2014年07月20日
A403・「定期健診」、「人間ドッグ」が無用ないしは有害とは?
1、健康診断否定論
「定期健診を受けて、1度で全ての不具合を見出せないだろうけれど、受診を繰り返すことで早期発見の確度は高まり、早期の治療が可能になる」
と信じて、何の疑いもなく長年にわたって定期健診、人間ドッグを受診してきました。
しかし、この健康診断の無用論、有害論が(以前から時折聞くことは有りましたが)最近現役のお医者さん間で活発に論じられているようで、複雑な問題とは思いながら、テレビ番組を見たり、ネットで調べたりしています。
私は、多分「幸いにも!」なのでしょうが、持病の糖尿病のみで他は「異常なし」できました。
今後も健診を受けるとして、ガンとか、高血圧とかを指摘され、医師から手術、投薬を言われたらどうするか?
出来ることなら考えを整理しておこうと思っています。
特異な人の、根拠に乏しい個人的な無責任発言なら無視するだけのことですが、どうもそうではないようです。その一説を要約します。
「定期健診は人を不幸にする」という見出しで論者曰く;
定期健診の淵源をたどれば、大正時代に制定された工場法にもとづく職域健診に行き着きます。その頃は当然ながら、定期健診に関するデータの蓄積は何もなかった。あったのは、健診をすれば病気が早く発見できて、役にたつのではないか、という先入観だけでした。
他方、人間ドックはというと、1954年に国立東京第一病院(現.国立国際医療センター)に設けられた、短期入院型の人間ドックが(おそらく世界でも)最初です。
しかし健診の有効性を支える臨床データはありません。
なぜ米国や英国でのように、まず、くじ引き試験(*1)をしてその結果を待つという方針をとらなかったのか、科学的厳密性に欠けています。
日本で定期健診がここまで広まった原因は、結局、医者と一般人のあいだに、医療に対する過度の期待や、思考と行動面における非科学性があったことに尽きるでしょう・・・
(*1)次項2、くじ引き試験 ご参照
なぜ定期健診をうけると、人は不幸になるのか?
なんでもないのに「病気」や「異常」のレッテルを貼られてしまうことが原因です。
つまり、定期健診で検査する項目の多くには「基準値」があり、健常人でも5%が「基準値外」になるように値が定められています。それで多数項目を検査したら「病気」や「異常アリ」と言われる人が多く出る仕組みです。
例えば10項目を検査した場合には、(少し複雑な計算をすると)少なくとも1項目が「基準値外」と診断される人が40%も生じることがわかります(複数項目が基準値外になる人もいる)。そして30項目も検査したら、少なくとも1項目が「基準値外」と診断される人は78%・・・
これが、人間ドックで8割以上もが「病気」や「異常」のレッテルを貼られてしまう原因です。
別の理由として高血圧、糖尿病、高コレステロール血症に関する基準値を低く定めすぎているから。
(とありますが、最近基準値の見直しが報じられています。)
基準値は、それを超えた人のなかから精査によって、本当に病気の人をみつけるための出発点であって、基準値を超えたことイコール病気でも異常でもありません。しかし、受診者はそうは思わない。「基準値外」と聞いたら、「病気」だ「異常」だ「不健康」だと思ってしまう。なんでもないのに不健康だと思いこまされ、それからの日常を、意気があがらない状態で過ごさねばならなくなる。これが不幸でなくてなんでしょう。
2、「医師による健康指導が人々の健康維持に効果があるか否かについて」の「くじ引き試験」
表題のくじ引き試験が、フィンランドで行われました。
(試験の方法)一定の条件から選び出した1200人をくじ引きで二つのグループにわけ、
(1)片方のグループは、なにもアドバイスしないで本人の自由にさせておく「放置群」です(610人)。
(2)他方は、医者がライフスタイルに介入する「介入群」(621人)としました。
介入群に対しては、医者が面接して食事内容、運動量、更に禁煙アドバイスなど細部にわたって生活指導や薬の指導などをしました。
試験期間の五年を含め10年間、両グループの生死を調査した結果は、
放置群 介入群
心臓死 14人 34人
がん死 21人 13人
総死亡 46人 67人
介入群の総死亡が統計的有意差を持って多くなっています。これに対する説明は
(1)「偶然だった」という説明とか
(2)無症状なのに高血圧や高コレステロール血症などを治療することの害作用が、治療による有益な作用を上回った
(3)検査で病気や異常を指摘され、医者からアドバイスや薬をもらいつづけることが精神的ストレスになり、心筋梗塞の発生を増やした可能性がある。
などなどの理由付けがされていますが、要するに同じ寿命と見なされる母集団で「放置群の方が介入群より長生きする」という結果が出たという事です。
即ち、検査によって病気や異常を発見した場合にライフスタイルを変更し、それでも検査値が改善しなければ医者から薬をもらうという方針は無意味であるか危険、ということになります。
冒頭に申しましたように、私は何の疑いもなく健康診断を受け、これが早期発見、早期治療につながると信じていましたが、この私の常識とはマ反対の結論です。
新たに解明されたことではなく、随分以前に行われた実験の結果です。
「米国や英国と違って、日本だけがこのような定期健診に関するデータの蓄積はなしに大規模に実施され続けている。」との解説には素直に納得できない気分です。
日本は世界有数の長寿国であり、健康診断のフォローはかなり徹底しているのだろうと思います。
「健康診断」とか「人間ドック」というシステムが他国のように実施されていなければ、日本は更に長寿化していたと見做されるのだろうか?
などと思ったりします。
「健康診断」を先進的に取り入れた市町村で制度を止めたところがあって、健康面でのマイナスはなく、財政面でプラスが大きい。との事例もある由。(詳細不明です)
検診にはすべからく「偽陰性」(本当はがんなのにがんでないと判定される)と「偽陽性」(本当はがんでないのにがんと判定される)のリスクが伴う。また、検診で見つかったがんに対して、本当にアグレッシブな治療をする必要性があるか、という問題があるが、一般の方にはあまり伝わっていない。
その辺りの議論は乳がん学会でもかなりされており、下図のように、特に若年者(40歳未満)に対するマンモフラフィはその精度の低さからガイドライン上も推奨はされていない。
との解説も目にします。
健康診断の可否について学会でどう議論されているのか?
行政はどう見ているのか?
先ずは平均的な(と自認する)市民感覚としてこんな疑問が浮かびます。
純粋な健康管理、医学的な見地からではなく、利害が絡む人間関係が優先?するようなことがあっては困ります。
当面は、素人なりに賛否両論を踏まえて、「自分の問題は自分で決めなければならぬ」という当たり前の線に落ち着かざるを得ないようの思われます。
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