おはようございます。あるへです。
本日はこちら「クライシス」シリーズ三作品をまとめてレビューします。
各作品ごとに特徴(ゲーム仕様、方向性)がはっきりしており、素晴らしいグラフィックと「ナノスーツ」というフィーチャーの活かし方、さながら映画作品のような、とても良質なFPSです。キャンペーンに関しては文句なく面白かったです。
初めにこの作品のスペックですが、Xbox360、PS3ともにクライシス1はダウンロード専売、そして2と3はディスクで販売されており、また3の初回特典として1のダウンロードコードが付いてきます。
1はキャンペーンのみ、2と3にはマルチプレイが楽しめますが、後述の理由によりマルチプレイ目的での購入はお勧めしません。というか、すでに世に出て久しいので相手を見つけるのは難しいですが。
Crysisシリーズ公式サイト
さて、順に感想を述べていきます。
まずは1についてですが、この時点ですでにグラフィックの美しさが頭一つ抜けていると思います。非常に綺麗でして、このクリアでリアルな描写というのが本シリーズの一つの売りになっています。
本作はオープンワールド「的」なFPSでして、広大な一つの島を巡ってミッションをこなしていくことになります。
といっても、完全なオープンワールドではなく、一つの巨大なマップの中でシームレスにミッションが発生し、自由なルートを採って目標を更新していく、という意味でオープンなワールドです。
具体的には、「どこそこに行け」というミッションがあったとして、その目的の達成方法として、足元の道を辿って見敵必殺でいくのか、脇の森に入ってやり過ごすのか、はたまた海を泳いで敵の警戒範囲外から悠々と迂回するのか、といった具合です。
基本的な流れは、シリーズ全てよくあるリアル系(でもSF系)FPSと同じです。
本作の一番の魅力と言えば、やはり「ナノスーツ」です。重たい物体を危険なスピードで投げる「マキシマムストレングス」、常人を凌ぐスピードでダッシュできる「マキシマムスピード」、体を透明化し周囲に溶け込む「クローク」、そして銃弾をやすやすと退ける「マキシマムアーマー」の四つの機能を備えています(オープニングの大迫力のムービーはナノスーツの四つの機能を、このようにドラマティックに演出、紹介していますが、実際ゲーム機能として使ってみると、思ったほどではないのはご愛嬌。アーマーなど段ボール程度の装甲ですが、無きゃ無いで程よく攻略が辛くなります)。
これらの機能はシリーズを追うごとに、特定のボタン操作が必要なくなったりと統合されていきますが、ナノスーツの基本仕様としてしっかりと息づいています。
というように、本作クライシスではこの中でも特に「クローク」と「マキシマムアーマー」を状況に合わせて的確に切り替えていくことで攻略し、それがまた大きな醍醐味でもあるのです。
で、本題ですが1については物語の前半と後半で活躍する機能がはっきりと分かれており、機能使用の習熟が求められますが、同時に新鮮な気持ちで挑むことができます。
やはりステルスアクション好きのあるへとしましては、クロークが大活躍する前半のミッションが大好きです。
高難易度ともなれば、敵は米粒ほど人影でさえ敵を認識できますので、うかうか道の真ん中を歩いてはいられません。
いつなんどき鉢合わせるかわかったものではないので、森の茂みから茂みへ、スーツのパワーの残り具合を見ながら慎重に渡って行くんですね(あるへのプレイの場合です)。この緊張感、静けさが本当「ヤベー」んですわ(笑)。
100m歩くのも緊張しっぱなしで、この牛歩感がたまりません。
ステルス推奨の前半ミッションでも、序盤と終盤では、この強力な「茂み」の数が少なくなっていき、自然と、森から敵施設へという戦場の移り変わりと、難易度の上昇がリンクしていて、素晴らしいレベルデザインだと感心してしまいました。
後半戦では、敵の種類もがらりと変わり、地形的にもステルス戦略は通用しづらくなっています。そこで今度は頻繁にアーマーに切り替えて、よくあるFPSへと突入していくんですね。
ただ、まったく通用しないわけではないので、今度は前半戦のような保守的なステルスから、敵を倒すための戦術としてクロークを活用する攻撃的なステルスへと変化し、アーマーと合わせて、エネルギー管理をしながら使い分ける知能プレイになるわけです。
続いて続編の2。1の主人公とは別人の軍人がとある理由からナノスーツを着込み、激戦へ身を投じていくことになります。
実は私、クライシスシリーズでは2が一番好きだったりします。
なんといってもこの主人公、シリーズ一の不運な男でして、毎回爆発やらなにやらに巻き込まれて、ぼろっぼろになりながらも進み続けるんですよね。加えて非常に無口で、ストイックな姿勢から悲壮感をヒシヒシと感じまして、美しい悲劇の英雄譚として楽しむことができました。
この2では、1で猛威を振るった強力な味方「茂み」がほぼありません。よくあるステルスアクションもののように、物陰を利用しつつ(1では茂みの中にいれば全方向から視線を遮ってくれた。物陰に隠れても、丸見えになってしまう角度が存在する、ということ)慎重に進んでいかなければなりません。
