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2017年08月04日

桜井家の受験算数で難関中学に挑みましょう(下剋上算数)

中学受験テキスト 下剋上算数
 基礎編 偏差値40から55への道

 今回紹介するのは 下剋上算数(桜井信一、馬渕教室/産経新聞出版) です。

中学受験テキスト 下剋上算数 基礎編――偏差値40から55への道

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「下剋上受験」の続編です

 桜井信一は今話題のブログ「父娘の記念受験」や、ベストセラー「下剋上受験」の著者です。中卒の父親が娘と二人三脚で難関の桜蔭学園を目指して奮闘する姿は多くの読者の共感をよび、受験ブログランキングで1位を独走中です。同じくブログを書いている者として、うらやましくもあり、ちょっと悔しくもありますが、まあそれはさておき、本書は「下剋上受験」の続編です。桜井信一が関西の有名進学塾である馬渕教室と組んで、今までにないような算数テキストを出版しました。

算数が出来ない子のために書かれた本です

 本書は 算数を苦手とする子供 の視点に立って、子供たちがどこで躓きやすいかを分析し、「わからない所」を「わかる」ようになるまで徹底的にトレーニングしてくれる本です。問題総数はなんと 1000 問。1 日に 10 問解いて、100 日で終わるようになっています。いいですね、このボリューム。

「算数に近道なんてない。わからない所を丁寧に噛み砕きつつ、一歩一歩前進してゆくしかないのだ」

という信念が伝わってきます。やさしいところから緩やかな坂を上るように少しずつ難易度が上がるので、算数が苦手なお子さんにも無理なく学習できる構成となっています。

解く前の準備

 本書は序盤の「解く前の準備」という箇所を読むだけでも気づかされることがたくさんあります。「筆算を減らす」、「約分できるかどうかを素早く見抜く」、「計算手順に注意する」、「図をフリーハンドで描く」というようなことを心得ておくだけでも、算数を学ぶストレスが軽減されます。「算数が苦手」だと思っていた子供が、案外こういう作業手順で引っかかっていて先に進めないということがたまにあるようです。

算数が得意だった人こそ読む価値ありです

 このブログの読者さんの中には「昔から算数が得意だった」、「理工学部に在籍中」、「数学に興味があるからここにきているんだ」という人も少なからずおられるでしょう。しかし、そういう人は家庭教師をしたり、自分のお子さんを教えている時に「何でこんな簡単なことがわからんのだ?」と戸惑うことがしばしばあるようです。「算数や数学で苦労しなかった人」が「算数の苦手な子」の視点に立つことは、かなり難しいのです。ですから、お子さんを教える立場にある人はぜひ本書に目を通して、「なるほど! こういうところに躓きの原因があるのか!」と開眼して(?)、今後の指導に役立ててください。
   
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2017年07月29日

線型代数学・微積分の自然な発展として学びます(ベクトル解析)

ベクトル解析(森毅著/ちくま学芸文庫)


 今回紹介するのは森毅の名著 ベクトル解析 です。

ベクトル解析 (ちくま学芸文庫)

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ベクトル解析 Math&Science (ちくま学芸文庫)



 日本評論社から出版された旧版(ハードカバー)はこちらです。

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 本書の構成は以下のようになっています。

 第0章 ベクトル解析とは
 第1章 多変数の微分(正比例関数と微分)
 第2章 多変数の積分(積分の概念)
 第3章 なぜベクトル解析なのか(多次元世界の微積分)


数学としてのベクトル解析

 ベクトル解析といえば、理工系の学生さんにはおなじみの必須科目ですね。ほとんどのベクトル解析の書籍では、電磁気学や流体力学を学ぶための道具として扱われ「 grad, div, rot はこうやって計算するのだぞよ」とか「ストークス定理はこう使うのだ!」という書き方がされていると思います。まあ、学生さんたちは急いでそうした計算法を身につけないと物理学のカリキュラムを消化できないので、それはそれで仕方ないのですが、ちょっと場当たり的で味気ないなあと思うこともしばしばです。でも本書はそうした巷に溢れる本とは全く異なるスタイルの、数学としてのベクトル解析 なのです。

線形代数学と微積分の

 この本では「1次元の線型代数学」から「多次元の線型代数学」、あるいは「1変数の微積分」から「多変数関数の微積分」への拡張という視点で「ベクトル解析」を記述しています。普段学んでいる数学の体系の中で勾配や面積分、線積分が登場します。ガウスの定理やストークスの定理など、電磁気学でおなじみの諸定理も、あくまで1変数関数の微積分の基本定理を拡張したものとして説明されるので、「ああ、なるほど、こういうことだったのか」とストンと胸に落ち、これまでなんとなくバラバラだった「ベクトル解析」と「微分積分学」が頭の中で統合されます。

多様体?

