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2018年08月06日

「50歳で血圧高め」は認知症のリスク因子か 50歳の時点で収縮期血圧(SBP)値が130mmHg以上だった人は、血圧が低かった人と比べて、後に認知症を発症するリスクが高い

「50歳で血圧高め」は認知症のリスク因子か
50歳の時点で収縮期血圧(SBP)値が130mmHg以上だった人は、血圧が低かった人と比べて、後に認知症を発症するリスクが高い
可能性のあることが新たな研究で示された。HealthDayNews 2018年7月1日

論文の筆頭著者で国立保健医学研究所(フランス)のJessica Abell氏は「このことは、正常高値血圧(SBP 130〜139mmHg)であっても脳に悪影響を及ぼす可能性があることを示唆している」と述べている。

詳細は「European Heart Journal」6月12日オンライン版に掲載された。

各国の診療ガイドラインでは従来、高血圧の定義はSBP/拡張期血圧(DBP)値140/90mmHg以上が採用されてきた。

しかし、正常高値血圧でも心筋梗塞や脳卒中、心不全、腎不全のリスクが2倍とする最新のエビデンスに基づき、2017年に米国心臓病学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)は診断基準を130/80mmHgに引き下げている。

一方で、欧州高血圧学会(ESH)のガイドラインでは、診断基準は従来通り140/90mmHgに据え置かれている。

今回の研究では、Whitehall IIコホート研究に参加した英国の公務員8,639人(女性32.5%)を対象に、

1985年から2003年の間に血圧を6年ごとに計4回測定し、2017年まで認知症の発症を追跡して血圧と認知症の発症との関連を調べた。

今回は特に50歳、60歳および70歳時点の血圧に焦点を当てて解析したという。

その結果、社会人口学的な因子などさまざまな因子で調整した解析でも、

50歳時点でSBP値が130mmHg以上だった人は、
130mmHg未満だった人と比べて
その後に認知症を発症するリスクが1.38倍であることが分かった。

一方で、60歳および70歳時点のSBP値とDBP値はいずれの年齢でも認知症リスクと関連しないことも明らかになった。

さらに、平均年齢で45歳と61歳の間にSBP値が130mmHg以上だった期間が長いほど認知症リスクは上昇することも示された。

Abell氏によると、高血圧は一過性脳虚血発作(TIA)や脳白質の損傷、脳への血流不足などを引き起こす可能性が指摘されているという。

また、この結果から、中年期の早くから血圧が高い状態が続くほど認知症リスクは高まることが示唆されたことから、

「健康寿命を延ばすには中年期の血圧を正常に保つことが重要だ」と同氏は強調している。

専門家の一人で米アルツハイマー病協会のHeather Snyder氏は、この結果は脳と心臓の健康は直接関係するとした既存の報告を裏付けるもので、

「認知症予防のためにこの結果をどう生かしていくべきか、真剣に考えるべきだ」とコメントしている。

一方で、米マウントサイナイ医療センターのSam Gandy氏によると、

一定の年齢を過ぎると血圧を下げても認知症を予防できない可能性が示されており、

「血圧が高い状態が長期間続いた人は身体がその状態に慣れており、血圧を下げるとかえって認知機能に悪影響が出る可能性がある」と話している。

(HealthDay News 2018年6月13日) https://consumer.healthday.com/…/high-blood-pressure-in-you… Copyright コピーライトマーク 2018 HealthDay. All rights reserved.

2018年08月03日

賢い選択:抗菌薬、適正使用を

賢い選択:抗菌薬、適正使用を
2018年7月1日 (日)配信毎日新聞社

 「風邪」や中耳炎、胃腸炎を訴える患者に出されることが多い抗菌薬。

原因がウイルス性だと効果がないばかりか、副作用で健康を損ねたり、薬が効かない耐性菌を出現させたりとデメリットもある。

大人から子どもまで使うからこそ、確かな根拠に基づき賢く選びたい抗菌薬の適正使用についてまとめた。

【渡辺諒】

 ◇細菌検査で処方減

 「細菌はいませんでしたよ」。

まえだ耳鼻咽喉(いんこう)科クリニック(奈良県橿原市)では、鼻水や鼻づまりなど細菌感染が疑われる患者に対し、「グラム染色」という細菌を調べる検査をしてから治療法や薬の種類を決めている。

