2014年10月19日
三井記念美術館「東山御物の美」
三井記念美術館開催中の特別展「東山御物の美」。現在の日本美術の美の基準を作った「東山御物」が一堂に会する素晴らしい展覧会、開催を知ってからとても楽しみにしていました。
畳敷きに床の間といった私たちが通常イメージする和の文化が生まれたのが室町時代です。そして床の間を唐絵唐物つまり中国から輸入された絵画、工芸品で飾るのが当時最高の美意識でした。なかでも東山御物、足利将軍コレクションは名品揃い!
なぜ、東山?というと、東山の慈照寺(銀閣)に居を構え「東山殿」といわれた室町幕府8代将軍足利義政の所蔵していたものだからです。ただ実際には3代将軍義満や4代将軍義教が集めたものもかなりあります。
名物茶道具も展示されています。今回は堺の豪商天王寺屋が所蔵し、唐物肩衝の代表格の一つといわれる「北野肩衝」などがありました。根津美術館でも奈良の松屋が所蔵した松屋3名物の一つ「松屋肩衝」など大名物といわれる茶入を拝見しましたが、正直言って茶道具の素晴らしさはよくわかりません^_^ ;
「織田信長最後の茶会」(小島毅著 光文社新書)から引用します。
「九十九茄子(大名物茶入のひとつ)がそれ自体としてすばらしい焼き物かどうかはもはや問題ではない。それが佐々木道誉から足利義満に献上され、しばらく御物であったということにこそ、この物品の商品価値が存在するのである。」
室町殿の所有する御物であったということが、その物に威信財としての価値を付与すると。納得しました^^
今回は個人蔵の作品も多く、絵画はほとんど展示替えがありますので、最低でも2回は行くつもりでした。今回は1回目。
この日は展覧会の企画委員であるる東京大学東洋文化研究所の板倉聖哲教授の講演会があり、会場はかなり混んでいました。
今回は梁楷の作品が目立ちました。梁楷は南宋の宮廷画家として、本国でも高く評価され、室町時代の日本美術にも大きな影響を与えました。
国宝の「出山釈迦・雪景山水図」は3幅のうち釈迦図と左幅の2幅が展示。足利将軍家を出た後、吉備大臣入唐絵巻なども所蔵していた若狭酒井家に伝えられ、本願寺や三井家を経て、今は東京国立博物館に3幅とも所蔵されています。
『君台観左右帳記』 足利将軍家が会所の諸室を飾るために用いた宋元画の筆者名と茶器および文房具の類を列記した秘伝書です。
中国画家のリストは、上中下に三品等別して画家の名前と得意とするジャンルが列記されています。その他図入りの座敷の飾りつけ、陶磁器、文房具などの鑑識とその配置方法などを説明しています。
国立歴史民俗博物館本は、はじめて実物を拝見。感動しましたね〜。前半の絵画の分類の上の部には牧谿、徽宗皇帝などの名前がありました。
小品ですが、「雪中帰牧図」李迪や「高士探梅図」(伝)馬遠筆も良かったです。
その後、板倉先生が会場に登場!いくつかの作品の説明や、開催に至るまでのご苦労などのお話を聞くことができました。ラッキー^^♪
「宮女図」(伝)銭選筆は唐の時代にはやったいう男装の女性を元時代に描いた作品。とてもエロティックな作品とか。
「松下眺望図」(伝)夏珪筆、「老子図」牧谿筆は代2次世界大戦で消滅したといわれていたこと。
「夏景山水図」(伝)胡直夫「秋景山水・冬景山水図」(伝)徽宗筆は、4幅対だったものが春だけ失われて、今回後半に3幅並んで拝見できます。
夏は水墨、秋は緑、冬は白など色の対比がなされているとか。「秋景山水・冬景山水図」は京博で見たばかりですが、まとめて拝見することでまた違った発見がありそうで楽しみです。
「桃鳩図」、「鴨図」、そして「夏景山水図」、「秋景山水・冬景山水図」を同時期に展示したかったともおっしゃっていました。
板倉先生のお話はとてもわかりやすくかつ面白く、とても勉強になりました。
日本の美の原点ともいうべき世界をまとめて拝見できる10年に一度ともいうべきとても貴重な展覧会です!
このような素晴らしい展覧会の開催にご尽力いただいた皆さまに深く感謝したいと思います。
特別展 東山御物の美 −足利将軍家の至宝−
会期:2014(平成26)年10月4日(土)〜11月24日(月・振替休)
会場:三井記念美術館
(〒103-0022 東京都中央区日本橋室町二丁目1番1号 三井本館7階)
http://www.mitsui-museum.jp/
開催時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
ナイトミュージアム :会期中毎週金曜日は19:00まで開館(入館は18:30まで)
休館日:月曜日。ただし、10月13日(月・祝)、11月3日(月・祝)、11月24日(月・振替休)は開館
畳敷きに床の間といった私たちが通常イメージする和の文化が生まれたのが室町時代です。そして床の間を唐絵唐物つまり中国から輸入された絵画、工芸品で飾るのが当時最高の美意識でした。なかでも東山御物、足利将軍コレクションは名品揃い!
