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2016年02月03日

商法 平成22年度第1問

問題文
 Y株式会社は、@取締役会設置会社であるが、委員会設置会社ではなく、A株券発行会社ではなく、種類株式発行会社でもない会社であり、また、「社債、株式等の振替に関する法律」の規定による株式の振替制度も採用しておらず、B定款で、定時株主総会における議決権行使及び定時株主総会における剰余金の配当決議に基づく剰余金の配当受領の基準日を毎年3月31日と定めている。
 Xは、Y社の株式を保有する株主名簿上の株主であったが、その株式すべて(以下「本件株式」という。)をAに譲渡した(以下「本件譲渡」という。)。Y社は、平成22年6月に行われた定時株主総会における剰余金配当決議に基づき、本件株式について配当すべき剰余金(以下「本件剰余金」という。)をAに支払った。
 以上の事実を前提として、次の1から3までの各場合において、XがY社に対して本件剰余金の支払いを求めることができるかどうかを検討せよ。なお、1から3までの各場合は、独立したものとする。
1 Y社は、その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について会社の承認を要すること(以下「譲渡制限の定め」という。)を定めており、本件譲渡が平成22年3月10日に行われたとする。この場合において、Xも、Aも、Aによる取得の承認の請求をせず、本件株式に係る株主名簿の名義書換請求もされなかったが、本件譲渡の事実をAから聞いたY社の代表取締役Bが本件剰余金をAに支払ったとき。
2 Y社は、譲渡制限の定めを定めておらず、本件譲渡が平成22年4月1日に行われたとする。この場合において、本件株式に係る株主名簿の名義書換請求はされなかったが、本件譲渡の事実をAから聞いたY社の代表取締役Bが本件剰余金をAに支払ったとき。
3 Y社は、譲渡制限の定めを定めておらず、本件譲渡が平成22年3月10日に行われたとする。この場合において、同月15日にXとAが共同でY社に対して株主名簿の名義書換を請求し、Y社はこれに応じたが、AがY社から本件剰余金の支払を受けた後、Xが成年被後見人であったことを理由として本件譲渡が取り消されたとき。

回答
設問1
1 剰余金配当請求権は株主の地位に基づき発生するから、XがYに対して本件剰余金の支払いを求めることができるためには、XがYの株主であることが必要である。本問ではYの株式に譲渡制限の定めがある。そこで、譲渡制限の定めがある株式を譲渡した場合の効力について、明文なく問題となる。
 株式は社員たる地位だから、所有物(民206条)として自由に処分できる性質のものではない。しかし、会社法は、原則として株式譲渡の自由を認めている(127条)。この規定の根拠としては、投下資本の回収の必要性が挙げられる。また、株式が自由に売却できることにより、個人が出資する際のリスクが減り、出資しやすくなるという利点もある。しかし、株主は株主総会を通じて会社の経営に影響力を持つから、特に小規模な会社では誰が株主であるかは関心事である。そこで法は、会社の便宜のため、会社が譲渡制限の定めを設けることを認めた(2条17号)。そうすると、譲渡制限の定めのある株式が譲渡されても、それを会社との関係でのみ無効とすれば、会社の利益は守られる。そこで、譲渡制限の定めがある株式の譲渡の効果は当事者間では有効だが、その有効性を会社に対抗できないと解する。
 本件譲渡はXA間では有効である。しかし、Aによる取得の承認請求はなされず、名義書換請求もなされていないから、Y社には株式譲渡を対抗できない。株主名簿の制度趣旨も会社の便宜である。
2 しかし本問では、Y社の取締役Bが株主をAとして扱っている。当事者間で会社に対抗できない株式の譲渡がある場合に、会社のほうから株式の譲受人を株主として扱うことができるか問題となる。
 そもそも譲渡制限株式の制度趣旨は前述のように会社の便宜なのであるから、会社のほうから譲受人を株主として扱うことを禁止する理由はないとも思える。しかし、判例は会社は譲渡前の株主を株主として扱わなければならないとしている(H9.9.9)。
 そうすると、本問ではYとの関係ではXは株主であり、Aを株主として扱ったBの措置は違法である。
3 したがって、XはYに対し、本件剰余金の支払いを求めることができる。
設問2
 本問は剰余金配当受領の基準日後に株式の譲渡があった場合に、会社が株式の譲受人に剰余金を支払った事例である。基準日の制度趣旨が問題となる。
 株式の譲渡を自由とした結果(127条)、株主は日々入れ替わる。そのため、いつの時点の株主が会社に対して株主の地位に基づく権利を主張できるのかを決めておく必要がある。そのための制度が基準日制度である(124条)。この制度のおかげで、会社は基準日に株主であった者に対して権利行使を認めれば免責されるし、株主や株主になろうとする者にとっても、株式をいつの時点で売買するのが適当かがわかる。すなわち、基準日制度は会社の便宜のための制度であると同時に、株主や株主になろうとする者の便宜のための制度である。そうすると、会社に対して株主としての権利を主張できるのは、基準日に株主であった者であり、会社は、基準日以外の者を株主と扱ったことを理由としては、基準日に株主であった者の権利行使を拒むことはできないと解する。
 本問では、基準日に株主であったのはXである。
 したがって、XはYに対して本件剰余金の支払いを求めることができる。
設問3
 旧株主は、基準日前の株式の売買契約を取消したことを理由に、会社に対して、基準日における株主としての権利を主張できるかが問題となる。
 取消の効果は遡及するから(民121条)、基準日前の株式の売買契約が取消されると、基準日に株主であったのは遡及的に旧株主となる。そのため、形式的帰結としては、旧株主が会社に対して株主としての権利を主張できることになる。
 しかし、この帰結は著しく煩雑な事務処理を必要とする。会社にとって、個人間での株式の売買契約が取消されたかどうかを確かめるのは容易ではない。取消されたことを確認できたとしても、取消しにより株主に復帰した者に対して再び剰余金を支払い、取消前に株主であった者に対し、支払った剰余金を不当利得として返還請求しなければならない。剰余金の配当のたびにこのような煩雑な事務処理に対応するリスクを会社に負わせるならば、会社は剰余金の配当自体をしなくなり、株式会社制度の安定が損なわれる。一方、株式売買の当事者間で不当利得返還請求を認めれば、その手続きは簡単である。
 したがって、旧株主は基準日前の株式の売買契約を取り消したことを理由としては、会社に対して、基準日における株主の権利を主張できないと解する。
 本件では、Xは基準日前の株式の売買契約を取消している。
 したがって、XはYに対して本件剰余金の支払いを求めることはできない。  以上

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posted by izanagi0420new at 08:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 商法
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