またマップデザインも、特徴的な各ルート(強行突破、ステルスなど)が明確化され、まるでパズルのような戦場にシェイプアップされました。
1とは違い、ステージクリア型のミッション制に変更され、各マップはコンパクトにまとめ、やや間延びしていた1での自由なルート選びが凝縮されました。
私は2のストーリー、アルカトラズの生き様がとても好きなのは勿論ですが、このマップの作りもまた、私好みでした。
何より最初から最後までステルス戦略を貫けるのが嬉しかったです。
そして2015年現在の最新作3では、1と2の良いところをぎゅっと絞り、そしてまた3ならではの味付けを加えた集大成と言えます。
やはり概要は変わりません。ナノスーツの代表的な機能を駆使して、世界の平和を守るのです。今作では、2に導入されていたRPG的な要素が改善されています。2以上にスーツのカスタマイズの幅が生まれ、より専門的、戦略的に動き回ることができます。
1の良い部分、というのはやはり広大なマップを利用して、自由なルートから目的へのアプローチを試せる点です。2ではそこまで荒唐無稽な自由ではなく、どちらかというと「選択の自由」でしたが、3では二つ合わせて上手に半分に割った感じです。海から攻めてまったく敵と出会わずにクリアするようなカオスにならず、さりとて「1番か2番か3番か」というほど入り口が狭くもなく。
そして見出された妥協点は、「1のように広いマップで、段階的にミッションをこなす」、「それぞれの目的地には複数のアプローチ法があり、選択の自由と攻略の自由がある」、「どのようにミッションを達成したかによって、そのマップで後に続くミッションに影響を与える」などです。
うまく伝わるかなぁ。プレイしてみれば一目瞭然なんですが、1の方向性とマップデザイン、2の方向性とマップデザインはかなり違います。しかし、3ではそれぞれの長所をうまく活かし、見事に融合させているんですよね。
そしてもう一つ、3が今までの1や2と違うところは、ステルス戦略の立ち位置です。すなわち、3のクロークはかなり攻撃的です。
理由は複数ありまして、結果的にこうなった、ではなくきちんと計算されてこうなっています。
まずは「弓」の存在。音がせず、強力で精密、さらにはリサイクル可能という、クライシス界の壊れ武器です。発射してもクロークが解除されないのは非常に大きい。
この弓のお陰で(せいで?)、こそこそとやり過ごすよりも、しっかり殲滅していった方が安定するんですね。
そしてそれは、一つ一つエリアを通過していき、振り返らない2とは違って、広大な一つのマップを東西南北駆け回るデザインともマッチしているのです。
また、直接的には関係ないですけど、暗く、悲壮な雰囲気を纏う街ではなく、懐かしい1に似た自然豊かなエリアをチョイスしているのも、「広く」感じる一助となっているのではないでしょうか。
最後に、オンラインプレイについて私見を申しますと、「ああ、もったいない」です。
ナノスーツの王道的な機能、特にクロークとアーマーを駆使して戦うマルチプレイは正直なところ、結構楽しかったんです。
2ではリソース管理が大変でしたが、3になってリソースが別になったことでより気軽に機能を展開でき、よりアクティブに、ダイナミックに動けるようになりました。
2では何をするにも一つのエネルギーが命綱で、これが切れたらおとなしくじっとしているしかありません。このリソース管理の熟達が中毒的な面白さへと繋がるのですが、あるへには馴染みませんでした。
逆に、3になってエネルギー管理の仕方が変わったお陰で、クローク起動、エネルギーが切れたらアーマーを起動し、クロークエネルギーが溜まるのを待つ、その間試合が終わるまで常に走りっぱなしと非常にスピーディー、スポーティーな展開です。
ああ、ほんとにもったいない。
試合は楽しいですけど、やっぱりマルチプレイは大っ嫌いです。
もう、ラグいラグい……。
念のため説明しておきますと、遅延が酷い、という意味です。
敵が数秒先の未来から襲撃してきます。出会い頭の一撃、神業的に反応しても無意味です。私から見れば2秒くらい前からアサルトライフルの全弾を出遭った瞬間敵の頭に全て叩き込んでいるように見えても、相手から見れば、私は角を曲がったところでのこのことこちらにやって来て武器を構えようともしていない的以外のなんでもありません。
比較的楽なオンライン実績をとるために、何度も何度もプレイしましたが、理不尽すぎて言葉が出てきません。
こういったラグに苦しめられるたびに、ヘイローシリーズのサーバーのなんと素晴らしいものだったのか、ひしひしと感じずにはいられません。
これは2のマルチプレイの話ですが、3についても大して変わりません。2秒が1秒になった程度、これなら許せる、と思いきや頻繁な断線でモチベーションをごっそり断ち切ってくれます。
マルチプレイは放っといて、キャンペーンを遊びましょう。クライシスの世界にどっぷり浸れるはずです。