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2015年08月08日

「画鬼・暁斎 − KYOSAI」三菱一号館美術館内覧会に参加しました

今回紹介するのは、東京丸の内にある三菱一号館美術館で6月27日〜9月6日にわたって開催されている「画鬼・暁斎(きょうさい)」展です。

美術館として2010年に生まれ変わった三菱一号館は、そもそも日本近代建築の父とも言われる建築家、ジョサイア・コンドルによって設計されました。

明治政府の「お雇い外国人」として来日したコンドルは、ニコライ堂や旧岩崎邸をはじめ数多くの建築物を手がけました。また、現在の東京大学工学部建築学科の教授として明治から昭和にかけて活躍した多くの日本人建築家を育てたことで知られています。

コンドルは日本美術をはじめとする日本文化に傾倒し 英語の著書を通じて日本美術を海外に紹介する日本文化のスポークスマンのような役割も果たしていました。そのコンドルが師と仰ぎ、終生尊敬した画家がこの河鍋暁斎だったのです。
コンドルが暁斎に弟子入りしたのは暁斎50代、コンドル20代と言いますから親子のような師弟関係だったのでしょう。
30も年が離れていたにも関わらず二人の親交は厚く、コンドルは暁斎から自身の暁とコンドルの故郷である英国を合わせた、 暁英(きょうえい)という画号まで授けられています。

暁斎はコンドルのことを「コンデエル君」と呼んで非常に可愛がったらしく、その様子は暁斎が毎日つけていたという絵日記にもしばしば登場し、その親密な関係が垣間見えてきます。

最初に展示されているのは、「枯木寒鴉図」。暁斎がこの作品に100円という破格の値段をつけたため、「鴉一羽にしては高価すぎる」と言われましたが、「これはこの一羽に対してではなく、これまでの修行に対する対価である」と嘯いたという話が残っています。この言葉を意気に感じて購入したのが榮太樓本舗の細田安兵衛で、現在も榮太樓総本舗の所蔵です。この「百円鴉」によって、暁斎は市井の狂画(風刺画・戯画)作家から本格的な狩野派絵師であるとの評価をかちえたそうです。

暁斎の魅力が存分に伝わって来るのが、「暁斎絵日記』です。
暁斎は毎日絵日記をつけていました。 墨で走り描きされた絵日記には多彩な人間模様が、ユニークな筆致で表されています。
またこの展示のある1室の壁側のガラスケースの作品は、旧コンドル所蔵のものばかりとか。

「柳に白鷺図」、「柿に鴉図」これは隣り合わせで展示されています。墨のコントラストで対象に迫る技術は、絶妙なものがありました。2015080619210001.jpg

チラシの絵に使われている、「鳥獣戯画 猫又と狸」は後期のみです。同じ「鳥獣戯画」シリーズの「動物行列」(明治)も「前期」はなかったはず。
また、今回はメトロポリタンが所蔵する作品がまとまって見られる貴重な機会。「猿」などの動物を描いた作品がとても多く、猿や鹿は森狙仙の描き方を研究したのではと思います。
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「蟹の綱渡り図」(明治前半)、「新板かげづくし 天狗の踊り」(慶応3年)などは、暁斎の持ち味が十分に発揮された傑作だと思いました。

「秋冬山水図」こうした水墨画も秀逸です。2015080619180000.jpg

「月に狼図」は、月を背景に狼が人間の生 首をくわえる絵ですが、月の光と生首がとてもリアルで、おどろおどろしくて、本当に凄い絵だなと思いました。

「風流蛙大合戦之図」の蛙の動きや表情は細部までよく描いており、とても面白く拝見しました。
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暁斎展の最後は「美人画」で締めくくられます。この展示室に飾られている、「横たわる美人に猫図」(明治前半)と「美人観蛙戯図」(明治前半)は暁斎の代表作ではないでしょうか。

ポスターの「惺々狂斎画帖(三)」(20図のうち)は、後期展覧会の最後に展示されています。2015080619330000.jpg
展示の途中に大きな垂れ幕に写し取られた絵とがあって、そこでは写真撮影も可能です。巨大な猫の出現に、男二人がびっくり仰天してのけぞっている、現代のマンガに通じる作品ですね。
2015080619100000.jpg2015080619030000.jpgショップでは暁斎が描いた骸骨をあしらったTシャツやぐい飲みなどのグッズも充実していますので、こちらもお見逃しなく。


画鬼・暁斎−KYOSAI 幕末明治のスター絵師と弟子コンドル
会期 2015年6月27日(土)〜9月6日(日)*展示替えあり
前期:8月2日(日)まで/後期:8月4日(火)から
開館時間 開館時間:10:00〜18:00
(金曜と展覧会会期最終週平日は20:00まで)※入館は閉館の30分前まで

