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2020年11月21日
6時間睡眠は酒気帯びの認知レベルー睡眠負債は悪
6時間睡眠は酒気帯びの認知レベルー睡眠負債は悪
仕事に家事に忙しいビジネスパーソンの中では、6時間睡眠は日常という人も多い。
しかし、ある研究では、6時間睡眠が常態化している人は、
酒気帯び時の認知レベルになっている可能性があることが指摘されている。
6時間睡眠の人は、自分の集中力低下に気づかない
睡眠不足や睡眠の質の悪さは、
あなたの健康やビジネスにおいて、さまざまなリスクを上昇させる。
8時間睡眠、6時間睡眠、4時間睡眠をそれぞれ14日間続ける3つのグループと、
3日間で睡眠時間なしのグループで、パソコンの簡単な作業をしてもらい、
集中力が途切れて起きたミスの回数を計測した、研究がある。
結果は、8時間睡眠のグループはミスが少なく、14日間にわたりほぼ完璧だったのに対し、
睡眠時間なしのグループは24時間時点でミスの回数が400%増加した。
その後、4時間睡眠グループは6日後にミスが400%増加し、
6時間睡眠グループは10日後にミスが400%増加した。
ビジネスパーソンにとって、6時間睡眠は普通だと思っている人が多い。
しかし、10日間続けるだけで24時間眠っていないグループと同じレベルに集中力が低下してしまう。
さらに問題は、24時間眠っていないと強い眠気を感じるが、
6時間睡眠グループは眠気をあまり感じず、
自らの集中力の低下にもほとんど気づいていなかったということだ。
これほど集中力が下がっているのに、それに気づかず仕事をこなしている現状を知ってほしい。
逆に、6時間睡眠を8時間睡眠に改善するだけで、驚くような集中力の向上が期待できるのだ。
睡眠6時間は酒気帯び認知レベル
睡眠をとらないと認知能力がどのくらい影響を受けるのかを調べたところ、
24時間寝ていないと、血中アルコール濃度0.1%と同程度まで認知能力が低下する
という結果がオーストラリアの研究機関から報告された。
日本の酒気帯び運転の取り締まりは0.03%以上からだから
徹夜をすると酒気帯び運転取り締まりの3倍以上の濃度で認知能力が低下してしまう。
ペンシルベニア大学の別の研究でも、
6時間睡眠を2週間続けると24時間寝ていないのと同じレベルにミスが増加していた。
全米自動車協会(AAA)交通安全財団が、
約2年間にわたり7000人ほどのドライバーを対象に交通事故の原因調査を行い、
2016年に結果を発表した。
それによると、7時間睡眠と比較し、睡眠時間が4時間以下になると、
交通事故を起こす危険は11.5倍になると発表されている。
睡眠不足の状態で運転するというのは、飲酒運転をやっているのと変わらない。
逆に睡眠時間を改善するだけで、大幅に交通事故のリスクを下げることができるのだ。
眠れば眠るほど、記憶力が向上する
何かを覚える日の「前日」の睡眠時間と記憶力の関係について、カリフォルニア大学で研究が行われた。
多くの学生を集め、学習日の前日に
「十分な睡眠をとるグループ」と「徹夜をするグループ」に分け、
翌日の正午に新しい情報を学習してもらう。
その後、2日間しっかり睡眠をとってもらった後でテストをすると、
徹夜したグループは成績が40%も悪いという結果が出た。
学習日の前日に徹夜をすると、翌日に脳の海馬が活動せず、記憶を残せなくなるのだ。
また、米国ハーバード大学では、
何かを覚えた日の「当日」の睡眠時間と記憶力の関係についての研究が行われている。
133人の学生を「学習日に十分な睡眠をとるグループ」と、「学習日に徹夜をするグループ」に分け、
さまざまな画像を見せて記憶してもらった。
さらに、睡眠をとったグループを3つに分け、それぞれ十分な睡眠をとりながら、
@記憶した翌日にテスト、A記憶した2日後にテスト、B記憶した3日後にテストを行った結果、
日を追うごとに記憶が強化され、Bの3日後のグループの成績がいちばんよいという結果が出た。
何か学習した日には十分な睡眠をとり、さらに寝れば寝るほど記憶力は向上する。
逆に、学習日に徹夜をしたグループは、その後2日間十分な睡眠をとったにもかかわらず、
Bと同じ日数が経過した3日目のテストで記憶の強化は認められなかった。
つまり、新たに学習した日に十分に眠らないと、
記憶を刻みつけるチャンスを失い、二度と取り戻すことができないのだ。
アスリートにとっても8時間睡眠の効果は絶大
アスリートにとって睡眠は決定的に重要である。
トレーニングや試合後に十分な睡眠をとれば、
運動による体内の炎症を鎮め、傷んだ筋肉や組織を修復させ、
細胞のエネルギーを回復させることができる。
そのため、トレーニングが激しいほど睡眠も多くとる必要があり、
国際オリンピック委員会も2015年に睡眠の重要性を訴えるレポートを発表している。
750以上もの科学的研究によると、6時間睡眠を8時間に変えるだけで、
疲労を感じるまでの時間が10〜30%延びる、垂直跳びの高さが向上する、
