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2021年04月08日

【三方よし】フードバンク・ドライブ・パントリー


 フードバンクとは、品質には問題がないにもかかわらず廃棄される食品を、必要としている施設や世帯などに無償で配布する団体及びその活動のことです。フードバンクを活用することで、受益者だけではなく、企業や行政にも利点があります。受益者の利点は、食費を節約できることです。企業の利点としては、廃棄コストを削減できます。食品によって異なりますが、廃棄するために発生する費用はばかになりません。また、この活動は企業の社会的責任(CSR)を果たす社会貢献活動の一環とみなすことができます。行政としては、食品ロスの削減となります。食べ残しなどによる食品廃棄の抑制を目指している行政にとって、食品廃棄物のリデュース、つまり、発生の抑制にあたり、環境負荷の低減が期待されます。





 フードドライブとは、家庭などで食べきれずに余っている食品を持ち寄り、福祉施設やフードバンクに寄付する活動のことです。





 フードパントリーとは、さまざまな理由で生活に困っている人々に、食品などを無償で配布する福祉活動です。公民館、NPO事務所などを拠点として活用し、支給対象者、支給量、支給日などを決めて提供します。



フードバンク


 フードバンクとは、安全に食べられるにもかかわらず、包装の破損や過剰在庫、印字ミスなどの理由で、流通に出すことができない食品を企業などが寄付し、必要としている施設や団体、困窮世帯に無償で提供する団体及びその活動です。フードバンクは、余っている食べ物を持っている支援者と、食べ物を必要としている受益者をつなぐ役割を果たします。





 フードバンクには、扱える食品と扱えない食品があり、主に加工食品の場合では、賞味期限が1ヶ月以上のものを引き受けています。フードバンクでは、食べ物を右から左へ横流しするのではなく、必要なものを必要な数だけ、必要なところへ渡します。賞味期限が1ヶ月以上あることで、賞味期限内にきちんと消費されます。なお、生鮮食品はこの限りではありません。





 フードバンクを活用することで、受益者だけではなく、企業や行政にも利点があります。





 受益者の利点は、食費を節約できることです。フードバンクが、福祉施設や団体に対し、食品を通して支援することで、余った予算を施設や団体のほかの活動に回すことができます。児童養護施設では、本、遊具、教材などを補填することで、児童へ還元するといった事例が報告されています。ある母子支援施設では、食費をおおよそ40%削減することに成功しました。食品を受け取る施設では、食材購入の際、予算内におさめる必要があります。そのため、企業が寄付する高級アイスクリーム、高級ゼリー、高級調味料などを届けることで、とても喜ばれるようです。いつもと異なった食体験によって、利用者が食に対する楽しみや喜びを味わうことに繋がります。ある自立援助施設では、お金がなく、当初おやつをほとんど出せませんでした。その後フードバンクから食品の提供を受けることで、食事をお腹いっぱい食べさせ、おやつをきちんと与えられるようになりました。





 企業の利点としては、廃棄コストを削減できます。食品によって異なりますが、廃棄するために発生する費用はばかになりません。廃棄コストはKg単位で100円以上かかり、リサイクル、リユースでは分別の手間などもあることから、送料だけで済むフードバンクの活動は、ありがたい存在となっています。フードバンクへ寄付した企業の中には、廃棄にかかる費用を数百万円単位で節約できることもあります。また、この活動は、企業の社会的責任(CSR)を果たす社会貢献活動の一環とみなすことができます。さらにフードバンクを通じて、製品が配られることで、潜在的な顧客の掘り起こしも可能となります。





 行政としては、食品ロスの削減となります。食べ残しなどによる食品廃棄の抑制を目指している行政にとって、食品廃棄物のリデュース、つまり、発生の抑制にあたり、環境負荷の低減が期待されます。また、各自治体が保有している賞味期限の迫った備蓄食料を入れ替える際にも、廃棄せず支援に回せば、行政自身で食品廃棄物のリデュースを実現できます。





 2020年7月に厚生労働省が発表した2019年国民生活基礎調査によると、前回の2015年の調査よりも0.4%改善していますが、おおよそ7人に1人の子どもが貧困状態にあります。世帯主が18歳以上65歳未満の子どもがいる現役世帯の世帯員の子どもの貧困率は12.6%で、このうち大人が1人のひとり親世帯では48.1%と、前回調査時の50.8%から2.7%改善していますが、依然としてほぼ半数が貧困状態にあります。大人2人以上の世帯員では前回と同じ10.7%でした。2018年の貧困線、つまり等可処分所得の中央値の半分は127万円です。貧困線に満たない世帯員の割合を示す相対的貧困率は15.4%で、2015年の15.7%より0.3%改善しています。生活意識別の世帯数の構成割合をみると、苦しいと回答したのは54.4%で、2018年よりも3.3%減少しています。しかし、児童のいる世帯では60.4%が苦しいと回答しています。母子世帯では、苦しいという回答は86.7%にのぼります。なお、国民生活基礎調査は、保健、医療、福祉、年金、所得など国民生活の基礎的事項を調査し、厚生労働行政の企画や立案に必要な基礎資料を得ることが目的です。1986年を初年として、3年ごとに大規模な調査、中間の各年に簡易な調査を実施しており、2019年は12回目の大規模調査です。このような世帯をはじめ、生活保護受給者や生活困窮者などが食料支援によって満足に食べることが保障されれば、就労支援につながる可能性も生じます。



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フードドライブ


 フードドライブとは、家庭で余っている食べ物を学校や職場などに持ち寄り、それらをまとめてフードバンクや福祉施設などに寄付する活動です。





 日本では、あまりなじみの薄い言葉ですが、フードバンク発祥の地であるアメリカでは1960年代から盛んに行われているようです。





 フードバンクに集められた食品は、福祉施設や経済的に困窮している世帯などさまざまな理由で、食事に不自由している人々への支援に活用されています。





 家庭から集まった食品によって、食事に不自由している人々が、食べる喜びや社会とのつながり、安心感を得られることができます。たったひとつの食品でも、空腹を満たす以上の効果があります。



フードパントリー


 フードパントリーとは、さまざまな理由で生活に困っている人々に、食品などを無償で配布する福祉活動です。





 それぞれの地域で、公民館、NPO事務所、会社事務所、法律事務所などを拠点として活用し、食事に不自由している人々に提供します。





 それぞれのフードパントリーでは、支給対象者、支給量、支給日などを決めて、食事に不自由な人々に無償で食品などを配布しています。



まとめ


 フードバンクとは、品質には問題がないにもかかわらず廃棄される食品を、必要としている施設や世帯などに無償で配布する団体及びその活動のことです。フードバンクを活用することで、受益者だけではなく、企業や行政にも利点があります。受益者の利点は、食費を節約できることです。企業の利点としては、廃棄コストを削減できます。食品によって異なりますが、廃棄するために発生する費用はばかになりません。また、この活動は企業の社会的責任(CSR)を果たす社会貢献活動の一環とみなすことができます。行政としては、食品ロスの削減となります。食べ残しなどによる食品廃棄の抑制を目指している行政にとって、食品廃棄物のリデュース、つまり、発生の抑制にあたり、環境負荷の低減が期待されます。





 フードドライブとは、家庭などで食べきれずに余っている食品を持ち寄り、福祉施設やフードバンクに寄付する活動のことです。





 フードパントリーとは、さまざまな理由で生活に困っている人々に、食品などを無償で配布する福祉活動です。公民館、NPO事務所などを拠点として活用し、支給対象者、支給量、支給日などを決めて提供します。



posted by Kaoru at 05:03| Comment(0) | TrackBack(0) | トピックス

2021年04月07日

【再生可能】食品廃棄物削減とバイオマスとしての利用


 再生可能な生物由来の有機性資源で、化石資源を除いたものをバイオマスと呼びます。バイオマスの種類には、廃棄物系バイオマス、未利用バイオマス、資源作物があります。





 バイオマスを燃焼することなどにより放出されるCO2は、生物の成長過程で光合成により大気中から吸収したCO2です。化石資源由来のエネルギーや製品をバイオマスで代替することにより、地球温暖化を引き起こす温室効果ガスのひとつであるCO2の排出削減に大きく貢献することができます。CO2の排出を削減するためには、大幅なバイオマスの活用が必要とされています。





 環境省は、平成31年に平成29年度における全国の一般廃棄物(ごみ及びし尿)の排出及び処理状況の調査結果を取りまとめています。ごみ総排出量は4,289万トン(東京ドームおおよそ115杯分)、1人1日あたりのごみ排出量は920gです。ごみ総排出量、1人1日あたりのごみ排出量ともに減少傾向にありますが、リサイクル率は横ばいです。





 1年に費やすごみ処理事業経費は、年間およそ2兆円です。このうちの食品廃棄物は、40〜50%で、金額に換算すると8,000億円〜1兆円となります。食品廃棄物には、食べられるものと食べられないものがあります。日本では、食べられるもののことを食品ロスと呼んでいます。





 家庭や食品関連業者からの食品廃棄物は、活用可能なバイオマス資源です。この食品廃棄物は、大きく分けて飼料、堆肥、メタンガス回収などへ利用される一方、それ以上に焼却や埋め立てて処分されています。





 このような状況下、食品リサイクル法では、食品由来廃棄物は循環資源の原材料と考え、生産や流通過程の工夫、消費のあり方の見直しなどによって、まずは食品廃棄物そのものの発生の抑制に取り組むこと、食品廃棄物のうちで再資源化できるものは飼料や肥料、油脂や油脂製品、メタン、炭化製品、エタノールの原材料として再利用することなどが盛り込まれました。



バイオマスとは


 バイオマスとは、生物資源(bio)の量(mass)を表す概念です。一般的には、再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたものをバイオマスと呼びます。バイオマスの種類には、廃棄物系バイオマス、未利用バイオマス、資源作物、すなわち、エネルギーや製品の製造を目的として栽培される植物があります。廃棄物系バイオマスは、廃棄される紙、家畜排泄物、食品廃棄物、建設木材、下水汚泥などがあげられます。未利用バイオマスとしては、稲わら、麦わら、もみ殻などが、資源作物としては、さとうきび、トウモロコシなどがあげられます。





 バイオマスから得られるエネルギーのことをバイオエネルギー、あるいはバイオマスエネルギーと言います。バイオマスを燃焼することなどにより放出されるCO2は、生物の成長過程で光合成により大気中から吸収したCO2です。化石資源由来のエネルギーや製品をバイオマスで代替することにより、地球温暖化を引き起こす温室効果ガスのひとつであるCO2の排出削減に大きく貢献することができます。CO2の排出を削減するためには、大幅なバイオマスの活用が必要とされています。



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一般廃棄物の排出及び処理状況


 環境省は、平成31年に平成29年度における全国の一般廃棄物(ごみ及びし尿)の排出及び処理状況の調査結果を取りまとめています。





 主な結果として、ごみ総排出量は4,289万トン(東京ドームおおよそ115杯分)、1人1日あたりのごみ排出量は920gです。ごみ総排出量、1人1日あたりのごみ排出量ともに減少傾向にありますが、リサイクル率は横ばいです。ごみ焼却施設数は減少したものの、発電設備を有するごみ焼却施設数は全体の34.1%であり、昨年度よりも増加しています。ごみ焼却施設における総発電電力量は増加し、おおよそ310万世帯分の年間電力使用量に相当する電力を供給しています。最終処分場の残余容量は増加したものの、最終処分場の数は概ね減少傾向にあり、最終処分場の確保は引き続き厳しい状況です。ごみ処理事業経費は増加しています。





 ごみの量は、年々少しずつ減ってきているとはいえ、1年に費やすごみ処理事業経費は少しずつ増えており、年間およそ2兆円にも及びます。これを国民1人あたりに換算すると、15,500円になります。



