問題01 整数解を見つけます [高1★★☆☆☆]
整数 m, n (≠0) と素数 p について、(1) 1/m + 1/n = 1/p を満たす (m, n) の組を全てあげてください。
(2) p = 2 の場合について、 (m, n) を具体的に書き表してください。
解答01(両辺に pmn を掛けます)
何か捻ったことをするわけでなく、自然な流れで式の両辺に pmn を掛けます:
pn + pm = pmn
見やすいように整理すると、
pmn - pm - pn = 0
ここで次のように変形できるかどうかがポイントです。
(m − p)(n − p) = p2
こういう式変形をしたいときは、ともかく左辺のような形を作ってしまって展開計算して、余分な項がでてくれば、それを右辺に足しておくのです。
さて、上式の右辺は p2 です。 p は素数です。素数というのは 1 とそれ以外に約数をもちません(他の数の積に分解できません)。ですから (m - p, n - p) は
(m - p, n - p) = (1, p2), (p, p), (p2, 1),
(−1, − p2), ( − p, − p), (− p2, − 1)
の 6 通りとなりそうですが ...... ケアレスミスに注意です! m, n ≠ 0 ですから、 (p, p) は省いておかなくてはなりません。ですから結局 (m, n) は
(m, n) = (1 + p, p + p2), (2p, 2p), (p + p2, 1 + p),
(p − 1, p − p2), (p - p2, p − 1)
の 5 通りです。p がどんな素数であっても(2 であろうと、メルセンヌ素数 2257 - 1 であろうと)必ず 5 通りです。何だか不思議ですね。
(2) 上で求めた (m, n) に 2 を入れて計算するだけです。答えは、
(m, n) = (3, 6), (4, 4), (6, 3), (1, - 2), (- 2, 1)
の 5 通りです。
解説
1/m + 1/n = 1/p を満たす (m, n) の組がずいぶん少ないなという印象がありますね。そのあたりをグラフで確認してみましょう。そこでまず (m, n) を実数 (x, y) に置き換えて、y = f(x) の形に直してみると、y = px / [x - p]
という関数が得られます。 p = 2 の場合にグラフを描いてみると ......
黒丸が問題の解答となる格子点です。
見ての通り、漸近線に向かって収束する分数関数ですから、(x, y) ともに整数値をとれる範囲は限られています。その範囲内でちょうど y = f(x) が整数格子点を通るところを見つけようという問題だったのです。そしてその格子点の数は p が素数である限りは、必ず 5 通りであるということです。
もう1つ注目したいのは上のグラフでは (x, y) = (0, 0) を満たすということ。
(m, n) = (0, 0) が定義でなかったのは、
1/m + 1/n = 1/p [1]
という式で m と n が分母にあるからです。これがもし、
m = np / [n − p] [2]
を満たす (m, n) を見つけなさいという問題であれば、(0, 0) も含めて構わないということになります。[1] と [2] は式変形によって相互変換可能ですが、[2] ⇒ [1] への変換過程では両辺の逆数をとるときに 「 m, n ≠ 0 とする」などの付帯条件がつくので注意が必要です。
理系英語A 数の種類 その1
prime number 素数
composite number 合成数
natural number 自然数
integer / integral number 整数
composite number 合成数
natural number 自然数
integer / integral number 整数
prime(最初の、最良の、最も重要な)や composite(混合の、合成の)は数学に限らず一般語彙としても基本的なので覚えておきたいところですね。ちなみに合成数とは素数以外の自然数のことです。integral (不可欠な、完全な)は少し難しい単語です。積分にも用いられます。