心肺機能が向上する、筋力のピーク値が上がる、血中酸素飽和度が上がる、
怪我のリスクが半分以下に下がるなど、
アスリートにとってさまざまなメリットがあることがわかってきた。
人間は、睡眠中も技能の習得をしている
体を動かしていない睡眠中に、脳が独自に技能の習得を行っていることが、
ハーバード大学の研究によって明らかになった。
右利きの人を集め、ふたつのグループに分かれてもらい、
左手を使ってキーボードで数字を打ち込む練習をしてもらう。
ひとつのグループは午前中に練習し、当日の夜にテストを受ける。
もうひとつのグループは夜に練習し、8時間寝てから翌朝にテストを受けるようにした。
練習からテストまでは、それぞれ12時間の間隔を空けているが、
8時間寝たグループは、当日にテストを受けたグループと比較して、
数字を打ち込むスピードが20%上昇し、正確性も35%上昇した。
さらに、当日テストを受けたグループも8時間睡眠後のテストでは同じように成績が向上したのだ。
つまり、脳は睡眠中も練習を続けており、これはキーボードのタイピングだけではなく、
各種スポーツ、職人の技術、運転や操縦の技術でも変わらない。
楽器を練習中に何回もミスをして上手く弾けない箇所があっても、
睡眠をとった次の日には、なぜか弾けるようになっていた
という経験をされている人も多いだろう。
これも同じしくみによるものだ。
感情が抑制できてカッとならない
睡眠不足の状態だとイライラするという人も多いと思うが、
その理由についてカリフォルニア大学で研究が行われた。
18〜30歳の健康な男女26人を対象にMRIで脳をスキャンした結果、
睡眠不足の状態になると、怒りの感情を生み出す
脳の「扁桃体」の反応が60%も増幅していた。
その上、合理性・論理性・意思決定を司り、衝動を抑制する「前頭前皮質」と
怒りを生み出す「扁桃体」のつながりが弱まって、
原始的な感情を抑制できなくなってしまうことも明らかになった。
職場でイライラしたり、「ついカッとなって」感情を爆発させてしまうと、
チームワークが乱れてしまう。
十分な睡眠をとって感情を抑制し、理性を保つことが、
あなたが現在抱えているプロジェクトを成功へ導く近道なのだ。
心身のアンチエイジングにも直結
成長ホルモンは脂肪の分解、骨密度の増加、筋肉の発達、
肌のターンオーバーの促進に関係するが、それだけではなく、
精神面にもさまざまな影響を与えることがわかっている。
成長ホルモンは脳の下垂体から分泌されるのだが、
不足すると、疲れやすく、集中力が続かなくなり、
孤独感を感じ、記憶力の低下を感じ、
イライラしたり落ち込んだりして何もやる気が出なくなってしまう。
若々しい肌と体形をキープし、
充実感に満ちて生き生きと仕事をこなし、
輝くような人生を送りたいなら、成長ホルモンは欠かせない。
そして、一日の中で最も成長ホルモンが分泌されるのは、
入眠後、1回目に現れる深い眠りステージ3のノンレム睡眠時なので、
睡眠の質の向上はアンチエイジングにも直結しているのだ。
深いノンレム睡眠が認知症のリスクを下げる
米国ロチェスター大学医療センターの研究チームは、
老廃物を排出するリンパ系が存在しない脳において、
アルツハイマー病やパーキンソン病に関係する
有害なタンパク質を排出する「グリンパティック系」というシステムが
存在することを有力な科学雑誌「サイエンス」に発表し、大きな話題となった。
睡眠中に神経伝達物質のノルアドレナリンが減少すると、
脳内の神経細胞(ニューロン)以外の細胞である
グリア細胞(ニューロンを補佐する細胞)が約60%縮小し、細胞の間隔が拡がる。
すると、脳脊髄液の流れがスムーズになり、
まるでリンパ管のように有害タンパク質を洗い流して脳外へ排出するのだ。
グリンパティック系が最も効率的に働くのは深いノンレム睡眠時で、
昼間の10〜20倍の老廃物を排出すると言われている。
そのため、長時間の睡眠をとったとしても睡眠の質が悪く、
深いノンレム睡眠が現れなければ老廃物は排出されない。
逆に、睡眠の質を改善し、深いノンレム睡眠が現れるようになれば、
脳が清掃され、アルツハイマー型認知症のリスクを下げることができるのだ。
睡眠の量と1回目のノンレム睡眠の深さ(眠りの質)がいかに重要かが分かったところで
睡眠の量と増やすためについて、次回考察していきたい。
>「酒気帯び時の認知レベル」6時間睡眠が、じつは一番危険な理由
睡眠を2時間増やせば人生が変わる
PRESIDENT Online 前野 博之 を参照しました。
https://president.jp/articles/-/40356?cx_referrertype=mail&utm_source=presidentnews&utm_medium=email&utm_campaign=dailymail
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2020年11月19日
ビタミン摂取で風邪を予防できるか? ビタミンA、C、D、E摂取と呼吸器症状との関連を検討
ビタミン摂取で風邪を予防できるか?