ごみ処理事業経費に占める食品廃棄物の割合


 1年に費やすごみ処理事業経費は、年間およそ2兆円です。このうちの食品廃棄物は、40〜50%で、金額に換算すると8,000億円〜1兆円となります。





 食品廃棄物には、食べられるものと食べられないものがあります。日本では、食べられるもののことを食品ロスと呼んでいます。





 ある大学の調査によると、燃えるごみの41%は食べ物のごみで占められており、しかも食べ物のごみ中の45.6%は手付かずの食べ物です。





 また、コンビニやスーパーの売れ残り、飲食店の食べ残しに対しても、事業者の負担だけでなく、巨額の税金が使われ、処分されています。





 食品ロス削減推進法が成立しても、消費者の意識が変わらず、今のままの暮らしを続けていれば、地球が1個では足りない事態となります。だからこそ、SDGs(持続可能な開発目標)が国連サミットで採択されました。



食品廃棄物利用の現状


 家庭や食品関連業者からの食品廃棄物は、活用可能なバイオマス資源です。この食品廃棄物は、大きく分けて飼料、堆肥、メタンガス回収などへ利用される一方、それ以上に焼却や埋め立てて処分されています。





 日本の食料カロリーベース自給率はおおよそ40%にもかかわらず、25%前後の大量の食べ物を捨てられており、食品廃棄物を減らす工夫が必要となります。現状では、食品廃棄物の堆肥化、メタン化は一部にとどまっています。





 このような状況下、食品リサイクル法では、食品由来廃棄物は循環資源の原材料と考え、生産や流通過程の工夫、消費のあり方の見直しなどによって、まずは食品廃棄物そのものの発生の抑制に取り組むこと、食品廃棄物のうちで再資源化できるものは飼料や肥料、油脂や油脂製品、メタン、炭化製品、エタノールの原材料として再利用すること、食品循環資源の再生利用が、経済的または技術的に著しく困難であって、メタン化と同等以上の効率でエネルギーを回収できる場合は熱回収利用すること、食品廃棄物は水分を多く含み、腐敗しやすい性質があるため、再生利用や熱回収が出来ない場合は、脱水、乾燥、発酵、炭化により減量することなどが盛り込まれました。



まとめ


 再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたものをバイオマスと呼びます。バイオマスの種類には、廃棄物系バイオマス、未利用バイオマス、資源作物があります。





 バイオマスを燃焼することなどにより放出されるCO2は、生物の成長過程で光合成により大気中から吸収したCO2です。化石資源由来のエネルギーや製品をバイオマスで代替することにより、地球温暖化を引き起こす温室効果ガスのひとつであるCO2の排出削減に大きく貢献することができます。CO2の排出を削減するためには、大幅なバイオマスの活用が必要とされています。





 環境省は、平成31年に平成29年度における全国の一般廃棄物(ごみ及びし尿)の排出及び処理状況の調査結果を取りまとめています。ごみ総排出量は4,289万トン(東京ドームおおよそ115杯分)、1人1日あたりのごみ排出量は920gです。ごみ総排出量、1人1日あたりのごみ排出量ともに減少傾向にありますが、リサイクル率は横ばいです。





 1年に費やすごみ処理事業経費は、年間およそ2兆円です。このうちの食品廃棄物は、40〜50%で、金額に換算すると8,000億円〜1兆円となります。食品廃棄物には、食べられるものと食べられないものがあります。日本では、食べられるもののことを食品ロスと呼んでいます。





 家庭や食品関連業者からの食品廃棄物は、活用可能なバイオマス資源です。この食品廃棄物は、大きく分けて飼料、堆肥、メタンガス回収などへ利用される一方、それ以上に焼却や埋め立てて処分されています。





 このような状況下、食品リサイクル法では、食品由来廃棄物は循環資源の原材料と考え、生産や流通過程の工夫、消費のあり方の見直しなどによって、まずは食品廃棄物そのものの発生の抑制に取り組むこと、食品廃棄物のうちで再資源化できるものは飼料や肥料、油脂や油脂製品、メタン、炭化製品、エタノールの原材料として再利用することなどが盛り込まれました。



posted by Kaoru at 05:02| Comment(0) | TrackBack(0) | トピックス

2021年04月06日

【野菜嫌いでも】サラダを食べたくなるドレッシング


 洋麺屋ピエトロでは、お客様に熱々で茹で立ての本格的なパスタを食べてもらいたいとの思いがあり、乾麺の状態から茹でていました。そのため、来店したお客様の前にパスタが出されるまでに時間が掛かりました。





 パスタを出すまでにかかる時間を何とか楽しんでもらいたいと考えた結果、野菜サラダを提供することにしました。その際使われたドレッシングが、ピエトロドレッシングです。





 ピエトロドレッシングをかけると、野菜嫌いの子どもがお店でならサラダを食べると言われるほど好評でした。お客様から家庭でも使いたいとの要望を数多くもらうことで、空のワインボトルにドレッシングを入れて、おすそ分けをするようになりました。1981年にはドレッシングの店頭販売を開始したところ、ピエトロドレッシングの味は口コミで広がりました。





 手作業による生産では、ますます高まる需要を満たすことができなくなり、生産拠点の確保が急務となりました。そのため、ドレッシング生産工場の建設し、1990年に稼働、生産を始めました。生産の自動化と言っても、装置に任せている工程は、原材料の撹拌と充填のみです。1度に大量に生産すると、加工時間などが異なることから、味がブレてしまうリスクがあります。厨房の味を忠実に再現するためには、同じサイズの什器を使う必要がありました。





 ピエトロドレッシングの1番の特徴は、レストランの厨房で作り立てを提供していたように、加熱処理をしない生タイプのドレッシングであることです。加熱処理した製品と比べると、賞味期限がかなり短くなりますが、玉ねぎやしょう油などの原材料のうま味や風味が最大限に引き出された創業時からの伝統の製法を守り続けています。





 今や食卓にサラダは欠かせません。その歴史は古く、古代ギリシャ時代に野草に塩をふって食べたのが、そのルーツといわれています。日本にサラダが登場するのは、欧米の食習慣が入ってきた明治以降です。さらに家庭の食卓にのぼるようになったのは戦後になってからです。サラダの普及には、それまで加熱した野菜を食べていた日本人が、生野菜を食べるようになったことが大きく影響しています。





 ドレッシングやマヨネーズが販売されることによって、サラダはより手軽な料理になりました。今では、和風、中華、エスニックなどさまざまなテイストのドレッシングが店頭に並んでいます。新鮮な生野菜やゆで野菜と組み合わせて、さまざまなサラダの世界を楽しむことができます。



お客様を飽きさせない工夫から誕生


 ピエトロの創業者は、1980年に福岡市中央区天神にパスタ専門店の洋麺屋ピエトロを開業しました。小さなワンフロアの店舗で、席数は36席でした。店では、お客様に熱々で茹で立ての本格的なパスタを食べてもらいたいとの思いがあり、乾麺の状態から茹でていました。そのため、来店したお客様の前にパスタが出されるまでに時間が掛かりました。





 九州は福岡といえば、博多ラーメンに代表されるようにラーメン文化が根付いている土地柄です。ラーメンは、注文を受けてから出されるまであまり時間がかかりません。そのためか、食べ物が出てくるまで、ある程度待つことにあまり慣れていません。パスタを出すまでにかかる時間を何とか楽しんでもらいたいと考えた結果、野菜サラダを提供することにしました。その際使われたドレッシングが、ピエトロドレッシングです。





 当時、サラダにかけるドレッシングは、フレンチ・ドレッシングのように酸味のある味が主流でしたが、洋麺屋ピエトロが使ったのはしょう油でした。洋麺屋ピエトロのメニューとしては、ご飯に合うものはパスタにも合うはずと仮説を立て、この頃としては珍しいタラコ、高菜、納豆などを具材にしたパスタをつくっていました。ドレッシングにおいても、この考えを用いることで、日本人に馴染みのあるしょう油をチョイスしています。しょう油ベースの味に、玉ねぎ、オリーブ、マスタードなどの香辛料を混ぜ合わせ、和と洋を融合させたドレッシングができあがりました。



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きっかけはお客様からの要望


 ピエトロドレッシングをかけると、野菜嫌いの子どもがお店でならサラダを食べると言われるほど好評でした。





 お客様から家庭でも使いたいとの要望を数多くもらうことで、空のワインボトルにドレッシングを入れて、おすそ分けをするようになりました。1981年にはドレッシングの店頭販売を開始したところ、ピエトロドレッシングの味は口コミで広がり、1983年に福岡市内の百貨店から声がかかって、外販にも踏み出しました。





 もっとも当時は、生産設備が不十分なため、玉ねぎを切るなどすべての工程は手作業に頼らざるを得ませんでした。昼間はレストランを営業し、閉店してから近くのスペースを借りて、朝が明ける頃までドレッシングをつくる日々が続きます。1990年に生産工場をつくるまでこの状態が続きました。このころの苦労は計り知れませんが、これが今の基盤になっています。



店舗のレシピを再現するために


 手作業による生産では、ますます高まる需要を満たすことができなくなり、生産拠点の確保が急務となりました。そのため、ドレッシング生産工場の建設し、1990年に稼働、生産を始めました。





 ピエトロの工場は、大きな厨房と呼ばれています。生産の自動化と言っても、装置に任せている工程は、原材料の撹拌と充填のみです。





 玉ねぎは、水分の蒸発を避けるために刻む直前までヘタを取りません。今でも人の手でヘタを切り取り、内部が傷んでいないかを人の目でチェックしています。





 1度に仕込む量は、280mlの場合でおおよそ170本分に限られています。これは、店舗の厨房で使っていた寸胴鍋と同じサイズの鍋を工場でも使っているからです。1度に大量に生産すると、加工時間などが異なることから、味がブレてしまうリスクがあります。厨房の味を忠実に再現するためには、同じサイズの什器を使う必要がありました。





 ピエトロドレッシングの1番の特徴は、レストランの厨房で作り立てを提供していたように、加熱処理をしない生タイプのドレッシングであることです。加熱処理した製品と比べると、賞味期限がかなり短くなり、スーパーなどではロスの発生や管理が難しくなりますが、玉ねぎやしょう油などの原材料のうま味や風味が最大限に引き出された創業時からの伝統の製法を守り続けています。



変えずに守り続ける努力


 1990年にドレッシング生産工場が稼働すると、本格的な全国展開を開始しました。ピエトロドレッシングを中心とした食品事業の売上高は50億を超え、売上構成のおおよそ50%を占めるまでに成長しています。これは、伝統の味を変えずに守り続ける努力をしてきたからこそ、ついてきた結果であると言えます。





 工程の多くを自動化すれば、売り上げも自ずと高くなるかもしれません。しかし、どれだけ手間がかかっても、変えてはいけない点があります。それが末永くお客様に愛されている秘訣です。





 一方、伝統のレシピに拘泥し、変化を嫌っているわけではありません。健康志向の高まりを受け、油分をカットした製品を販売しています。この製品では、油を減らした分、寒天を加えるなど野菜とからみやすいように工夫しています。



サラダとドレッシングの歴史


 今や食卓にサラダは欠かせません。その歴史は古く、古代ギリシャ時代に野草に塩をふって食べたのが、そのルーツといわれています。古代ローマ時代になるとさまざまなサラダが登場し、生野菜やゆで野菜にハーブを添え、酢やオリーブオイルのほか、魚を塩漬けにしたもので味付けしていました。大航海時代には、南アメリカからトマト、ピーマン、じゃがいもなどがヨーロッパにもたらされました。その影響もあって、使われる野菜も味付けの方法もさらにバリエーションを増しながら、ヨーロッパ中に普及しています。





 日本にサラダが登場するのは、欧米の食習慣が入ってきた明治以降です。さらに家庭の食卓にのぼるようになったのは戦後になってからです。サラダの普及には、それまで加熱した野菜を食べていた日本人が、生野菜を食べるようになったことが大きく影響しています。





 日本での野菜の生食は、とんかつに添えたキャベツのせん切りが始まりとされています。その後、レタスやトマトなど生食に適した野菜が次々と普及し、サラダに使われるようになりました。特にサラダのベースとして確固たる地位を築いているレタスの登場は、日本のサラダ史上画期的なことでした。もちろん、物流が発達することで、新鮮な野菜が豊富に供給されるようになったことも、サラダが一般家庭に定着した理由のひとつです。





