自治体を指導したためだ。
以上の推定には、二つの証明されていない仮説がある。日本人の自然免疫がドイツ人よりはるかに強いという仮説と、輸入感染が検疫統計の10倍近くあるという仮説だ。これらは実証的に検証(反証)可能な仮説である。
いずれにせよ、日本人のRoが2.5を大幅に下回ると考えないと、感染症統計を矛盾なく説明できない。このようにRoを過大評価して被害を大幅に過大評価したことが専門家会議の失敗だが、結果は大成功だった。
それは安倍政権の功績というよりBCG接種という幸運によるものだと思われる。過去にはインフルエンザで超過死亡が3万人以上になった年もあるので、この適合性はまぐれ当たりかもしれない。
秋にも予想される第二波にそなえる上でも、Roを徹底的に検証する必要がある。そのとき大事なのは、獲得免疫だけにこだわる感染症対策の常識を捨て、自然免疫を含む広い視野から問題をとらえなおすことである。宮坂昌之氏は、そういう新しい免疫学の最前線を示している。
今回の日本の成功は単なる幸運かもしれないが、これは公衆衛生を過信して予防接種をやめたヨーロッパの失敗かもしれない。この原因を解明して先進国の感染症対策を見直すことが、日本の政府と専門家の使命である。
まぐれ当たりの原因としては今回もSARSも中国発のウイルスということだ。
中国は日本をはじめとしてアジアは敵対関係にはなくアメリカが敵なので、特にアメリカ人に効果のある作戦行動を取るからだ。今回の新型コロナウイルスもSARSの一つ。
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