ビタミンA、C、D、E摂取と呼吸器症状との関連を検討
ビタミンA、C、D、E摂取と呼吸器症状との関連を検討
ビタミンDだけはもともと欠乏症の人が多く、サプリでも摂った方が良さそう。
ビタミンA、Eに関しても摂取量の多い方が風邪を引きにくい。
ビタミンCに関しては関連はなかった。
>ビタミンA、D、Eの摂取量が多い人は、風邪をひきにくい可能性がある
とする研究結果を、英インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)のSuzana Almoosawi氏らが、「BMJ Nutrition, Prevention & Health」10月27日オンライン版に報告した。
この研究は、英国の調査「National Diet and Nutrition Survey Rolling Programme(NDNS RP)」に
2008〜2016年に参加した、19歳以上の成人6,115人を対象としたもの。
Almoosawi氏らは、これらのデータを基に、
食事またはサプリメント(以下、サプリ)からのビタミンA、C、D、Eの摂取が、
風邪などによる呼吸器症状の予防に関連するのかどうかを検討した。
その結果、さまざまな呼吸器症状を報告したのは、6,115人のうちの33人であることが明らかになった。
こうした人たちは、全般的に年齢が高く、
ビタミンA、C、D、E、をサプリから定期的に摂取している人も少なかった。
また、これらの人々では、呼吸器症状がなかった人々と比べて、
食事からのビタミンAとEの平均摂取量も少ないことが明らかになった。
年齢、性別、BMI、世帯収入、喫煙の有無を調整して解析した結果、
食事とサプリからのビタミンAとEの摂取量が多い人は、
呼吸器症状が生じる頻度が低いことが明らかになった。
また、ビタミンDをサプリメントから摂取している人でも同様の結果が得られたが、
食事からのビタミンD摂取では、この関連は認められなかった。
さらに、ビタミンCと呼吸器症状との関連は認められなかった。
呼吸器症状と聞くと新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を思い浮かべる人も多いかもしれない。
しかし、これらのビタミンがCOVID-19をはじめとする呼吸器疾患の予防に有効かどうかは不明だ。
というのも、対象者のうち呼吸器症状を訴えていたのはわずか33人であり、
その原因も感染症なのか、慢性肺疾患なのかが明らかになっていないからだ。
また通常、この種の研究では、関連の有無を明らかにすることはできても、
因果関係を証明することはできない。
さらにこの研究では、世帯収入や喫煙の有無など、
ビタミン摂取量に影響を及ぼす可能性のある要因について考慮されていたが、
それ以外の要因が結果に影響した可能性も考えられる。
こうした点を踏まえて、この研究には関与していない
米Novant Health Primary Care Lindley ParkのDaniel Jobe氏は、
「興味深い結果だが、決定的とはいえない。
ビタミンの摂取量の多さが何を改善しているのかを突き止めるのは困難だ」と指摘する。
なお、ビタミンAを含む食品には、赤色あるいはオレンジ色の野菜や乳製品、
ビタミンAを強化したシリアルなどがある。
また、ビタミンEは植物油やナッツ類、葉物野菜などに含まれている。
一方、ビタミンDは近年、健康に関わるトピックとして注目を集めている。
また、ビタミンD欠乏とCOVID-19重症化リスクの上昇との関連が複数の研究で示唆されたのをきっかけに、
このビタミンへの関心はさらに高まっている。
Almoosawi氏は「今のところ、ビタミンDは摂取した方が賢明だといえそうだ。
ビタミンDが含まれている食品は少なく、
ビタミンDが欠乏している人は珍しくないからだ」と話している。
Almoosawi氏らは、今後さらなる研究を行い、ビタミン摂取がその後の呼吸器症状のリスク低下に関連するのかどうか検証したいとしている。
HealthDay News 2020年10月28日
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夜間血圧上昇型で心血管イベントリスク上昇ー6,000例超の日本研究
夜間血圧上昇型で心血管イベントリスク上昇ー6,000例超の日本研究
以前から言われていた、
夜間血圧の高い人が心臓血管イベント(狭心症、心筋梗塞、心不全)の発症が、通常型(早朝血圧の方が就寝前血圧よりも高い人)高血圧の人よりも高いことが、24時間血圧を測定する、多施設多人数の前向き研究で証明された。
今まで通り、診察室血圧測定ではなく、家庭血圧測定でしかも起床直後の血圧と就寝前血圧測定で
血圧の評価および血圧コントロールができているか否かの評価を行うことが再評価された。
>昼間と比べて夜間の血圧が高い人では心血管イベントのリスクが高まることが、
日本の前向き観察研究Japan Ambulatory Blood Pressure Prospective Study(JAMP)で示された。
自治医科大学循環器内科学主任教授の苅尾七臣氏らは、
夜間の収縮期血圧(SBP)値の上昇や、昼間と比べ夜間に血圧が上昇する「riser型」が、
心血管イベントのリスクと独立して関連していたとの結果をCirculation(2020; 142: 1810-1820)に発表した。
116施設の6,359例を解析
24時間自由行動下血圧測定(ABPM)値は
診察室血圧値よりも心血管イベントの予測因子として優れているとされるが、
これまでのABPMを用いた疫学研究は比較的小規模で
特定地域に限られており、確実なデータがなかった。
また高齢化に伴い患者数の増加が見込まれる心不全への影響も検討されていなかった。
こうした中、JAMP研究はわが国の心血管高リスク者を対象に全参加施設で同じABPM装置を用い、
共通の測定スケジュールやアプローチの下で
夜間高血圧および夜間の血圧下降パターンと心血管イベント
〔動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)+心不全の複合〕