 サラダの歴史で欠かせないのがドレッシングです。ドレッシングの語源は、着せるや飾るを意味するドレス(dress)です。フレンチ・ドレッシングのようなオイルと酢を組み合わせたものは古代ローマ時代からあり、マヨネーズは18世紀のフランスでつくられたとされています。





 ドレッシングやマヨネーズが販売されることによって、サラダはより手軽な料理になりました。今では、和風、中華、エスニックなどさまざまなテイストのドレッシングが店頭に並んでいます。新鮮な生野菜やゆで野菜と組み合わせて、さまざまなサラダの世界を楽しむことができます。



まとめ


 洋麺屋ピエトロでは、お客様に熱々で茹で立ての本格的なパスタを食べてもらいたいとの思いがあり、乾麺の状態から茹でていました。そのため、来店したお客様の前にパスタが出されるまでに時間が掛かりました。





 パスタを出すまでにかかる時間を何とか楽しんでもらいたいと考えた結果、野菜サラダを提供することにしました。その際使われたドレッシングが、ピエトロドレッシングです。





 ピエトロドレッシングをかけると、野菜嫌いの子どもがお店でならサラダを食べると言われるほど好評でした。お客様から家庭でも使いたいとの要望を数多くもらうことで、空のワインボトルにドレッシングを入れて、おすそ分けをするようになりました。1981年にはドレッシングの店頭販売を開始したところ、ピエトロドレッシングの味は口コミで広がりました。





 手作業による生産では、ますます高まる需要を満たすことができなくなり、生産拠点の確保が急務となりました。そのため、ドレッシング生産工場の建設し、1990年に稼働、生産を始めました。生産の自動化と言っても、装置に任せている工程は、原材料の撹拌と充填のみです。1度に大量に生産すると、加工時間などが異なることから、味がブレてしまうリスクがあります。厨房の味を忠実に再現するためには、同じサイズの什器を使う必要がありました。





 ピエトロドレッシングの1番の特徴は、レストランの厨房で作り立てを提供していたように、加熱処理をしない生タイプのドレッシングであることです。加熱処理した製品と比べると、賞味期限がかなり短くなりますが、玉ねぎやしょう油などの原材料のうま味や風味が最大限に引き出された創業時からの伝統の製法を守り続けています。





 今や食卓にサラダは欠かせません。その歴史は古く、古代ギリシャ時代に野草に塩をふって食べたのが、そのルーツといわれています。日本にサラダが登場するのは、欧米の食習慣が入ってきた明治以降です。さらに家庭の食卓にのぼるようになったのは戦後になってからです。サラダの普及には、それまで加熱した野菜を食べていた日本人が、生野菜を食べるようになったことが大きく影響しています。





 ドレッシングやマヨネーズが販売されることによって、サラダはより手軽な料理になりました。今では、和風、中華、エスニックなどさまざまなテイストのドレッシングが店頭に並んでいます。新鮮な生野菜やゆで野菜と組み合わせて、さまざまなサラダの世界を楽しむことができます。



posted by Kaoru at 05:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 食品の開発

2021年04月05日

【和菓子のノウハウを流用】あずきを使ったアイスの開発


 井村屋は、1963年にアイス市場に参入しました。しかし、この市場は大手乳製品メーカーの牙城であり、なかなか切り崩すことができません。





 太刀打ちできるアイス製品を開発するため、社内に蓄積されていた他社に負けない技術を抽出すると、井村屋には創業の明治期から蓄積してきたあずきを加工する技術がありました。この技術とは、創業から和菓子を生業にしてきたことによる、あずきを柔らかく炊く技術です。





 あずきを炊くには。数多くの手間とノウハウが必要になります。前日からあずきを水に浸し、煮出す工程と灰汁を除くために水を交換する工程が何度も繰り返されます。それだけでなく、あずきは農作物のため、産地や天候などの影響でそれぞれにバラつきがあります。小豆の状態を見ながら、火加減、圧力、炊き時間、砂糖を投入するタイミングを調整する必要があります。中でも1番難しいのが、砂糖を投入するタイミングです。煮えたあずきに砂糖を入れると、浸透圧で豆の水分が煮汁に出てしまい、現状より柔らかくなりません。また、それ以上炊いてしまうと、あずきが割れて中が出てしまうことから、小豆の柔らかさがギリギリの状態で砂糖を入れる必要があります。タイミングを見計らうには、職人技のような長年の経験が求められます。欠くことのできない知見、ノウハウ、工程をライン化する土壌が明治時代から和菓子をつくり続けてきた井村屋にはありました。





 原材料は、あずき、砂糖、コーンスターチ、食塩、水あめといったシンプルな配合だからこそ、味つけで手を抜くと、丁寧に炊いたあずきが台無しになってしまいます。そのため、砂糖の甘さが過度に引き立たないように、甘さが後に引かず、さらにもう一本食べたくなるような飽きのこない味を追求しています。





 あずきバーは、昔と比べると固くなっています。これは、嗜好の変化に伴い甘さを調整してより控えた結果、水分量が増え、水分が凍結して氷になる割合も増加することで、固さが以前よりも増しているからです。さらに乳化剤や安定剤といった食品添加物を使用していない、乳固形分が入っていない、空気の含有量が少ないことも固さの理由です。





 あずきバーは敢えて固くしているわけではなく、当初の着想とシンプルな原材料を追求した結果、自然と固くなっています。



アイス市場への参入


 井村屋は、1963年にアイス市場に参入しました。しかし、この市場は大手乳製品メーカーの牙城であり、なかなか切り崩すことができません。この市場で他社に勝る製品とは何でしょうか。井村屋は、明治時代となる1896年に創業しており、当時から蓄積してきたあずきを加工するノウハウがありました。





 井村屋のあずきバーは、存在感のあるあずきに加え、とてもしっかりとした歯ごたえと甘すぎない程よい後味の良さが人気を博し、年間2億本以上の販売を記録しています。1973年に発売したあずきバーの原材料は、あずき、砂糖、水あめをはじめとしたシンプルなレシピです。時代の変化に合わせて、甘さの微調整はしているものの、配合に大きな変化はないようです。にもかかわらず、あずきバーは売上高でおおよそ20%を占める主力製品にまで成長しました。この成長を実現したのは、明治時代から和菓子をつくり続けることで蓄積されていった和菓子の加工技術でした。



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あずきを使ったアイスの開発


 太刀打ちできるアイス製品を開発するため、社内に蓄積されていた他社に負けない技術を抽出すると、井村屋には創業の明治期から蓄積してきたあずきを加工する技術がありました。この技術とは、創業から和菓子を生業にしてきたことによる、あずきを柔らかく炊く技術です。





 あずきを使うアイス製品の開発に着手したのは1972年頃で、特色のある製品にするため、差別化の意味もあり、敢えて乳製品を使わない配合にしています。





 あずきを炊くには。数多くの手間とノウハウが必要になります。前日からあずきを水に浸し、煮出す工程と灰汁を除くために水を交換する工程が何度も繰り返されます。それだけでなく、あずきは農作物のため、産地や天候などの影響でそれぞれにバラつきがあります。小豆の状態を見ながら、火加減、圧力、炊き時間、砂糖を投入するタイミングを調整する必要があります。





 中でも1番難しいのが、砂糖を投入するタイミングです。煮えたあずきに砂糖を入れると、浸透圧で豆の水分が煮汁に出てしまい、現状より柔らかくなりません。また、それ以上炊いてしまうと、あずきが割れて中が出てしまうことから、小豆の柔らかさがギリギリの状態で砂糖を入れる必要があります。タイミングを見計らうには、職人技のような長年の経験が求められます。欠くことのできない知見、ノウハウ、工程をライン化する土壌が明治時代から和菓子をつくり続けてきた井村屋にはありました。





 井村屋がこだわったあずきを柔らかく炊く技術は、あずきバーに含まれるあずき粒量に反映されています。1本のあずきバーには、おおよそ100個のあずきが使われています。粒を残すために、ひと粒ひと粒を大事に炊いているからこそなせるわざです。





 1973年に発売された当時のあずきバーは、30円でした。こだわったのは、あずきを柔らかく炊く技術だけではなく、あずきバーをよく見ると、中に入った小豆の粒が均等に散りばめられています。アイスの原液をそのまま凍らせると、当然ながら比重の重いあずきの粒は沈殿してしまいます。これを防ぐために、井村屋はアイデアをしぼりだし、アイスの原液を撹拌しながら凍らせる製法を採用しています。





 原材料は、あずき、砂糖、コーンスターチ、食塩、水あめといったシンプルな配合だからこそ、味つけで手を抜くと、丁寧に炊いたあずきが台無しになってしまいます。そのため、砂糖の甘さが過度に引き立たないように、甘さが後に引かず、さらにもう一本食べたくなるような飽きのこない味を追求しています。





 商品名は、原材料をダイレクトに訴求できるようにあずきバーに決定し、1973年にあずきバーとして発売されました。



冷蔵庫の普及による市場の成長と安定供給の実現


 あずきバーに限らず、アイス製品は家庭用冷蔵庫の普及とともに、売り上げを伸ばしていました。1976年には冷蔵庫の普及率は100%となっています。





 家庭での冷蔵庫の普及にあわせ、井村屋は1979年に箱入りタイプのBOXあずきバーを発売し、着実に売り上げを伸ばしています。





 工場には、効率的に凍結させる設備を導入しています。冷却液をアイスの金型に直接吹きかけるため、従来では凍結に10分以上かかっていましたが、今では7分以内に短縮できるようになっています。これで夏場の需要期に安定供給が実現しています。また、知的財産戦略も抜かりなく、2013年にはあずきバーで商標登録しています。





 あずきバーの現在の主な購買層は、40〜50代の主婦です。今後は20〜30代の女性までターゲットを拡大させるために、さまざまな販売促進活動を行い需要喚起に努めています。この層は後に母親になる年代です。井村屋は、日本文化と関係の深いあずきを使ったあずきバーが世代間で受け継がれるような取り組みをさらに加速させています。



あずきバーの固さ


 井村屋のホームページのあずきバーの製品ページを見ると、「固く凍っているため、歯を痛めないようにご注意ください」と記載されています。





 以前は、刃物で知られる岐阜県関市のふるさと納税の返礼品にも選ばれています。あずきバーと日本刀に共通するかたさが縁で、実現しました。





 あずきバーは、昔と比べると固くなっています。これは、嗜好の変化に伴い甘さを調整してより控えた結果、水分量が増え、水分が凍結して氷になる割合も増加することで、固さが以前よりも増しているからです。さらに乳化剤や安定剤といった食品添加物を使用していない、乳固形分が入っていない、空気の含有量が少ないことも固さの理由です。





 もともとぜんざいをそのままアイスにするという発想でつくられているため、原材料は小豆、砂糖、コーンスターチ、食塩、水あめの5種類のみで、食感に影響する乳製品や食品添加物を使っていません。そもそもシンプルな原材料でつくることにこだわり、あずきなどをぎっしり詰め込んだ結果、空気の泡が少なくなり、固くなっています。





 あずきバーは敢えて固くしているわけではなく、当初の着想とシンプルな原材料を追求した結果、自然と固くなっています。



まとめ


 井村屋は、1963年にアイス市場に参入しました。しかし、この市場は大手乳製品メーカーの牙城であり、なかなか切り崩すことができません。





 太刀打ちできるアイス製品を開発するため、社内に蓄積されていた他社に負けない技術を抽出すると、井村屋には創業の明治期から蓄積してきたあずきを加工する技術がありました。この技術とは、創業から和菓子を生業にしてきたことによる、あずきを柔らかく炊く技術です。





