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2014年06月13日

悲劇の皇帝、徽宗(故宮博物院@)

故宮博物院に残された文物のなかでも、ひときわ洗練された美しい名品の一群が、北宋時代のものです。
陶磁器の一つの到達点といわれる青磁、深い情感をたたえた山水画や花鳥画、端正な書。
故宮博物院の美術品として、多くの人がまず想像するのが、こうした北宋の作品ではないでしょうか。

徽宗は北宋の第八代皇帝で、王朝が豊かで栄華を極めた時期に皇帝となり、失政ののち、国を滅亡へと導きます。
自らも虜囚として囚われ、シベリアに近い北の地で一生を終えることになります。

「宋史」の「徽宗本記」は、「いにしえより、人君物を弄びて志を失い、欲をほしいままにして度を破る事、亡せざるもの少なし。徽宗甚だしきかな。故に特に著して、もって戒めとなせり」と記しています。

彼は、自ら書画に造詣の深い芸術家であるとともに、パトロンであり、コレクターでもありました。
青磁、書画の傑作を作らせ、中国の美術の黄金時代を築いた皇帝です。
しかし、北宋の美は、国家の滅亡という大きな犠牲のもとに生み出されたものでした。

美に憑かれた悲劇の皇帝、徽宗のことに少し触れたいと思います。
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北宋という時代は、シルクロードや遣唐使の唐や、蒙古襲来の元などと違って日本にはあまりなじみがないように思われる方も多いと思います。実際、北宋は唐の半分ほどの地域しか領有せず、対外的にも異民族の圧迫に悩み続けました。

しかし、この国では洗練された高尚な独特の文化が栄え、日本では特に室町時代の文化に多大な影響を与えました。

板倉聖哲氏の「故宮」(NHK出版)によると、日本において徽宗コレクションを意識して収集・展示したのは、250年ほどあとの室町幕府3代将軍足利義満だったそうです。
南北朝を合一した義満は将軍権力を増強するため、禅宗を積極的に取り込み、北宋の首都開封の大相国寺に倣って京都に相国寺を創建、南宋の五山制度に倣って京都・鎌倉の五山制度を整えたそうです。
また土佐行弘筆の義満像に書かれた義持の賛は、父親義満を徽宗になぞらえたものであったそうで、室町時代から義満が徽宗のことを意識していた証拠にもなると。

徽宗は、その生涯を通じてたくさんの絵画や書を残していますが、足利将軍のコレクション、いわゆる東山御物のなかでも特に徽宗の作品は重宝され、多くの伝徽宗の作品が残されています。
伝えられたものは贋作がほとんどといいますが、宋の文化がいかにあこがれの対象であったが想像できますね。

彼の絵画の才能を遺憾なく発揮した作品として、いまは中国・瀋陽の遼寧省博物館に収蔵される「瑞鶴図巻」があります。この絵は清朝のときは北京の故宮にあったのですが,ラストエンペラー溥儀の退出とともに故宮から長春にもたらされ、日本の敗戦による満州国の瓦解のとき散逸しましたが、変転のすえ博物館の有に帰したといいます。
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絵のあとに書かれた徽宗自筆の痩金体の題記があります。

「政和壬辰」政和二年(1112)の「上元」旧暦一月十五日,いわゆる元宵節の日,その「次夕」十六日の晩,とつぜん目出度い雲がもくもくと湧き上がり,宮殿の正門たる宣徳門に垂れこめてきた。民衆がみなこれを仰ぎ見ると,一群の鶴が空中を飛びまわり鳴きかわし,さらに二羽の鶴が屋根の鴟尾の両端にむきあってとまり,とてものんびりした風情である。ほかの鶴たちはみな空を飛翔し,リズムにあわせるかのよう。来あわせた首都の民衆は,みんなすわって頭を地につけ敬礼し遥拝し,ながい間感嘆していた。鶴たちは時間がたっても飛散しなかった。そのうち連なって西北のかなたに飛翔し散らばった。朕はこの瑞祥に感じいったので,詩を作って事実を記録しておく。

瑞祥も熱心に収集した彼が各地から集められた奇花や珍鳥を描き、その由来を記したのが、「宣和睿覧冊」。
千冊にも及ぶ膨大なもので吉祥的画題の集大成とういうべき本。「瑞鶴図巻」のほか、「五色鸚鵡図」(ボストン美術館)はみなこの本の一部を画巻に改装したものだそうです。

ちなみに今年の秋、三井記念美術館で「東山御物展」が開催されます。
日本で唯一の徽宗の真筆といわれる「桃鳩図」も出展される予定ですので、今から楽しみにしています。
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posted by はまやん at 20:37| アート
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