この取り組みを始めてから、100人当たりの抗菌薬処方件数が、2017年はピークだった06年の7分の1以下に減った。

 風邪や中耳炎の患者に対し、内科や小児科、耳鼻咽喉科で抗菌薬が出されるケースは多い。

外来診療で6割の患者に処方されたとする京都大チームの調査結果もある。

抗菌薬の適正使用を広めようと、厚生労働省は17年に手引を作成した。

6歳以上の風邪の患者に対し、鼻水だけがひどい場合や、痛みが特にひどい喉から細菌が検出された一部のケースを除き、「抗菌薬の使用は不必要」としている。

 海外でも抗菌薬の不適切な使用は問題になっている。

過剰医療を見直す米国のキャンペーン「Choosing Wisely」(賢い選択)では、

抗菌薬はほとんどの風邪に効かない」
「中耳炎は2、3日経過を見て、症状が改善しなければ病院に行くべきだ」

と訴え、使用を控えるよう求めている。

 鼻水や鼻づまり、中耳炎が疑われる耳の痛みがあった場合、どうすればいいか。

グラム染色で細菌が確認できなかった場合には抗菌薬の使用は控え、こまめに鼻をかんで物理的に鼻水を外に出すことが最も重要で有効なケアとされている。

 症状がひどい時は解熱剤や鎮痛剤を出すこともあるが、対症療法に過ぎない。

同クリニックの前田稔彦院長は「細菌の有無や種類が分からないのに抗菌薬を使うと、かえって症状を長引かせることがある」と指摘する。

 ◇チラシで説明

 抗菌薬への理解を深めてもらうことも適正使用には重要だ。

同クリニックでは患者への説明にも工夫を凝らす。
いろいろな細菌のイラストや効果のある薬、細菌の生息地を記したカラフルなチラシを用意して患者に配布している。

薬剤師の前田雅子さんは「しっかりした検査と説明があることで保護者もきちんと受け止めてくれているようだ」と話す。

 抗菌薬が不要なケースの場合、解熱剤や鎮痛剤、せき止めを病院で処方されたり、薬局で買い求めたりしても、症状は一時的に和らぐかもしれないが、早く治ることはないとされる。

感染症が専門の京都大病院の山本舜悟特定助教は「大人ならいつもと異なるひどい症状だと感じることが医師にかかる一つの目安」と助言する。

 抗菌薬が使われやすい病気に、食品や水からウイルスや細菌に感染して生じる胃腸炎もある。

厚労省の手引によると、水のような下痢症状があり、血圧の低下や免疫不全の状態、海外渡航歴がある場合に精密検査をして抗菌薬の使用を検討する必要があるが、症状が軽ければ使わなくてもいい。

ただし、便に血液が混じっている場合、体温が38度以上の時や、38度未満でも血圧低下や免疫不全がある時には抗菌薬を検討してもよいと指摘する。

 ◇乳幼児版手引作成へ

 「乳幼児期は年10回程度風邪を引き、受診する頻度も多いが、抗菌薬で(風邪の)重症化は予防できない。

肺炎に伴う入院も防がないとの結果が疫学的に証明されている」。

先月9日に開かれた国立国際医療研究センター病院のAMR(薬剤耐性)臨床リファレンスセンター主催のセミナー。

登壇した兵庫県立こども病院感染症科の笠井正志医師は、小児外来での抗菌薬の適正使用を広める重要性を訴えた。

 乳幼児の場合、どのようなケースで抗菌薬が必要となるのか。

肺炎が疑われる時は苦しそうな呼吸を伴うことがあり、保護者らは症状の変化を見落としてはならない。

東京都立小児総合医療センター感染症科の堀越裕歩医長は「ぐったりしていたり、意識がはっきりしていなかったりといった症状が一つの目安になる」と説明する。

 ◇ペニシリン系を

 ただ、溶連菌感染や中耳炎で抗菌薬を使用する場合でも、
必要以上に多くの種類の細菌に影響し、耐性菌の出現で問題の
「第3世代セファロスポリン系」は控えたい
(この系統の飲み薬は体内に吸収されることがほとんどなく,腸内細菌だけを死滅させる最悪の抗生剤として,投与するドクターは勉強していないと,今では開業医以外では常識化している)。

堀越医長は「原因となる特定の細菌だけに効果を発揮するペニシリン系から選ぶべきだ」と訴える。

 発熱や鼻水、せきなどの症状があっても、見た目が元気なら多くは抗菌薬が不要で、鼻水の拭き取りや、水分と栄養補給で安静にすれば十分という。

国の手引は6歳以上が対象のため、6歳未満についても今年度内に堀越医長らが作成を進め、乳幼児版を公表する予定だ。

 堀越医長は「保護者らが会社を休みにくく、子どもを抗菌薬で何とか早く治したいという思いで、効かない状況でも不要な薬を求める場合もある。

医師だけでなく、保護者らの認識を変える必要もある」と話す。

2018年08月02日

躁うつ病は治る,治せる病気です. 躁うつ病,現在は双極性障害と呼ばれています.

