2016年05月08日
フランスの風景 樹をめぐる物語 −コローからモネ、ピサロ、マティスまで−
東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館は、“樹木”というモチーフを通して、フランス風景画の変遷をたどる展覧会「樹をめぐる物語」を4月16日から6月26日(日)まで開催中です。
本展は、フランスのパリ近郊にあるポントワーズ美術館(カミーユ・ピサロ美術館、タヴェ・ドラクール美術館)館長、クリストフ・デュヴィヴィエ氏が監修を務めた。フランスを中心に国内外の美術館、ならびに個人所蔵作品から油彩を中心に、素描や版画など、自然や樹木に対する画家たちの想いが込められた作品約110点を展示しています。バルビゾン派、印象派周辺の「樹」「木」モチーフ作品を集めた展示です。
神々や人間の姿を描いた歴史画が絵画の頂点とされていた時代、自然を描いた風景画の地位は低く、風景はあくまで背景として描かれることがほとんどでした。やがて19世紀になり近代化が進むと、レジャーの発展に伴う田園生活への憧れから、徐々に風景画を描く画家が登場するようになります。バルビゾン派を代表する画家、シャルル・フランソワ・ドービニーは、風景画家だった父から絵の手ほどきを受け、アトリエ船「ボタン号」でセーヌ河やオワーズ河流域の水辺の風景を好んで描きました。
自然を前にしてスケッチを描き、最終的な仕上げは屋内のアトリエで行っていたバルビゾン派に対し、刻々と変化する自然の形態を両面に留めるため、屋外で作品を仕上げるようになったのが印象派の画家たち。
バルビゾン派に多大な影響を受けたカミーユ・ピサロは、「マトゥランの丘にて、ポントワーズ」において、パリ近郊の穏やかな田園風景やそこで働く農民の姿を、明るく透明感のある色彩と軽やかなタッチで描きました。
19世紀後半から20世紀に入ると、樹木は場所や種を特定し、自然の光や動きを示唆するものではなく、描かれた形態や色彩、タッチを自律的にとらえるためのモチーフとなります。
ロマン派からバルビゾン派、印象派、新印象派、ポスト印象派、象徴派、フォーヴまで、フランス近代風景画が展開する過程において“樹木”というモチーフがどのような役割を果たしてきたのかがたどれるこの展覧会。
カミーユ・コローやギュスターヴ・カイユボット、クロード・モネ、そしてモーリス・ドニにアンリ・マティス、フェリックス・ヴァロットン。その他初めて知った画家の絵がたくさんありました。そのためか、各作品や画家に対しての説明書きが多めに掲載され、どんな人が描いたのがわかるので参考になりました。
構成は以下の通り。
•第1章:戸外制作の画家たち
•第2章:印象派の画家たちと同時代の風景画
•第3章:ポスト印象主義と20世紀前衛芸術への試み
ロベール・アントワーヌ・パンション「道、雪の効果」1905年
クロード・モネ「ヴェトゥイユの河岸からの眺め、ラヴァクール《夕暮れの効果》」 1880年頃
夕方の光をピンクとオレンジで表現。
カミーユ・コロー「エトルタ近くの風景」
カミーユ・コロー「マトゥランの丘にて、ポントワーズ]
ギュスターヴ・カイユボット「セーヌ河岸、プティ・ジュヌヴィリエ」1870年頃
フェリックス・ヴァロットン「オンフルールの眺め、朝」1912年
シャルル=フランソワ・ドービニー ヴァルモンドワの下草
ジュール・バスティアン=ルパージュ ダンヴィエの村
エミール・イーゼンバール ルシエの泉
エミリオ・ボッジオ 開花 ベネズエラの画家。桜でしょうか?なども良かったです。
静かな空間で鑑賞しているとだんだんと森の中の小道を歩いているような、そんな気分にさせられました。外はまさに新緑がきらめいていて街路樹も緑が眩しい季節。作品群観ていると森のざわめき、水音が聞こえてきそうな気分にもなります。まさにこの季節に観るべき美術展ですね。
バルビゾン派と印象派の風景画が好きな方には特にオススメです。
【開催概要】
フランスの風景『樹をめぐる物語』-コローからモネ、ピサロ、マティスまで-
会期:2016年4月16日(土)〜6月26日(日)
※月曜休館
会場:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
