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2015年10月20日
金剛界 成身会 尊像パーツ描き15(金剛輪6)
金剛輪の尊像パーツ描き6
今回はB 十六大菩薩のうちの北方の不空成就如来の四親近菩薩(水色番号:22〜25)です。
金剛界曼荼羅は上が西です。
成身会 金剛輪 北方四親近菩薩
22)金剛業菩薩
ここまでくるとさすがに幾つかの図像や図像の記述に目を通していて、ふと大丈夫かな?と気になることが増えてきます。それで、『密教大辞典』で金剛業菩薩を調べると、「成身會の尊は・・・二手合掌して頂上に掲ぐ。」となっています。しかしこの図像では合掌というよりも両手を並べ掌を前に向けているように見えます。この違いの理由は不明ですが、ここでは参考にしている図像の形式を踏襲します。
金剛業は梵名のヴァジュラ・カルマの意訳。不空成就如来の南方の月輪に住し、諸仏を供養し衆生を済度する働きを誓願する菩薩。
両手を頂きに掲げる。
23)金剛護菩薩
両手の位置が微妙に異なるようにも見えますが、特に問題ありません。
金剛護は梵名のヴァジュラ・ラクシャの意訳。不空成就如来の西方の月輪に住し、衆生を守護する働きを誓願する菩薩。
二手金剛拳にして腰に置く。
24)金剛牙菩薩
参考図像からは尊像の容姿を読み取れない。『密教大辞典』によると「成身會の尊は・・・二拳を外に向けて胸に當つ。」とのこと。
金剛牙は梵名のヴァジュラ・ヤクシャからの意訳。不空成就如来の東方の月輪に住し、あらゆる障害を食い尽くし衆生を救済する働きを誓願する菩薩。
二手を金剛拳とし、外向させ胸に当てる。
25)金剛拳菩薩
大きく損傷していて容姿がわからない。『密教大辞典』には「成身會の尊は・・・二手金剛拳になし掲げて心に當て、腕稍屈し垂る。」とある。
金剛拳は梵名のヴァジュラ・サンディの意訳。不空成就如来の北方の月輪に住し、衆生を修行の成就へと導く働きを誓願する菩薩。
修行成就の象徴である二手金剛拳を胸前におく。
以上、不空成就如来の四親近菩薩は、
金剛業菩薩の位で諸仏供養、衆生済度し、
金剛護菩薩の位で衆生守護・救護し、
金剛牙菩薩の位で衆生へのあらゆる障害を滅し、
金剛拳菩薩の位で衆生の修行が成就へと導くこと
を表している。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年10月19日
金剛界 成身会 尊像パーツ描き14(金剛輪5)
金剛輪の尊像パーツ描き5
金剛界成身会の金剛輪内の尊像パーツ描き中です。
今回はB 十六大菩薩のうちの西方に位置する阿弥陀如来の四親近菩薩(水色番号:18〜21)です。
金剛界曼荼羅は上が西です。
成身会 金剛輪 西方四親近菩薩
18)金剛法菩薩
よく保存されていてわかりやすい。
金剛法は梵名のヴァジュラ・ダルマの意訳。観自在菩薩、観世音菩薩ともいい、阿弥陀如来の東方の月輪に住し衆生に法の清浄なるを覚らせる働きを誓願する菩薩。
左手で菩提心の象徴である蓮華を持ち、右手でその花弁を開くことで発心させることを表す。
19)金剛利菩薩
画面が荒れており少々わかりにくい。
金剛利は梵名のヴァジュラ・ティークシュナ(鋭利な剣)の意訳。文殊菩薩と同体で、阿弥陀如来の南方の月輪に住し仏智により衆生の苦を断ち切る働きを誓願する菩薩。
右手に堅固清浄なる菩提心の象徴である金剛剣をもち、左手に無尽蔵の智慧の象徴である梵篋を載せた蓮華を持つ。
20)金剛因菩薩
法輪を回すしぐさをしているように思われる。
金剛因は梵名のヴァジュラ・ヘートゥの意訳。弥勒菩薩ともいい、阿弥陀如来の北方の月輪に住し、堅固な菩提心を因とし法輪を転ずる働きを誓願する菩薩。
説法の象徴である法輪を両手で持つ。
21)金剛語菩薩
画面の損傷により顔の下半分がわかりに気が、手や三昧耶形ははっきりとわかる。
金剛語は梵名のヴァジュラ・ヴァーシャの意訳。阿弥陀如来の西方の月輪に住し、真言により衆生の正法を示す働きを誓願する菩薩。