の発生との関連が検討された。
解析対象は、2008〜17年に日本国内116施設で登録された心血管危険因子
(糖尿病、脂質異常症、高血圧、喫煙、腎疾患、心房細動、
メタボリックシンドローム、閉塞性肺疾患、睡眠時無呼吸症候群)を1つ以上保有するが、
症候性の心血管疾患はない6,359例。
全体の平均年齢は68.6±11.7歳、
男性が約半数(47.6%)を占め、降圧薬使用者の割合は76.7%だった。
平均4.5±2.4年の追跡期間中に心血管イベントは306件発生し、
うち脳卒中が119件、冠動脈疾患が99件、心不全が88件だった。
riser型で心不全リスク2.45倍に
解析の結果、夜間のSBPと複合心血管イベントリスクの間に有意な関連が認められ、
夜間のSBP値が20mmHg上昇するごとにASCVDリスクは18%
〔人口統計学的因子、臨床的危険因子を調整後のハザード比(HR)1.18、95%CI 1.02〜1.37、P=0.029〕、
心不全リスクは25%(同1.25、1.00〜1.55、P=0.048)上昇することが示された。
また、riser型の人では血圧の日内変動が正常な人と比べて
複合心血管イベントのリスクが約1.5倍で
(HR 1.48、95%1.05〜2.08、P=0.024)、
中でも心不全リスクは2.45倍だった(同2.45、1.34〜4.48、P=0.004)。
その一方で、夜間のSBP値が低過ぎると
24時間のSBP値は良好にコントロールされていても
脳卒中リスクが有意に上昇することが示された(同2.30、1.22〜4.35、P=0.010)。
苅尾氏らは「夜間の血圧高値および血圧変動がriser型であることは、
心血管イベントの発生に独立して関連しており、
中でも心不全の発生と強く関連していた」と結論。
また、「今回の研究結果から、
夜間の血圧管理を視野に入れた降圧療法の重要性が示された」と述べている。
早朝血圧;起床直後、排尿を済ませて、30分以内、
食事や薬を飲む前、椅子に座って2−3分たってから
左上腕で測定するタイプの自動血圧計で、
マンシェットの丸印が肘の曲げる側の内側に
右指3本で拍動を触れるところにあてて計測してください。
2回測りたい人は、上の血圧の低い方を記載する。
脈拍数も記載する。
就寝前血圧;就寝前、2−3分落ち着いてから測定する。
通常は早朝血圧が就寝前血圧よりも高く、130/80以上で高血圧になります。
就寝前血圧の高い人は、そうでない人に比べて、
3倍脳血管イベント発生率が高いことが知られていました。
また、riser型は別名”仮面高血圧”と呼ばれ、
検診では、引っかからない危険があり、
「サイレントキラー」という別名があります。
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2020年11月09日
「糖質ゼロ」とは
「糖質ゼロ」とは
最近は、「糖質オフ」「糖質ゼロ」「砂糖不使用」とうたった商品をよく目にします。
そうした商品で使われているのが、人工甘味料です。
甘いのに「糖質オフ」「糖質ゼロ」なのは なぜか、というと
「アスパルテーム」「アセスルファームカリウム」といった非糖質系の人工甘味料が使われているからです。
これらにはブドウ糖が含まれていないので、血糖値を上げません。
ところが、私たちが食べて「甘い」と騙されるように膵臓も騙されてしまいます。
血糖値は上がらないのに、インスリンが出てしまいます。
糖が来たと、体が錯覚してしまうのでしょう。
そうすると、結局は肥満や糖尿病につながってしまいます。
そのため 血糖値を上げないからと言う理由で人工甘味料を使っても、
インスリンの分泌量は増えるわけで、
長期的に見て糖尿病の予防ができた、肥満が解消された、
という実績は今のところありません。
糖質は単糖類まで分解されて吸収されます。
そのままの形で吸収される単糖類や単糖類が2つつながっただけの二糖類は、
たくさんのブドウ糖がつながっている多糖類のデンプンに比べると
消化にかかる時間がとても短く、早く吸収されやすいという特徴があります。
つながっている単糖類の数がデンプンよりも少なく3個から9個ほどの単糖類がくっついたものがオリゴ糖です。
オリゴ とはギリシア語で少ないという意味でオリゴ糖は「少糖類」とも呼ばれます。
オリゴ糖の特徴は、私たちの体内にある消化酵素では消化されにくく、吸収されにくいこと。
そのため、そのまま大腸に届いて腸内細菌の中でも善玉菌のエサになりやすい。
そういう意味では水溶性食物繊維と似ています。
大豆には「大豆オリゴ糖」、
玉ねぎ、ごぼう、アスパラガスといった野菜には「フラクオリゴ糖」が、
牛乳には「ガラクトオリゴ糖」が含まれています。
その他 希少糖「レアシュガー」と呼ばれる糖もあります。
名前のとおり希少な、自然界での存在量が少ない単糖や糖アルコール(糖質1種です)のこと。
自然界に最も多く存在している単糖類がブドウ糖で、果糖やガラクトースなども自然界にたくさん存在していますが、その他にも数は少ないものの自然界に存在している単糖や糖アルコールが50種類以上あるそうです。
ガムなどで すっかりお馴染みとなった「キシリトール」も希少糖の1つです。
虫歯予防効果があることが認められ 今では いろいろな種類のガムに使われています。
健康のため、と思って糖の質に目にいくのは当然ですが、
最終的には摂取総量が問題になります。
やはり、血糖値を上げないためには、糖質の全体量を制限すべきなので、
調味料に関しては、あまりこだわらずに、
おやつを食べたければ、その前の主食を減らしたほうが、正しいやり方だと思います。
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2020年10月24日
インフルエンザと新型コロナ(COVID-19)は鑑別できるか
インフルエンザと新型コロナ(COVID-19)は鑑別できるか
インフルエンザシーズンに突入します。
昨シーズンは世界的にインフルエンザ患者が減少しました。
新型コロナのせいで、世界的に感染予防の輪が広がったから?