 そして本書はその流れにのって「多様体」にも少し触れます。「多様体」なんて、数学科以外の人にはおよそなじみのない抽象概念ですし、まあ私もこのあたりはよくわからないので、きちんと説明することはできませんけど、読んでみると「なるほど。面白いなあ」と思えるので、ぜひ読んでみてください( ...... 適当な解説になってしまった)。
   
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2017年07月26日

数学でサッカーを分析します(サッカーマティクス)

 ≫ 『言葉の工房あとりえこばと』

サッカーマティクス 数学が解明する強豪チーム「勝利の方程式」

 近年のサッカーの戦術の進化は目を見張るものがありますね。ついこの前行われたコンフェデレーションズカップの決勝戦『ドイツ対チリ』の試合はまさに現代サッカーを象徴するような試合でした。

 前線から強烈なプレスをかけてボールを奪い取ると同時に、手数をかけずに最速手順で相手ゴールを陥れる。そうした戦術を実現するために、現代では選手の育成段階から効果的なトレーニング法が採用され、試合ごとにチームスタッフによる徹底したデータ分析が行われて選手起用やフォーメーションなどが決定されます ...... というわけで、今回はかなり風変わりな書籍を紹介します。

サッカーマティクス 数学が解明する強豪チーム「勝利の方程式」

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 題して『サッカーマティクス (Soccermatics)』。サッカーが大好きな数学者 David Sumpter氏が数学的手法を駆使してサッカーを分析した本です。たとえば、相手チームにボールを奪われたあと、1 人目は 2.5 秒以内、そして 2 人目は 5.5 秒以内にプレッシングをかけると再奪取率が高い、というマニアックな統計分析の結果が載っていたりします。テレビのサッカー解説でよく聞く「攻守の切り替えの速さ」を示す数字ですね。

 華麗なパスワークを誇る FCバルセロナのファンである人も多いと思います。そして実際にパス率 (1 分間当たりに通すパスの本数)が多いほど、得点が多いことが統計データで示されています。また GPS でパス分布を解析すれば、バルサのボールの運び方が実に効果的であることがわかります。David Sumpter氏の分析によると、特定の選手に依存する集中型よりも、分散型パスネットワークを持つチームの勝率が高いことがわかっています。

 他にも「試合に勝利した時の勝ち点はどうして 3 と決められているの?」(大昔は 2 でしたよ。年がばれるけど)とか、「メッシとロナウド、どちらが名選手なの?」というような、サッカーファンには興味が尽きない話題がたくさん載っています。ぜひご一読ください。香川選手と岡崎選手の動きを分析した「日本版特別序文」も収録されていますよ。

 ...... ところでコンフェデレーションズカップの話題に戻りますけど(この記事は 2017 年 7 月に書いています)、クラブチームならまだしも、(練習時間のとれない)ナショナルチームでもあれほどの戦術完成度がなければ世界で勝てないとしたら、これからの日本代表はワールドカップで相当な苦戦を強いられると思います。それをよく知っているハリルホジッチ監督も選手たちに「世界基準の高速サッカー」を植え付けようと必死です。でも試合では「とにかく縦に早く!」という監督の方針に対して「 ...... 縦ばかりに急いでも」という選手たちの戸惑いが見えるので、そのあたりを上手く融和させることができると、もっと良いチームになりそうな気がします。
   
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2017年07月25日

統計手法が網羅された本です (Excel で学ぶ統計解析入門)

 今回紹介する本は Excel で学ぶ統計解析入門(菅民雄著/オーム社) です。

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 kindle 版(電子書籍)はこちらです。

Excelで学ぶ統計解析入門 Excel2013/2010対応版


『 Excel で学ぶ統計解析入門』の目次

 本書の構成は次のようになっています。

 第1章 はじめに
 第2章 統計解析の基礎
 第3章 相関分析と回帰分析
 第4章 確率分布
 第5章 推測統計学
 第6章 実験による統計理論の検証
 第7章 Excel の統計解析機能の解説
 第8章 Excel アドインソフトウェア

 第2章には「統計学で用いるデータの種類」、「算術平均」や「幾何平均」といった統計の基礎の基礎が書いてあるので、本書を事典として活用する場合にも、この章だけは全部目を通しておいたほうが良いでしょう。

実用的な統計本です

 本書は「ぱっと見て、ぱっと使える」ように書かれた実用的な統計本です。統計で使用する公式の導出過程は全て省かれていて、「その式をどのような場面で、どのように使うのか」というスタイルで書かれています。ですから、

 統計学の専門知識があるわけではないけれど、仕事でデータ分析しなければならない。でもどのような手法を選択すればよいのかわからない。

という場面ですぐに活用できる本なのです。私自身も Excel のデータベース用ソフトを開発するときに傍らに置いて事典として使っています。

具体例が満載です

 本書は全ての項目に具体的な例が示されています。たとえば

・ある県の醤油ラーメンの平均価格が 600 円よりも高いかどうか?

・〇〇政党の支持率を推定する場合は、何人以上調査すれば信用できるデータが得られるか?

・新製品の広告を出したが、3ヶ月後に認知率が 10 % を超えたかどうか知りたい。

というような実践例が満載です。そして選択すべき統計手法とその手順が丁寧に示されています。本書のこのような例を参考にすれば、自分が所有するデータをどのように分析するべきかわかるはずです。

基礎から学ぶのは大変です!

