2016年02月03日
商法 予備試験平成23年度
設問1
平成23年3月25日のY車の取締役会招集通知がBに対して発せられておらず、368条1項違反があるが、そのような取締役会の決議は有効か。
取締役会の瑕疵ある決議の効力については明文がないから一般原則に従って原則として無効と解すべきであるが、軽微な瑕疵の場合や、決議の結果に影響がないと認めるべき特段の事情がある場合は例外的に無効とならないと解すべきである。
本件は368条1項違反であって原則無効であるが、例外該当性を検討するに、決議について特別利害関係を有する取締役は議決に加わることができない(369条2項)。この趣旨は、取締役は会社との任用契約に基づいて善管注意義務を尽くして経営判断をすることが要求されているところ(330条、民法644条、335条)、特別利害関係取締役にはそのような義務を果たすことが類型的に期待できないことである。そのため、特別利害関係取締役は決議の定足数にも算定されず、当該議決事項について意見を言う場合も他の取締役全員の同意が必要と解すべきである。そうすると、特別利害関係取締役に対してであれば招集通知を発しないのは軽微な瑕疵であり、また、たとえ出席したとしても意見を言うことさえ制限されるのだから、決議の結果に影響がないと認めるべき特段の事情があると言える。
Bは株式の決議事項である株式譲渡にかかる譲渡人であるから、特別利害関係取締役に当たる。
したがって、本件決議は有効である。
設問2
(1)Y社の定時株主総会の招集通知がX社に対して発せられていないが、その決議は有効か。X社が招集通知を受けるべき「株主」(299条1項)に当たるかが問題となる(「株主」にあたれば「株主等」(831条1項)にもあたり、決議取消の訴えの原告適格も認められることになる)。
(2)X社は平成23年1月頃、BからY社株式の譲渡を受け(X社は公開会社ではないが、株主と会社以外の者の株式の譲渡は有効である)、同年3月15日にY社に対して譲渡承認請求(137条1項)をした。そして、X社は2週間後である同年4月1日までに決定内容の通知(139条2項)を受けていないため、Y社は137条1項の承認をする旨の決定をしたものをみなされ(145条1号)、その結果、同日、正式にYの株主となった。
もっとも、名義書換(130条1項)が未了であるからY社に対抗できないとも思えるが、Xは同年4月30日にY社に対して名義書換請求をしており、Y社はこれを不当拒絶しているため、Xは名義書換なしに株主であることをY社に対抗できる。株主名簿の趣旨は会社の事務処理上の便宜に過ぎないから、権利に合致した請求があった場合には会社は名義書換に応じるべきであり、その義務違反があった場合に名義書換がないことを理由に株主でないことを主張できるとすると信義則上妥当でないからである。
(3)したがって、X社は「株主」に当たり、Y社定時株主総会の効力を争うことができる。
設問3
本問の場合でもX社が「株主」に当たるか。本問ではBが保有するY社株式がXとAに二重譲渡されている。この場合のXとAの優劣は民法の原則に従い対抗問題として決すべきである。本問ではAが先に株主名簿の名義を書き換えて対抗要件(130条1項)を備えている。したがって、その時点でXは確定的に「株主」ではなくなった。
したがって、X社はY社定時株主総会の効力を争うことはできない。 以上
平成23年3月25日のY車の取締役会招集通知がBに対して発せられておらず、368条1項違反があるが、そのような取締役会の決議は有効か。
取締役会の瑕疵ある決議の効力については明文がないから一般原則に従って原則として無効と解すべきであるが、軽微な瑕疵の場合や、決議の結果に影響がないと認めるべき特段の事情がある場合は例外的に無効とならないと解すべきである。
本件は368条1項違反であって原則無効であるが、例外該当性を検討するに、決議について特別利害関係を有する取締役は議決に加わることができない(369条2項)。この趣旨は、取締役は会社との任用契約に基づいて善管注意義務を尽くして経営判断をすることが要求されているところ(330条、民法644条、335条)、特別利害関係取締役にはそのような義務を果たすことが類型的に期待できないことである。そのため、特別利害関係取締役は決議の定足数にも算定されず、当該議決事項について意見を言う場合も他の取締役全員の同意が必要と解すべきである。そうすると、特別利害関係取締役に対してであれば招集通知を発しないのは軽微な瑕疵であり、また、たとえ出席したとしても意見を言うことさえ制限されるのだから、決議の結果に影響がないと認めるべき特段の事情があると言える。
Bは株式の決議事項である株式譲渡にかかる譲渡人であるから、特別利害関係取締役に当たる。
したがって、本件決議は有効である。
設問2
(1)Y社の定時株主総会の招集通知がX社に対して発せられていないが、その決議は有効か。X社が招集通知を受けるべき「株主」(299条1項)に当たるかが問題となる(「株主」にあたれば「株主等」(831条1項)にもあたり、決議取消の訴えの原告適格も認められることになる)。
(2)X社は平成23年1月頃、BからY社株式の譲渡を受け(X社は公開会社ではないが、株主と会社以外の者の株式の譲渡は有効である)、同年3月15日にY社に対して譲渡承認請求(137条1項)をした。そして、X社は2週間後である同年4月1日までに決定内容の通知(139条2項)を受けていないため、Y社は137条1項の承認をする旨の決定をしたものをみなされ(145条1号)、その結果、同日、正式にYの株主となった。
もっとも、名義書換(130条1項)が未了であるからY社に対抗できないとも思えるが、Xは同年4月30日にY社に対して名義書換請求をしており、Y社はこれを不当拒絶しているため、Xは名義書換なしに株主であることをY社に対抗できる。株主名簿の趣旨は会社の事務処理上の便宜に過ぎないから、権利に合致した請求があった場合には会社は名義書換に応じるべきであり、その義務違反があった場合に名義書換がないことを理由に株主でないことを主張できるとすると信義則上妥当でないからである。
(3)したがって、X社は「株主」に当たり、Y社定時株主総会の効力を争うことができる。
設問3
本問の場合でもX社が「株主」に当たるか。本問ではBが保有するY社株式がXとAに二重譲渡されている。この場合のXとAの優劣は民法の原則に従い対抗問題として決すべきである。本問ではAが先に株主名簿の名義を書き換えて対抗要件(130条1項)を備えている。したがって、その時点でXは確定的に「株主」ではなくなった。
したがって、X社はY社定時株主総会の効力を争うことはできない。 以上
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