海外渡航がほぼ途絶えたため、日本にインフルエンザが持ち込まれなかったから?
インフルエンザと新型コロナ(COVID-19)は鑑別できるか?
新型コロナ感染では、細菌感染症やその他ウイルス感染症の併発が少なからず報告されています1)。
インフルエンザシーズンを迎えるに当たって問題になるのは、
両ウイルスの鑑別ですが、日本感染症学会が提言した
「今冬のインフルエンザとCOVID-19に備えて」によると、
「COVID-19とインフルエンザの鑑別は困難である」と明記されています2)。
発熱、咳嗽、倦怠感など、
呼吸器系に感染するウイルスはだいたい同じ症状ですから、
鑑別は難しいでしょう。
Larsenらによるインフルエンザ患者2470人、COVID-19患者5万5924人の検討では、
症状が咳から始まりそのご発熱するのがインフルエンザ、
発熱してから咳が始まるのが新型コロナ3)。
いずれ、インフルエンザウイルスとSARS-CoV-2の感染を
同時に判定できるキットが登場すると言われています。
インフルエンザですら陰性証明を求める人がいる世の中、
ソフトバンクグループの孫正義社長も新型コロナの「PCRどんどんやろう」
と情報発信しているので、世論がこれに追随するでしょう。
恐らく「両方検査できるようになったら取りあえず検査する」
というのがニューノーマルになるのでしょう。
厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策推進本部は、
9月4日にCOVID-19流行下における季節インフルエンザ流行対策について、
「次のインフルエンザ流行に備えた体制整備について」の通知を出しました。
帰国者・接触者相談センターを都道府県ごとの受診・相談センターへ変更し、
発熱などの有症状患者さんから相談があった場合、
最寄りの適切な医療機関の案内や受診調整を行うことなどとしています。
(参考文献)
1) Lansbury L, et al. Co-infections in people with COVID-19: a systematic review and meta-analysis. J Infect. 2020 Aug; 81(2):266-75.
2) 一般社団法人日本感染症学会提言 今冬のインフルエンザとCOVID-19に備えて.
3) Larsen JR, et al. Modeling the Onset of Symptoms of COVID-19. Front.Public Health,13 August 2020.
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2020年10月15日
“ツインデミック”
“ツインデミック”
あなたもインフルエンザの予防接種をして下さい。
インフルエンザが流行する季節がまもなくやってきています。
今年は新型コロナとインフルエンザで“ツインデミック”になるかも、
と心配されています。
今年だけは、10月末までに、
どなたもインフルエンザの予防接種を受けてください。
「備えあれば憂いなし」です。
自然免疫と獲得免疫という言葉をご存知でしょうか?
生まれながらに備わっている自然免疫と、
特定の病原菌に感染したことで得られ、
その外敵を記憶して対抗する獲得免疫です。
社会全体で見ると、
最大の対抗策は集団免疫になりますが、
個々人としては免疫力を上げることも重要です。
一日のうち、人間の体内に1兆個の細胞ができるなかで、
遺伝的に出来そこないのがん細胞が5000個も含まれている
と言われています。
それを見つけ出して除去したり、
外から入ってきた異物を真っ先に叩くのが
NK(ナチュラルキラー)細胞です。
NK細胞は小さな異物の処理を担当するリンパ球の一種で、
もっとも代表的な自然免疫。
働いている時間が一番長く、
全身をくまなくパトロールしている、
いわば体の最前線を守る警察官です。
不良少年を巨悪にならないうちに排除するので、
体の治安がよくなります。
獲得免疫は自然免疫では勝てないときに働きます。
代表的なのは、T細胞やB細胞。
NK細胞が警察官なら、こちらは軍隊。
B細胞がつくり出す「抗体」はミサイルのようなものです。
ワクチンは、有事に備えてミサイルを打たせる軍事訓練と
考えてください。
軍隊は強固にできているため、
放射線を浴びたり、抗がん剤を使ったりしないかぎり、
弱まることはほとんどありません。
年を重ねてもシステムは健在なので、
ワクチンを子どもに打っても100歳のお年寄りに打っても、
同じように効果があります。
しかし、自然免疫は獲得免疫のように強固ではありません。
コンディションによって、
弱くなったり強くなったりすることがあります。
NK細胞の活性はピークが20歳で、
その後落ちていくという報告もあります。
いわゆる「免疫力が落ちる」というのは、
このように自然免疫の活性が弱まった状態を指します。
体内で不良少年が増加し、巨悪に成長してしまうと、
治安が悪くなります。
長生きしたければ、
常日頃から警察官を強くしておく必要があるのです。
手洗いをしたり、マスクをしたりすることで、
感染を防ぐという行為も大切です。
しかし、マスクの穴を1メートル四方だとすると、
インフルエンザウイルスは野球のボール、
コロナウイルスはピンポン球ぐらいの大きさです。
そうなるとどんな生活をしていても、
どこかで風邪と同じように感染して発症することもあるでしょう。
ならば、自分の免疫力を高めておくことが得策です。
「新型コロナウイルスはいつ収束するのか?」
人類にとって初めて体験するウイルスなので、
予測は困難です。
ワクチンがいつできるのか、
それよりも早く人間が集団免疫を獲得するのか、
まだ誰にもわかりません。
「あまり悲観的にならないほうがいい」ということです。
暗い気持ちでストレスを抱えると、
免疫力は落ちていきます。
あまりナーバスにならずに日常生活を送ることは、
ウイルスに対処していくうえで非常に重要です。
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2020年09月30日
ツインデミックを避けよう!10月末までにインフルエンザワクチン接種を
ツインデミックを避けよう!
