2017年12月15日
竹は危険? コナン・ドイルの勘違いとは
コナン・ドイル。
シャーロック・ホームズシリーズの生みの親として
有名な作家ですが、他にもシリーズものを書いています。
それは、
「チャレンジャー教授」
シリーズです。
チャレンジャー教授こと、
ジョージ・エドワード・チャレンジャーが
医学、動物学、人類学の知識をフル活用。
先史時代の生物、毒ガス、果ては幽霊とも対決。
シリーズ最初の記念すべき作品こそ、
「失われた世界」(原題 : The Lost World )
あらすじとしては、
・教授たちはアマゾン奥地・前人未到の台地へと探検に向かう
・そこは古代生物の住む「失われた世界」であった
・しかし何者かにより帰り道を遮断され、孤立する
・探検隊は次第に恐竜や謎の猿人に追い詰められていく‥‥
ううむ!読んでみたくなりますね!
ところがこの血湧き肉躍る冒険小説、
「あれっ?」
と思ってしまう場面もあるのです。
まず、下の文章を読んでみてください。
探検隊が密林に入っていくシーンです。
「それは思いもかけぬ恐ろしい光景だった。断崖の真下に‥‥〜中略〜‥‥竹やぶが茂っていた。それぞれの竹が二十フィートもあり、先端が鋭く丈夫なので、ちょうど槍を逆さに立てたような格好だった」
( 出典 「失われた世界」/永井淳訳 )
あれっ?
「竹やぶが茂っていた」なら竹は伸び放題です。
竹の先端は柔らかくて、葉が生えているのでは?
(出典:Wikipedia)
「先端が鋭く丈夫」とか「槍を逆さに立てたよう」とか。
先端を鋭くするには、誰かが切らねばならないのですが‥‥。
もしかしてドイル先生、何か勘違いをしているのでは。
もう一ヶ所、読んでみましょう。
今度は、竹やぶの中に骸骨を発見した場面。
「崖の上から落ちたか投げ落とされたかして串刺しになったのだ。そうでなければ‥‥〜中略〜‥‥こんなに高い竹が突き刺さったりするはずがない」
( 出典 「失われた世界」/永井淳訳 )
背丈が高い竹なら、しなって落下の衝撃を和らげるのでは。
突き刺さったりするのは、誰かが先端を切っていた場合で‥‥。
だいたいわかってきましたね。
ドイル先生は、
「自生している竹の先端は尖っている」
と考えていたようです。
(出典:Wikipedia)
ドイル先生、それは門松と言ってですね‥‥。
「失われた世界」発表は1912年。
イギリス人であるコナン・ドイルが当時、
竹が自生している場所に行くことも、
その情報を得ることも難しかったと考えられます。
しかし、このことで作者を笑ってはいけません。
ドイル先生が作品の舞台として選んだのは南米の
ギアナ高地。
恐竜こそ発見されていませんが、
外界から隔絶した地形のもと、独自の生態系が発展。
現在も新しい種が発見されつつあります。
(出典:ナショナルジオグラフィック)
‥‥ということで、今日の語呂合わせです。
「コナン・ドイル」
「ギアナ高地」
でまとめてみましょう。
「子などいる?ギー!あなた!」
隠し子が発覚。
まさに「失われた(平穏な)世界」。
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