2016年05月22日
美の祝典U ―水墨の壮美@出光美術館
第二部のテーマは、「水墨画」。
サイトより「幻想的な山水の光景に恋し、清閑な情趣を感じ取った画家たちは、筆墨の妙が余白にひびく余韻に独自の美を見いだしました。中国画を手本に学び、そこにわが国ならではの風情を重ね合わせることで、日本の水墨画は大いなる発展をみたのでした。本展では、牧谿・玉澗の瀟湘八景図をはじめ、能阿弥「四季花鳥図屏風」(応仁3年(1469) 重要文化財)、長谷川等伯「竹鶴図屏風」(桃山時代)、池大雅「十二ヵ月離合山水図屏風」(江戸時代 重要文化財)、田能村竹田「梅花書屋図」(江戸時代 重要文化財)など、教科書でも馴染みの深い巨匠たちの優品をご堪能いただきます。なおこの期間、国宝「伴大納言絵巻」中巻を特別展示します。 」
6月12日までの展示テーマは水墨画と文人画。江戸時代の文人画掛軸は名品揃いです。
宋末元初の画僧、牧谿による「平沙落雁図」や玉澗による「山市晴嵐図」はどちらも重要文化財で旧足利将軍家のコレクション。
そして3期を通して目玉となる国宝・伴大納言絵巻(10年ぶりの公開)は、現在中巻を展示中。
中巻では、応天門火災の犯人の嫌疑をかけられた左大臣源信が朝廷に無実を訴える場面から始まり、主人の罪を嘆き悲しむ左大臣家の人々の様子が描かれたのち、真相解明の発端となった子供の喧嘩の様子と、舎人夫婦の証言によってついに真相が明らかにされるさまが描かれます。
応天門炎上事件の後に、伴大納言の家来の子供と舎人の子供が喧嘩して、前者の親が出てきて後者の子を足蹴にしたら、後者の親は炎上事件は伴大納言側の放火であることを暴露する、という場面が非常に活き活きと「異時同図法」で描かれます。「信貴山縁起絵巻」の大仏殿の場面でもありました。
女たちの感情表現がすごいです。また舎人夫婦が町中で大声(?)で話しているのを周りの人がにやにやしながら聞いている場面はとても今っぽいなあと思いました。
そうした中、源信の姿が印象的でした。
お気に入りの作品を挙げてみます。
四季花鳥図屏風(右隻) 能阿弥 応仁3年(1469) 重要文化財 出光美術館蔵 何度も見ていますが大好きな作品。牧谿の写しといいますが、室町水墨画を代表する作品だと思います。
山市晴嵐図 玉澗 中国・南宋時代末期 〜元時代初期
平沙落雁図 牧谿 中国・南宋時代 本当にうっすらとしか見えませんが・・・、空気を感じるとても魅かれる作品です。左上の円形の山にさす光が美しい。水はどこかもはやわかりませんが、鑑賞者の想像で、ということなのでしょう。雁の飛ぶ様子も幻想的です。
竹鶴図屏風 長谷川等伯 墨の濃淡で雨上がりの湿潤とした空気を表現。
待花軒図 伝 周文
西湖図屏風 狩野元信
西湖に行ったばかりということもあって、今回の一番お気に入り。
雪舟の四季山水図をイメージさせるきっちりとした線と構図で描かれた堂々たる大作です。右隻は、孤山と背景の北高峰がすごい存在感。
上部に蘇堤。蘇堤は左隻へも続きます。
孤山へと続く白堤が描かれています。風が強いのか手前の柳は揺れているようです。
でも南北高峰は現地ではわかりませんでした。もう一度行かなくては。
鸕鷀捉魚図 渡辺崋山天保11年(1840)頃 顔に朱色。崋山って本当にうまいですね。
目撃佳趣画冊 田能村竹田
山水図屏風 与謝蕪村 右隻は春、左隻は秋。山々の存在感が見事。
寒林孤鹿図 与謝蕪村
結局2時間近く鑑賞していました。中国絵画と室町絵画の好きな方、特にお勧めします。
「開館50周年記念 美の祝典U - 水墨の壮美」
開催日
2016年05月13日〜2016年06月12日
会場
出光美術館
営業時間
午前10時〜午後6時(入館は午後5時30分まで)
※「美の祝典」期間中は開館時間を変更しています。金曜日の延長開館はありません。
休館日
毎週月曜日
イベントURL