 統計学を基礎から勉強するのは大変な時間と労力が必要です。そもそも「統計学を学ぶために学ばなくてはならない数学」がたくさんあります(特殊関数などを含めて、大学レベルの微分積分を習得しておく必要があります)。ただ現実問題として、そうした数学的知識が現実のデータ分析に役立つかといえば、かなり微妙なのです。学問としての統計学は、あくまで「数学」であって、たとえば「中心極限定理を厳密に導く」というようなことに主眼が置かれています。もちろん統計データの深い所を読み取るためには、そうした知識があるに越したことはないですが、

 統計学の専門家になるつもりもないし、統計解析のスペシャリストを雇うとお金がかかる。でもビジネスの現場ですぐに役立つデータが欲しい。だから自分で分析できるようになりたい。

という場合には、それだけの時間と労力を割く価値はないと思います(でも現役の理工学部の人は手抜かずに基礎からしっかり勉強してください)。

 学問ではなく 実務としての統計学を習得する のであれば、むしろ「習うより慣れろ」という姿勢で臨んだほうが良いと思います。統計データをぱっと見た瞬間に「ん? このデータは何かおかしいぞ」というような直観力を磨くことのほうが大切です。ぜひ本書を参考にどんどん分析して「使える統計学」を身につけてください。
   
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2017年01月28日

和算を楽しみましょう(方程式にたよらない 和算的思考力をつける)

 今回紹介するのは大人のための算数本です。「飲み会の勘定」だったり「プレゼン」や「大型電気店の利益計算」など、バリエーション豊かな題材で楽しく算数を学べます。でも本書で学んで欲しいのはあくまで「和算的思考力」です。本書を片手に次の飲み会の計画ばかり立てないように!

方程式にたよらない 和算的思考力をつける [ベレ出版/深川和久]


方程式にたよらない和算的思考力をつける

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 和算 とは日本古来からわが国で独自に発達した数学です。
 江戸時代には関孝和を代表する俊才たちによって非常に高度なものへと発展しました。また 和算 は庶民の間でも広く普及し、これを趣味として楽しむ人が大勢いました。当時の最高水準の和算は現代人にとっても簡単に手の出せる内容ではありませんが、和算の基本的な考え方は現代の小学校の「算数」という教科に受け継がれています。特に中学受験で問われるのは、まさにこの 和算的思考力 そのものと言ってよいでしょう。
 タイトルにあるように、この本では「方程式を用いない」つまり「文字を使用しない」問題の解き方を「和算的な手法」として、つるかめ算や過不足算、損益算など、現代の算数の問題を解くためのアプローチをたくさん紹介しています。本書の構成は次のようになっています。

 第1章 つるかめ算について考えてみる
 第2章 いろいろな和算的方法
 第3章 いろいろな数量と和算的方法

つるかめ算

 まず第1章を丸ごと割いて、和算の代表格ともいえる「つるかめ算」を丁寧に説明しています。「小学生の頃に習ったけど、よくわからなかった」とか、「とっくに忘れたよ」という人も多いと思います。というより意識的に使う機会がなければ普通は自然と忘れます。
 でも「つるかめ算」の考え方を学び直すと、中学以降の「方程式思考」に慣れてしまった頭に心地よい刺激を与えて、和算的な思考を取り戻すきっかけになります。「つるかめ算」の考え方は和算の土台となるものですから、この第1章を読むだけでも「頭が柔らかくなったよー」という気分になります。

過不足算、仕事算

 「つるかめ算」を扱った第1章に比べると、この第2章で扱う過不足算、消去算、仕事算、相当算、倍数算といった内容は少しやさしく感じられると思います。まず第1章でしっかり頭をトレーニングしてから、残りの章をスムーズに読んでもらおうという意図があるのかもしれません。実に上手い構成になっています。第2章まで読み終えると、和算の一般常識(?)を身につけることができます。

網羅しています

 第3章では旅人算、通過算、流水算、時計算、平均算、年齢算、植木算 ...... 色々なパターンの和算的問題を網羅しています。特に順番に読まなくてはならないということもないので、ぱらぱらとページをめくりながら、面白そうな箇所を拾い読みすることもできます。

粋な解き方を身につけましょう

 この本で扱っている問題のほとんどは、中学で習う方程式で解くこともできます。これは私の個人的な意見ですが、和算で解ける問題に方程式を持ちこむことは、時として「非常に野暮ったく」見えることがあるのです。
 方程式はある種の「万能ツール」であって、色々な問題に等しく適用できるという利点がある反面、適用対象によっては必ずしも最適手法とはなりえずに、がちゃがちゃと無駄に文字をいじくり回して時間を浪費するといったことになってしまいます。
 対して和算とは、それぞれの問題に応じた考え方を会得する「専用ツール」です。「専用ツール」であるがゆえに、その習得には方程式より時間がかかります。しかし和算技術を身につけることができれば、ある問題を見た瞬間に最適最速の解法を見つけ出し、ぱぱっとスマートに解いてしまう「粋な職人」となることができるのです。この本をきっかけに、皆さんにもぜひ和算の素晴らしさを見直してもらえたらいいなと思っています。
   
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