 あずきを炊くには。数多くの手間とノウハウが必要になります。前日からあずきを水に浸し、煮出す工程と灰汁を除くために水を交換する工程が何度も繰り返されます。それだけでなく、あずきは農作物のため、産地や天候などの影響でそれぞれにバラつきがあります。小豆の状態を見ながら、火加減、圧力、炊き時間、砂糖を投入するタイミングを調整する必要があります。中でも1番難しいのが、砂糖を投入するタイミングです。煮えたあずきに砂糖を入れると、浸透圧で豆の水分が煮汁に出てしまい、現状より柔らかくなりません。また、それ以上炊いてしまうと、あずきが割れて中が出てしまうことから、小豆の柔らかさがギリギリの状態で砂糖を入れる必要があります。タイミングを見計らうには、職人技のような長年の経験が求められます。欠くことのできない知見、ノウハウ、工程をライン化する土壌が明治時代から和菓子をつくり続けてきた井村屋にはありました。





 原材料は、あずき、砂糖、コーンスターチ、食塩、水あめといったシンプルな配合だからこそ、味つけで手を抜くと、丁寧に炊いたあずきが台無しになってしまいます。そのため、砂糖の甘さが過度に引き立たないように、甘さが後に引かず、さらにもう一本食べたくなるような飽きのこない味を追求しています。





 あずきバーは、昔と比べると固くなっています。これは、嗜好の変化に伴い甘さを調整してより控えた結果、水分量が増え、水分が凍結して氷になる割合も増加することで、固さが以前よりも増しているからです。さらに乳化剤や安定剤といった食品添加物を使用していない、乳固形分が入っていない、空気の含有量が少ないことも固さの理由です。





 あずきバーは敢えて固くしているわけではなく、当初の着想とシンプルな原材料を追求した結果、自然と固くなっています。



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2021年04月04日

【腸内のお花畑】腸内フローラを形成する細菌


 人の腸内には、体内に棲む細菌のうちおおよそ90%が棲みついています。その数は、おおよそ100兆〜1,000兆個で、種類はおおよそ1,000種類、重さにするとおおよそ1〜2Kgと言われています。





 大腸に棲む細菌を腸内細菌といいます。通常ウイルスなどの異物は、免疫機能により体内から排除されますが、免疫寛容という仕組みによって排除されないことがあります。この仕組みによって、共存している細菌が、腸内細菌です。





 腸内に生息している細菌は、菌種ごとに塊となって腸の壁に隙間なくびっしりと張り付いています。この状態は、品種ごとに並んで咲くお花畑(flora)にみえることから、腸内フローラと呼ばれています。





 腸内細菌の形成パターンは、ひとりひとりで異なります。食生活や生活環境も関係しますが、1番大きな影響を与えるものは母親の腸内環境といわれています。





 最近の研究では、この腸内フローラがお腹の調子だけでなく、メタボリックシンドロームや生活習慣病、更には免疫機能といった全身の健康にも関わっていることが明らかになってきました。





 人は腸内フローラと密接な関係をもって生活していますが、食生活やライフスタイルといったさまざまな要因で腸内フローラは乱れてしまいます。なかでも、食物繊維の不足、脂肪の摂り過ぎは、腸内フローラのバランスを崩します。





 腸内フローラを形成している菌は、働きによって3つに分けられています。1つ目は体を守る善玉菌、2つ目が増えすぎると体に悪影響を及ぼす悪玉菌、そして3つ目は状況によって善玉菌の味方となることもあれば、悪玉菌の味方となることもある日和見菌です。





 善玉菌はビフィズス菌や乳酸菌、悪玉菌は大腸菌(有毒株)やウェルシュ菌、ブドウ球菌など、日和見菌は大腸菌(無毒株)や連鎖球菌などです。善玉菌は乳酸や酢酸などをつくりだし、腸内を弱酸性に保ちます。悪玉菌は、毒性物質をつくりだし、腸内をアルカリ性にします。日和見菌は、善玉菌と悪玉菌のうち、優勢な菌と同じ働きをします。理想的な割合は、善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7です。





 腸内環境は、食べたものに大きく左右されるため、腸内フローラを良い状態で維持するためには、栄養バランスのとれた食事が大切です。また、食事だけではなく、適度な運動は腸内フローラが活性化するといわれています。



腸内フローラとは


 腸には大腸と小腸とがあり、それぞれの働きはまったく異なります。小腸は、食べたものを消化吸収する臓器で、一方、大腸は栄養を吸収したあとの残りカスから大便を形成する臓器です。





 生命維持にかかせないこの働きに加え、人の腸内には、体内に棲む細菌のうちおおよそ90%が棲みついています。その数は、おおよそ100兆〜1,000兆個で、種類はおおよそ1,000種類、重さにするとおおよそ1〜2Kgと言われています。人の細胞はおおよそ60兆個といわれており、体の中には自身の細胞よりもはるかに多い細菌がいることになります。





 大腸に棲む細菌を腸内細菌といいます。通常ウイルスなどの異物は、免疫機能により体内から排除されますが、免疫寛容という仕組みによって排除されないことがあります。この仕組みによって、共存している細菌が、腸内細菌です。





 腸内に生息している細菌は、菌種ごとに塊となって腸の壁に隙間なくびっしりと張り付いています。この状態は、品種ごとに並んで咲くお花畑(flora)にみえることから、腸内フローラと呼ばれています。正式な名称は腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)です。



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 腸内細菌の形成パターンは、ひとりひとりで異なります。食生活や生活環境も関係しますが、1番大きな影響を与えるものは母親の腸内環境といわれています。赤ちゃんは、生まれてくるときに、母親の産道に生息する腸内細菌に接触することで、細菌をもらい受けます。これらの細菌は、赤ちゃんの腸内に入り、腸内細菌として増殖します。腸内フローラの原型は、3歳頃までにつくられるといわれています。生後、形成された腸内フローラのパターンは、一生変わらないとされ、3歳くらいの時の腸内フローラが最もよい状態といわれています。





 最近の研究では、この腸内フローラがお腹の調子だけでなく、メタボリックシンドロームや生活習慣病、更には免疫機能といった全身の健康にも関わっていることが明らかになってきました。





 近年、日本人の食生活の欧米化し、食物繊維の摂取量が減少しています。その結果、肥満や生活習慣病だけでなく、腸内フローラにも影響を与えています。長い時間をかけて築き上げてきた日本人の腸と腸内細菌の関係性が崩れ、腸内環境が悪化し、アレルギーや自己免疫性疾患などを増加させる一因になっている可能性が、指摘され始めています。





 人は腸内フローラと密接な関係をもって生活していますが、食生活やライフスタイルといったさまざまな要因で腸内フローラは乱れてしまいます。なかでも、食物繊維の不足、脂肪の摂り過ぎは、腸内フローラのバランスを崩します。



腸内細菌の種類


 腸内フローラを形成している菌は、働きによって3つに分けられています。1つ目は体を守る善玉菌、2つ目が増えすぎると体に悪影響を及ぼす悪玉菌、そして3つ目は状況によって善玉菌の味方となることもあれば、悪玉菌の味方となることもある日和見菌です。





 善玉菌はビフィズス菌や乳酸菌、悪玉菌は大腸菌(有毒株)やウェルシュ菌、ブドウ球菌など、日和見菌は大腸菌(無毒株)や連鎖球菌などです。善玉菌は乳酸や酢酸などをつくりだし、腸内を弱酸性に保ちます。悪玉菌は、毒性物質をつくりだし、腸内をアルカリ性にします。日和見菌は、善玉菌と悪玉菌のうち、優勢な菌と同じ働きをします。理想的な割合は、善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7です。善玉菌は腸の中で発酵を行い、一方の悪玉菌は腐敗を行います。なお、発酵と腐敗の違いは、どちらも微生物の力によって物質が変化することですが、それが人にとって有益なものであれば発酵、有害なものであれば腐敗ということになります。





 善玉菌は、糖質や食物繊維をエサとして発酵させ、乳酸や酢酸などをつくり出し、腸内を弱酸性に保ちます。腸内が酸性に傾くと悪玉菌は増殖ができなくなり、毒性物質がつくられなくなります。また、外から入ってくる悪玉菌のほとんどはアルカリ性の環境を好むため、仮に腸内に入って来たとしても、酸性の環境を維持していれば、悪玉菌は死滅することになります。





 悪玉菌は、その名前から悪いイメージがありますが、体にとって大切な働きもしています。その働きは、肉類などのたんぱく質を分解して、便として排泄するということです。





 人の腸内では、毎日のように善玉菌と悪玉菌の争いが起こり、腸内フローラのバランスが変わっています。この争いは出生時から始まり、離乳期、青年期、老年期と、経年的にその様相は変化しています。乳児期には、100億個以上あった善玉菌のビフィズス菌は、60歳頃には100分の1、つまり1億個ほどに激減しています。これは老化によるものです。





 しかし、年齢に関係なく腸内フローラのバランスが崩れてしまうこともあります。この理由のひとつとして、高脂肪の食生活があげられます。腸内環境は、食べたものに大きく左右されるため、腸内フローラを良い状態で維持するためには、栄養バランスのとれた食事が大切です。また、食事だけではなく、適度な運動は腸内フローラが活性化するといわれています。



腸内フローラを整える乳酸菌


 乳酸菌は、糖質や食物繊維をエサとして乳酸を生産する細菌です。乳酸菌が生産する乳酸は、腸内を微酸性にすることで、悪玉菌の増殖を抑え、腸内フローラのバランスを維持します。





 また、乳酸菌にはお腹の調子や便通を改善するだけでなく、免疫機能を強化する働きがあります。加えて、花粉症の症状を和らげる、内臓脂肪を減らすなど幅広い分野でさまざまな効果が報告されています。



まとめ


 人の腸内には、体内に棲む細菌のうちおおよそ90%が棲みついています。その数は、おおよそ100兆〜1,000兆個で、種類はおおよそ1,000種類、重さにするとおおよそ1〜2Kgと言われています。





 大腸に棲む細菌を腸内細菌といいます。通常ウイルスなどの異物は、免疫機能により体内から排除されますが、免疫寛容という仕組みによって排除されないことがあります。この仕組みによって、共存している細菌が、腸内細菌です。





 腸内に生息している細菌は、菌種ごとに塊となって腸の壁に隙間なくびっしりと張り付いています。この状態は、品種ごとに並んで咲くお花畑(flora)にみえることから、腸内フローラと呼ばれています。





 腸内細菌の形成パターンは、ひとりひとりで異なります。食生活や生活環境も関係しますが、1番大きな影響を与えるものは母親の腸内環境といわれています。





 最近の研究では、この腸内フローラがお腹の調子だけでなく、メタボリックシンドロームや生活習慣病、更には免疫機能といった全身の健康にも関わっていることが明らかになってきました。





 人は腸内フローラと密接な関係をもって生活していますが、食生活やライフスタイルといったさまざまな要因で腸内フローラは乱れてしまいます。なかでも、食物繊維の不足、脂肪の摂り過ぎは、腸内フローラのバランスを崩します。





 腸内フローラを形成している菌は、働きによって3つに分けられています。1つ目は体を守る善玉菌、2つ目が増えすぎると体に悪影響を及ぼす悪玉菌、そして3つ目は状況によって善玉菌の味方となることもあれば、悪玉菌の味方となることもある日和見菌です。





 善玉菌はビフィズス菌や乳酸菌、悪玉菌は大腸菌(有毒株)やウェルシュ菌、ブドウ球菌など、日和見菌は大腸菌(無毒株)や連鎖球菌などです。善玉菌は乳酸や酢酸などをつくりだし、腸内を弱酸性に保ちます。悪玉菌は、毒性物質をつくりだし、腸内をアルカリ性にします。日和見菌は、善玉菌と悪玉菌のうち、優勢な菌と同じ働きをします。理想的な割合は、善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7です。





 腸内環境は、食べたものに大きく左右されるため、腸内フローラを良い状態で維持するためには、栄養バランスのとれた食事が大切です。また、食事だけではなく、適度な運動は腸内フローラが活性化するといわれています。