10月末までにインフルエンザワクチンを接種されることをお勧めします。
インフルエンザと新型コロナに同時に感染したらどうなる?
公衆衛生の専門家は、今年はインフルエンザの予防接種が重要だと言う。
COVID-19とインフルエンザを併発したときの危険性が、まだわからないからだ。
今年はいつもの秋とは違う。
季節性インフルエンザと
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の両方が
同時に大流行する「ツインデミック」の恐れがあるからだ。
専門家の研究では、この2つの感染症に同時にかかる
可能性があることが示されている。
季節性インフルエンザは悪化すれば死に至ることもある病気で、
過去10年間で、年平均1万人が亡くなっています。
インフルエンザと新型コロナの両方に感染することは、
医療システムから見てもかつてない脅威だ。
季節性インフルエンザに限らず、
鳥インフルエンザが人間に感染して、
新しいパンデミックを引き起こす最悪の事態も見据えなければならない。
そもそも季節性インフルエンザとCOVID-19の症状は、非常に似ています。
ですから、正確かつ迅速に診断することは重要な課題です。
もし症状が軽かったとしても、自分で判断しないでください。
特にCOVID-19かどうかを、ひどい咳の有無だけでとらえてしまうのは危険です。
体や喉の痛み、発熱、呼吸器の症状がある場合は、
医師に連絡するようにして、COVID-19の検査を受けましょう。
実は、新型コロナが疑われる症状は様々であることが、明らかになってきています。
味や匂いがしなくなるだけではなく、
吐き気や下痢、
さらに足のつま先が赤く腫れる場合があることも分かっています。
病気になったときは、どんな感染症に罹患しているかはっきりさせることが重要です。
インフルエンザなら、かかりつけ医が抗ウイルス薬を処方してくれます。
COVID-19にかかった場合、重症者用の病院に行く必要があるかどうか、
かかりつけ医が助言してくれるでしょう。
ステロイド剤や、治験薬が処方される場合もあります。
もちろん、他の人に感染させないように、
患者は隔離されなくてはなりません。
インフルエンザは、軽症なら2、3日具合が悪いだけで自然に治るから、
たいしたことはないと考える人もいるかもしれませんが、それは誤りです。
インフルエンザは、入院する可能性もある感染症です。
知り合いに、インフルエンザウイルスが引き起こす肺炎になった
ことがある人がいるなら、病気の間どれほど辛かったか、聞いてみるべきです。
北半球でのインフルエンザ・シーズンが、
どれほど深刻なものになるかは、誰も分かりません。
ただオーストラリア、ニュージーランド、チリなど、
一足早くインフルエンザ・シーズンを迎えた南半球諸国から、
とても参考になるニュースはありました。
これらの地域では、冬場の季節性インフルエンザの発生率が驚くほど低かったのです。
理由として考えられるのは、南半球の各国政府が、
社会的距離の確保、手洗い、マスクの着用など、
効果的な新型コロナ対策をすぐに打ったからです。
このおかげで、南半球の冬でも、
インフルエンザウイルスが広がりにくくなっていたと考えられます。
ちなみに、オーストラリアのメルボルンは、
新型コロナのため、現在(20年9月15日時点)も
ロックダウン(都市封鎖)下にあります。
ところで、季節性インフルエンザの最大の感染源は子どもです。
つまり、学校の閉鎖も、感染拡大の防止に役立ちます。
やはり、インフルエンザの予防接種は受けるべきです。
あなたが感染して大丈夫だったとしても、
インフルエンザにかかったことが原因で亡くなる可能性がある人たちに、
感染を広げてしまうことを忘れてはいけません。
インフルエンザワクチンは100%有効ではありません。
ワクチンは、何カ月も前に、
そのシーズンに流行すると予想される4種の異なるウイルス株から作られます。
ですから、予防効果も、その年にはやるインフルエンザによって変わります。
ワクチン接種後にインフルエンザにかかったとしても、
軽症で済み、早く治る可能性も期待できます。
季節性インフルエンザとCOVID-19―
―この2つのウイルス性疾患を併発する可能性があること、
それらを免疫システムが同時に撃退するのが難しいことが既に分かっています。
肺が深刻なダメージを受け、回復までに時間も長くなり、
さらには合併症にかかるなどして重症化すれば、
死に至る危険も出てきます。
現在のところ、COVID-19とインフルエンザのどちらかにかかったことが原因で、
もう一方に感染する可能性が増すかどうかまでは分かっていません。
呼吸器ウイルス感染症は、気道の組織にダメージを与えます。
ですから一般に、抵抗力が弱まって
他の呼吸器ウイルスを撃退することが難しくなります。
さらに肺炎(どちらのウイルス感染でもなる可能性がある)が引き起こされれば、
今度は細菌が肺に侵入することにもつながります。
インフルエンザワクチンを接種するのであれば、20年10月末までに打つことをお勧めします。
ワクチンを接種してから免疫ができるまでに、10〜14日かかります。
このため、ワクチンを早期に接種すれば、
本格的なインフルエンザ・シーズンが始まる前に、
みなさんの体に「防衛システム」が作られます。
