2014年10月25日
「ウフィツィ美術館展 黄金のルネサンス ボッティチェリからブロンヅィーノまで」
東京都美術館で開催中の「ウフィツィ美術館展 黄金のルネサンス ボッティチェリからブロンヅィーノまで」を見て来ました。
フィレンツェが誇るイタリア・ルネサンスの殿堂「ウフィツィ美術館」。意外にも同館の名前を掲げた展覧会としては日本で初めての開催だそうです。 出品は75点ですが、デッサンは少なく、大きな作品も多いので、とても見ごたえがありました。
作品は必ずしも全てウフィツィ美術館のコレクションではありません。半数以上は同館の作品ですが、フィレンツェのアカデミア、パラティーナ、捨て子養育院などの美術館の作品が展示されています。
今回の目玉作品は、何と言ってもサンドロ・ボッティチェリ「パラスとケンタウロス」1480‐85年 です。大きさもですが、圧倒的な存在感です。
女性は、学問の女神パラス(ミネルウァ)で、足や手は女性とは思えない骨太で、硬く鋭い輪郭線を使って描かれています。頭部や体に巻き付くオリーブは、勝利と平和の象徴。彼女は左手に斧のついた大槍を携え、右手でケンタウロスの髪をつかんでいます。半人半獣のケンタウロスは、暴力や肉欲などの象徴。
この作品は理性による獣性の統御を表わしているとか。パラスの白い衣装に付いているメディチ家の標章はダイヤモンドの指輪を組み合わせたものだそうです。
ボッティチェリと画家周辺、ないしは帰属作、また後世の加筆作を含め9点が展示され、。初期の聖母子から晩年まで宗教画まで、比較的幅広い年代の作品が展示されています。
またボッティチェリでは「聖母子、洗礼者聖ヨハネ、大天使ミカエルとガブリエル」も印象深い。晩年の画家の特徴として捉えられる屈曲した聖母を描いた「聖母子と洗礼者聖ヨハネ」も魅惑的でした。「聖母子と天使」建築物を背後に聖母子に幼子イエスを支える天使が寄り添う構図はリッピの作品と似ていますね。
さて、ボッティチェリがメインの展覧会ですが、ボッティチェリの作品以外の作品も見逃せません。
ドメニコ・ギルランダイオの「聖ヤコブス、聖ステファヌス、聖ペテロ」。
バルトロメオ・ディ・ジョヴァンニの「砂漠で改悛する聖ヒエロニムス」。ライオンやふくろうが描かれて、まるでマグリットの作品のように感じました。
ブロンズィーノ「公共の福祉の寓意」。
「公共の幸福」の擬人像は中央に赤い衣と青いマントを付け、乳房を出し、右手にはカドケウス、左手には果物は入った豊穣の角を持っています。天上には冠を持つ「栄光」とラッパを吹く「名声」。隣の愛のクピドの左には、男女二つの顔(男の顔はコジモ1世に似ています)。小品ですが詳細にみると、さまざまな寓意がとても見ごたえにある作品です。
ヴァザーリの作品も良かった!「無原罪の御宿りの寓意」、「羊飼いの礼拝」光と暗闇の対比が見事で、レンブラントのように感じました。
デッサンはほとんどなく、見ごたえのある作品が多いので、時間の余裕を見ていくことをオススメします。
来年春には渋谷のBunkamuraで「ボッティチェリとルネサンス」展が開催されます。これも楽しみですね。
今日は、その後根津美術館へ。
期間限定展示の瀟湘八景図のうち伝牧谿「洞庭秋月」(徳川美術館蔵)を見るためです。
牧谿の瀟湘八景図は大軸と小軸の2種類あって、これは小軸のほう。伝牧谿だからか重文指定も受けていません。
これが牧谿も真筆かどうか、判断はできませんが、とても詩情にあふれた静かで美しい作品だと思いました。
今回はほとんどこの1点を見たいために行ったようなものですが、良かったなと思います。