躁うつ病は治る,治せる病気です.
躁うつ病,現在は双極性障害と呼ばれています.


T型とU型に分けられ,T型は古典的な躁うつ病に相当し,入院が必要になるケースが多いです.

全く躁状態のないうつ病と違い,軽い躁状態を伴う場合,双極U型障害に分類されます.

かなりうつ病に近い場合には、気分安定薬とSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を併用するケースもあります。

糖尿病の方が、食べ過ぎに対して調子を崩しやすいため、食事療法を行う必要があるのと同様に、

生活リズムの乱れで調子を崩しやすい双極性障害の患者さんは、特に生活のリズムをきちんと保つ必要があります.

毎日、起床・就寝などの時間や、人と接した度合い、気分などをしっかり記録して、コントロールしていくことをめざします。

こうした治療を専門家の指導にもとづいて行うのは、なかなかたいへんですが、まずは本をもとに自習してみてはいかがでしょうか。
「対人関係療法でなおす双極性障害」水島広子著、創元社、2010年)

三環抗うつ剤は,劇的に効きますが,副作用が強く,次いででた四環抗うつ剤は,マイルドすぎ,ほとんど効きませんでした.

SSRI(パキシルなど)が出てきて15年以上経ちます.SNRI, NaSSAなどもあり,副作用も少なく,治療効果も上がり使える薬が増えました.

3剤のうちどれか使い慣れた薬があれば,臨床医としては困らない時代になりました.

ここ数年の間に、オランザピン(ジプレキサ)、ラミクタール(ラモトリギン)、エビリファイ(アリピプラゾール)と、三つの薬があいついで双極性障害に対する保険適用を取得しました.

うつ状態を寛解に導くことができれば,再発予防のために,上記3剤のどれかを使い,抗うつ剤自体は,時間をかけて漸減していきます.

副作用に,体重増加がある薬剤として,

【SSRI】
パロキセチン塩酸塩(パキシル錠など)、
エスシタロプラムシュウ酸塩(レクサプロ錠)、
フルボキサミンマレイン酸塩(デプロメール錠、ルボックス錠など)、

【SNRI】
ミルナシプラン塩酸塩(トレドミン錠など)

【NaSSA】
ミルタザピン(リフレックス錠、レメロン錠)、

【四環抗うつ剤】
ミアンセリン塩酸塩(テトラミド錠)、

オランザピン(ジプレキサ)は、糖尿病の誘発に注意が必要で、血糖値の測定等の観察が必要となります。また、体重増加がみられる場合が少なくありません。

基本的に必要のない薬は漸減し中止とします.全疾患に当てはまります.

また,生活習慣を見直すことを同時にします.

規則正しい生活を目指すことによって,服薬が必要なくなるのも躁うつ病の特徴かもしれません.

太りすぎが気になるのなら,次のことを心がけましょう.

@食事記録をつける
A夕食偏重や夜食をやめる
B朝食は必ず食べる
Cお酒を飲んだら,ごはんを減らす
D間食には牛乳や果物,芋を
E身近に食べ物を置かない
F体をよく動かす(1時間以上座りっぱなしにならない)
G毎朝体重を計り,記録する
H食べ過ぎたら,翌日の昼夕食で調節する
I断食,単品ダイエットは絶対にしない

2018年08月01日

外食1人前は普段の2人前

外食1人前は普段の2人前外食1人前は何人前?.jpg

2018年07月31日

「ちょっと少なめ」「小盛り」の実践方法

「ちょっと少なめ」「小盛り」の実践方法
小盛りに実践法 .jpg

2018年07月30日

糖尿病慢性合併症、命に直結する「えのき」

糖尿病慢性合併症、命に直結する「えのき」日経メディカルから抜粋
2018/6/28 岩岡秀明(船橋市立医療センター代謝内科部長)