右手に如来舌(舌に三鈷杵)を持つ。
以上、阿弥陀如来の四親近菩薩は、
金剛法菩薩の位で衆生に法の清浄なるを覚らせ、
金剛利菩薩の位で智慧で衆生の苦を断ち切り、
金剛因菩薩の位で衆生への説法へと立ち上がり、
金剛語菩薩の位で説法により衆生に正法を示す
ことを表している。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年10月18日
金剛界 成身会 尊像パーツ描き13(金剛輪4)
金剛輪の尊像パーツ描き4
今回はB 十六大菩薩のうちの南方に位置する宝生如来の四親近菩薩(水色番号:14〜17)です。
各尊の位置と順番については/2015/05/15の記事を参照のこと
成身会 金剛輪 南方四親近菩薩
14)金剛宝菩薩
落ち着いた表情や左手の持物は読み解きやすい。右手も施願印と見てよいと思う。
金剛宝は梵名のヴァジュラ・ラトナの意訳。宝生如来の北方の月輪に住し一切の衆生にあらゆる功徳を施与する働きを誓願する菩薩。
無限の財宝の象徴である三瓣宝珠を左手で持ち、右手は宝生如来と同じく施願印にする。
15)金剛光菩薩
真っ赤な日輪を両手で捧げ持つ姿がわかる。
金剛光は梵名のヴァジュラ・テージャの意訳。宝生如来の東方の月輪に住し、一切世界を照らし衆生の迷妄の闇を破ることを誓願する菩薩。
無限の輝きを象徴する日輪を両手で持つ。
16)金剛幢菩薩
損傷がひどく持物はほとんど視認できないが、尊名と左腕の動きから如意幢幡を両手で持つことで間違いないだろう。
金剛幢は梵名のヴァジュラ・ケートゥの意訳。宝生如来の西方の月輪に住し、一切世界の衆生のあらゆる願いを円満せしめることを誓願する菩薩。
一切与願の象徴である如意幢幡(旗頭に三瓣宝珠を載せた旗)を両手で持つ。
17)金剛笑菩薩
ここは・・・難物で、『密教大辞典』では「成身會の尊は・・・二手を耳の側に掲げ、拳を作して耳背を印する勢いなり。」とあるが、参考の図像では顔がやや左下を向き、右手を顎の下に拳を作り、左手は腰のあたりに置いているように見える。見えたまま描いたのが上の図のセットで、『密教大辞典』の記述に合わせたのが下の図のセット。さてどうしよう。
金剛笑は梵名のヴァジュラ・ハーサの意訳。宝生如来の南方の月輪に住しよく衆生済度したことを嬉び微笑む菩薩。
両手を口元に寄せてあらゆることが成就したことを喜び微笑む様を表現する。
以上、宝生如来の四親近菩薩は、
金剛宝菩薩の位で衆生に厚く施与し、
金剛光菩薩の位で衆生の迷妄の闇を破り、
金剛幢菩薩の位で衆生のあらゆる願いを円満せしめ、
金剛笑菩薩の位でよく衆生済度したことを嬉び微笑む流れ
を表している。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年10月12日
金剛界 成身会 尊像パーツ描き9(金剛輪)
金剛輪 尊格の配置と順番
続いて成身会 金剛輪内の尊像パーツ描きに進みます。
金剛輪内の尊格の配置と順番を簡単に説明します。
すこし詳しい内容は三昧耶会 金剛輪の記事で説明してますのでご参照ください。
金剛輪内の尊格は大きく四つのグループ(@〜C)に分かれます。
@ 五仏 (白番号:1〜5)
A 四波羅蜜菩薩 (黄番号:6〜9)
B 十六大菩薩 (水色番号:10〜25)
C 内四供養菩薩 (桃色番号:26〜29)
(カッコ内の色数字は上図の色番号に対応します。)
@ 五仏(白番号:1〜5)
白番号1〜5の五仏(五智如来)は金剛輪内に十字に配された五つの解脱輪の中央に住します。
金剛界曼荼羅世界は中尊 毘盧遮那如来(1)を中心にできていて、四方四仏(2〜5)は東南西北の時計周りに配されます(金剛界曼荼羅は上が西)。
A 四波羅蜜菩薩(黄番号:6〜9)
黄番号6〜9の四波羅蜜菩薩は毘盧遮那如来(1)の四方を囲むように東南西北の順に時計周りに住しています。
B 十六大菩薩(水色番号:10〜25)
水色番号10〜25の十六大菩薩は毘盧遮那如来(1)と四仏(2〜5)との位置関係から配置が決まります。
