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2014年07月21日

東京国立博物館 総合文化展に行ってきました

東京国立博物館総合文化展、いわゆる常設展に行ってきました。

今回久しぶりだったのですが、トーハクの所蔵品の素晴らしさを再認識した次第です。

国宝室は、久隅守景筆納涼図屏風。
この絵がお気に入りの方には申し訳ありませんが、癒し系のこの絵がなぜ国宝なのか、以前から疑問を抱いていました。
今回改めてみると見方が違うかもと思い、行ってみましたが、変わりませんでした^^;
国宝というと、雪舟の山水長巻とか、永徳の洛中洛外図とか、・・・。
探幽の絵でも国宝ってないんですよ〜。久隅守景の絵でも聖衆来迎寺の方がいいかなと思ったり。

トーハク本館でよく見るのが、禅と水墨画のコーナー。
今回は山水図祥啓筆筆 、李白観瀑図 惟肖得巌賛が特に良かった。
芸網の弟子であった祥啓。これぞ本流室町水墨画という感じです。

書画図屏風 伝如拙 。如拙 の絵って、瓢鮎図は有名ですが、他の絵って初めて見たような。

続いて屏風と襖絵のコーナー。
ここはたいてい大きめの絵が3点展示されています。
どれも素晴らしい作品ばかりで、絶対に見逃せません。
雨山水図屏風 呉春筆はタッチがまだ文人画時代の作品かなと思いました。 応挙の弟子となった後年の呉春の作品の方が好きです。
周茂叔林和靖図屏風 狩野探幽筆。この絵がおそらく初めて拝見しました。 右隻が茂叔、左隻が林和靖。林和靖は鶴を2羽飼っていたそうですが、1羽しか見つけることができませんでした。
柳橋水車図屏風 作者不詳。安土桃山〜江戸時代に大ヒットした、大好きな構図なのですが、等伯作と比べると、何が違うんでしょう、華やかさに欠ける気がしました。

続いて書画の展開のコーナー。
大好きな安土桃山〜江戸の作品ですから、ここも見逃せません。
今回の白眉は、瀟湘八景図屏風 長谷川等伯筆。等伯の凄さを改めて認識した次第です。
以前等伯展のときも見ているはずですが、中央に余白をたっぷりとった南宋画風の雄大で幻想的な景色に本当に魅せられました。京都・妙心寺隣華院の襖絵をほうふつさせる名作です。しばらく絵の前のソファに座って見とれていました。
他にも、山水図 海北友雪筆、 関羽・山水図狩野伊川院(栄信)筆( 色がきれい)、 山水図 曽我蕭白筆も良かった。 蕭白の山水図は人物画とはまた違うタッチで、大好きです。

最後に1階で近代の美術。
三井記念美術館で「明治工芸」展を開催していたせいか、これぞ超絶技巧の明治の工芸の名品が揃っています。
ここでは、山水 6曲1双 狩野芳崖筆が良かった! 狩野芳崖版山水長巻という感じ。
正直いって幕末から明治期の木挽町狩野家で学んだ日本画家では、橋本雅邦の方が好きなのですが、江戸時代にか描かれたこの絵を見て、芳崖の力量を再認識した次第です。

長府藩の御用絵師であった芳崖は、明治になって不遇の時期を迎えます。その後、フェノロサと知り合い、さまざまな試行錯誤の結果、畢生の名作「悲母観音」を完成させませすが、この作品を描き上げた4日後に亡くなります。
今年世紀の日本画展で久しぶりにこの絵を拝見し、とても慈愛に満ちた観音の表情が印象的で、幼子が近代日本画の誕生のように思えました。

博物館を出た後、とてもいい時間を過ごせたな・・・、と思えた1日でした。
posted by はまやん at 08:32| アート
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