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2021年04月03日

【適量あり】ライフサイクルにおける食生活と食欲の変化


 成長や発達に伴い、小児期、青年期、中年期、高齢期など年齢ごとに必要なエネルギー量や栄養素の量が変化し、それぞれの時期に適した食生活があります。





 もちろん、どの年齢であっても1日3回規則正しく食べることは同じです。栄養のバランスを考えた食事は、成長、発育、健康の維持に欠かせません。





 高齢者は、いろいろな原因で食欲が低下してしまいます。体にとって必要なエネルギー量は、若い人に比べれば減りますが、たんぱく質や必須アミノ酸、必須脂肪酸、カルシウムや鉄分などのミネラル、ビタミン類、食物繊維などの成分の多くは、若い人と同量、場合によっては多く摂らなければなりません。少ない食事量でこれらの成分を必要なだけとるには、食べ方や献立を工夫する必要があります。





 高齢期の食生活としては、低栄養の予防のためにも、肉、魚、卵、大豆製品のような良質のたんぱく質を毎食取り入れていくことが大切です。食事の形態は、口の中で噛みやすく、飲み込みやすいものが誤嚥を防ぎ、安全に食べることができます。





 加齢に伴い食欲が変化する原因とは、どのようなことでしょうか。運動量や筋肉量の低下に伴い、外出する頻度が減ると運動量が減るため、食欲がわきません。高齢者になると、家族や友人の死別による孤独感、施設や病院への入院などによる環境の変化、生きがいや生きる気力がなくなるなどから食欲が低下することがあります。認知症になると脳の機能が低下するため、摂食をつかさどる機能のバランスが崩れ、食欲が低下します。





 高齢者が食事を美味しく感じるには、5感で楽しむことです。特に視覚からの情報は、80%ほどあると言われています。食欲を高めるためには、料理の見た目を良くし、元の形状がわかるように盛り付けることです。食材の色、温度、盛り付けも食欲に影響します。会話をしながらの楽しい食事は、食欲も増します。



ライフサイクルと食生活


 成長や発達に伴い、小児期、青年期、中年期、高齢期など年齢ごとに必要なエネルギー量や栄養素の量が変化し、それぞれの時期に適した食生活があります。





 もちろん、どの年齢であっても1日3回規則正しく食べることは同じです。栄養のバランスを考えた食事は、成長、発育、健康の維持に欠かせません。





 乳幼児期は、離乳食へと食形態が変わり、1歳半頃にはミルクの栄養以外の食べ物からも栄養素を補うことができるようになります。この時期は、消化能力や咀嚼能力が未熟なため、1日3回の食事で成長に必要な栄養素は補いきれず、栄養不足になることもあります。朝昼晩の3食の食事に間食を取り入れることで、1日に必要な栄養素が補えるようになります。また、食事の楽しさを体験する時期でもあり、発育に見合った食材や調理をしていくことが大切です。





 学童期は6〜11歳の時期であり、骨格の形成が著しく、それにともない呼吸、循環器系の機能、筋力、持久力などの運動能力も高まります。歯も発達し、乳歯から永久歯へと生え変わります。この時期は肥満や痩せの傾向も現れることから、家庭での食事に注意します。学童期の肥満は、成人期での生活習慣病の発症リスクが高まると言われていることから、規則正しい食生活を送り、適性体重の維持管理が大切です。また、無理なダイエットは体の発育に影響を及ぼすので注意が必要です。最近の小学生は咀嚼能力が低下していると言われており、噛む力を身につけるためにも、食物繊維を含む野菜や海藻類を取り入れることが大切です。





 思春期は、小児から成人へと成長する大切な時期です。身長、体重の変化に伴い、性ホルモンの分泌などの影響を受ける時期でもあります。体の発達が急速で、活動量も増えるため、基礎代謝量が最も高い時期です。特に糖質や脂質が多い食事に偏りがちで、成長に必要なビタミンやミネラルが不足してしまいます。また、骨量が最大となる時期で、乳製品や小魚、緑黄色野菜などからカルシウムを十分に補っておかないと、骨粗鬆症になるリスクも高まります。家庭での食事で、不足しがちなビタミン、ミネラルを補い、特に骨量に見合ったカルシウムを多く含む食品をとり入れます。年齢とともに貧血が増加する傾向があるので、赤身肉、魚、緑黄色野菜などから鉄を補い、鉄の吸収を高めるためにも、バランスの良い食事を心がけます。思春期の女子に多く見られるのが、神経性食欲不振症や神経性過食症の摂食障害です。痩せ願望や極端なダイエットによって引き起こされます。糖質や脂質の多い間食を調節し、バランスの良い食事をしながら適性体重を管理します。





 青年期は、思春期以降から29歳までで、身体の成長はほぼ完成しています。死亡率や有病率は低い時期ですが、仕事や結婚などこれまでと違った生活を送ることで、食事や運動など生活リズムも変わります。外食が増えることで野菜不足、塩分、脂肪過多となり、生活習慣病になりやすくなります。外食や自炊でも野菜を積極的にとり入れ、塩分過多にならないよう薄味を意識し、揚げ物や油の多いメニューを減らすなどして脂肪の摂取量も調整します。





 一般的に50〜64歳を中年期と言い、身体面でも徐々に機能が低下しはじめます。特に生活習慣病などさまざまな疾患も顕著に現れます。生活習慣病の予防のためにも、栄養バランスの良い食事で、腹八分目を心がけます。青年期と同様、野菜を積極的にとり入れ、塩分や脂質を抑え、高血圧や脂質異常症、肥満を予防します。





 高齢期とは65歳以上を指します。年齢を重ねることに老化現象は始まっているため、筋肉や体の水分量が減り、消化機能も低下します。唾液の分泌量が減り、食事や水分でむせ込んでしまうため、徐々に食事や水分量が減少することで、低栄養状態を招くこともあります。特に75歳以上の後期高齢者において、やせは肥満よりもむしろ死亡のリスクにつながっています。栄養を十分摂取し、健康を維持していくことが重要です。





 高齢者は、いろいろな原因で食欲が低下してしまいます。体にとって必要なエネルギー量は、若い人に比べれば減りますが、たんぱく質や必須アミノ酸、必須脂肪酸、カルシウムや鉄分などのミネラル、ビタミン類、食物繊維などの成分の多くは、若い人と同量、場合によっては多く摂らなければなりません。少ない食事量でこれらの成分を必要なだけとるには、食べ方や献立を工夫する必要があります。





 高齢期の食生活としては、低栄養の予防のためにも、肉、魚、卵、大豆製品のような良質のたんぱく質を毎食取り入れていくことが大切です。食事の形態は、口の中で噛みやすく、飲み込みやすいものが誤嚥を防ぎ、安全に食べることができます。



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加齢と食欲の変化


 加齢に伴い食欲が変化する原因とは、どのようなことでしょうか。





 運動量や筋肉量の低下に伴い、買い物や散歩などの外出が億劫となり、外出する頻度が減ると運動量が減るため、お腹が空かず、エネルギーの必要量も減ります。





 高齢者になると、家族や友人の死別による孤独感、施設や病院への入院などによる環境の変化、生きがいや生きる気力がなくなるなどから食欲が低下することがあります。高齢者の孤食が問題となっていますが、ひとりの食事は楽しさが感じられず、美味しさも半減してしまい、結果的に食欲低下につながります。





 認知症になると脳の機能が低下するため、摂食をつかさどる機能のバランスが崩れてしまいます。また、認知症で食べ物を判断できなくなることもあります。





 胃腸の働きが低下し、消化吸収の能力が低下することで、消化不良や下痢をしやすくなります。腸の働きも鈍くなるので、便秘を引き起こし、食欲がなくなることもあります。





 高齢者になると味を感じる細胞の数が減り、塩味や甘味を感じにくくなってしまいます。そのため濃い味を好むようになります。食べ物は、香りからも美味しさを感じますが、嗅覚の低下により、食べ物の美味しさを感じにくくなってしまいます。入れ歯の不具合や誤嚥を経験すると、食べることが苦痛となり、肉、魚、食物繊維の多い野菜の摂取量が減ります。それにより、亜鉛などのミネラル不足になるため、さらに味覚障害を引き起こします。





 高齢者になると白内障が原因で、食べ物の色が黄色味を帯びて見えてしまうため、鮮やかな色がわかりにくく、それにより食べ物の色による美味しさが失われてしまいます。





 咀嚼や嚥下の低下で、誤嚥を引き起こしてしまうと食べることへの不安や楽しく食べられないことから、食欲低下を招きます。また、唾液の分泌量が低下するので、味を感じにくく、パサパサしたものは食べにくくなります。



高齢者が食欲を維持増進する方法


 入れ歯の調子や嚥下の状態に合わせて、食事を刻み、ペースト状にすると食べやすくなる一方、どのような食べ物かを判断できず、食欲が低下します。食事を美味しく感じるには、5感で楽しむことです。特に視覚からの情報は、80%ほどあると言われています。食欲を高めるためには、料理の見た目を良くし、元の形状がわかるように盛り付けることです。





 食材の色、温度、盛り付けも食欲に影響します。煮物などいろいろな食材が入っていても、全部一緒にペースト化すると、食材本来の触感だけでなく、色も楽しめなくなります。





 会話をしながらの楽しい食事は、食欲も増します。施設や地域の食事サービスの利用や親せきや友人などとの食事会行うと、食事が楽しくなり、生きがいにもなります。





 また、人には体内時計が備わっており、生活のリズムがあります。規則正しい食生活を送ることで、食事の時間も整い、3食をきちんと食べることができます。



まとめ


 成長や発達に伴い、小児期、青年期、中年期、高齢期など年齢ごとに必要なエネルギー量や栄養素の量が変化し、それぞれの時期に適した食生活があります。





 もちろん、どの年齢であっても1日3回規則正しく食べることは同じです。栄養のバランスを考えた食事は、成長、発育、健康の維持に欠かせません。





 高齢者は、いろいろな原因で食欲が低下してしまいます。体にとって必要なエネルギー量は、若い人に比べれば減りますが、たんぱく質や必須アミノ酸、必須脂肪酸、カルシウムや鉄分などのミネラル、ビタミン類、食物繊維などの成分の多くは、若い人と同量、場合によっては多く摂らなければなりません。少ない食事量でこれらの成分を必要なだけとるには、食べ方や献立を工夫する必要があります。





 高齢期の食生活としては、低栄養の予防のためにも、肉、魚、卵、大豆製品のような良質のたんぱく質を毎食取り入れていくことが大切です。食事の形態は、口の中で噛みやすく、飲み込みやすいものが誤嚥を防ぎ、安全に食べることができます。





 加齢に伴い食欲が変化する原因とは、どのようなことでしょうか。運動量や筋肉量の低下に伴い、外出する頻度が減ると運動量が減るため、食欲がわきません。高齢者になると、家族や友人の死別による孤独感、施設や病院への入院などによる環境の変化、生きがいや生きる気力がなくなるなどから食欲が低下することがあります。認知症になると脳の機能が低下するため、摂食をつかさどる機能のバランスが崩れ、食欲が低下します。





 高齢者が食事を美味しく感じるには、5感で楽しむことです。特に視覚からの情報は、80%ほどあると言われています。食欲を高めるためには、料理の見た目を良くし、元の形状がわかるように盛り付けることです。食材の色、温度、盛り付けも食欲に影響します。会話をしながらの楽しい食事は、食欲も増します。



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2021年04月02日

【体からの警報】疲労の原因と回復方法


 疲労は、痛みや発熱と同様、これ以上運動や仕事などを続けると体に害が及ぶことを知らせる体の警報のひとつです。疲労は、人が生命を維持するため、体の状態や機能を一定に保とうとする恒常性維持(ホメオスタシス)のひとつとして、痛みや発熱などと並び、それ以上の活動を制限するサインです。





 疲労は、心身への過負荷により生じた活動能力の低下のことを言い、思考能力の低下、刺激に対する反応の低下、注意力の低下、注意散漫、動作緩慢、行動量の低下、眼のかすみ、頭痛、肩こり、腰痛などがみられます。





心身に負荷がかかると、副交感神経機能の低下、酸化ストレスの増加、修復エネルギー産生の低下、サイトカインによる炎症と神経伝達機能の抑制を招き、これらが疲労を引き起こしています。





