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2015年03月27日

あいつ、きっと俺たちに笑っててほしかったんだろ

俺には6歳から飼ってる犬がいたんだ。
親が離婚してすぐに一人欠けた俺の家族に加わった奴で
そりゃあもう家族のアイドル的存在。
みんな溺愛してる。
そいつのおかげで父親がいなくなったことを克服できたんだとおもう。

そいつとの出会いも、
フラっと立ち寄ったオカンがペットショップで見つけたらしいんだが、
そいつだけは他の犬と違ってオカンから目を離さなかったらしい。
まだ手のひらサイズの子犬で、柵から鼻だけだして
オカンに目で必死に訴えてたって言ってた。

俺はよく小さい頃からチョッカイ出しては噛まれて
俺の鼻に今でも傷が残ってるくらい、よく噛まれた。
犬にチューってあまりしちゃいけないっていうけど、
それでも我慢できないくらい愛くるしいやつで困った。
何度チューしてもしたりないくらい愛してるんだ。

もうあれから15年たった。長生きだし元気だったけど
足の裏に腫瘍みたいなのが出来て、上手く歩けなくなった。

色んなところに腫瘍は出来てたけど、手術するとなると
足一本を取らなきゃいけなかったから、歳を考えると薬を飲ませるのが
一番の治療法だった。

毎日包帯取り替えては薬を塗って看病した。
散歩に連れてく度、思いっきり走れないあいつを見てると心が痛かった。
だけどそれでも楽しそうに尻尾を振って散歩に出かけてた。


517 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/06(月) 21:43:11.24

いつまでも元気でいてほしかったけど、だんだん衰弱していって
ずっとめまいがしているようだった。

去年12月、朝になっていつもどおりオカンの布団の上で寝てる
あいつを見てみると、俺に尻尾を振ってた。
そろそろオカンも俺も仕事に出かけるっていう時だった。
そんなの珍しかったから、嬉しくなって近寄ると大量の血を吐いた。

ああもう、その時が今日なのか、って悟ったよ。
でもその時の俺は尋常じゃなく動揺してた。

オカンと仕事休んで病院に連れてったけど、
獣医は薬を投与してから様子みてくださいという感じでひとまず家に連れて帰った。
大丈夫そう、なのか?って思った。

連れて帰ってから何故か元気でさ、自分で歩こうって必死だった。
少し横にさせてオカンと見つめてると、また尻尾を振り出したんだ。
つい俺らは笑顔になった。病院での薬が効いたんだって、
調子よくなって嬉しいのかと思った。

だけど、急に痙攣しだしてあわててまた病院に連れてこうとしたけど、
連れてく途中の車で俺の腕の中天国に行った。

ずっと名前呼び続けたけど、俺はもう流れる景色を呆然と見てた。
涙って勝手にこんなに流れるんだとか思いながら。

病院につれてって、獣医が死んだのを確認すると
オカンはずっとあいつの亡骸を抱きしめながら泣いて、
○○ちゃん、○○ちゃんって言いながらその場から動かなかった。
自分の子供が死んだみたいだったよ。

家に亡骸と一緒に帰ってきてから、遠くに住んでる兄貴に電話した。
兄貴と俺とオカンで三人で泣きじゃくった。

火葬まで2日間、俺も家にいたけど保冷剤をあててやるのが辛かったよ。
本当に眠っているようだったし、幻聴か何か、
時々寝息が聞こえた気がしたから、こいつ死んでねんじゃねえかと。

でも俺が最後まであいつにしてやれることはすべてやりたかった。
一人であいつの亡骸を抱えて、これまでないくらい大声だして号泣した。

火葬が終わってから、オカンはただ地べたに座ってあいつの骨壷を
見つめることが多かったから、心配になったけど
ふと、あいつの最後を思い出してオカンと話した。

「あいつ、きっと俺たちに笑っててほしかったんだろ。」

もし、あいつの幸せは俺たちの幸せにあるんだったら、
俺は世界一幸せになってみせるって、その時誓った。

今は家族みんな元気。

玄関に飾られたあいつの写真には

気持ち悪いぐらい、チューの跡がついてるよ。
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