瀟湘八景図は現在7幅あるそうですが、今年その4幅を拝見することができました。うち2つは個人蔵ですので、なかなか拝見する機会はないかもしれません。
フィレンツェが誇るイタリア・ルネサンスの殿堂「ウフィツィ美術館」。意外にも同館の名前を掲げた展覧会としては日本で初めての開催だそうです。 出品は75点ですが、デッサンは少なく、大きな作品も多いので、とても見ごたえがありました。
作品は必ずしも全てウフィツィ美術館のコレクションではありません。半数以上は同館の作品ですが、フィレンツェのアカデミア、パラティーナ、捨て子養育院などの美術館の作品が展示されています。
今回の目玉作品は、何と言ってもサンドロ・ボッティチェリ「パラスとケンタウロス」1480‐85年 です。大きさもですが、圧倒的な存在感です。
女性は、学問の女神パラス(ミネルウァ)で、足や手は女性とは思えない骨太で、硬く鋭い輪郭線を使って描かれています。頭部や体に巻き付くオリーブは、勝利と平和の象徴。彼女は左手に斧のついた大槍を携え、右手でケンタウロスの髪をつかんでいます。半人半獣のケンタウロスは、暴力や肉欲などの象徴。
この作品は理性による獣性の統御を表わしているとか。パラスの白い衣装に付いているメディチ家の標章はダイヤモンドの指輪を組み合わせたものだそうです。
ボッティチェリと画家周辺、ないしは帰属作、また後世の加筆作を含め9点が展示され、。初期の聖母子から晩年まで宗教画まで、比較的幅広い年代の作品が展示されています。
またボッティチェリでは「聖母子、洗礼者聖ヨハネ、大天使ミカエルとガブリエル」も印象深い。晩年の画家の特徴として捉えられる屈曲した聖母を描いた「聖母子と洗礼者聖ヨハネ」も魅惑的でした。「聖母子と天使」建築物を背後に聖母子に幼子イエスを支える天使が寄り添う構図はリッピの作品と似ていますね。
さて、ボッティチェリがメインの展覧会ですが、ボッティチェリの作品以外の作品も見逃せません。
ドメニコ・ギルランダイオの「聖ヤコブス、聖ステファヌス、聖ペテロ」。
バルトロメオ・ディ・ジョヴァンニの「砂漠で改悛する聖ヒエロニムス」。ライオンやふくろうが描かれて、まるでマグリットの作品のように感じました。
ブロンズィーノ「公共の福祉の寓意」。
「公共の幸福」の擬人像は中央に赤い衣と青いマントを付け、乳房を出し、右手にはカドケウス、左手には果物は入った豊穣の角を持っています。天上には冠を持つ「栄光」とラッパを吹く「名声」。隣の愛のクピドの左には、男女二つの顔(男の顔はコジモ1世に似ています)。小品ですが詳細にみると、さまざまな寓意がとても見ごたえにある作品です。
ヴァザーリの作品も良かった!「無原罪の御宿りの寓意」、「羊飼いの礼拝」光と暗闇の対比が見事で、レンブラントのように感じました。
デッサンはほとんどなく、見ごたえのある作品が多いので、時間の余裕を見ていくことをオススメします。
来年春には渋谷のBunkamuraで「ボッティチェリとルネサンス」展が開催されます。これも楽しみですね。
今日は、その後根津美術館へ。
期間限定展示の瀟湘八景図のうち伝牧谿「洞庭秋月」(徳川美術館蔵)を見るためです。
牧谿の瀟湘八景図は大軸と小軸の2種類あって、これは小軸のほう。伝牧谿だからか重文指定も受けていません。
これが牧谿も真筆かどうか、判断はできませんが、とても詩情にあふれた静かで美しい作品だと思いました。
今回はほとんどこの1点を見たいために行ったようなものですが、良かったなと思います。
瀟湘八景図は現在7幅あるそうですが、今年その4幅を拝見することができました。うち2つは個人蔵ですので、なかなか拝見する機会はないかもしれません。