なぜ、東山?というと、東山の慈照寺(銀閣)に居を構え「東山殿」といわれた室町幕府8代将軍足利義政の所蔵していたものだからです。ただ実際には3代将軍義満や4代将軍義教が集めたものもかなりあります。
名物茶道具も展示されています。今回は堺の豪商天王寺屋が所蔵し、唐物肩衝の代表格の一つといわれる「北野肩衝」などがありました。根津美術館でも奈良の松屋が所蔵した松屋3名物の一つ「松屋肩衝」など大名物といわれる茶入を拝見しましたが、正直言って茶道具の素晴らしさはよくわかりません^_^ ;
「織田信長最後の茶会」(小島毅著 光文社新書)から引用します。
「九十九茄子(大名物茶入のひとつ)がそれ自体としてすばらしい焼き物かどうかはもはや問題ではない。それが佐々木道誉から足利義満に献上され、しばらく御物であったということにこそ、この物品の商品価値が存在するのである。」
室町殿の所有する御物であったということが、その物に威信財としての価値を付与すると。納得しました^^
今回は個人蔵の作品も多く、絵画はほとんど展示替えがありますので、最低でも2回は行くつもりでした。今回は1回目。
この日は展覧会の企画委員であるる東京大学東洋文化研究所の板倉聖哲教授の講演会があり、会場はかなり混んでいました。
今回は梁楷の作品が目立ちました。梁楷は南宋の宮廷画家として、本国でも高く評価され、室町時代の日本美術にも大きな影響を与えました。
国宝の「出山釈迦・雪景山水図」は3幅のうち釈迦図と左幅の2幅が展示。足利将軍家を出た後、吉備大臣入唐絵巻なども所蔵していた若狭酒井家に伝えられ、本願寺や三井家を経て、今は東京国立博物館に3幅とも所蔵されています。
『君台観左右帳記』 足利将軍家が会所の諸室を飾るために用いた宋元画の筆者名と茶器および文房具の類を列記した秘伝書です。
中国画家のリストは、上中下に三品等別して画家の名前と得意とするジャンルが列記されています。その他図入りの座敷の飾りつけ、陶磁器、文房具などの鑑識とその配置方法などを説明しています。
国立歴史民俗博物館本は、はじめて実物を拝見。感動しましたね〜。前半の絵画の分類の上の部には牧谿、徽宗皇帝などの名前がありました。
小品ですが、「雪中帰牧図」李迪や「高士探梅図」(伝)馬遠筆も良かったです。
その後、板倉先生が会場に登場!いくつかの作品の説明や、開催に至るまでのご苦労などのお話を聞くことができました。ラッキー^^♪
「宮女図」(伝)銭選筆は唐の時代にはやったいう男装の女性を元時代に描いた作品。とてもエロティックな作品とか。
「松下眺望図」(伝)夏珪筆、「老子図」牧谿筆は代2次世界大戦で消滅したといわれていたこと。
「夏景山水図」(伝)胡直夫「秋景山水・冬景山水図」(伝)徽宗筆は、4幅対だったものが春だけ失われて、今回後半に3幅並んで拝見できます。
夏は水墨、秋は緑、冬は白など色の対比がなされているとか。「秋景山水・冬景山水図」は京博で見たばかりですが、まとめて拝見することでまた違った発見がありそうで楽しみです。
「桃鳩図」、「鴨図」、そして「夏景山水図」、「秋景山水・冬景山水図」を同時期に展示したかったともおっしゃっていました。
板倉先生のお話はとてもわかりやすくかつ面白く、とても勉強になりました。
日本の美の原点ともいうべき世界をまとめて拝見できる10年に一度ともいうべきとても貴重な展覧会です!
このような素晴らしい展覧会の開催にご尽力いただいた皆さまに深く感謝したいと思います。
特別展 東山御物の美 −足利将軍家の至宝−
会期:2014(平成26)年10月4日(土)〜11月24日(月・振替休)
会場:三井記念美術館
(〒103-0022 東京都中央区日本橋室町二丁目1番1号 三井本館7階)
http://www.mitsui-museum.jp/
開催時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
ナイトミュージアム :会期中毎週金曜日は19:00まで開館(入館は18:30まで)
休館日:月曜日。ただし、10月13日(月・祝)、11月3日(月・祝)、11月24日(月・振替休)は開館