問題02 Arcsinx を微分してグラフの概形を描きます [大学1★★☆☆☆]
y = arcsin(1/x) のグラフの概形を描いてください。【補足】逆正弦関数 Arcsinx
逆正弦関数 arcsin(x) はその名の通り sinx の逆関数です:y = Arcsin(x) ⇔ x = siny
しかし単に y = sinx のグラフで x 軸と y 軸を入れ替えるというわけにはいきません。
図を使って説明しましょう:
定義域は - 1 ≦ x ≦ 1 と自動的に定まります。
問題は値域です。値域に何の制限もかけないと、ある x に対して無数の y が存在する多価関数となってしまいます。それではとても関数として使えないので、値域を -2pi ≦ y ≦ 2pi に限定します。このような限定された値域のことを主値(principal value)と呼ぶこともあります。
解答02(定義域が全実数に変換されます)
奇をてらった問題ではありません。関数のとりうる範囲に注意しながら丁寧に解答していく必要があります。
まずは y = arcsin(x) の定義域が - 1 ≦ x ≦ 1 であることに着目します。
すると y = arcsin(1/x) においては、
- 1 ≦ 1/x ≦ 1
という不等式を解いておく必要があります。普通に解いてもいいのですが、x の正負によって不等号の向きを変えたりと、けっこう面倒な作業です。y = 1/x のグラフを使った解法をおすすめします。
これで一目瞭然ですね。網掛けされた領域が許される範囲です:
x ≦ - 1, 1 ≦ x
つまり、 y = arcsin(x) では - 1 ≦ x ≦ 1 という極めて狭い範囲で定義されていた関数が、x ⇒ 1/x と変数変換することによって、区間 [-1, 1] を除く全実数範囲で定義される関数になります。
次は y = arcsin(x) の微分を求めます(公式として覚えている学生さんは、ここを飛ばして次のステップに進んでください)。
x = siny
の形から始めると簡単です。両辺を y で微分すると
dx/dy = cosy
ここで逆正弦関数の主値(値域)が - pi/2 ≦ y ≦ pi/2 であることに注意すると、
cosy ≧ 0
が保証されています。したがって
となります。よって
となります。この式を用いて f(x) = arcsin(1/x) の微分を計算すると、
これにより定義される全範囲で f' < 0 となるので、y は単調減少関数であることがわかります。最後に x に具体的な値を入れます:
f(±∞) = 0, f(-1) = -pi/2, f(1) = pi/2
以上より、グラフの概形は次のようになります:
x = - 1, x = 1 でピタリと止まってしまう不連続関数です。
理系英単語B 数の種類その2
even number 偶数
odd number 奇数
rational number 有理数
irrational number 無理数
odd number 奇数
rational number 有理数
irrational number 無理数
even は「同等の、等分の」、odd は「奇妙な、奇怪な」。
rational は「理性ある、合理的な」です。
最後の irrational は「分別のない、不合理な、ばかげた」という意味の単語なのですが、うーん ...... これはちょっといただけない名称だと思っています。数学的には決して無理でも不合理でもありません。極めて合理的な数です。とはいっても、数学用語は発見の過程で名づけられてしまうので仕方のないことではありますね。正方形の対角線が無理数になることを発見したピタゴラスさんは、どうしてもその存在を認めることができず、この秘密を外に洩らした者は、自身の派閥(ピタゴラス学派)から破門すると宣告していたそうです。