予防接種が遅くなるほど、
インフルエンザにかかる可能性は一般に高くなります。
厚生労働省も早めの接種を勧めていますが、
65 歳以上は10 月1日(自治体により異なる)から、
それ以外の人は10 月26 日から接種するよう
協力を求めています。
インフルエンザの「万能ワクチン」は
どんな型のインフルエンザ株に対しても効果があることです。
そうなれば、毎年、予防接種をしなくてもよくなるでしょう。
インフルエンザに対する万能ワクチンの候補は現在、
臨床試験の第3相(治験の最終段階)にあります。
万能ワクチンは、インフルエンザウイルスの表面にある
タンパク質の「ストーク領域」を標的とする抗体を生み出します。
ストーク領域は、18種あるインフルエンザウイルスの亜型ですべて同じです。
現在、アジアで、家畜から人間に感染する可能性が懸念される
2種類のインフルエンザウイルスがあり、注視されています。
今年は、新たなインフルエンザ株のパンデミックが危惧されています。
ランダムに起こる遺伝子の突然変異と、
ウイルスが人間の免疫系とどう相互作用するかが組み合わさることで、
鳥インフルエンザや、豚インフルエンザが
動物から人間へと感染することは分かっていても、
実際に、これらのウイルスが人間に感染する能力を、
いつどうやって獲得するかまでは予測できません。
COVID-19の登場で、
ワクチン製造能力を強化し、新規にワクチンを開発することを
余儀なくされています。
現在、COVID-19のワクチン開発に取り組んでいる企業は、
世界に150社以上あります。
こうしたインフラ、そして創造的な思考の文化を
構築できたことは、人類にとって大きな強みです。
今後も、感染症が大流行することは避けられないでしょう。
でも、私たちの「備え」も、ずっと良くなっています。
こうした事実から、未来に希望はあると私は考えています。
A8からのメルマガ希望
2020年08月27日
「老化」は抗えない現象か?治療可能な「病気」か?
金沢大学医学部卒医学博士
外科・消化器外科の専門医で、ジェネラリスト:総合臨床科医です。
末期がん患者を看取る緩和病棟と脳血管輪番病院として、
急性期から慢性期を診る病院の診療部長として働いています。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
今日の重病のほとんどは老化の一作用です。
したがって、老化の分子メカニズムとその治療方法を究明することは
最優先事項と考えられています。
老化は「人類の普遍的な運命」ですが、
その根本的原因を見つけて対処することで、
人々の寿命を延ばすことができると考えられています。
2016年にネイチャー誌に発表された研究論文によれば、
人間の寿命は115歳程度。この推測の基礎となっているのは、
100歳を超えると長寿者が減る傾向があり、
最高長寿者の記録は1990年代以降塗り替えられていないという
世界的な人口統計データです。
多くは平均して80歳以前に死んでいるのですから、
35年分は早く死んでしまっていると言えます。
高齢者の劇的な増加に対して高齢者の健康や
身体機能を維持する方法を見つけることができれば、
生活の質と経済、両方の面で大きな恩恵を受ける
ことになります。
老化速度を遅くする方法を探さなければなりません。
老化とは、腸内細菌叢の変化から
DNAのメチル化の程度の変化に至るまで、
体内の有害な変化の蓄積です。
マウスや線虫などのモデル生物を用いた研究により、
老化細胞の中で何が起こっているかが明らかにされ、
寿命を(時に驚くべき年齢にまで)延ばす
さまざまな方法が発見されています。
有望な治療薬の1つが、メトホルミンです。
メトホルミンはすでに、一般的な糖尿病治療薬として
長年使われていますが、
動物実験の結果から、
老衰、アルツハイマー病、がんを予防できるかもしれない
と推測されています。
健康な人がメトホルミンを服用することで老化を遅らせられる
可能ですが、
医師は正式な指導なしでは、
老化遅延を目的としたメトホルミンの処方はしません。
<メトホルミンの作用機序>
メトホルミンがAMPキナーゼ(AMPK)を活性化させる
ことが明らかにされています。
AMPKは乳酸からブドウ糖を合成する糖新生、およびアセチルCoAより
中性脂肪、コレステロールを合成する経路に関係して、
いずれもATP(エネルギー通貨)を増加させる作用を持ちます(TCAサイクル)。
肝臓のAMPKが活性化されると細胞内脂肪がエネルギー源として
燃焼される方向に働き、
さらに脂肪肝の患者さんではインスリン抵抗性が改善し、血糖も改善します。
また肝臓ではグリコーゲン分解と糖新生により糖が産生されますが、
メトホルミンは乳酸からの肝臓での糖産生量を抑制して
血糖を低下させるのです。
インスリンを過剰分泌させずに血糖を下げることが、
老化やガン化を抑制していると推測されています。
外科・消化器外科の専門医で、ジェネラリスト:総合臨床科医です。
末期がん患者を看取る緩和病棟と脳血管輪番病院として、
急性期から慢性期を診る病院の診療部長として働いています。
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「老化」は抗えない現象か?治療可能な「病気」か?
