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2015年03月29日

馬鹿で最高の犬の話

私が18のとき、実家を離れた直後から、
歳のせいで段々と足腰がたたなくなってきた。

最初のうちは、実家に帰るとすぐに犬小屋から出てきて
「ぎゃふーん、ぎゃふーん」と鳴きながらケツを
私にぶつけて挨拶してくれていた。

しばらくすると、それが本格的に歩けなくなり、
ほんの20センチの側溝もまたげなくなった。
散歩も抱えてやるようになった。

大型犬で、すこし痩せたとはいえ30キロあり、
腰を痛めている妹や母では持ち上げられないと、
二日おきに私が手伝いに行った。

私が行くと、何とか踏ん張って立ち上がり、
出ない声で鳴く。尻尾を振って挨拶する。
それが踏ん張れるのが前足だけになり、最後は
踏ん張れなくなり、辛うじて尻尾だけは動く状態になった。

それでも、犬は「お姉ちゃん、きてくれたんだ」と
言うように、ゆっくり尻尾を振る。
いつ行っても歓迎の挨拶は決してやめない。


55 :わんにゃん@名無しさん:2007/06/24(日) 09:00:17 ID:Sdt2iQYR

私は犬が、無理して頑張ってるようで、
何だか辛くなって、犬の額に私の額を押し付けながら、
「そんなに頑張らなくても、いつだってお姉ちゃんは
来るんだから、もうやんなくっていいよソレ」
と言ってしまった。

それでも、犬は尻尾を振り続けた。

次の日。
私の携帯に電話があり、犬が死んだと知らせがあった。
死ぬ間際に意識を取り戻して、尻尾を振って逝ったそうだ。

思えば、あれはサヨナラの挨拶をしていたのだろうか。
それなのに、気付けなくてごめん。

「挨拶やんなくっていいよ」って言われて、
本当にやらなくなっちまった…。

うちの犬は、本当に馬鹿だなあ。
馬鹿で、最高の犬でした。
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