 糖尿病の慢性合併症について解説します。前回は、何年も未治療のまま、または血糖コントロールが不良なままでいると血管が障害されて血流が悪くなり、そこにつながる臓器が障害されていくこと、そして、そのうち微小な血管が障害されて起こる「細小血管合併症」について解説しました。

 今回は、太い血管が障害された場合に起こる、足の閉塞性動脈硬化症(壊疽)や脳梗塞、狭心症などについて説明したいと思います。
壊疽(えそ)、
脳梗塞(のうこうそく)、
狭心症(きょうしんしょう)の頭文字を取って
「えのき」と患者さんに説明すると覚えてもらいやすいです。

これら大血管障害の原因となる動脈硬化症は、高血圧、脂質異常症、喫煙、肥満の人にも起こる疾患で、糖尿病特有の合併症ではありません。
ですが、糖尿病に罹患していると、高頻度で、しかも全身で起こるため、より注意が必要なのです。

 「え」の壊疽は、足の動脈が硬化し、狭くなったり詰まったりすることで血液の循環が悪くなり、小さな傷が治らずに潰瘍化してしまうというものです。
日本人でも、下肢切断の原因で一番多い原因は糖尿病です。
この合併症は、動脈硬化症がある程度進行してから起こります。
そのため、糖尿病の患者さんに対しては、定期的に靴と靴下を脱いでもらい、足を診察する必要があるのです。
神経障害がないかどうかの他、靴擦れや白癬など潰瘍につながる皮膚病変がないことを確認しましょう。

 糖尿病足病変に関する国際ワーキンググループによるリスク分類は、知覚神経障害がなくても、1年に1度は足の診察をするように推奨しています(表1)。
モノフィラメント検査や振動覚検査の他、足関節上腕血圧比(ABI)の測定で閉塞性動脈硬化症の進展の度合いを評価することもできます。

表1 糖尿病足病変に関する国際ワーキンググループによるリスク分類
グループ リスク       3年後の潰瘍発生率     適正な診察間隔
グループ0 神経障害なし        5.1%        1年に1回
グループ1 神経障害あり       14.3%         半年に1回
グループ2 神経障害/血管障害/足の変形 18.8% 3ヵ月ごと
グループ3 足潰瘍の既往あり 55.8% 1〜3ヵ月に1回

 足の動脈硬化が起こった際にまず見られる症状は、間欠性跛行です。歩いたり運動したりすると、ふくらはぎなどにだるさやこむら返りなどが起こりますが、10分ほど休むと症状がなくなるのが特徴です。

閉塞性動脈硬化症が進行すると、跛行が重症化し、そのうちに安静時にも痛みが出たり、足に潰瘍ができたりします。閉塞性動脈硬化症の治療は、まず禁煙です。また、血流を良くすることを目的として、抗血小板薬や血管拡張薬を処方します1)。

2018年07月29日

認知症やサルコペニア、慢性腎臓病などにおける虚血性細胞死の起因物質が自然破綻した大動脈プラークか

世界初、大動脈プラーク破綻の撮影に成功
提供元:ケアネット 公開日:2018/06/26
認知症やサルコペニア、慢性腎臓病などにおける虚血性細胞死の起因物質が自然破綻した大動脈プラークか

 動脈硬化病変である“プラーク”は、破綻により血栓を形成し、心筋梗塞などの致命的な虚血性疾患の原因となりうる。今回、大阪暁明館病院 心臓血管病センターの小松 誠氏らは、血管内視鏡を用いて、大動脈で破綻したプラークの発生、性状、大きさを調べることを目的に研究を行った。

 結果として、大動脈プラークの自然破綻の様子が血管内視鏡の使用により初めて明らかにされ、コレステロール結晶の多彩な形状が実証された。本結果は、論文としてJournal of the American College of Cardiology誌2018年6月26日号に掲載。

 本研究では、冠動脈疾患患者あるいは冠動脈疾患が疑われる患者324例に、血流維持型血管内視鏡を使用した大動脈内部の観察が行われた。その過程で、破綻したプラークの断片を採取し、偏光顕微鏡を用いて微小結晶状物質を分類し、大きさを測定した。

 主な結果は以下のとおり。

・324例中、262例(80.9%)の患者で、自然破綻した大動脈プラークが見つかった。そのうち120例は、横隔膜より下位で破綻していた。

・96例から482個のサンプルが採取され、アテローム性物質237個(49.1%)、フィブリン244個(50.6%)、マクロファージ111個(23.0%)、石灰化127個(26.3%)が観察された。

