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2015年03月28日

拾い犬プー

まだ私が小学校のころの話です。
学校の帰り道に一匹の子犬を拾いました。

当然のように家に連れて帰り、飼ってくれるよう
両親に頼みました。しかし、この時初めて知ったのですが
父は犬が大嫌いだったんです。

昔何度も犬に噛まれたそうで、犬の鳴き声を聞くのもイヤと
いうほどの犬嫌いでした。泣きながら何回頼んでも
「捨ててこい!」の一点張りでした。
ガンコな父に何を言ってもダメでした。

母親と一緒に近くの空き地に捨てにいきました。
自慢じゃないけど私の家はかなりの田舎にあるんです。
この子犬も野良犬の子供なんでしょう。
他に拾ってくれる人がいないことくらい子供の私でも
分かりました。

その日から父とは会話しませんでした。
無言で食事し、食事が終わると残りを持って空き地に行き
その子犬にあげにいってました。
初めての反抗に父は戸惑ったでしょう。

何日かそうゆう生活を続けていたある日、
「たばこ買ってくる。」
と、出掛けた父が子犬を抱いて帰ってきました。

びびっていたのか、ひきつったあの顔は今でも覚えています。
「最近は物騒だからな。番犬も必要だろ。」
とかいうのです。

家に鍵をかける習慣もないこの辺に物騒もなにもないのに。
ガンコな父らしい言い訳でした。


669 名前: 大人の名無しさん 投稿日: 03/09/07 05:44 ID:mXQozwee

その子犬は「プー」と命名。
名付け親は母。(理由はなんでかわかんない^^;)

元々汚い家だったんで室内で飼うことになりました。
家族によくなついて無駄吠えはしない賢い犬でした。
しかし、父だけは今だにプーにびびってました。
びびってないフリはしてたけど、あれは誰が見てもびびってました。


プーを飼いはじめて3年目の秋のことです。
母方の親戚に不幸があり、母の実家に私をつれて行くことになりました。
父にプーの世話を命じて出発しました。
かなり拒否してましたが・・(マジ顔で)

数日後、家に帰ると父がプーと仲良く遊んでました。
母も私も「どーしたの!??」って感じでした。
すると父が
「こいつオレが作った飯喰ったんだよ!」
「??」
私も母も意味がわかりません。

話を聞くと私達が出掛けた日の夜、
お腹の減った父が冷蔵庫にあったもので料理をしたんだそうです。
普段、料理なんかしない父が作ったんです。
それが、シャレになんないくらいマズかったそ〜です。

「それをこいつ、うまそ〜に喰いやがった。
そしたらなんかかわいく見えてきてな〜。」
単純だけど父らしいなってみんなで笑いました。


その後私は大学生になり、実家をはなれて暮らしていたある日、
母から電話がかかってきました。
「プー・・死んじゃったよ・・・。」
実家からそんなに距離もないので急いで帰りました。


670 名前: 大人の名無しさん 03/09/07 05:47 ID:mXQozwee

真っ赤に目を腫らした両親がプーをかこんでいる姿を見たら
グッとこみあげてきました。

そして父が
「こいつな、俺待っててくれたんだぞ・・ほんとに賢いなぁ・」
涙声で震えながら話ました。

父はいつも5時くらいに帰宅します。
いつも5時前になると、玄関の前でお座りして父を待っていました。

その日もいつも通り玄関の前で待ち、いつも通り父の膝の上で
一緒にテレビを見ながら晩御飯を待ってました。
そしてそのまま息をひきとったとのことでした。

「お父さんの膝の上で眠りたかったんだよね。
プーお父さん大好きだったもんね。」

と、母が言うと父はまた大声で泣き始めました。

しばらくすると、父が鼻をすすりながら、そして軽く笑いながら
「S(私)・・俺はまた犬嫌いになりそうだよ・・・。」
それを聞いた瞬間私は涙があふれてきました。

一番プーを愛してたのは、父だったんだなって思いました。


そして、、あれから5年、実家には2代目プーがいます。
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