2016年10月05日
【オールラウンダー廻】マンガ 感想&あらすじ 格闘技に打ち込む人達の姿をリアルに描いた青春格闘漫画
イブニング。2008年24号から2016年7号まで連載中。全19巻
著者:遠藤浩輝
他作品:EDEN 〜It's an Endless World!〜
強い志も目標もなくなんとなく修斗のジムに通っていた高柳廻は、半ば強制的に出場した大会でかつて同じ空手道場に通っていた幼馴染の山吹木喬と再会する。昔はよく2人でつるんでいた間柄だったが、長い年月離れていたことから関係は冷え込み、さらには昔から嫌いだっと敵視までされてしまう。廻は喬の強さを求める姿に触発されたこと、失恋すらできずに終わりを遂げた勘違いの春に対するうやむやした気持ちをヤル気に変え、修斗に対しての情熱を除々に熱くさせまじめに取り組んでいくようになる。
・高柳 廻
主人公。高校2年生。「ファイターズ・ブリュー」に所属するアマチュアの修斗選手。特筆した個性は持ち合わせていないが、相手が仕掛けてきた技を見よう見真似でコピーでき、体力もあることから試合が長引くと強さを発揮していくタイプです。山吹木喬とは幼馴染であり、幼い頃は共に空手同情に通っていました。
・山吹木 喬
「小暮ジム」所属するアマチュアの修斗選手。高柳廻とは幼馴染。廻と主に通っていた空手道場主の孫。かなりの実力者であり、空手のみならずボクシングやムエタイを取り入れた打撃を主体とするスタイル。過去の出来事から強さへの渇望が深く大きい。
・神谷 真希
女子高生。廻と同じ「ファイターズ・ブリュー」に所属する女子キックボクシング選手。180cmの長身。勝気で男勝りな性格をしており、廻はよく蹴りをくらってます。長身を活かした打撃と三角締めが得意。男っぽさはあるものの、意外と女子力は高いです。本人は否定していますが、廻を異性として意識しています。
・北村 勇大
高校2年生。「ファイターズ・ブリュー」のアマチュア選手。元々は強化指定選手にも選出された柔道家だったが、訳あって退部しています。プロ志望でプライドが高いことから、当初は廻に対して見下した態度をとっていたが、次第に良きライバルになっていきます。
【eBookJapan】 オールラウンダー廻 無料で立ち読みできます
打ち込めるものを何一つもっていなかった主人公が、なんとなく始めた総合格闘技修斗を続けていくなかで、ジムの仲間やライバルたちに精神と肉体を鍛えられながら成長していく物語。数ある格闘技の中ではマイナーな部類に入る、アマチュア修斗の世界をリアルに描いた格闘技漫画です。「EDEN」というマニアックな世界観で描かれたSF長編を描いた作者さんです。あの独特な作品から格闘技漫画にジャンル移してきたのには驚きでした。
格闘漫画というと「バキ」や「ケンガンアシュラ」なんかが有名ですけど、それらの作品に出てくるような人間離れした肉体や能力を持った怪物は出てきません。他に私が読んだことのある有名な格闘技漫画でいうと「空手小公子小日向海流」が多少リアルっぽく見えるので前の2作品よりは近いと思います。とはいえ、この作品の方が遥かにリアル路線に乗っていますから方向性は違うのかな。
ケンガンなどに比べると派手さはないですけど、緻密な駆け引きによる緊張感はこちらの方が強く伝わってきました。正直最初3冊ほど読んだときは面白いと思いながらも、試合描写が地味に見えなくもないですし、地道にじっくりゆっくり成長させていく話でもあったことから、長く続けられるのかは心配でしたね。でも終わってみれば消化不良もほぼなく、逆にダラダラ先延ばしすることもなく、寂しくはありましたけど良い幕引きだったと思います。
格闘描写は良くも悪くもリアルに描かれてます。結構通な技とか出てくるので、格闘技をあまり知らない人が読むと状況理解し辛いんじゃなかなと思いましたけど、分からくても面白いっていうのは競技漫画では珍しくないですからね。
前述でも書いたとおり派手さは薄いけど緊張感はあります。立った状態での相手の出方を伺いながらの打撃戦はなかなか見応えありますし、それ以上に寝技の目まぐるしく変化する攻防は必見だと思います。少しの読み違えから相手にきめられてしまったり、自分の好機を逃してしまったり、あとその最中の選手たちの心理もよく描けているので目が放せなくなります。