※館内の撮影は主催者の許可を得て行っています。

posted by はまやん at 14:45| アート

2015年07月25日

東京国立博物館 常設展より

続いて東京国立博物館へ。
こちらは2ヶ月に1回程度展示替えが行われています。
国宝を含む名品が常時見られるので、展示替えの都度、ほぼ毎回来ています。

今回は江戸時代の絵画を中心に紹介します。動物や虫を描いた作品が多かったです。
はじめに応挙館にあった杉戸絵から。応挙犬です。朝顔狗子図杉戸
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続いて蘆雪の虎。横にいるのは拾得です。寒山拾得図屏風
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若冲の鶏図扇面 2015072316440000.jpg

蘆雪の雀も!雀図扇面 2015072316450000.jpg
蘆雪は大好きな画家で南紀無量寺にも行きました。

写真は撮れませんが大倉集古館の四季草花図屏風 (松村景文筆)、 虫太平記絵巻 巻上 も良かった。

最後は近代美術のコーナー。ここは最近超絶技巧の作品を多く展示するようになって、時間をとって拝見しています。香炉の上の孔雀と獅子がかわいいのでパチリ。絵も素晴らしい!眼福ですね〜。
色絵楼閣山水文孔雀鈕大香炉
2015072317160001.jpg色絵獅子鈕香炉2015072317160000.jpg


posted by はまやん at 09:09| アート

2015年07月12日

国立西洋美術館 常設展より

伝ヨハネス・フェルメール《聖プラクセディス》が上野、国立西洋美術館に寄託されています。現在常設展示室で観られますので、行っていました。本物か、贋作か、議論があるようですが、かなり生々しい作品です。
これは写真撮影不可です。

常設展は久しぶりですが、新収蔵品も公開されており、中でもモネの部屋は圧巻です。
以下いくつか作品を紹介します。
クールベ「狩猟者のいる風景」
2015071116250000.jpgクールベ「波」2015071116250001.jpg

モネ「雪のアルジャントゥイユ」
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モネ「水蓮」2015071116290000.jpg

モネ「チャリングクロス ロンドン」2015071116300000.jpg
ラロシュ「ギュイヨンの道」2015071116320000.jpg

ミレイ「あひるの子」
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マルタン「花と泉水」2015071116480000.jpg
外国の方も多数いらしていました。
日本でこれだけのレベルの作品が見られるのは本当に貴重ですね。
posted by はまやん at 15:56| アート

2015年07月11日

台北旅行 その3

今日は最終日。まずはホテルのおいしい朝食から。
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最終日7月4日は総統府般見学。
台湾は、かつて日本の統治下にありました。日清戦争後の下関条約(1895年)によって清国から割譲され、1945年の太平洋戦争の敗戦で中華民国に編入されるまでの50年間、日本人はこの地に数々の建築物を建てました。戦後70年を経た現在も保存され、現役「総統府」として利用されています。
見学は公式サイトで3日前までにFAXかwebで予約が必要ですが、今日は一般公開の日で予約なしでも見学できました。写真撮影も可能です。
○身分を証明する物を持参。(観光者ですとパスポートですね)
○午前9時〜午後3時までの毎時正時にガイドが案内してくれ、ちょうど9時に入ったので、案内つきで観光できましたが、中国語はほとんどわからず。。。 この日に合わせて、近くにある臺北賓館(元臺灣總督官邸)も公開されるそうです。

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2015070409120000.jpg総統府は、外側だけでなく、内部もとっても美しく、そして意義深い展示物が数多く置かれています。2015070409170000.jpg
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2015070409250000.jpg絵画なども見どころがあります。
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2015070409510000.jpg中庭も散策できます2015070409520000.jpg

2015070409350000.jpgさようなら!

近くて日本語もある程度通じるにもかかわらず、外国気分が味わえる台湾。
楽しい思い出がたくさんの台北旅行でした。またぜひ訪れたいと思います。
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posted by はまやん at 09:11| 旅行

台北旅行  その2


ホテルは帝后大飯店 (エンプレス ホテル)。
円山駅 と民権西路駅からは徒歩で約20分の立地で、近くには公園も。
2015070306500000.jpg写真は公園内の木。せみの声がすごかったです。