・サンプルとして得られたプラーク断片の長さの中央値は254μm、幅の中央値は148μmであった。

・アテローム性物質に含まれるコレステロール結晶は、数層〜数十層に折り重なって血中に遊離・飛散する“重層タイプ”と、1枚単位で遊離・飛散する“単層タイプ”があることがわかった。

・アテローム性物質から分離されたコレステロール結晶の大きさは、40μm×30μmであり、ゴースト像の86μm×13μmと比較して、小さい傾向にあった。

 この結果に対し、日本血管映像化研究機構は以下のように解釈している。

 本研究では、プラーク破綻に伴い、大動脈中に飛散する微小コレステロール結晶の性状を、世界で初めて生体内で確認することに成功した。

これまで、病理標本のゴースト像(標本を有機溶媒で洗浄した後に観察される、無数の細かい穴)としてしか認識されていなかったコレステロール結晶の、多彩な形状が実証された。

 この遊離コレステロール結晶は、動脈血中のみに存在し、静脈血ではほとんど観察されないことから、末梢組織で濾過され、全身臓器中の毛細血管の塞栓子となっている可能性がある。

すなわち、認知症やサルコペニア、慢性腎臓病などにおける虚血性細胞死の起因物質とも考えられ、今後の研究によっては、疾患概念を変える発見になるかもしれない。

■参考
NPO法人 日本血管映像化研究機構
(ケアネット 堀間 莉穂)

原著論文はこちら
Komatsu S, et al. J Am Coll Cardiol. 2018; 71: 2893-2902.

2018年07月28日

1日1回の牛乳摂取がサルコペニア予防に有効か

1日1回の牛乳摂取がサルコペニア予防に有効か
〜鳩山/草津コホート研究 提供元:ケアネット 公開日:2018/06/27
「サルコペニア」とは、加齢や疾患により筋肉量が減少することで、
全身の筋力低下および 身体機能の低下が起こることを指します。

サルコペニアという用語は、ギリシャ語で筋肉 を表す「sarco(サルコ)」と喪失を表す「penia(ぺニア)」を合わせた言葉です。

 毎日普通乳を飲む習慣が、高齢者におけるサルコペニアの予防につながる可能性が示唆された。

東京都健康長寿医療センター研究所の成田 美紀氏らが、日本の地域在宅高齢者を対象に、牛乳の摂取頻度とサルコペニアの有無との関連を検討したコホート研究により明らかにしたもの。

第60回日本老年医学会学術集会(2018年6月14日〜16日)において発表された。

 本研究の対象は、鳩山コホート研究の2012年追跡調査対象者、および草津町研究の2013年高齢者健診受診者のうち、

70歳以上でかつ簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)による食品摂取調査を行い、有効回答を得た810例(鳩山405例、草津405例)。

牛乳の摂取状況は、普通乳あるいは低脂肪乳について、摂取頻度ごとに3群に分けて評価し、サルコペニアの診断にはAWGSの診断基準を用いた。

 牛乳の摂取頻度とサルコペニアの有無との関連性は、

多重ロジスティックモデルを用いて解析し、

性、年齢、対象地域、総エネルギー摂取量(BDHQから推定)に加え、

BMI(21.5未満、21.5以上25.0未満、25.0以上)、
生活習慣(飲酒、喫煙および運動の習慣)、
食品摂取の多様性スコア(牛乳の摂取頻度以外)
および既往症(脊椎系疾患、骨粗鬆症の有無)について調整した。

 主な結果は以下のとおり。

・サルコペニア罹患者の割合は10.4%であった。

・牛乳の摂取頻度(毎日1回以上、毎日1回未満、飲まない)の割合は、普通乳でそれぞれ52.9%、28.5%、18.6%、低脂肪乳で18.1%、16.4%、65.5%であった。

・多変量解析の結果,普通乳を「飲まない」群に対する「毎日1回未満」と「毎日1回以上」の摂取群のサルコペニア保有リスク(多変量調整オッズ比)は、

それぞれ0.47(95%信頼区間[CI]:0.22〜1.03、p=0.059)、
0.41(95%CI:0.20〜0.83、p=0.013)となり、

「毎日1回以上」摂取群で有意に低かった。

・同じく低脂肪乳については、オッズ比はそれぞれ

0.82(95%CI:0.36〜1.85、p=0.627)、
0.54(95%CI:0.20〜1.47、p=0.225)であった。

・サルコペニア罹患と有意な関連がみられたほかの要因は、

高年齢1.16(95%CI:1.11〜1.22、p<0.001)、

BMI低値2.78(95%CI:1.56〜4.96、p=0.001)、

BMI高値0.41(95%CI:0.17〜0.97、p=0.041)および

脊椎系疾患の既往2.05(95%CI:1.08〜3.91、p=0.029)であった。

 発表者の成田氏は、

「普通乳を飲む頻度が高い人では、総エネルギー摂取量や体重1kg当たりのタンパク質量が多く、
PFC比におけるタンパク質・脂質比が上昇し、炭水化物比が減少している傾向がみられた。