住所:東京都新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン日本興亜ビル42F
開館時間:10:00〜18:00
※金曜は20:00まで。入館は閉館30分前まで。
本展は、フランスのパリ近郊にあるポントワーズ美術館(カミーユ・ピサロ美術館、タヴェ・ドラクール美術館)館長、クリストフ・デュヴィヴィエ氏が監修を務めた。フランスを中心に国内外の美術館、ならびに個人所蔵作品から油彩を中心に、素描や版画など、自然や樹木に対する画家たちの想いが込められた作品約110点を展示しています。バルビゾン派、印象派周辺の「樹」「木」モチーフ作品を集めた展示です。
神々や人間の姿を描いた歴史画が絵画の頂点とされていた時代、自然を描いた風景画の地位は低く、風景はあくまで背景として描かれることがほとんどでした。やがて19世紀になり近代化が進むと、レジャーの発展に伴う田園生活への憧れから、徐々に風景画を描く画家が登場するようになります。バルビゾン派を代表する画家、シャルル・フランソワ・ドービニーは、風景画家だった父から絵の手ほどきを受け、アトリエ船「ボタン号」でセーヌ河やオワーズ河流域の水辺の風景を好んで描きました。
自然を前にしてスケッチを描き、最終的な仕上げは屋内のアトリエで行っていたバルビゾン派に対し、刻々と変化する自然の形態を両面に留めるため、屋外で作品を仕上げるようになったのが印象派の画家たち。
バルビゾン派に多大な影響を受けたカミーユ・ピサロは、「マトゥランの丘にて、ポントワーズ」において、パリ近郊の穏やかな田園風景やそこで働く農民の姿を、明るく透明感のある色彩と軽やかなタッチで描きました。
19世紀後半から20世紀に入ると、樹木は場所や種を特定し、自然の光や動きを示唆するものではなく、描かれた形態や色彩、タッチを自律的にとらえるためのモチーフとなります。
ロマン派からバルビゾン派、印象派、新印象派、ポスト印象派、象徴派、フォーヴまで、フランス近代風景画が展開する過程において“樹木”というモチーフがどのような役割を果たしてきたのかがたどれるこの展覧会。
カミーユ・コローやギュスターヴ・カイユボット、クロード・モネ、そしてモーリス・ドニにアンリ・マティス、フェリックス・ヴァロットン。その他初めて知った画家の絵がたくさんありました。そのためか、各作品や画家に対しての説明書きが多めに掲載され、どんな人が描いたのがわかるので参考になりました。
構成は以下の通り。
•第1章:戸外制作の画家たち
•第2章:印象派の画家たちと同時代の風景画
•第3章:ポスト印象主義と20世紀前衛芸術への試み
ロベール・アントワーヌ・パンション「道、雪の効果」1905年
クロード・モネ「ヴェトゥイユの河岸からの眺め、ラヴァクール《夕暮れの効果》」 1880年頃
夕方の光をピンクとオレンジで表現。
カミーユ・コロー「エトルタ近くの風景」
カミーユ・コロー「マトゥランの丘にて、ポントワーズ]
ギュスターヴ・カイユボット「セーヌ河岸、プティ・ジュヌヴィリエ」1870年頃
フェリックス・ヴァロットン「オンフルールの眺め、朝」1912年
シャルル=フランソワ・ドービニー ヴァルモンドワの下草
ジュール・バスティアン=ルパージュ ダンヴィエの村
エミール・イーゼンバール ルシエの泉
エミリオ・ボッジオ 開花 ベネズエラの画家。桜でしょうか?なども良かったです。
静かな空間で鑑賞しているとだんだんと森の中の小道を歩いているような、そんな気分にさせられました。外はまさに新緑がきらめいていて街路樹も緑が眩しい季節。作品群観ていると森のざわめき、水音が聞こえてきそうな気分にもなります。まさにこの季節に観るべき美術展ですね。
バルビゾン派と印象派の風景画が好きな方には特にオススメです。
【開催概要】
フランスの風景『樹をめぐる物語』-コローからモネ、ピサロ、マティスまで-
会期:2016年4月16日(土)〜6月26日(日)
※月曜休館
会場:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
住所:東京都新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン日本興亜ビル42F
開館時間:10:00〜18:00
※金曜は20:00まで。入館は閉館30分前まで。