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2016年06月22日
【AIR】アニメ 感想&あらすじ 大切な家族に、そして空へ想いを届ける物語
AIR
2005年1月6日放送
監督:石原立也
原作:Key / Visual Art's
脚本:志茂文彦
神尾観鈴の声:川上とも子
国崎往人の声:小野大輔 ゲーム版:緑川光
念を込めると物を動かせる「法術」を使える国崎往人は、道行く人に人形芸を披露して日銭を稼ぎながら旅をしていた。その目的は、亡き母から聞かされた「空のどこかにいる翼を持つ少女」を捜すため。
夏の強い日差し照り付けるある日のこと、偶然立ち寄った海辺の田舎町で往人は1人の少女に出会い、成り行きから彼女の家に居候させてもらえることになる。
誰かと仲良くなりかけると発作を起こしてしまうことから、いつも1人きりで過ごしていた少女。彼女との出会い、それがこのひと夏に起こる不思議な出来事の全ての始まりだった。
主要登場人物を簡単に説明します。
翼の生えた少女を捜すさすらいの旅人、国崎往人。呪いに蝕まれている翼人の生まれ変わり、神尾観鈴。観鈴と一緒に暮らしている叔母の神尾春子。手首にバンダナを巻く魔法を夢見る少女・霧島佳乃。実の母から亡くなった妹として認識されている遠野美凪。美凪の亡くなった妹の名を持つみちる。
過去編の登場人物も3名ほど紹介しておきます。最後の翼人・神奈備命(かんなびのみこと)。神奈を守護する柳也。主人思いの神奈の女官・裏葉。
友人から猛烈な強い推しで薦められて去年の春頃に観た作品です。「もうすぐ夏だな」と物思いにふけっていたときに、この作品のことが頭を過ったのでちょっと紹介させていただきます。
原作未プレイのまま視聴して泣き、その後ゲームをプレイして再び泣かされました。アニメ観ただけでは分からなかったところもあったんですが、ゲームでだいたいのことは納得。全てとはいきませんでしたけどね。
家族愛、特に母子愛と神話がテーマになってると思います。物語は大きく現在・過去(1000年前)・そして再び現在の3編に分かれていました。主人公もそれぞれ変更されていたと思います。物語開始時は国崎と観鈴、次の過去編は柳也と神奈、そしてクライマックスへ繋がる最後は観鈴と晴子ですね。
正直言いますと、最初は春子の印象あまり良くなかったんですが、過去から現在に話しが戻ってからは彼女の印象はがらりと変わりますね。国崎があんな状態になっていたのにははさすがに驚きましたけど、あのような第三者視点が欲しかったんだろうなと勝手に予想して納得させました。
佳乃の話は本筋とはあまり関係なかったんですが、あの話はいい役割を果たしていたなとも思ってます。ちょっと不思議な非現実感を味わっていたおかげで、その後のみちる編、翼人編の現実離れした設定も受け入れやすくなりましたね。
映像がノスタルジックでとてもきれいな作画で描かれており、これが10年以上前の作品だと知ったときは少し驚かされました。人の動きは細かく丁寧、光と影の表現も素晴らしく、大袈裟かもしれないですけど今のアニメよりも作画良いような気もしてしまいました。キャラデザインはちょっと独特だったので、最初は少し気になってしまいましたけどね。
ゲームプレイ後に思ったんですけど1クールによく収めたなと思う反面、2クールぐらいかけてやってくれたらもっと良くなっただろうととも思いました。削りすぎなのでアニメだけだとちょっと意味不明なところもありますからね。それでも泣いてしまった私は涙脆いのかな?特に後半は泣きっぱなしでしたから。
歌も最高です。「鳥の詩」、「青空」、「夏影」の3曲は今ではしょっちゅう聴いていても飽きないほどお気に入りになってます。特に夏影が好きですね。ただ、この曲を聴くと観鈴と晴子のやりとりが鮮明に思い浮かんでしまうため、ついつい泣きそうになってしまうことは問題です。電車乗って外の景色見ながら聴いてるとやばいです。