縦断研究で検証していく必要があるが、普通乳を毎日1回以上摂取することは、
サルコペニア罹患に防御的であることが示唆された。

高齢期における乳・乳製品の継続的な摂取は、筋肉量や身体機能の低下を抑制する可能性がある」とまとめた。

(ケアネット 遊佐 なつみ)

2018年07月27日

Q:効果的に痩せるために何が必要ですか? A:本当に痩せる必要がありますか?

Q:効果的に痩せるために何が必要ですか?
A:本当に痩せる必要がありますか?

健康体なのか?未病、発病しているのか?
健康診断で、正常から逸脱しているデータがありますか?
血圧?血糖?肝機能?腎機能?脂質異常?胸部レントゲン?検尿?

まずは、痩せる必要がある疾患を持っていますか?
糖尿病、心筋梗塞、高血圧の家族歴がありますか?

肥満は、糖尿病、高血圧、脳血管障害、虚血性心疾患などの重要な危険因子です。

どの程度の肥満があるかを正確に評価して把握することは、それらの疾患の予防や治療のために役立ちます。

肥満の評価には、本来は、体脂肪率や体組成の計測が行われるべきですが、それらの計測は通常は困難です(普及している体脂肪計は、両足の間の電気抵抗を測定するに過ぎません)。

このため、身長と体重から、簡便に計算されるBMI(ボディ・マス・インデックス)が使用されます。

BMI(高さ)=体重(kg, 体積)÷{身長(m)}2(m2, 面積)

BMIの最も良い点は、たいていの人において、体の総脂肪量とよく相関することです。

18.5以上24.9以下が普通体重です。

BMIと平均余命の関係

喫煙しない米国の白人男性及び白人女性のBMIごとの10年後の相対的死亡リスクは、

BMI:20-24.9が最も死亡リスクが低い。

日本肥満学会では、BMI:22の体重を標準体重(統計的に最も病気にかかりにくい体重)としている。

例えば、肥満と糖尿病は関連があり、
40-59歳の男性で、糖尿病が強く疑われる人の割合は、

BMI18.5-22で5.9%、
BMI22-25で7.7%、
BMI25-30で14.5%、
BMI30以上で28.6%であった。

なお、加齢を重ねていない20-39歳の男性ではこのような大きな差は出なかった。

生命保険会社の調査では、一番死亡リスクが低かったのは、BMI:23 
であった。

BMIを計算していただいて、家族歴、現病歴、健康診断、人間ドックの検査値から、本当に痩せる必要があるか、
確認してください。
タグ:BMI 肥満 糖尿病

2018年07月26日

相談できるか否か、それが問題! 「報告・連絡・相談(ほう・れん・そう)」

相談できるか否か、それが問題!
「報告・連絡・相談(ほう・れん・そう)」

それでは、この3つのうち最も大切なのはどれでしょうか?

とくに「相談」は大事です。

報告や連絡は事後であることが多いのに対して、相談はまさに困っているときにできるからです。

また忙しくなるにつれて相談せずに自己解決し、後で後悔してしまうことが多いのではないでしょうか。

「こんなことで相談したら情けないか…」
「まぁ大丈夫だろう」
「あのひとに前に相談したときに怒られたし…」

など理由は多々あるかもしれませんが、
原因検索や対応に悩んだら相談すること、

相談される立場のひとは、相談されやすい環境作り、振る舞いを意識しましょう。

ひとのためになることを意識して実行すれば、
最終的に、自分を大きくしてくれることにつながります。
タグ:相談
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田中松平
元消化器外科医で,頭からつま先まで診れる総合診療科医です. 医学博士 元日本外科学会認定指導医・専門医, 元日本消化器外科学会認定指導医・専門医, 元日本消化器内視鏡学会専門医, 日本医師会認定産業医, 日本病理学会認定剖検医,
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