http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/
サイトより「幻想的な山水の光景に恋し、清閑な情趣を感じ取った画家たちは、筆墨の妙が余白にひびく余韻に独自の美を見いだしました。中国画を手本に学び、そこにわが国ならではの風情を重ね合わせることで、日本の水墨画は大いなる発展をみたのでした。本展では、牧谿・玉澗の瀟湘八景図をはじめ、能阿弥「四季花鳥図屏風」(応仁3年(1469) 重要文化財)、長谷川等伯「竹鶴図屏風」(桃山時代)、池大雅「十二ヵ月離合山水図屏風」(江戸時代 重要文化財)、田能村竹田「梅花書屋図」(江戸時代 重要文化財)など、教科書でも馴染みの深い巨匠たちの優品をご堪能いただきます。なおこの期間、国宝「伴大納言絵巻」中巻を特別展示します。 」
6月12日までの展示テーマは水墨画と文人画。江戸時代の文人画掛軸は名品揃いです。
宋末元初の画僧、牧谿による「平沙落雁図」や玉澗による「山市晴嵐図」はどちらも重要文化財で旧足利将軍家のコレクション。
そして3期を通して目玉となる国宝・伴大納言絵巻(10年ぶりの公開)は、現在中巻を展示中。
中巻では、応天門火災の犯人の嫌疑をかけられた左大臣源信が朝廷に無実を訴える場面から始まり、主人の罪を嘆き悲しむ左大臣家の人々の様子が描かれたのち、真相解明の発端となった子供の喧嘩の様子と、舎人夫婦の証言によってついに真相が明らかにされるさまが描かれます。
応天門炎上事件の後に、伴大納言の家来の子供と舎人の子供が喧嘩して、前者の親が出てきて後者の子を足蹴にしたら、後者の親は炎上事件は伴大納言側の放火であることを暴露する、という場面が非常に活き活きと「異時同図法」で描かれます。「信貴山縁起絵巻」の大仏殿の場面でもありました。
女たちの感情表現がすごいです。また舎人夫婦が町中で大声(?)で話しているのを周りの人がにやにやしながら聞いている場面はとても今っぽいなあと思いました。
そうした中、源信の姿が印象的でした。
お気に入りの作品を挙げてみます。
四季花鳥図屏風(右隻) 能阿弥 応仁3年(1469) 重要文化財 出光美術館蔵 何度も見ていますが大好きな作品。牧谿の写しといいますが、室町水墨画を代表する作品だと思います。
山市晴嵐図 玉澗 中国・南宋時代末期 〜元時代初期
平沙落雁図 牧谿 中国・南宋時代 本当にうっすらとしか見えませんが・・・、空気を感じるとても魅かれる作品です。左上の円形の山にさす光が美しい。水はどこかもはやわかりませんが、鑑賞者の想像で、ということなのでしょう。雁の飛ぶ様子も幻想的です。
竹鶴図屏風 長谷川等伯 墨の濃淡で雨上がりの湿潤とした空気を表現。
待花軒図 伝 周文
西湖図屏風 狩野元信
雪舟の四季山水図をイメージさせるきっちりとした線と構図で描かれた堂々たる大作です。右隻は、孤山と背景の北高峰がすごい存在感。
上部に蘇堤。蘇堤は左隻へも続きます。
孤山へと続く白堤が描かれています。風が強いのか手前の柳は揺れているようです。
でも南北高峰は現地ではわかりませんでした。もう一度行かなくては。
鸕鷀捉魚図 渡辺崋山天保11年(1840)頃 顔に朱色。崋山って本当にうまいですね。
目撃佳趣画冊 田能村竹田
山水図屏風 与謝蕪村 右隻は春、左隻は秋。山々の存在感が見事。
寒林孤鹿図 与謝蕪村
結局2時間近く鑑賞していました。中国絵画と室町絵画の好きな方、特にお勧めします。
「開館50周年記念 美の祝典U - 水墨の壮美」
開催日
2016年05月13日〜2016年06月12日
会場
出光美術館
営業時間
午前10時〜午後6時(入館は午後5時30分まで)
※「美の祝典」期間中は開館時間を変更しています。金曜日の延長開館はありません。
休館日
毎週月曜日
イベントURL
http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/