ホテルの従業員の方も日本語が話せてとても親切でした。インターネットも使えるし日本語の新聞もあります。

ホテルでは、ビュッフェ形式で、おいしい朝食が食べれます。野菜、惣菜、卵、パン、おかゆ、味噌汁など、栄養もボリュームも充分。ここはランチも120元で提供しています。
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今日の観光は台湾に来たからにはぜひ訪れたい観光名所のひとつ、「龍山寺」。
ここは創建約270年の台北で最も歴史のあるお寺で、凝った装飾が施された建築物は一見の価値あり!そしてなにより、願い事をすればご利益があるとして、地元の人からも厚い信頼を受けています。正面の右側にある入口から入ります。
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境内の総面積約は1800坪で、御本尊を祀った本殿を中心にして、周囲に前殿、東側の鐘楼、後殿、西側の鼓楼が配置されています。それらは渡り廊下で繋がっていて、上から見ると「回」の字の形をした構造になっているのが特徴です。
建物はこれまで災害や戦争の影響を受けて、何度も改修工事が行われています。なかでも、1919年の大改修工事の際に取り入れた『中国宮殿式廟宇建築』は必見!随所に目を見張るような細工が施されています。本殿の天井の中殿藻井は、龍が螺旋を描いて天に昇っていく様が精緻に表現してあり、まさに圧巻!仏教の「人生輪廻」を意味しているそうです。そして八角形の三川藻井は細工が幾層にも重なり合って広がています。本殿に祀られているのはすべで仏教の神様で、一方の後殿には主に道教の神様が祀られています。こちらは学問や商売、子宝、恋愛などそれぞれの分野によって分かれています。
祀られている神様は、文昌帝君、大魁星君、紫陽夫子、馬爺、天上聖母、太陽星君、太陰星君、註生娘娘、池頭夫人、十二婆者、水仙尊王、城隍爺、龍爺、福コ正神、關聖帝君、三官大帝、華陀仙師、地藏王菩薩、月老神君。
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2015070309380000.jpg境内には熱心にお経を唱える地元の人がたくさんいて、厚く信仰されているのだなと実感します。
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2015070310070000.jpgお祈り、 拝拝 (パイパイ)の方法は、まず線香を両手で顔の前で持ち、自己紹介です。線香の持ち方は、左手を外側、右手を内側にいれます。「住所、名前、生年月日」を言い、三回頭を下げ、線香の一本を左手で香炉に入れる、というのを繰り返します。香炉は手前に2つ、奥に5つの合計7つあります。
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2015070310100000.jpg色々とパワーを頂きました!!
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2015070310580000.jpg明日観光する総督府。 2015070311140000.jpg

ランチは明徳素食園 台北駅店。台北駅の2階のフードコートにあるのですが、場所がわかりにくい!台北駅は地下がホーム、地上2階がショッピングエリアとレストラン街になっていて、お店は駅北側2階にあります。
場所:台北市北平西路3號2樓 台北駅北側2F
電話:02-2361-3566
量り売りでこれだけ食べても126元(約500円)。
英語も少々通じました。60種類の台湾精進料理&スイーツを自由に選ぶことができます。
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昼食後は今回のメイン、「国立故宮博物院」!書画参観ルートは2F階の西側(202、204、206、208、210、212)に位置しており、、それぞれ書法と絵画の常設展を開催しています。展示物は3か月ごとに入れ替えられています。このほか、定期的に書画特別展を開催しています。

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今回は、范寛の《渓山行旅図》を目的にでかけました。中はもちろん撮影禁止。
范寛は中国,北宋初期の山水画家。生没年不詳。本名は中正,字は中立。華原(陝西省耀県)の人。当時〈真〉と呼ばれた写実に最も留意し,山林に分け入って自然を徹底的に観察。その結果,高遠形式,雨点皴,山頂の灌木林などを特徴とする山水画を創出し、巨大な山が威圧感をもって迫る渓山行旅図》(台北故宮博物院)は現存唯一の真跡といわれいます。今回は范寛とその影響ということで、范寛の影響をうけた画家の作品が清時代まで展示されています。 ただ個人的には、(伝)范寛、夏珪ではないかな〜?と思うような絵も。渓山行旅図の前に行旅図という作品も描いており、別室に展示されていますが、これも圧巻。

15時頃入って、19時頃までいました。最初は団体が多かったのですが、だんだん空いてきて、「翠玉白菜」もじっくり見れました。天然の翡翠と玉の混ざり具合を巧みに利用した繊細な彫刻で、翠玉巧彫の最高傑作と言われています。白菜の上にとまっている虫ですが、実はこの2匹は、多産を象徴するキリギリスとイナゴ。この作品は、紫禁城内の永和殿に安置されていたものですが、そこは光緒帝の妃であった瑾妃の寝宮であったことから、清らかさを象徴し、多産を願う瑾妃の嫁入り道具だったのではないかと推測されています。白菜と昆虫という題材は、元代から明代初期の画家による草虫画の中によく見られ、吉祥を象徴する題材だったのです。近くで見ると微妙な色彩の変化がとても美しかったです。

夕食は士林で。有名な夜市の風景
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今日の夕食「静心健康素食坊」台北 市士林区美徳街26号 電話02-88615141 11時〜20時。地元の人で混んでいました。2015070320060000.jpg
魚もどき定食。120元でした。次回故宮に来たときも利用したい!2015070319440000.jpg

posted by はまやん at 08:52| 旅行
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