各四仏を取り囲む十六大菩薩をそれぞれ四親近菩薩と言い、それぞれ次の二つのルールに従って配置が決まります。
1)毘盧遮那如来に近い方が上位
2)毘盧遮那如来に向かって四仏の右側が上位
尊格がこちらを向きに座して描いている西院本金剛界曼荼羅ではわかりにくいのですが、金剛界世界では毘盧遮那如来に向かって説法を聴いていますので、同グループ内では毘盧遮那如来に近い尊格が上位になり、また右側上位文化の影響も働いています。
C 内の四供養菩薩(桃色番号:26〜29)
桃色番号26〜29の内四供養菩薩は八方位の東南西北が抜け「東南→南西→西北→北東」の順に配されることになります。
何度も同じ説明をしているのですが、まとめるということはそういうことだと思って諦めます。
それも今回で終わりなのでちょっと名残惜しい気もします。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年10月11日
金剛界 成身会 尊像パーツ描き8(初重四隅諸天)
初重 四大神 尊像パーツ描き
今回は初重四隅に位置する四大神(1〜4)の尊像パーツ描きをします。
四大神は九会金剛界曼荼羅の中下段六会のうち成身会を除く五会では八葉紅蓮華の三昧耶形で描かれていますが、成身会のみ尊像形で描かれています。
ここで四大神はそれぞれ金剛輪大円を支え持つように描かれ、東南の火天、西南の水天、西北の風天、東北の地天と共に、金剛輪大円そのものをを空天とみなし地水火風空の五大を表すとする。
初重 四大神 尊像パーツ(白番号1〜4)
21)火天
成身会に描かれている向きのままで図を載せているので少々わかりにくいが、よく保存されていて理解しやすい。
火の徳を表す。
22)水天
頬から首、胸部にかけて損傷のような剥離が見られるが、尊像が大きく描かれているので特に問題ない。頭部の龍蛇の姿が良い。
水の徳を表す。
23)風天
風天らしさとはなんだろう。
風の徳を表す。
24)地天
地天
地の徳を表す。
以上、四大神の下絵パーツを描きました。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年10月08日
金剛界 成身会 尊像パーツ描き6(第二重2)
第二重の尊像パーツ描き 2回目
金剛界成身会第二重の尊像描きをしています。
今回はA 四摂菩薩(番号:5〜8)です。
第二重 尊像パーツ A 四摂菩薩(番号:5〜8)
5)金剛鉤菩薩
磨耗剥離により尊像の色などが極めて不鮮明。
金剛鉤菩薩は毘盧遮那如来より出生した第二重東門を守護する門衛。
衆生済度、諸尊集合の象徴である金剛三鈷鉤を右手に持つ。
6)金剛索菩薩
色あせているが、表情や手の位置などがわかりやすい。
金剛索菩薩は毘盧遮那如来より出生した第二重南門を守護する門衛。
衆生を菩提にとらえ引き入れる働きの象徴である金剛龍索を右手で持つ。
7)金剛鎖菩薩
これも色あせて見えるが、顔や手の動きなどが鮮明で見やすい。
金剛鎖菩薩は毘盧遮那如来より出生した第二重西門を守護する門衛。
衆生を菩提に繋ぎとめる働きの象徴である金剛鎖を右手に持つ。
8)金剛鈴菩薩
ほかの尊像に比べると色、かたちともよく保存されている。
金剛鈴菩薩は毘盧遮那如来より出生した第二重北門を守護する門衛。
衆生を歓喜せしめ菩提に留めおく働きの象徴である金剛鈴を右手に持つ。
以上、四摂菩薩は衆生・諸尊を集合し、衆生を菩提にとらえ引き入れ、繋ぎとめ、留めおく四尊が描かれている。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年10月07日
金剛界 成身会 尊像パーツ描き5(第二重1)
第二重の尊像パーツ描き 1回目
次は第二重の尊像パーツ描きです。
金剛界曼荼羅中下段の六会の中でも成身会の第二重の構造は目立って異なります。
他の五会(三昧耶会、微細会、供養会、降三世会、降三世三昧耶会)は賢劫十六尊が描かれていますが、成身会では賢劫十六尊の代わりに本来描かれるべき賢劫千仏が描かれています。
