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2015年03月31日

雪玉のようなユキという犬

幼稚園から帰るとちっちゃな真っ白な犬がいた。
まだ目も開かずにコロコロ転がりながら歩いてた子犬
名前を「ユキ」と親父が名づけた。

真っ白な雪玉のような女の子
小学生になり、
何処に行くのもユキと一緒だった

真っ白なフサフサシッポをちぎれんばかりに振って俺について来る
そんなユキは一人っ子の自分にとって妹のような存在だった

中学生になり、俺は反抗期を迎え家出を繰り返す日々だった
高校性になり不良グループに入り、毎夜単車で走り回り家に寄り付かなくなった
勿論、ユキの事などもう頭にはなくなっていた

高2の秋、単車で事故を起こし大怪我をした。
1ヶ月の入院後、まだ足の骨折があるため自宅で療養する事になった

家に帰ると親父が一言こういった。
「ユキが1週間程前からご飯を食べなくなった。
病院に連れて行ったが、歳のせいでもう無理でしょうとの話だ・・・
弱りすぎて自分ではもう動けない、お前話し掛けてやれ」

深夜、俺はユキの横たわる隣の部屋に1人で行った。
俺が小さな頃使ってたタオルケットに包まれて、
ユキは弱々しく呼吸をしてた

「ユキ、ご飯食べなきゃダメだよ。元気にならなきゃダメだよ・・」
俺はユキのやせ細った背を撫でながら見つめていた。

ユキは目を開けわずかにシッポを振り、俺の掌を2、3度舐め再び目を閉じた
「明日の朝、散歩に行こうなユキ」と声をかけて、自分の部屋に戻った

翌朝7時頃おふくろの声で目覚めた
「ユキ、ユキ、おとうさんユキちゃんが・・・」
ドアを開けると、そこにユキが横たわっていた。

寝返りを打つことさえ出来ないユキが、
俺の部屋の前まできて息を絶えたのだ。

俺はユキの手を強く握り締め
「散歩行きたかったんだよね・・
だから最後の命でここまで歩いてきたんだよね・・
ゴメンな・・ゴメンなユキ。遊んであげなくてゴメンな・・・」
目の前のユキが涙で見えなくなった。

それから俺は冷たくなったユキをタオルケットに包み、
ユキと毎朝散歩に連れて行っていた近くの公園に行った

朝の公園は昔と同じように人もほとんど居なくて静かだった
ベンチに座って呆然としていると、親父がやってきて隣に座った

「散歩したかったんだろうな・・お前の顔を久しぶりに見て嬉しかったんだよ。
ホラ見てみろ、こんなに優しい顔で眠りについたんだよ
ユキはお前にアリガトウって言ってるよ」


それから10年以上経ち
俺は、嫁と子供2人に恵まれ幸せな毎日を送っている
俺の部屋の机の上には雪玉のようなちっちゃな子犬の写真がある
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