練習風景もしっかり描いているところがより現実感を持たせ、この作品にとっては好ポイントになってるんじゃないかと思います。
アマで格闘技をやる人達の葛藤についても大きく焦点を当てています。今はもう格闘技冬の時代って言えるんでしょうか?そんな時代で格闘技をやり続けることに対しての意味や、自分たちの未来についても現実的に考えてるところが面白い。
登場人物たちには様々な事情を抱えてる人達が多く、心に傷を持つ人もいたりと、単純な好きだからでは言い表せない想いを秘めて格闘技に向き合っていました。
登場人物の中でも特に派手さ華やかさのない主人公の地味目なところは作風にぴったりですね。得意技らしいものはなく、しいてあげるなら相手に仕掛けられた技を真似られること。試合では毎回ひやひやさせられます。幼馴染の山吹木喬が一撃のもと速攻で相手を沈めるのに対し、メグルは相手の技を受けながら試合の中で成長していくので長期戦になることが多いんですよね。当然1試合1試合の体力消費は激しいのでトーナメントでは不利に働きますし、最初はよく相手選手に翻弄されてるので危なっかしいです。でも事前のデータが通用し辛いタイプでもありますから悪いばかりではないのかな。
地味の中にも花はありました。この作品4割くらい女子格闘技についても描かれているので、そこに登場してくる女性陣は魅力的ですよ。これぞツンデレといった感じのマキちゃんは可愛くて面白いです。口ではなんだかんだと言っておきながら、メグルが他の女性と仲良く話していると足が出てしまったり、そのあたりのことをマリアさんや桃子にいじられたりと、いつも強気なマキちゃんが恋に振り回されてる姿にはニヤニヤさせてもらいました。
格闘技が好きな人はもちろんですけど、そうでない人にも青春漫画として楽しめるんじゃないかと思います。派手な漫画が好きな人にはつまらないかもしれませんけど、地味でもリアルで緻密な試合描写は目が放せませんし、この時代で格闘技をやってる人達の心情を伺えるので見所は多分にあります。まだ終わってほしくなかったという気持ちはありますけど、終わり方もこの作品らしい形で締めくくられていました。格闘、恋愛、友情、修斗を通じての人間ドラマを描いた本作品、出会えたことに感謝です。
著者:遠藤浩輝
他作品:EDEN 〜It's an Endless World!〜
あらすじ・概要
強い志も目標もなくなんとなく修斗のジムに通っていた高柳廻は、半ば強制的に出場した大会でかつて同じ空手道場に通っていた幼馴染の山吹木喬と再会する。昔はよく2人でつるんでいた間柄だったが、長い年月離れていたことから関係は冷え込み、さらには昔から嫌いだっと敵視までされてしまう。廻は喬の強さを求める姿に触発されたこと、失恋すらできずに終わりを遂げた勘違いの春に対するうやむやした気持ちをヤル気に変え、修斗に対しての情熱を除々に熱くさせまじめに取り組んでいくようになる。
主要登場人物
・高柳 廻
主人公。高校2年生。「ファイターズ・ブリュー」に所属するアマチュアの修斗選手。特筆した個性は持ち合わせていないが、相手が仕掛けてきた技を見よう見真似でコピーでき、体力もあることから試合が長引くと強さを発揮していくタイプです。山吹木喬とは幼馴染であり、幼い頃は共に空手同情に通っていました。
・山吹木 喬
「小暮ジム」所属するアマチュアの修斗選手。高柳廻とは幼馴染。廻と主に通っていた空手道場主の孫。かなりの実力者であり、空手のみならずボクシングやムエタイを取り入れた打撃を主体とするスタイル。過去の出来事から強さへの渇望が深く大きい。
・神谷 真希
女子高生。廻と同じ「ファイターズ・ブリュー」に所属する女子キックボクシング選手。180cmの長身。勝気で男勝りな性格をしており、廻はよく蹴りをくらってます。長身を活かした打撃と三角締めが得意。男っぽさはあるものの、意外と女子力は高いです。本人は否定していますが、廻を異性として意識しています。
・北村 勇大
高校2年生。「ファイターズ・ブリュー」のアマチュア選手。元々は強化指定選手にも選出された柔道家だったが、訳あって退部しています。プロ志望でプライドが高いことから、当初は廻に対して見下した態度をとっていたが、次第に良きライバルになっていきます。
【eBookJapan】 オールラウンダー廻 無料で立ち読みできます
感想