ここで、成身会 第二重の尊格の配置について説明する。
成身会 第二重には千八尊が描かれており、大きく三つに分類されます。
@ 外四供養菩薩(白番号:1〜4)
A 四摂菩薩 (水色番号:5〜8)
B 賢劫千仏 (色番号なし:1〜8の八尊の間に描かれる千尊)
(カッコ内の色と数字は次の図の色番号に対応)
今回は@ 外四供養菩薩(1〜4)を描きます。
第二重 成身会 尊像パーツ @ 外四供養菩薩(1〜4)
1)金剛焼香菩薩
これは一見わかりにくいが、丁寧に線を拾っていくと尊像が浮かび上がってくる。しかし、色が・・・
金剛焼香菩薩は阿閦如来が毘盧遮那如来を供養するために出生した焼香を尊格化した女尊。
宝香炉を両手で捧げ持つ。
2)金剛華菩薩
これは色が線を養う。
金剛華菩薩は宝生如来が毘盧遮那如来を供養するために出生した盛華を尊格化した女尊。
盛華を両手で捧げ持つ。
3)金剛橙菩薩
どうだろうか?見えている図像を拾い集めて尊像を浮かび上がらせている。
金剛橙菩薩は阿弥陀如来が毘盧遮那如来を供養するために出生した橙燭を尊格化した女尊。
橙燭を両手で捧げ持つ。
4)金剛塗香菩薩
尊像の摩滅がひどく細部がほとんど不明。『密教大辞典』には「成身會の尊は・・・左手に器を持ち、右手は香を塗る勢にす。」とある。
剥落がひどく尊像の表情や手の位置などが読みにくい。
金剛塗香菩薩不空成就如来が毘盧遮那如来を供養するために出生した塗香器を尊格化した女尊。
塗香器を左手で持ち、右手で香を塗る仕草をする。
以上、外四供養菩薩の四女尊の尊像パーツを描きました。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年10月06日
金剛界 成身会 尊像パーツ描き4(外周4)
成身会外周 尊像パーツ描き終了
今回で成身会外周のパーツ描き終了です!
成身会 北方五天
いつも通り各尊像の位置がわかるように図に番号をつけておきます。
北門を守護する毘那夜迦の眷属である18を除く北方五天(16, 17, 19, 20)は地下天に属し、大地と地下世界の神々が住しています。
16)金剛面天(こんごうめんてん)
これはあまり表現力があるように見えない造形になってしまった。図像が完璧な猪頭人身がみられたのだろうか?
金剛面天は別名を金剛猪頭天と呼ばれる猪頭人身のヴィシュヌ神の化身。神話では水中に没した大地を引き上げる鋤を持つが、仏教に取り入れられ衆生救済の象徴たる金剛鉤が持物となった。
右手に金剛鉤を持つ。
17)炎摩天(えんまてん)
かなり画面が荒れている。持物の人頭杖もほとんどわからない。
炎摩天は一切衆生の善悪の業を裁断し、煩悩を滅する死と時間の神。
右手に持つ人頭杖は死後の衆生を裁く正義の法の象徴。
18)調伏天(ちょうぶくてん)
これも画面が荒れて一見わかりにくいが、手に持つ利剣や顔の表情など読み取れる情報は十分に保存されている。
調伏天は別名を拘刀毘那夜迦ともいい象頭人身の毘那夜迦の眷属で北門の守護天。
右手に持つ三鈷剣にて魔と闘い仏法を守護する。
19)毘那夜迦(びなやか)
ここもじっと見ていると象頭の相貌や持物が見えてくる。
毘那夜迦は象頭人身で大自在天と烏摩妃の子。障害を支配する智慧の神。
右手に蘿蔔根、左手に歓喜丸を持つ。
20)水天(すいてん)
これまでに描いた水天にくらべて、頭部の龍蛇がわかる。白蛇だ。ありがたい。
水天は水を支配する神。衆生の渇いた心を潤し菩提心を生み出す力を引き出す。
右手に持つ龍索は龍を模し一端に独鈷杵の先をつけた縄のこと。
以上、北方五天でした。
次回から成身会 第二重の尊像パーツ描きです。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年10月04日
金剛界 成身会 尊像パーツ描き3(外周3)
外周 尊像パーツ描き3
成身会の尊像パーツ描き、外周の3回目。
というわけで、今回は西方五天を描きます。
成身会 西方五天
