アフィリエイト広告を利用しています

広告

posted by fanblog

2016年02月06日

刑法 平成21年度第2問

1 甲がAIT名義で正規の国際運転免許証に酷似した文書を作成した行為に私文書偽造罪が成立するか(159条1項)。
(1)国際運転免許証は「権利…に関する文書」であり、甲は顧客に販売して真正な文書として行使する目的があるから「行使の目的」がある。
(2)「偽造」の意義について、文書偽造罪の保護法益は人の意思・観念の表示の証拠としての文書に対する関係者の信用であるから、文書に表示された意思・観念の帰属先としての作成者と、文書上作成者と認識される名義人の同一性を偽ること(有形偽造)が「偽造」に当たると解する。そして、そのような人格の同一性を偽っている限り文書の信用は害されるから、名義人は実在する必要はないと解する。
 本問につきみると、文書の作成者は正規の国際運転免許証を発行する権限のないAITであり、名義人はそのような権限のある実在しないAITであるから、人格の同一性がなく、「偽造」に当たる。
(3)したがって、甲の行為に私文書偽造罪が成立する。
2 甲が、乙に対し、上記文書を正規の国際運転免許証として販売して真正な文書として行使した行為に偽造私文書行使罪(161条1項)が成立する。
3 甲が、乙に対し、上記文書を正規の国際運転免許証と欺いて販売し、乙をしてA信販会社とクレジット契約を締結させた行為に2項詐欺罪の成否を検討する(246条2項)。
(1)有効な国際運転免許証を欲しがっている乙に対して、無効な文書を有効だと偽ることは、交付の基礎となる重要な事実を偽っており、交付に向けられているから、「欺いて」に当たる。乙はこれにより錯誤に陥っており、錯誤に基づく処分行為として信販会社とクレジット契約を結んでいる。
(2)詐欺罪も財産罪であるから明文はないが財産上の損害が要件となると解されるところ、乙はAに対してクレジット契約による20万円の債務を負担しており、これが財産上の損害に当たる。そして、2項の財産上の利益とは債権など有体物以外の財産的権利・利益をいうから、本件の債務の負担は2項の問題である。
(3)したがって、甲の行為に2項詐欺罪が成立する。
4 甲及び乙が、A信販会社に対し、宝石の購入を仮装してクレジット契約を締結させた行為にA信販会社に対する詐欺罪の共同正犯(60条、246条1項)の成否を検討する。
(1)商品の購入を仮装したクレジット契約はAの約款において禁止されているから、仮装か否かはA信販会社にとって立替払に応じるか否かの基礎となる重要な事実であり、これを偽る行為は「欺いて」に当たる。
(2)Aはそれにより錯誤に陥り、錯誤に基づく処分行為として甲に対して20万円を振り込んでいる。
(3)もっとも、Aは後に乙から20万円を回収しているから、財産上の損害がないのではないかとも思える。しかし、詐欺罪は個別財産に対する罪であり、また、交付目的も保護法益と解されることから、正規の売買があったものとして交付された20万円自体が財産上の損害と評価できる。
(4)したがって、甲の行為に詐欺罪の共同正犯が成立する。
5 罪数
 甲には@私文書偽造罪、A同行使罪、B乙に対する2項詐欺罪、CAに対する詐欺罪が成立するが、Aは@の牽連犯(54条1項後段)であり、@はBの牽連犯である。そして@とBは別の主体に対する犯罪だから併合罪(45条)である。

にほんブログ村 資格ブログ 司法試験へ
にほんブログ村
にほんブログ村 資格ブログ 司法試験予備試験へ
にほんブログ村







posted by izanagi0420new at 11:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 刑法
この記事へのコメント
コメントを書く

お名前:

メールアドレス:


ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/4703999
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
ファン
検索
<< 2018年04月 >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
最新記事
写真ギャラリー
最新コメント
タグクラウド
カテゴリーアーカイブ
プロフィール
×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。