打ち込めるものを何一つもっていなかった主人公が、なんとなく始めた総合格闘技修斗を続けていくなかで、ジムの仲間やライバルたちに精神と肉体を鍛えられながら成長していく物語。数ある格闘技の中ではマイナーな部類に入る、アマチュア修斗の世界をリアルに描いた格闘技漫画です。「EDEN」というマニアックな世界観で描かれたSF長編を描いた作者さんです。あの独特な作品から格闘技漫画にジャンル移してきたのには驚きでした。
格闘漫画というと「バキ」や「ケンガンアシュラ」なんかが有名ですけど、それらの作品に出てくるような人間離れした肉体や能力を持った怪物は出てきません。他に私が読んだことのある有名な格闘技漫画でいうと「空手小公子小日向海流」が多少リアルっぽく見えるので前の2作品よりは近いと思います。とはいえ、この作品の方が遥かにリアル路線に乗っていますから方向性は違うのかな。
ケンガンなどに比べると派手さはないですけど、緻密な駆け引きによる緊張感はこちらの方が強く伝わってきました。正直最初3冊ほど読んだときは面白いと思いながらも、試合描写が地味に見えなくもないですし、地道にじっくりゆっくり成長させていく話でもあったことから、長く続けられるのかは心配でしたね。でも終わってみれば消化不良もほぼなく、逆にダラダラ先延ばしすることもなく、寂しくはありましたけど良い幕引きだったと思います。
格闘描写は良くも悪くもリアルに描かれてます。結構通な技とか出てくるので、格闘技をあまり知らない人が読むと状況理解し辛いんじゃなかなと思いましたけど、分からくても面白いっていうのは競技漫画では珍しくないですからね。
前述でも書いたとおり派手さは薄いけど緊張感はあります。立った状態での相手の出方を伺いながらの打撃戦はなかなか見応えありますし、それ以上に寝技の目まぐるしく変化する攻防は必見だと思います。少しの読み違えから相手にきめられてしまったり、自分の好機を逃してしまったり、あとその最中の選手たちの心理もよく描けているので目が放せなくなります。
練習風景もしっかり描いているところがより現実感を持たせ、この作品にとっては好ポイントになってるんじゃないかと思います。
アマで格闘技をやる人達の葛藤についても大きく焦点を当てています。今はもう格闘技冬の時代って言えるんでしょうか?そんな時代で格闘技をやり続けることに対しての意味や、自分たちの未来についても現実的に考えてるところが面白い。
登場人物たちには様々な事情を抱えてる人達が多く、心に傷を持つ人もいたりと、単純な好きだからでは言い表せない想いを秘めて格闘技に向き合っていました。
登場人物の中でも特に派手さ華やかさのない主人公の地味目なところは作風にぴったりですね。得意技らしいものはなく、しいてあげるなら相手に仕掛けられた技を真似られること。試合では毎回ひやひやさせられます。幼馴染の山吹木喬が一撃のもと速攻で相手を沈めるのに対し、メグルは相手の技を受けながら試合の中で成長していくので長期戦になることが多いんですよね。当然1試合1試合の体力消費は激しいのでトーナメントでは不利に働きますし、最初はよく相手選手に翻弄されてるので危なっかしいです。でも事前のデータが通用し辛いタイプでもありますから悪いばかりではないのかな。
地味の中にも花はありました。この作品4割くらい女子格闘技についても描かれているので、そこに登場してくる女性陣は魅力的ですよ。これぞツンデレといった感じのマキちゃんは可愛くて面白いです。口ではなんだかんだと言っておきながら、メグルが他の女性と仲良く話していると足が出てしまったり、そのあたりのことをマリアさんや桃子にいじられたりと、いつも強気なマキちゃんが恋に振り回されてる姿にはニヤニヤさせてもらいました。
格闘技が好きな人はもちろんですけど、そうでない人にも青春漫画として楽しめるんじゃないかと思います。派手な漫画が好きな人にはつまらないかもしれませんけど、地味でもリアルで緻密な試合描写は目が放せませんし、この時代で格闘技をやってる人達の心情を伺えるので見所は多分にあります。まだ終わってほしくなかったという気持ちはありますけど、終わり方もこの作品らしい形で締めくくられていました。格闘、恋愛、友情、修斗を通じての人間ドラマを描いた本作品、出会えたことに感謝です。
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