 疲労を起こす原因としては、活性酸素による酸化ストレスにより、神経細胞が破壊されるためと考えられています。運動などのエネルギーをたくさん使う活動では、酸素が多く消費されるとともに活性酸素も多量に発生します。活性酸素が発生すると、活性酸素を分解して体内から除去する酵素のスーパーオキシドジスムターゼが働きますが、発生する活性酸素の量がスーパーオキシドジスムターゼの働きを上回ると、自律神経の細胞や筋肉が活性酸素によって攻撃されて疲労につながります。





 良質な睡眠をとることが、疲労回復に最も効果的であるとされています。睡眠は脳や体の休息時間であり、疲労を回復させるために一番重要です。質の良い睡眠をとるためは、適度な運動をする、入浴で体を温めリラックスする、眠る3時間ほど前までに食事を済ませることが効果的です。また、バランスのとれた食生活を心がけ、1日3食をゆっくりよく噛んで食べることが大切です。生活リズムが不規則になると、睡眠の質の低下や、食生活の乱れにもつながります。メリハリをつけ、意識して休息時間を確保します。



疲労とは


 疲労は、痛みや発熱と同様、これ以上運動や仕事などを続けると体に害が及ぶことを知らせる体の警報のひとつです。疲労は、人が生命を維持するため、体の状態や機能を一定に保とうとする恒常性維持(ホメオスタシス)のひとつとして、痛みや発熱などと並び、それ以上の活動を制限するサインです。





 疲労に関する学会において、疲労とは過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態であると定義されています。疲労は、心身への過負荷により生じた活動能力の低下のことを言い、思考能力の低下、刺激に対する反応の低下、注意力の低下、注意散漫、動作緩慢、行動量の低下、眼のかすみ、頭痛、肩こり、腰痛などがみられます。



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疲労の原因


 心身に負荷がかかると、副交感神経機能の低下、酸化ストレスの増加、修復エネルギー産生の低下、サイトカインによる炎症と神経伝達機能の抑制を招き、これらが疲労を引き起こしています。





 疲労は、末梢性疲労と中枢性疲労に分類することができます。末梢性疲労は、体の疲れです。体を動かし続けると、筋肉で蓄えられたエネルギーが枯渇し、血流は悪くなり、神経から筋肉の神経伝達が遅れるようになって、筋肉のパフォーマンスは低下します。運動によって傷ついた筋肉では炎症が起き、筋肉痛といった症状となって現れます。





 中枢性疲労は、脳の疲れです。必ずしも脳や体を使った程度とは比例せず、心理的、精神的な疲れによるものです。ストレスの感じ方は、中枢性疲労の発生に強く関連しています。





 自律神経の中枢では、体の器官や組織の調節を行い、絶えず生命維持のための身体機能を一定に保っています。運動時には、運動強度や体調に応じて呼吸や心拍、体温などの機能の調節を行っており、体にかかる負荷に合わせて生体機能のコントロールを行う自律神経の中枢も働き続けます。運動によって、体にかかる負荷が大きくなればなるほど、自律神経の中枢にかかる負荷も大きくなり、自律神経の中枢がある脳がダメージを受けることで疲労が起こるとされています。





 疲労を起こす原因としては、活性酸素による酸化ストレスにより、神経細胞が破壊されるためと考えられています。運動などのエネルギーをたくさん使う活動では、酸素が多く消費されるとともに活性酸素も多量に発生します。活性酸素が発生すると、活性酸素を分解して体内から除去する酵素のスーパーオキシドジスムターゼが働きますが、発生する活性酸素の量がスーパーオキシドジスムターゼの働きを上回ると、自律神経の細胞や筋肉が活性酸素によって攻撃されて疲労につながります。





 また、加齢や紫外線を浴びることは、活性酸素の影響を受けやすくなるため、疲労が起こりやすくなります。睡眠障害なども疲労を蓄積させる原因となることが言われています。



疲労物質


 以前乳酸は、疲労物質という考え方がなされていましたが、現在では乳酸が疲労を起こす物質であるという考えは、誤りとされています。疲労した筋肉では、乳酸の濃度が高くなり、筋肉のパフォーマンスの低下がみられますが、乳酸がパフォーマンスの低下を招いているわけではありません。





 研究によると、高負荷の運動中に糖質がエネルギーとして使われる際に乳酸が産生され、筋肉の細胞のエネルギー源として再利用されることが明らかとなっています。運動中の脳内でも、神経細胞のエネルギー源として乳酸が働くことが報告されています。



疲労と病気


 疲労によって体の機能を一定に保つ恒常性が乱れると、自律神経失調症の症状がみられるようになります。





 疲れが蓄積すると防衛反応としてステロイドホルモンが分泌されます。ステロイドホルモンが多量に分泌されると、血管の老化による動脈硬化やインスリン抵抗性による高血糖や肥満などのリスクが高まり、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病、メタボリックシンドロームにかかりやすくなります。





 ステロイドホルモンは免疫機能を低下させる作用もあります。さらに疲労が蓄積することで免疫機能が働きにくくなり、病気から体を守る防衛機能も低下します。



疲労の回復方法


 良質な睡眠をとることが、疲労回復に最も効果的であるとされています。睡眠は脳や体の休息時間であり、疲労を回復させるために一番重要です。質の良い睡眠をとるためは、適度な運動をする、入浴で体を温めリラックスする、眠る3時間ほど前までに食事を済ませることが効果的です。





 バランスのとれた食生活を心がけ、1日3食をゆっくりよく噛んで食べることが大切です。糖質、脂質、たんぱく質のバランスに加え、ミネラルやビタミンもしっかり摂ります。





 生活リズムが不規則になると、睡眠の質の低下や、食生活の乱れにもつながります。メリハリをつけ、意識して休息時間を確保します。疲れているときは、ビタミンB群、カルシウム、鉄といったミネラルは特に意識して摂ります。ビタミンB群は、糖質をはじめとしたエネルギーの代謝に重要な役割を持っています。カルシウムは、骨だけではなく細胞の機能を正常に保つために必要となります。鉄分は酸素を運ぶ赤血球をつくるために重要です。





 なお、疲れたときは甘いものが欲しくなりますが、糖質の摂りすぎはビタミンB群の欠乏につながるために注意が必要です。



まとめ


 疲労は、痛みや発熱と同様、これ以上運動や仕事などを続けると体に害が及ぶことを知らせる体の警報のひとつです。疲労は、人が生命を維持するため、体の状態や機能を一定に保とうとする恒常性維持(ホメオスタシス)のひとつとして、痛みや発熱などと並び、それ以上の活動を制限するサインです。





 疲労は、心身への過負荷により生じた活動能力の低下のことを言い、思考能力の低下、刺激に対する反応の低下、注意力の低下、注意散漫、動作緩慢、行動量の低下、眼のかすみ、頭痛、肩こり、腰痛などがみられます。





 心身に負荷がかかると、副交感神経機能の低下、酸化ストレスの増加、修復エネルギー産生の低下、サイトカインによる炎症と神経伝達機能の抑制を招き、これらが疲労を引き起こしています。





 疲労を起こす原因としては、活性酸素による酸化ストレスにより、神経細胞が破壊されるためと考えられています。運動などのエネルギーをたくさん使う活動では、酸素が多く消費されるとともに活性酸素も多量に発生します。活性酸素が発生すると、活性酸素を分解して体内から除去する酵素のスーパーオキシドジスムターゼが働きますが、発生する活性酸素の量がスーパーオキシドジスムターゼの働きを上回ると、自律神経の細胞や筋肉が活性酸素によって攻撃されて疲労につながります。





 良質な睡眠をとることが、疲労回復に最も効果的であるとされています。睡眠は脳や体の休息時間であり、疲労を回復させるために一番重要です。質の良い睡眠をとるためは、適度な運動をする、入浴で体を温めリラックスする、眠る3時間ほど前までに食事を済ませることが効果的です。また、バランスのとれた食生活を心がけ、1日3食をゆっくりよく噛んで食べることが大切です。生活リズムが不規則になると、睡眠の質の低下や、食生活の乱れにもつながります。メリハリをつけ、意識して休息時間を確保します。



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2021年04月01日

【混合物の分離】蒸留と分留


 蒸留は、物質と物質を沸点の違いを利用して分離させる方法です。一般的には、混合物を沸騰させて、何らかの物質を蒸発させ、分離することを指します。





 混合物を沸騰させて、ある物質のみを蒸発させ、分離するためには、混合物が2つ以上の物質の混合物であり、蒸発しない方の物質の沸点がかなり高い場合だと都合が良いことから、液体と固体の組み合わせが多くなる傾向にあります。





 分留とは、1つの混合物を沸騰させて、2つ以上の物質を蒸発させ分離することです。分留は、原油など多くの物質が混ざり合った混合物に用います。





 ウイスキー、ブランデー、焼酎、ジンなどを製造する際に蒸留工程があります。お酒づくりでの蒸留は、液体を熱することで主にアルコールが蒸気となって蒸発し、この蒸気を冷やして再び液体にすることです。水よりも沸点の低いアルコールの蒸気を回収し、冷却して液体に戻すことで、よりアルコール純度の高い液体をつくリ出すことができます。すなわち、水の沸点が100℃なのに対し、アルコールの沸点は78℃であることから、この沸点の差を利用して主にアルコールだけを蒸発させ、蒸発していった蒸気を冷やして、再び液体に戻すと、アルコールの高い液体ができることになります。



蒸留


 蒸留は、物質と物質を沸点の違いを利用して分離させる方法です。一般的には、混合物を沸騰させて、何らかの物質を蒸発させ、分離することを指します。





 混合物を沸騰させて、ある物質のみを蒸発させ、分離するためには、混合物が2つ以上の物質の混合物であり、蒸発しない方の物質の沸点がかなり高い場合だと都合が良いことから、液体と固体の組み合わせが多くなる傾向にあります。





 身近なところでは、食塩水、つまり塩化ナトリウム水溶液があげられます。塩化ナトリウム水溶液をフラスコに入れ、沸騰石を加えて沸騰させると、溶液中の水だけが水蒸気となって取り出すことができます。この水蒸気を冷却することで、純粋な水が得られます。この系において、水が蒸発する方の物質です。一方の塩化ナトリウムは、蒸発しないほうの物質です。





 多くの塩化ナトリウムは、固体で存在しています。これは、塩化ナトリウムの融点が801℃、沸点が1,465℃と非常に高いため、通常の環境では固体となるからです。蒸留の実験では、1,465℃まで加熱することは困なことから、蒸留で水をだけを得ようとしたにもかかわらず、塩化ナトリウムまで蒸発してしまうという可能性は極めて低いです。





 このように、異なる物質が混ざったものを加熱し、物質を気化させ、それを冷却して純粋な液体として取り出す操作のことを蒸留と呼びます。



分留


 分留とは、1つの混合物を沸騰させて、2つ以上の物質を蒸発させ分離することです。分留は、原油など多くの物質が混ざり合った混合物に用います。





 原油は、分留によって石油ガス、ガソリン、灯油、軽油、重油などに取り分けられます。原油の精製では、1度原油全体が加熱炉の中で350℃に熱せられます。このうち、最も沸点の高い重油は、350℃で蒸発し、蒸留塔と呼ばれる装置に入った途端に冷めることで液体に戻ります。残りの気体は、熱で上昇し、蒸留塔の中で1つ上の階へ上ります。そして、ここで冷めて液体になったものが、250〜320℃が沸点の軽油です。





 このように、1度の蒸留で複数の物質を取り出すことを、分留といいます。



お酒を製造する際に用いる蒸留


 ウイスキー、ブランデー、焼酎、ジンなどを製造する際に蒸留工程があります。





 お酒の蒸留は、発酵という工程の後に行われ、全てのお酒で行われることはありません。発酵は、酵母の酵素によって糖質を含む原材料からアルコールをつくり出すことです。ウイスキー、ブランデー、焼酎など多くのお酒に用いられる蒸留は、ビール、ワイン、日本酒などの製造工程では、用いられません。





