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2014年09月15日

国立新美術館で開催の”オルセー美術館展”

六本木の国立新美術館で開催中(7月9日〜10月20日、休館日火曜日)の 「オルセー美術館展」印象派の誕生ー描くことの自由ー に行ってきました 。1874年に第1回印象派展が開催されてから140年ということで、「印象派の殿堂」であるオルセー美術館展の開催は、とりわけ印象派の人気の高い日本では、人気があるのも当然!
混んでましたね〜。
展覧会の構成は以下の通りです。

第1章:マネ、新しい絵画
第2章:レアリスムの諸相
第3章:歴史画
第4章:裸体
第5章:印象派の風景 田園にて/水辺にて
第6章:静物
第7章:肖像
第8章:近代生活
第9章:円熟期のマネ
ということでマネがメイン。

印象派の誕生を告げたエドゥアール・マネの初期の作品たちが展覧会の最初の章の飾ります。中でも一番最初に展示されるのが、この「笛を吹く少年」の絵。太い輪郭線と平面的な色使いがジャポニズムの影響を感じさせます。

ミレーの「晩鐘」(1857-59)がやって来ました。祈りを捧げる農民夫婦。夕景です。鳥の羽ばたく空は朱色にも染まる。靴は木靴でしょうか。かなり大きい。夕方に祈りを捧げたミレーの祖母の記憶を元にした作品だそうです。絵の前で思わず祈りたくなるような・・・。やはり魅力的な作品です。

「落穂拾いの女たちの招集」地面に残った穂を集めるたくましい農婦たちを、敬虔な姿で描いたブルトンの傑作です。 

マネが「草上の昼食」で大きく非難を浴びた年のサロンで高い評価を得た「ヴィーナスの誕生」。ギリシア神話の愛と美の女神ヴィーナスが海の泡から生まれた誕生の場面が描かれています。目を半ば開いたヴィーナスの朦朧とした表情は、官能的で魅惑的。19世紀のアカデミック絵画を代表するこの作品により、ガバネルは富と名声を手に入れるようになります。

ハイライトは第5章「印象派の風景」でしょうか。モネの大傑作「かささぎ」(1868-69)を頂点に、シスレー、セザンヌ、ブータン、ピサロ、ルノワールらの風景画が並びます。特にモネの作品は風景の中の午後の太陽の日差しと心地よい風や草のにおいの中に自分もいるような気分にさせられます。

また、モネでは「サン=ラザール駅」(1877)も出品。そういえば先の「かささぎ」しかり、国立新美術館のオープニングを飾った「大回顧展モネ」(2007年)にも展示がありました。以前見たときよりやや小さく見えたのはどうしてでしょうか?

第7章の肖像では「死の床のカミーユ」が印象に残りました。ボストン美術館展では、赤い着物を着て、あんなに笑顔を浮かべていたカミーユなのに・・・。ラ・ジャポネーズの絵を思い出し悲しくなりました。

8章 近代生活」の会場に入ると、目に飛び込んでくるのは、 今回の目玉のひとつ日本初公開のモネ「草上の昼食」。
この作品は、マネの「草上の昼食」と同じ主題で描き始められたものの完成されず、家賃がわりに大家に引き渡されてしまったそうです。その後取り戻されたときには、絵は傷んでおり、2枚に分断されたそうです。会場ではその2枚の絵がつなげて展示されています。

ラストは「ロシュフォールの逃亡」(1891)です。体制に反して追放されたジャーナリスト、ロシュフォールが逃亡する様子を描いたという作品、荒い筆致で描かれています。「笛を吹く少年」から約25年、マネの変化を伺い知ることも出来るかもしれません
19世紀に起こった絵画の革新は「描くことの自由」を画家に与えましたが、同時に伝統も再評価されるきっかけとなりました。

「印象派」の括りにとらわれず、短い間に起こった絵画の革新を軸に、多様な描き方をオルセーの名画を通し観ることの出来る非常に贅沢な展覧会です。
posted by はまやん at 20:45| アート
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