外周西方には八護方天のうち西南(11)、西北(12)、東南(14)、北(15)の地居天に属する四天が位置する。ただし中央の13は西門を守護する毘那夜迦の眷属。
11)羅刹天(らせつてん)
う〜ん・・・なぜこんなことに・・・それでも神は神、ほとけはほとけ。
煩悩を破壊し仏法を守護する西南の護法天。
右手に煩悩を破壊する火焔棍棒を持つ。
12)風天(ふうてん)
こちらも摩滅がひどく手にする持物など一見ほとんどわからない。
風天は風を司り、雨雲をさそい黒雲を吹き払う大いなる力をもつ西北の護法天。
右手に煩悩を吹き払い宝珠(菩提心)を顕わにする宝珠風幢を持つ。
13)金剛衣天(こんごうえてん)
前回描いた東方五天のうちの金剛食天に比べると象度が高いというか、象っぽくみえる。
金剛衣天は弓箭毘那夜迦ともいう毘那夜迦の眷属。
弓箭を手に障害と戦い、また、愛欲の本性清浄をあらわす。西門の守護天。
14)火天(かてん)
こちらは右手に乗せる三角火焔はわかるものの、左手がわからない。『密教大辞典』では「右手胸前に三角印を持ち、左拳を掲げて仙杖を執る。」とある。御室版曼荼羅では人差し指を上に向ける。また、御室版曼荼羅の火天の相貌は老人のようだがここでは老人には見えない。
火天は煩悩を焼き尽くしほとけの智慧を与える東南の護法天。
右手に三角火焔、左手は人差し指を天に向ける。
15)毘沙門天(びしゃもんてん)
持物も全体もあまり見やすいとはいえない。
毘沙門天はヴァイシュラヴァナの音訳で、多く聞く者の意から多聞天とも呼ばれる。
仏敵を打ち据える護法の宝棒を持物とする。北方の護法天。
右手に宝棒、左手に塔を持つ。
以上、西方五天でした。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年10月03日
金剛界 成身会 尊像パーツ描き2(外周2)
外周 尊像パーツ描き2
成身会の尊像パーツ描き、外周の二回目。
今回は成身会外周南方の五天(06〜10)のパーツ描きです。
成身会 南方五天
南方の五天(06〜10)のうち08は南門を守護する毘那夜迦の眷属で、他の四天は飛行天に属し天空高く輝く日月星宿を代表する神々。
下図左は参考とした西院本曼荼羅の図で右が今回描いた尊像パーツ。
06)日天(にってん)
色がだいぶ剥離してしまっていて下の墨線が見えている。それでも右手に持つ太陽のかたちがわかるのが奇跡的。
日天は創造・自由の神で太陽神をあらわす。日天は生命の根源であり、天かける自由の象徴。
右手に真っ赤な太陽を載せる。
07)月天(がってん)
特に顔が摩滅してしまっているのがとても残念。
月天は星宿の王にて太陰の神。暗夜を照らす清涼なる光明は心を静寂の境地へと導く。
右手に清涼なる三日月を載せる。
08)金剛食天(こんごうじきてん)
成身会といえば金剛界曼荼羅の中でも特別な会だと思うのですが・・・これは、象にみえるか?なんか猿っぽい・・・こういう時、そのまま描くか、それとも他の会の毘那夜迦に習うかは悩みどころ。
金剛食天は梵名のヴァジュラ・マーラの意訳。右手に華鬘を持つ象頭人身の毘那夜迦の眷属。金剛鬘天や華鬘毘那夜迦、厳髻大将とも呼ばれる。
南門の守衛天。
09)彗星天(すいせいてん)
わざと顔の部分がが擦れているようにさえみえる。
彗星は七曜と異なる軌道を描くことから天体の運行を乱し天変地異を引き起こす力を持つと考えられた。この力から運命を変えることのできる大いなる力を持つ神とみなされた。
右手にする棍棒は大いなる力と彗星の象徴。
10)熒惑天(けいこくてん)
これほど画面が荒れていようとも全体の印象や形が伝わっていることだけでも、本曼荼羅がどれほどすごい曼荼羅なのかがわかる。
火星は光度変化や天体に逆行する動きなどから惑わす熒星とされ、災いの前兆と考えられた。運命を司る力を持つ神とみなされた。
右手に火星の赤い輝きの象徴である火聚を載せる。
以上、南方五天でした。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