 お酒づくりでの蒸留は、液体を熱することで主にアルコールが蒸気となって蒸発し、この蒸気を冷やして再び液体にすることです。水よりも沸点の低いアルコールの蒸気を回収し、冷却して液体に戻すことで、よりアルコール純度の高い液体をつくリ出すことができます。すなわち、水の沸点が100℃なのに対し、アルコールの沸点は78℃であることから、この沸点の差を利用して主にアルコールだけを蒸発させ、蒸発していった蒸気を冷やして、再び液体に戻すと、アルコールの高い液体ができることになります。





 実際のところ、お酒は発酵だけでは、アルコール度数10%程度です。アルコールに耐性のある酵母で発酵させても20%前後が限界です。そこで、発酵だけでなく蒸留も行うことで、アルコールを40%以上に高めることが可能となります。蒸留方法次第で、90%以上まで高めることができます。つまり、アルコールが90%以上ということは、そのお酒の成分の90%以上はアルコールです。水を含め、そのほかの成分はわずかです。





 アルコール度数が高まるにつれ、それだけ原材料由来の成分の割合は低くなっていきます。これは、アルコール度数が高まるほど、原材料の風味が失われていくことを意味します。蒸留方法には、単式蒸留と連続式蒸留の2種類があります。





 お酒は、蒸留によってアルコール度数を40〜90%以上まで高めることができます。しかし、このままでは度数が高すぎて、お酒としては飲みにくいことから、蒸留後に水を加えて度数を調整します。焼酎であれば25〜35%、ウイスキーであれば40〜43%程度です。





 加水するのであれば、そもそもなぜアルコール度数を高める必要があるのでしょうか。これは、主に生産効率を上げると共に保存性を高めるためとされています。アルコール度数を高くすることで、加水によって自由に度数を調整でき、腐敗することもありません。





 蒸留させたお酒は、蒸留酒(スピリッツ)と呼ばれます。蒸留酒には、ウイスキー、ブランデー、焼酎、ジン、ウォッカ、ラム、テキーラなどがあります。



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まとめ


 蒸留は、物質と物質を沸点の違いを利用して分離させる方法です。一般的には、混合物を沸騰させて、何らかの物質を蒸発させ、分離することを指します。





 混合物を沸騰させて、ある物質のみを蒸発させ、分離するためには、混合物が2つ以上の物質の混合物であり、蒸発しない方の物質の沸点がかなり高い場合だと都合が良いことから、液体と固体の組み合わせが多くなる傾向にあります。





 分留とは、1つの混合物を沸騰させて、2つ以上の物質を蒸発させ分離することです。分留は、原油など多くの物質が混ざり合った混合物に用います。





 ウイスキー、ブランデー、焼酎、ジンなどを製造する際に蒸留工程があります。お酒づくりでの蒸留は、液体を熱することで主にアルコールが蒸気となって蒸発し、この蒸気を冷やして再び液体にすることです。水よりも沸点の低いアルコールの蒸気を回収し、冷却して液体に戻すことで、よりアルコール純度の高い液体をつくリ出すことができます。すなわち、水の沸点が100℃なのに対し、アルコールの沸点は78℃であることから、この沸点の差を利用して主にアルコールだけを蒸発させ、蒸発していった蒸気を冷やして、再び液体に戻すと、アルコールの高い液体ができることになります。



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2021年03月31日

【定義】膜で仕切られ代謝と複製を行う「生物」


 生物とはどのようなものと考えられているのでしょうか。多くの生物学者が認めている生物の定義とは、外界と膜で仕切られている、代謝を行う、自分の複製をつくるという3つの条件を満たすものです。この3つの条件をすべて持っているものは、生物だけです。





 生物は、なぜ膜で外界と仕切られる必要があるのでしょうか。代謝を行い、複製をつくるには、酵素などによりさまざまな化学反応が起こる必要があります。膜で仕切られた内部であれば、反応物質の濃度を高めることができるため、いろいろな化学反応を効率的に行うことができます。したがって、代謝や複製のためには、膜で仕切られた構造が理想的な環境となります。





 膜はどのような成分で構成されているのでしょうか。細胞と水中に仕切りをつくるためには、水に溶けないものを原材料として、つくります。水に溶けない成分となると脂質があげられます。しかし、生物の細胞内は、いろいろな化学反応を起こすために水がどうしても必要です。疎水性の脂質で仕切りを設け、その両側を親水性の物質で挟み込めば、疎水性の部分が仕切りの役目を果たし、仕切りの表面は親水性であるため、水中で存在できることになります。水と油(脂)のように性質の異なる媒質の両方となじむ性質があることを両親媒性といいます。実際に生体膜に使われている両親媒性分子は、リン脂質です。





 多くの原子や分子では、原子核のプラスの電荷と電子のマイナスの電荷が等しく、相殺されて全体では電荷がゼロになっています。しかし、電荷に偏りのない中性の原子や分子であっても、ある瞬間にはプラスの電荷の中心とマイナスの電荷の中心がずれることがあります。そういうときに働く電気的な力をファンデルワールス力といいます。リン脂質は水中において、ファンデルワールス力で集まり、ミセルという分子集合体を形成します。





 ミセルは主に球状で、リン脂質が外界と内部を仕切っています。しかし、ミセルでは、細胞をつくることはできません。細胞はその内部で化学反応を行うため、内部に水が必要です。そこで、親水基がそれぞれ外界と内部に突き出し、間に疎水基を向かい合わせにして、リン脂質の2重膜をつくれば、外側にも内側にも親水基を出すことができます。



生物の定義


 生物とはどのようなものと考えられているのでしょうか。多くの生物学者が認めている生物の定義とは、外界と膜で仕切られている、代謝を行う、自分の複製をつくるという3つの条件を満たすものです。この3つの条件をすべて持っているものは、生物だけです。





 すべての生物は細胞でできています。そして、すべての細胞は細胞膜に包まれています。細胞は、細胞膜のほかに核を包み込む核膜、ミトコンドリアの膜などいろいろな膜を持っています。小胞体は核膜とつながった膜で、その一部はリボソームと結びついています。これらの膜の構造は、基本的にすべて同じで、細胞膜も含め、これらの膜は生体膜と呼ばれています。





 生物は、なぜ膜で外界と仕切られる必要があるのでしょうか。代謝を行い、複製をつくるには、酵素などによりさまざまな化学反応が起こる必要があります。膜で仕切られた内部であれば、反応物質の濃度を高めることができるため、いろいろな化学反応を効率的に行うことができます。したがって、代謝や複製のためには、膜で仕切られた構造が理想的な環境となります。



膜の構成成分


 膜はどのような成分で構成されているのでしょうか。定説では、生物は水中で誕生したと考えられています。細胞と水中に仕切りをつくるためには、水に溶けないものを原材料として、つくります。水に溶けない成分となると脂質があげられます。しかし、生物の細胞内は、いろいろな化学反応を起こすために水がどうしても必要です。





 疎水性の脂質で仕切りを設け、その両側を親水性の物質で挟み込めば、疎水性の部分が仕切りの役目を果たし、仕切りの表面は親水性であるため、水中で存在できることになります。





 水と油(脂)のように性質の異なる媒質の両方となじむ性質があることを両親媒性といいます。こうした性質をもつ分子は、両親媒性分子と呼ばれます。分子内に親水基と親油基をあわせもつ界面活性剤や極性の脂質は、すべて両親媒性分子です。実際に生体膜に使われている両親媒性分子は、リン脂質です。



ファンデルワールス力で集まるリン脂質


 物質は、原子からできています。原子は、プラスの電気を持つ原子核と、マイナスの電気を持つ電子からできています。原子核は原子の中心にあり、プラスの電荷を持つ陽子と、電荷を持たない中性子という粒子が集まったものです。





 電子は、原子核の周りに広がる雲のようなイメージです。そのため、電子雲と呼ばれることもあります。分子は原子がいくつか結合したもので、いくつかの原子核を電子雲が包んでいるイメージです。





 多くの原子や分子では、原子核のプラスの電荷と電子のマイナスの電荷が等しく、相殺されて全体では電荷がゼロになっています。





 しかし、電荷に偏りのない中性の原子や分子であっても、ある瞬間にはプラスの電荷の中心とマイナスの電荷の中心がずれることがあります。そういうときに、原子間あるいは分子間に働く電気的な力を、ファンデルワールス力といいます。





 リン脂質は水中において、リン脂質同士で集まる性質があります。このとき、リン脂質は、ファンデルワールス力で集まります。





 水中で集まったリン脂質は、さまざまな形状をとります。すなわち、リン脂質は、油と水界面に吸着、配向し、水中でミセルなどの分子集合体を形成します。水に触れるのは親水基だけで、疎水基は水に触れないように並びます。



リン脂質による2重膜


 ミセルは主に球状で、リン脂質が外界と内部を仕切っています。しかし、ミセルでは、細胞をつくることはできません。細胞はその内部で化学反応を行うため、内部に水が必要です。ミセルの内側には疎水基が並んでいるので、内部を水で満たすことができません。





 そこで、細胞膜はリン脂質の2重膜になっています。親水基がそれぞれ外界と内部に突き出し、間に疎水基を向かい合わせにして2重膜をつくれば、外側にも内側にも親水基を出すことができます。



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まとめ


 生物とはどのようなものと考えられているのでしょうか。多くの生物学者が認めている生物の定義とは、外界と膜で仕切られている、代謝を行う、自分の複製をつくるという3つの条件を満たすものです。この3つの条件をすべて持っているものは、生物だけです。





 生物は、なぜ膜で外界と仕切られる必要があるのでしょうか。代謝を行い、複製をつくるには、酵素などによりさまざまな化学反応が起こる必要があります。膜で仕切られた内部であれば、反応物質の濃度を高めることができるため、いろいろな化学反応を効率的に行うことができます。したがって、代謝や複製のためには、膜で仕切られた構造が理想的な環境となります。





 膜はどのような成分で構成されているのでしょうか。細胞と水中に仕切りをつくるためには、水に溶けないものを原材料として、つくります。水に溶けない成分となると脂質があげられます。しかし、生物の細胞内は、いろいろな化学反応を起こすために水がどうしても必要です。疎水性の脂質で仕切りを設け、その両側を親水性の物質で挟み込めば、疎水性の部分が仕切りの役目を果たし、仕切りの表面は親水性であるため、水中で存在できることになります。水と油(脂)のように性質の異なる媒質の両方となじむ性質があることを両親媒性といいます。実際に生体膜に使われている両親媒性分子は、リン脂質です。





 多くの原子や分子では、原子核のプラスの電荷と電子のマイナスの電荷が等しく、相殺されて全体では電荷がゼロになっています。しかし、電荷に偏りのない中性の原子や分子であっても、ある瞬間にはプラスの電荷の中心とマイナスの電荷の中心がずれることがあります。そういうときに働く電気的な力をファンデルワールス力といいます。リン脂質は水中において、ファンデルワールス力で集まり、ミセルという分子集合体を形成します。





 ミセルは主に球状で、リン脂質が外界と内部を仕切っています。しかし、ミセルでは、細胞をつくることはできません。細胞はその内部で化学反応を行うため、内部に水が必要です。そこで、親水基がそれぞれ外界と内部に突き出し、間に疎水基を向かい合わせにして、リン脂質の2重膜をつくれば、外側にも内側にも親水基を出すことができます。



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2021年03月30日

【嗅覚を刺激】食品に利用される香気成分


 香気成分とは、食品をはじめ植物などが放出する揮発性化合物のなかで、人が官能的ににおいを感じる物質を指します。





 香りの強弱は、香気成分の濃度によって決まります。濃度の高低によって質が著しく変わる成分もあります。また、香気成分の組成が異なることにより、香りの質に差が生じる場合もあります。





 ユズ、グレープ、マンゴー、オレンジ、レモンに特徴的な香気成分は、抽出あるいは調香され、食品に利用されています。



香気成分


 香気成分とは、食品をはじめ植物などが放出する揮発性化合物のなかで、人が官能的ににおいを感じる物質を指します。





 花の香気成分は、ベンゼン及びベンゼンに類似した芳香族化合物、イソプレン単位に切断できる炭素骨格をもつイソプレノイド、鎖状化合物とこれに類似した環状化合物である脂肪族化合物など生合成経路の異なる化合物群に分類されます。





