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2018年03月20日
中村吉右衛門主演「鬼平犯科帳」第6シリーズ第1話「蛇苺の女」
3月18日の午後11時から、CS放送の時代劇専門チャンネルで、中村吉右衛門主演「鬼平犯科帳」第6シリーズ第1話「蛇苺の女」が放送されました。
火付盗賊改方長官・長谷川平蔵(中村吉右衛門さん演じる)は、亀戸天神に参詣した。それは参詣であるが見回りを兼ねたものだった。
参詣後、亀戸天神門前の料理屋「玉屋」に寄った。「玉屋」は、平蔵の昔馴染みで、ひいきにしている店だった。
この店で働いている女の中に、おきさ(藤吉久美子さん演じる)という女がいた。おきさには、辛い過去があった。かつて、盗賊に手ごめにされ、そのために離縁していたのだ。
だが、おさきはつらい過去の潰れることなく健気に前を向いて生きていた。そんなおきさを見て、一安心して帰路につく平蔵。
帰り道、平蔵は、ある事件に遭遇する。偶然同じ玉屋にいた商人風の客が何者かに襲撃されたのだ。だが、平蔵が名乗ると、商人風のその男は、逃げるように姿を消した。
襲撃した方が火付盗賊改方長官・長谷川平蔵の名を聞いて逃げるなら分かるが、何故、被害者の方が姿を消すのか?
なにかやましいことが無ければ逃げないはず。
平蔵は即座に玉屋に戻った。
その客について尋ねると、その客が張替屋らしき男と会っていた事が判明する。
そして、よくよく調べていくうちに、商人風の客は「沼目の太四郎(中尾 彬さん演じる)」だと分かり、張替屋は「針ヶ谷の宗助(ベンガルさん演じる)」という男だと分かった。
沼目の太四郎は凶賊で、針ヶ谷の宗助は腕利きの嘗め役だった。嘗め役とは豪商の家の間取りや金蔵の位置等の詳しいことを調べ盗賊に教える者をいう。
平蔵は、宗助が豪商の家の絵図面を作って太四郎に売っているのだと睨み、密偵の相模の彦十(江戸家猫八さん演じる)、おまさ(梶芽衣子さん演じる)の両名に宗助を見張らせる。
すると、宗助は自分の女房のおさわ(余貴美子さん演じる)をよりによって玉屋で働かせ始めたのだ。もしや玉屋を押し込み先にしようと狙っているのか、と、平蔵は急ぎおきさに事情を説明した。おきさの協力のもと、調べていくと、驚くべきことが判明した。
宗助は玉屋の絵図面を作って大金を得て上方で暮らそうと考えていた。ところが宗助が「一緒に上方へ」と考えている女房のおさわは、あろうことか太四郎と密通しており、宗助を殺そうと計画していたのだ。
おさわの毒婦ぶりと、夫や情夫(太四郎)両名に情交をしつこく迫る「好き者」ぶりがすごい。
そして、「おきさ」と「おさわ」の生き方の対照的なことがはっきりしている。
さらに、捕まって「おさわ」の本当の姿を知らされても「あいつも本当は哀しい女なんです。前の亭主と身延へ行った時に追剥に襲われ、亭主は殺され、自分は身を汚され」云々と語り現実を理解できず毒婦を憎み切れないでる宗助という男の哀しさ、哀れさ。
それに対し平蔵は、
「おんなの身の上話というものはな、眉につばして聞くもんだ」
と苦笑いしながら言う。
善人も悪人も、それこそ数え切れぬほど見てきて、世の中の酸いも辛いも嘗め尽くした平蔵ならではの言葉です。