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2016年08月25日

漫画『AIの遺電子』1巻の感想とあらすじ

『AIの遺電子』1巻の感想。


AIの遺電子
著者:山田胡瓜
掲載:少年チャンピオン・コミックス
1巻発売日:2016年4月8日 既刊2巻

技術の進歩がめまぐるしく加速していくなかで生まれたヒューマノイド。高度なAIを搭載したヒューマノイドは既に国民の1割を占めるほどに増加し、人間とまるで見分けがつかない彼は、人権も与えられたことで社会にも普通に溶け込んでいた。
そんな彼らには人間とは異なる「病」が存在することから、その病を治す新たな医者も必然的に生まれ出した。須堂という名の青年は、ヒューマノイドを診る医者として治療にあたる一方で、「モッガディート」という名前を使い、違法な行為でいじられたヒューマノイドの治療にも従事している。
感受性豊かなヒューマノイドの助手・リサを引き連れ、悩みを抱えたヒューマノイドたちに寄り添い、体だけではなく彼らの「心」の治療も施していく。

人間とヒューマノイドが共存する世界が舞台。ヒューマノイドが人と同じように扱われています。というより、見た目・言動・行動、どこをとっても全く区別がつきません。実際の現実でも人工知能の発達は目を瞠るものがありますから、ありえなくはない未来を描いていることに興味を引かれました。
主人公、助手、話の流れ、そしてオチは『ブラックジャック』的な雰囲気があります。帯にも「近未来版ブラック・ジャック!」って書いてありましたからね。まあ似てるのは表面的な部分だけですけど。
1話完結の話が多く、どのエピソードでも「心とは」というテーマが根底にあると思われます。

真新しさ、新鮮さというものがあるわけではないです。「人とロボット」、「人とは何か?」、「心とは?」などのテーマ、近未来を舞台とした人とアンドロイドの共存という話は、はいろいろな媒体で使われてきたものですから。この類のテーマに精通してる人にとっては議論しまくったことでしょうしね。ですが、改めてこの作品のように「愛」からそれらを見つめてみるのもいいんじゃないかなと思います。まあ、私の貧相なお頭では深く考えすぎたら混乱してしまいそうですけどね。
普通にヒューマンドラマとして楽しむこともできますので、そんな構えて読まなくても大丈夫です。

この世界ではヒューマノイドが自然に人の中に溶け込んでいます。人間と夫婦関係にあったり、親子であったり、友人であったり、様々な関係を築いています。人間と同じように考え、同じように食事をし、喜んだり、悲しんだり、苦しむこともあり、決して擬似的な関係ではありませんでした。

主人公はヒューマノイドのお医者さんをしており、彼を通してヒューマノイドと彼らに関わる人間たちの想いをうかがうことができます。ヒューマノイドの脳は人間とそっくりに作られているため、笑ったり泣いたりと普通に感情を表現していますので、彼らを見てるとむしろ人間の主人公・須堂の方がロボットのように見えますね。基本は無表情で奇妙な笑い方など、感情の表現は苦手のようです。ただ、ヒューマノイドの抱える悩みを的確に指摘し、患者のヒューマノイドや彼らに関わる人間に寄り添って診ているので、リサのことを感受性豊かといってますけど彼も同様に実は豊かであり、少ない情報の中からでも多くを感じ取れる出来た人かと。
ヒューマノイドのリサは須堂とは反対に表情の変化が豊かで素直な優しい子。南国を訪れたときに須堂とバカンスを楽しめなかったことでいじけたり、なにかとかわいい振る舞いをする子ですね。彼女が須堂のところにいる経緯は1巻では描かれていませんでしたが、何かありそうではあるのでその辺は2巻以降で分かると思います。

想像以上に面白かったです。難しいテーマを扱っていながらも、適度で丁度良いシリアス加減なので読みやすく作られています。深く掘り下げて読むこともできるものの、残念ながら私の疎いお頭では厳しそうですね。結構淡々と話は進んでいきますが、須堂の心の治療にはじわっと心に沁み入るものがありました。進歩や変化していく先端な話をしていながらも、その中でも変わらずに残っている物の大切さに気づかせてくれる作品でもありました。個人的にはとても気に入った内容だったので、2巻以降にも期待してます。

AIの遺電子(1)(少年チャンピオン・コミックス)

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とにかく漫画が大好きです。愛してるといっても過言ではありません。どんなジャンルにも手を出しますね。正直、文章力にはあまり自信はありませんが、なるべくうまく伝えられるようにがんばります。ちょっとだけでも読んでもらえたらうれしいです。 ちなみに、甘い物とネコも大好きです。
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