 香りの強弱は、香気成分の濃度によって決まります。濃度の高低によって質が著しく変わる成分もあります。天然ジャスミンをはじめ多くの白色の花に含まれるイ含窒素化合物のインドールは、低濃度ではフローラルな香気を持ちますが、高濃度では糞臭となります。また、香気成分の組成が異なることにより、香りの質に差が生じる場合もあります。バラは多くの芳香性品種が存在し、その香気成分組成により6つの特徴的な香りのタイプに分けられます。





 花の香気成分の前駆体は、多種類存在し、香気成分への変換過程も多様です。そのなかで香気成分前駆体の1種である配糖体、すなわち、ひとつあるいはそれ以上の糖が、アグリコンあるいはゲニンと呼ばれる非糖質のものと結合した化合物は、切り花への賦香に応用されています。バラの主要香気成分である2-フェニルエタノールの配糖体を、香りの少ないバラに与えると、バラの花から発散される2-フェニルエタノールの量は大幅に増え、香気強度も高まります。



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植物の香気成分


・ユズ





 ユズはミカン科の耐寒性の強い常緑小高木で、徳島県や高知県が産地として知られております。生果と果汁での出荷がほとんどで、わずかに果皮から溶剤抽出によってオイルが生産されています。





 ユズは調理用柑橘として、その爽快な酸味と快い独特の香気で食生活に親しまれています。





 香気の中には、リモネンが多く含まれており、リナロールのほか微量のチモール、ペリラアルデヒドなどが重要な成分となっています。





・カシス





 カシスは、北ヨーロッパから北アジアの寒冷地に生育するユキノシタ科の潅木です。ストロベリーやブルーベリーなどと同じベリー類の1種で、6〜8月にかけて直径1cmほどの濃い紫色の実をたくさん付けます。





 程良い酸味と香りが特徴のこの実は、ジュースやジャムのほか、リキュールの原材料としても使われています。「





 カシスの香りは、さまざまなテルペン化合物やエステル類が寄与していますが、最もカシスらしい重いフルーティーなにおいには、4-メトキシ-2-メチルブタン-2-チオールが関与しています。





・ウメ





 ウメはイチゴ、モモ、アンズなどと同じバラ科の落葉中高木で、原産地は中国の四川省と湖北省の山岳地帯です。





 ウメの実は、その効能が明らかになるにつれ長期保存する方法が考え出されていきました。





 ウメの花の甘い香りには、モモ、チェリー、アプリコットなどにも含まれるベンズアルデヒドやオイゲノールなどの香気成分が、ウメの実にはベンズアルデヒドを中心に酢酸エチルなどのエステル類やガンマデカラクトンなどのラクトン類が含まれています。





・チェリー





 チェリーはバラ科サクラ亜属に属する落葉高木の果実です。アメリカ、ドイツ、フランス、日本など世界各地で栽培され、生食のほか、缶詰、天然果汁として利用されます。





 チェリーの香りは、一般的に西洋チェリーがベンズアルデヒドを中心としたパンチのある香りで、国産のものは果肉感のあるみずみずしい香りです。香気成分としてはベンズアルデヒドが特徴的で、ほかには脂肪酸エステル類、ヘキセノール類、ヘキセナール類が主です。





・アプリコット





 日本ではあんずと呼ばれるバラ科の落葉性高木で、中国華北地方の原産です。果実は核果で有毛、みぞがあり、白粉を吹き、成熟すると淡黄色または橙黄色になります。





 アプリコットの核仁は杏仁と呼ばれ、漢方では鎮咳去痰薬として配合されています。杏仁にはアミグダリンがおおよそ3%、脂質30〜50%が含まれており、圧搾して得られる杏仁油は化粧品の原材料となり、搾りかすを蒸留して得られる杏仁水は鎮咳薬にされます。





 果肉の香気成分は、リナロール、ゲラニオール、ネロールなどのアルコール類、ベンズアルデヒド、パラサイメンなどが中心で、他にはγ-ブチロラクトン、γ-デカラクトンなどのラクトン類、エチルラウレート、エチルミリステート、イソブチリックアシッドなどのエステル、酸類も検出されています。





・スイカ





 スイカは、4000年以前から栽培されている長い歴史のあるウリ科の果実です。原産地は諸説がありますが、南アフリカであるとの説が一般的です。





 果肉は紅肉と黄肉があり、紅肉種が90%を占めています。この特有の紅色は、リコピンとカロチンによります。栽培品種は品種改良が盛んに行われ、その数は非常に多いのが特徴です。近年は著しく甘みが強い品種が好まれています。





 果肉部の香気成分はアルデハイド類、アルコール類、ケトン類などで、得にスイカのみずみずしさに寄与している成分は3,6-ノナジエナール、3-ノネナールと言われています。





・グレープ





 グレープは世界の大多数の国で栽培され、果物類の全生産量の半分に達するといわれています。日本でも北海道から九州まで全国的に生産されていますが、主な生産地は山梨で、山形、長野と続きます。グレープには生食用、ワイン用それぞれにいろいろな品種があります。





 グレープの香りの成分としては、エチルアセテート、メチルアンスラニレートなどのエステル類をはじめ、リナロール、ヘキサノール、フラネオールなどがあげられます。これらの組み合わせにより、巨峰、マスカットなどの特徴のある香りが作り出されます。





・メロン





 メロンはウリ科に属する一年生のつる草植物です。種類としては、雨量の少ない地域で発達したネットメロン、カンタロープ、ウインターメロンなどの西洋メロン、インドや中国の比較的湿潤な地方で栽培された東洋系のマクワウリがあります。マスクメロン(Musk Melon)は、ジャコウ(Musk)にちなんでつけられた名称で、芳香の特に強いネットメロン、カンタロープに与えられました。





 独特のみずみずしい香りとグリーン香に特徴があり、重要な成分としてはcis-6-ノネナール、3,6-ノナジエン-1-オール、trans-2- cis-6-ノナジエナール、cis-3-ヘキセノールがあげられ、他にも酢酸エステル類、プロピオン酸エステル類、酪酸エステル類などの多種の香気成分が報告されています。





・モモ





 モモの原産地は中国華北の陜西省や甘粛省の高原地帯です。





 果実の香気成分として確認されている物質は、86成分に達し主にエステル類、ラクトン類、アルデヒド類ですが、未熟の時は、エステル類が多く成熟すると共にラクトン類が増加することが知られています。





 他の果実に比べ、炭素数6〜10のラクトン類の存在が特徴的です。そのほかに酢酸ヘキシル、酢酸トランス-2-ヘキセニル、ベンツアルデヒド等が比較的多く存在しています。





・リンゴ





 リンゴの原産は中央アジア地方で、起源は古く4000年も前のことです。





 リンゴの主要な香気成分は、新鮮な青さと甘さを演出するヘキサノール、ヘキサナール、トランス-2-ヘキセナールなどの炭素数が6個の化合物です。エチルブチレート、ブチルアセテート、ブチルブチレートなどのエステル類は甘さと完熟感を与えます。





・マンゴー





 マンゴーは、熱帯アジア原産のウルシ科の常緑樹で、普通10〜30メートルほどに伸び、枝を大きく張りひろげます。





 マンゴーには特有の強い香りがあり、味わいは甘く柔らかく、口の中で溶ける美味しさがあります。現在では世界各地で栽培されており、品種も数千種以上あります。果実の色も黄色からオレンジがかった赤と変化に富んでいます。





 香気成分としては、アセトイン、ターピネン、酪酸、ラクトン類などがあげられます。





・バナナ





 バナナは、マレーシアが原産といわれていますが、現在では広く熱帯各地で栽培されています。世界のバナナの生産量の60%は中南米で、残りはアジア各地、アフリカなどで生産されています。





 バナナ特有の甘い果実様を与える香気成分としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸などのアミルエステルがあげられます。また、微量でも、完熟感を与える特徴的香気成分として、オイゲノール、オイゲノールメチルエーテル、エレミシンなどのフェノールエーテル類があげられます。





・パイナップル





 パイナップルの原産地は、中米及びブラジル北部を中心とする地方です。





 香気成分としては、カプロン酸メチル、エチルエステルが非常に多く、含硫化合物としては、3-メチルチオプロピオン酸メチル、エチルエステルが知られています。また、2.5-ジメチル- 4-ヒドロキシ-3(2H)フラノンは、熟した感じの香気成分として知られています。





・ブルーベリー





 ブルーベリーは、ツツジ科スノキ属の低木果樹で、6〜7月下旬にかけて、1cmほどの丸い紫色の果実をつけます。ブルーベリーという名は果実の青色に由来しています。スノキ属は、ブルーベリーのほかにクランベリー、ハックルベリーなど世界に百種以上もあり、主に北半球の寒冷地に分布しています。ヨーロッパ、アメリカでは、野生種の採取が古くから行われ、ポピュラーな果物として、生食の他に、ジャム、ヨーグルト、タルト、肉料理のソースなどに利用されています。





 香気成分は、トランス-2-ヘキセナール、トランス-2-ヘキセノール、シス-3-ヘキセノールなどのグリーン系の香りと、リナロール、ゲラニオールなどのフローラルな香り、それに酢酸などが主なものです。





・イチゴ





 イチゴはバラ科の植物で、北米とチリ中南部原産の2種がヨーロッパで交雑し、現在の品種が生まれたようです。





 香気成分は、これまでに300種以上が分析されていますが、新鮮なイチゴの香気には、酢酸エチル、酪酸メチル、酢酸ブチル、カプロン酸メチルなどのエステル類をはじめとし、アルコール類、酢酸などが重要であるといわれています。また独特の甘い香りに関与する成分として、2、5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノンやラクトン類が知られています。





・グレープフルーツ





 ブドウの房のように果実が群がってつくことから名づけられたグレープフルーツは、西インド諸島のバルバドス島でブンタンの自然雑種として誕生しました。





 グレープフルーツは生果だけでなく、ジュースや缶詰にも利用され、その生産量は全柑橘の10%をも占めるようになりました。主な生産地は、アメリカ、イスラエル、アルゼンチン、南アフリカなどです。





 グレープフルーツの香気の特徴はヌートカトンで、果実中にはおおよそ200ppm含まれています。その他の香気としては、シトラール、リナロール、炭素数 8〜10のアルデヒド、バレンセン、その他のエステルが挙げられます。また、独特のさわやかな苦みはナリンジンという物質に由来し、果実中に 0.03〜0.1%含まれています。





・バレンシアオレンジ





 世界の柑橘生産量のおおよそ70%を占めるバレンシアオレンジは、アメリカのフロリダ州、メキシコが主要生産地です。





 オレンジオイルは、果皮の圧搾、または果実全体を圧搾し果汁を得る時に分離して採油されます。





 その香気成分は、d-リモネンが90%以上を占めています。炭素数8〜12のアルデヒド類はフレッシュな果皮感を、シネンサールは甘い果汁感を、酢酸エチル、酪酸ブチルなどのエステル類は、甘く熟した香りの主成分です。





・レモン





 レモンオイルはフレッシュで爽やかな香気をもっているため、とても人気が高く、オレンジと並ぶ定番で、飲料用フレーバーなどによく使われます。





 レモンの香りの特徴を出す香気成分はシトラールですが、その他アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類などとの調和によって、レモン特有の香りがかもし出されます。



まとめ


 香気成分とは、食品をはじめ植物などが放出する揮発性化合物のなかで、人が官能的ににおいを感じる物質を指します。





 香りの強弱は、香気成分の濃度によって決まります。濃度の高低によって質が著しく変わる成分もあります。また、香気成分の組成が異なることにより、香りの質に差が生じる場合もあります。





 ユズ、グレープ、マンゴー、オレンジ、レモンに特徴的な香気成分は、抽出あるいは調香され、食品に利用されています。



posted by Kaoru at 05:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 食品の成分
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