今日の重病のほとんどは老化の一作用です。
したがって、老化の分子メカニズムとその治療方法を究明することは
最優先事項と考えられています。
老化は「人類の普遍的な運命」ですが、
その根本的原因を見つけて対処することで、
人々の寿命を延ばすことができると考えられています。
2016年にネイチャー誌に発表された研究論文によれば、
人間の寿命は115歳程度。この推測の基礎となっているのは、
100歳を超えると長寿者が減る傾向があり、
最高長寿者の記録は1990年代以降塗り替えられていないという
世界的な人口統計データです。
多くは平均して80歳以前に死んでいるのですから、
35年分は早く死んでしまっていると言えます。
高齢者の劇的な増加に対して高齢者の健康や
身体機能を維持する方法を見つけることができれば、
生活の質と経済、両方の面で大きな恩恵を受ける
ことになります。
老化速度を遅くする方法を探さなければなりません。
老化とは、腸内細菌叢の変化から
DNAのメチル化の程度の変化に至るまで、
体内の有害な変化の蓄積です。
マウスや線虫などのモデル生物を用いた研究により、
老化細胞の中で何が起こっているかが明らかにされ、
寿命を(時に驚くべき年齢にまで)延ばす
さまざまな方法が発見されています。
有望な治療薬の1つが、メトホルミンです。
メトホルミンはすでに、一般的な糖尿病治療薬として
長年使われていますが、
動物実験の結果から、
老衰、アルツハイマー病、がんを予防できるかもしれない
と推測されています。
健康な人がメトホルミンを服用することで老化を遅らせられる
可能ですが、
医師は正式な指導なしでは、
老化遅延を目的としたメトホルミンの処方はしません。
<メトホルミンの作用機序>
メトホルミンがAMPキナーゼ(AMPK)を活性化させる
ことが明らかにされています。
AMPKは乳酸からブドウ糖を合成する糖新生、およびアセチルCoAより
中性脂肪、コレステロールを合成する経路に関係して、
いずれもATP(エネルギー通貨)を増加させる作用を持ちます(TCAサイクル)。
肝臓のAMPKが活性化されると細胞内脂肪がエネルギー源として
燃焼される方向に働き、
さらに脂肪肝の患者さんではインスリン抵抗性が改善し、血糖も改善します。
また肝臓ではグリコーゲン分解と糖新生により糖が産生されますが、
メトホルミンは乳酸からの肝臓での糖産生量を抑制して
血糖を低下させるのです。
インスリンを過剰分泌させずに血糖を下げることが、
老化やガン化を抑制していると推測されています。
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2020年07月19日
栄養の要は、タンパク質と脂質
栄養の要は、タンパク質と脂質
炭水化物ではありません。
からだを作り直す材料は、タンパク質と脂質、微量元素(ミネラル、金属)です。
炭水化物は糖質+食物繊維。
糖質は車で言えば”ガソリン”です。
食物繊維は必須栄養素になりますが、糖質は必須栄養素ではありません。
「糖新生」
糖質は乳酸、酢酸、アミノ酸、脂肪酸から肝臓で無限大に作れるのです。
栄養学が大きく変貌しました。
正しい知識を身に付けてください。
タンパク質は毎食手のひら1枚分、1日で手のひら3枚分の摂取が必要です。
肉100g、魚1尾、卵3個、豆腐1丁、牛乳3杯が目安です。
LDL-Cは肝臓で作ったコレステロールをからだに運んでいる形態です。
HDL-Cは余ったコレステロールを肝臓に戻すときの形態です。
細胞膜や神経伝達物質、ホルモンの材料になるのがコレステロールです。
家族性高脂血症は、ヘテロでLDL-Cが300以上、ホモで600以上に上がります。
動脈硬化の原因は、高血圧が6割、高血糖が4割です。
決して、高LDL-C血症が原因ではありません。
LDL-Cが200以上に達してない人は、高血圧、高血糖を心配すべきで、
薬でLDL-Cを下げてはいけません。
低LDL-C血症の人に脳出血が多いことがようやくわかってきました。
動物性脂肪、植物性脂肪にこだわらず、
積極的に脂肪とタンパク、食物繊維を摂ってください。
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2020年07月18日
「水分摂取で認知症が改善」
「水分摂取で認知症が改善」
右の図表は、認知症の高齢者を抱える家族たちによる「認知症を家族が治す」という勉強会で発表されたデータです。
月1回ペースで6カ月間行われた勉強会では、
●1日ごとに摂取した水分量
●1日ごとに食事から摂取した栄養カロリー
●1週間ごとの運動時間と運動した回数
●1週間ごとの排便回数
と、それらに伴った認知症の症状の変化が報告されました。
そして、水分摂取・栄養摂取・運動・排便の4項目において量と回数を増やしていった結果、
80%の家族が「認知症の症状が消失、もしくはほとんど消失した」と証言していることがわかります。
なかでももっとも影響を及ぼしているのが「水分の摂取量」です。
1日の平均水分摂取量を1263ミリリットルから1709ミリリットルと
約500ミリリットルも増やしたことが、
認知症の症状改善、消失に大きく貢献していることがわかります。
水をしっかり飲む習慣が認知症を改善・消失につながることは、
こうしたデータによっても実証されています。
※『なぜ水を飲むだけで「認知症」が改善するのか 1日1.5リットルの水分補給が命を救う』よりhttps://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4046047291/presidentjp-22