相加・相乗平均の関係をグラフで解析します
証明問題に多用される定理の1つに相加・相乗平均の関係がありますね:等号成立は α = β のときです。
ここで、α = x, β = a とおいて、相加平均と相乗平均の差分をとってみます。
相加・相乗平均の関係から f(x) ≧ 0 が成り立つはずです。
グラフで確認してみましょう。
パラメータ a のところで最小値をとる関数です。 a = 1, 2, 3, ...... と変化させると最小値を与える x も同じように正方向にシフトしていきます。念のために f(x) の微分を 0 とおいて確認しておきましょう:
f'(x) = [1 - sqrt(a/x)] = 0 ⇒ x = a (sqrt は√ のこと)
確かに x = a で最小値 f(a) = 0 をとります。
a = 2 のグラフを抜き出してもう少し詳しく解析していきます。
f(x) は α と β がどのような関係のとき、「相加平均と相乗平均の差がどのくらいなのか」ということを教えてくれます。たとえば上のグラフでは、β = 2 (対称式ですから α = 2 と考えても構いません)のとき、1≦α≦3 の範囲なら誤差 0.1 未満です。α の値が β から離れていくと誤差は大きくなっていきますが、特に α が小さいほうへずれていくとき、より急速に誤差が大きくなっていくことがわかります。たとえば α = 0.1, β = 2 のとき、
相加平均 = 1.005, 相乗平均 = 0.141
[相加平均 - 相乗平均] = 0.859
となります。相加平均は2つの数値の真ん中を返す平均ですから直感的に分かりやすいのですが、相乗平均は片方の値が真ん中からずれると、(相加平均と比較して)その値を小さめに見積もる傾向があることがわかります。つまり β に対して α が小さいときには、α のほうに重心がおかれ、逆に α が大きい時には β 側に重心がおかれるということです。
理系英単語@
新連載のお知らせです(というほど大げさなものじゃないけど)。理工学部(特に大学院に進む方)は論文を書くときなどに山のように英語の論文を読むことになります。意外に思えるかもしれませんが、理系は英語です。英語力は必須です(理系に限っては話すよりも語彙力や長文読解力が重要)。日本の大学が科学界の中心とならない限り(そうなってほしいとは願っていますが)、これは変えられない宿命です。というわけで後々苦労しないためにも、できるだけ数学・科学に関する英単語を覚えておきましょう。なるべくそのときに書いた記事をテーマに単語を選びますが、回を重ねるとネタ切れになりそうですし、数学以外の科学用語なども知っておいたほうがいいと思うので、そのあたりは臨機応変です。初回はこれです。 相加平均(算術平均) arithmetic mean
相乗平均(幾何平均) geometric mean
相乗平均(幾何平均) geometric mean
( )の中にある、算術平均と幾何平均が英語からの直訳になっています。なぜ幾何平均(geometric mean)と呼ぶのかといえば、「辺の長さが α と β である長方形に等しい面積をもつ正方形の一辺の長さを求める計算」だからです。細長い長方形を正方形に変形すると小さくなってしまうということです。これを覚えておくと相乗平均のイメージが掴みやすいですよ。
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