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2018年03月03日
中村吉右衛門主演「鬼平犯科帳」第3シリーズ第19話「密偵たちの宴」
3月3日の午前8時から、CS放送の時代劇専門チャンネルで、中村吉右衛門主演「鬼平犯科帳」第3シリーズ第19話「密偵たちの宴」が放送されました。
火盗改の長谷川平蔵(中村吉右衛門さん演じる)に仕える密偵たちは、盗賊上がりばかりであるが、みな、「お上のため(というより長谷川平蔵のため)」に働くようになっただけに、凶悪な賊を嫌い、盗みというものにポリシーを持っているのです。
つまり、
【殺さず、犯さず、貧しき者からは盗まず】
というものです。
たとえば、暴利をむさぼり貧しき庶民の為には働かない悪徳商人から盗み、誰も傷をつけない。気づかれないうちにサッと盗む。押し入った先ですぐに人を殺し女とみれば犯すような凶賊とは全く違う「義賊」と言われるようなものを理想としているようです。
長谷川平蔵の忠実な密偵・小房の粂八(蟹江敬三さん演じる)は、最近の盗賊にはロクなやつがいない、と嘆きます。さらには、本当の「お勤め」を見せてやりたいものだ、と仲間たちに言います。
相模の彦十(江戸屋猫八さん演じる)や伊三次(三浦浩一さん演じる)はこの提案に賛同します。
そして、医者兼高利貸の幻洞(戸浦六宏さん演じる)の屋敷の金蔵に狙いを定めます。
おまさ(梶芽衣子さん演じる)は、仲間たちの企てに反対で「馬鹿なこと」と言いますが、大滝の五郎蔵(綿引勝彦さん演じる)も企てに参加するに至って、ついに仲間には入ってしまいます。
で、ある日、高利貸の幻洞が盗賊の被害に遭います。
どうしてくれるんだ、はやく賊を捕まえてくれ、何をしているんだ、早く、と「鬼の平蔵」を詰る幻洞をよそに、「見事なものだ」と盗みの手口に感嘆する平蔵。
なにを感心しているんだ、とあきれつつ詰る幻洞に、平蔵は、三日以内に盗賊を捕まえてみせよう、捕まえられなかったら腹を切る、とキッパリ言い切ります。
ただし、このおれがそう約束するのだから、もしも盗まれた金がすべて戻ったら、その金を庶民の為に無利子で貸し出すんだぞ!
そう平蔵は幻洞に言います。
そして、盗賊捕縛に躍起になるかと思いきや、悠然と構え、何もしない。
そんな「おかしら」を見て同心・酒井祐助(勝野洋さん演じる)はヤキモキします。
それでも、大丈夫、とばかりに平蔵は余裕の表情を見せます。
すると、幻洞の屋敷前に、盗まれたのと同じ金額のお金が置かれ、さらには「無利子で貸します」との文字までが。
「これはわしの金だ!」
と叫ぶ幻洞をみて笑う町の人々。
密偵たちは軍鶏鍋屋「五鉄」で宴会を開きます。
すると、戸を叩く音が。
「ごめんよ、今日は貸切だ!」
しかし戸を叩く音が続きます。
外にいたのは平蔵でした。そして……。
平蔵の放ったひと言から、密偵たちは、「おかしら(平蔵)にはすべてお見通しだった」ことが分かります。
あぜんとする密偵たち。おまさは「だから、あたしは反対だったんだよ!」と言います。
このやりとりが面白いですし、なにしろ、医者でありながら高利貸をやっている男の慌てた様子と平蔵の悠然と構える様子の対比が面白く痛快です。