忘れられない記憶に残る作品としては、自分の中ではトップクラスに印象深いですね。ネタバレはそこそこで留めるようにはしてますが、いっそネタバレしまくっておもいきり語りたい衝動に駆られました。
1クールだったのがこのアニメの惜しいところではありますが、それでも個人的には非常に楽しませてもらえました。ただ、アニメを観る前でも後でもゲームをプレイした方がより楽しめるのも確かです。むしろやらないと解らない部分もあって楽しめない人も少なくないと思います。
自分でいろいろ創造してみたり考えてみるのも楽しいと思うので、よければ多くの人に観てほしいですね。ゲームはさらにおすすめします。
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2016年06月13日
【星を追う子ども】アニメ 感想&あらすじ 帰るべき居るべき場所へ
星を追う子ども
2011年5月7日公開
監督:新海誠
他作品:秒速5センチメートル
原作:新海誠
脚本:新海誠
アスナの声:金元寿子
シュンの声:入野自由
父を幼いころに亡くし、それからは看護士の母と2人で暮らしていたアスナ。忙しい母に代わって家事をこなしながら、学校が終わると自作の基地へ訪れ、父の形見である鉱石ラジオを聞いていた。
ある日、基地に向かう途中、クマのような化け物に襲われたアスナだったが、シュンという謎の少年に助けられる。アガルタという場所から来たらしいシュンと次第に親しくなり、また会うことを約束した翌日、彼の遺体が川からあがったことを聞かされる。
シュンに出会う以前の1人で過ごしていた日常に戻ったアスナは、臨時教師として赴任してきた森崎から、アガルタのことを聞かされ興味を抱く。その帰り道、アスナはシュンとそっくりな少年・シンに出会ったことをきっかけに、アガルタの世界に足を踏み入れることになる。
雰囲気がジブリ作品に少し似てましたね。観る前にジブリっぽいと聞かされていた通りの雰囲気で、特にラピュタっぽさがあったような気がします。あるシーンで「あれ、ムスカさん?」と思ってしまいました。似せてることを隠す気なんてさらさらないように見受けられましたが、あえて似せたんですかね?ただ、ジブリでは作れない内容だったなとも思いましたけど。
本作の主人公はしっかり者の少女・渡瀬明日菜。勉強ができて委員長も務めていますが、同級生とはなかなか親しくなれず1人で過ごすことが多い子。自分の居場所はここにはないのではという不安と寂しさを抱えています。
アガルタから来たというシュンは、地上を夢見て扉を抜けてやってきた少年。
シュンが持ち出したものを回収するために地上にやってきた、シュンの弟のシン。態度や表情には出しませんが、シュンの死に傷ついているようです。
臨時教師としてやってきた森崎。亡くなった妻と再会するためにアガルタを目指しています。大人ですけど森崎も星を追う子どもの1人でしょうね。
映像美はさすが新海監督といった素晴らしい出来栄え。背景絵の存在感が強かったです。山の風景、空一面に広がる星々、アガルタの幻想的な風景、どの映像も一級品で、そのなかでも特に光の使い方がとても巧みだったと思います。
アスナの気持ちはそれなりに共感できるところがありました。ここではないどこか遠くへ行きたいという気持ちは、自分もアスナぐらいのときに抱いたことがあります。アスナに関しては、これといって何か強い信念を持ってアガルタに行ったわけではないように思えました。シュンを探すという目的はあったのでしょうが、信念・執念が強かったのはむしろ森崎であって、アスナはただついていったという感じに見えましたね。今思い返してみると、自分もあの年代の頃は物事に流され気味で、主体性は薄かったかもと思ってしまいました。ただ、何かを求める渇望感だけはあるんですよね。当時は無自覚だったと思いますけど。
自分はアスナに共感できるところがあったので、結構楽しんで観ることができました。唐突な場面展開もあったので困惑しそうになったという欠点もありましたけどね。
「生と死」や「居場所」など、いろいろ考えさせられる作品内容でした。どの目線に立つかによってがらっと評価も印象も変わる作品だと思います。映像や音楽のクオリティは文句なしで高いです。
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2016年06月06日
【百日紅 〜Miss HOKUSAI〜】アニメ 感想&あらすじ いざ江戸へ
百日紅 〜Miss HOKUSAI〜
2015年5月9日公開。日本アニメ映画。
監督:原恵一
他作品:河童のクゥと夏休み
原作:杉浦日向子
脚本:丸尾みほ
お栄の声:杏
北斎の声:松重豊
人気絵師の鉄蔵こと葛飾北斎とその娘・お栄は、居候の善次郎と共に、江戸下町の長屋に3人で暮らしていた。絵を描くことに没頭するあまり部屋は荒れ放題となり、片づけや掃除などもすることなく、住めなくなったら次の住居へ引越しを繰り返す日々を送っていた。そんなお栄には、父と別居中のため離れて暮らしている母と、目が見えない妹のお猶がいた。
この作品のような雰囲気の良い作品は好きですね。
江戸時代末期に活躍した天才浮世絵師として、現在に至っては世界的にも名を馳せている葛飾北斎。この作品は、北斎の娘・お栄を主人公とした物語です。ちなみに、原作漫画未読の立場からの感想です。
主人公のお栄は23歳の女絵師。父・北斎ゆずりの才能を持っており、若いながら代筆を行うほどの腕前。ですが、春画に関しては生娘のせいか、女は上手く描けても男が不自然のようで、父にも認めてもらずにいます。男勝りで勝気な性格をしており、あまり女らしさはありませんね。火事見物が好きなので、鐘の音が聞こえると長屋を飛び出していきます。
葛飾北斎は言わずも知れた天才絵師ですね。通称、鉄蔵。とにかく一にも二にも絵のことばかりな人物です。ちらかった部屋の片付けするヒマがあるなら、その時間を絵に費やした方がマシという考え。お金にもあまり執着しなので、やりくりしているお栄は大変です。人付き合いを苦手とし、もう1人の娘・お猶とはうまく会話することもできません。
この作品、大きなテーマに沿って物語が進展していくわけではなく、複数のエピソードを繋ぎ合わせて1つの作品を形作っているという感じの構成です。一緒に暮らしている犬が成長していたことから、時間の流れや季節の移り変わりは感じられるものの、展開は少し唐突すぎる気もしました。あえてこの作品の主軸をあげるなら、妹のお猶とのエピソードですかね。
派手さもなく、泣けるほど感動するというものではありませんでしたが、淡々と進む落ち着きのある作風は結構好きです。
歴史については一般的な知識ぐらいしかありませんが、当時の江戸の風俗は細かく丁寧に表現されていたと思います。江戸時代に生きた人たちの考え方、感じ方がよく分かりました。
効果音が良い働きをしていましたね。着物の衣擦れ音や動物の鳴き声、橋の上の足音や荷車の音などが、想像の中の江戸の風景をより鮮明にしてくれる効果をもたらしてくれました。
妖怪といった人ならざる存在も出てきますが、非日常的なファンタジー感覚はそれほどありませんでした。むしろ、当時の人達が見えざる物、畏れに対して、どのような捉え方をしていたのかを伺える演出になっていたと思います。
実写の時代劇なんかよりも江戸という町と時代を強く感じさせてくれた作品でしたね。江戸の空気を主人公たちと一緒に吸えた気がします。
作画がとても美しく、そのおかげで空気感や季節感を強く感じながら観賞することができました。橋の上の人々が行き交うシーンや、雪遊びのシーンが特に好きです。
ハラハラする出来事も、ワクワクするような派手な演出もありませんが、江戸の雰囲気を堪能できたので観てよかったです。
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