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2014年07月27日

指数計算(指数が整数、有理数、実数の場合)

こばとの数学基礎講座はいくつかの記事が再編されています。

こばとの数学基礎講座03 指数計算 01 (指数が整数)

 KOBATOです! もう毎日毎日暑いですね! こばとの住む池袋では連日33℃を超えてます。クーラーなしでは眠れません。工学生命体でも暑いものは暑いんです。毎日「あっちー」と言いながら暮らしてます。でも暑さなんかに負けずに頑張って数学しましょう!

 今回は指数計算です。教科書に載っている方法とは全く異なる方法で指数法則を説明します。中学生の皆さんにはちょっと難しいところもあるかもしれないけれど、できるだけ易しい言葉で説明しますので、少しだけ背伸びして頑張ってついてきてください。

 ではいったん、これまでの指数についての知識を忘れてください。特に一生懸命勉強して指数計算に慣れてしまった人はこの「忘れる」ということは案外難しいかもしれません。たとえば、(2 3) 2 = 2 6 というふうに反射的に計算してしまうと思いますが、こういう簡単な公式もいったんリセットするように心がけてくださいね。いえ、それどころか、7 × 7 × 7 = 7 3 という基本中の基本の定義さえもリセットしてもらうことになります。「ええ!?」と驚くかもしれませんが、ほんの数分の間です。この表式もすぐに取り戻せるので心配しないでください。

 それでは始めますね。指数法則を

a > 0        [1]

a 0 ≠ 0        [2]

a 1 = a       [3]

a x + y = a x a y    [4]

と定義します。x, y は実数であり、あらゆる種類の数がとれます。肩に乗っている数を指数と呼ぶことにします。これだけでは「どういうこと?」と戸惑われるかもしれませんね。少しだけ言葉で補足しておきましょう。[2] は「 a 0 の値がまだ何かわからないけど、0 ではないことにしておこう」という意味です。[3] では「 a の肩に 1 が載っている記号は a と決めます」ということです。問題は式 [4] ですが、「 a の肩に x + y という足し算の記号が乗っていたら、それを a x a y という記号で書きますよ」という意味です。しかしまだこの段階では a x という表記が具体的にどういう計算をするのかを定めているわけではないことに注意してください。ただの記号にすぎません。

 しかし、この定義の威力はすぐにわかります。
 ここからあらゆる公式が芋づる式に派生していきます。
 試しに [4] に x = y = 1 を代入してみます。

a 1 + 1 = a 1 a 1

a 2 = a 1 a 1

となりますが、 [3] で a 1 = a と決めておきましたから、

a 2 = a・a

となって、「 a の肩に 2 を乗せた記号は a を 2 回掛けたものですよ」というよく知られた定義が現れました。もう少し一般的な式を得るために a の肩に自然数 m を乗せてみましょう。

a m = a 1 + 1 + ・・・・・・ +1 ( 1 は m 個)

というように肩に乗った m を m 個の 1 に分解します。そうすると[4]の定義を使って、

a 1 + 1 + ・・・・・・ +1 = a 1 a 1 ・・・・・・ a 1

と積の形に書き直せます。a 1 = a ですから、

a m = a ・ a ・・・・・・ a  [5]( a は m 個)

となって、「 a の肩に m を乗せた記号は a を m 回掛けたものです」という一般的な定義が現れます。ここで左辺を「 a の m 乗」と呼ぶことにします。

 次に指数計算にとってとても大切な公式を得るために、[4] で x = y = 0 としてみます。

a 0 = a 0 a 0

[2] で a 0 は 0 にしないことを決めていたので、両辺を a 0 で割って問題ありません。

a 0 = 1   [6]

と決まりましたね。

 x = x, y = − x を [4] に入れてみましょう。

a 0 = a x a− x

a 0 は 1 ですから、

a− x = 1 / a x   [7]

という公式が得られます。あらゆる実数に対して上の式が成り立ちます。

a 1 の 1 を 正の整数 m で分割して次のように書いてみます。

1 = 1 / m + 1 / m + ・・・・・・ 1 / m

項数は m 個です。これを [4] に入れてみると、

a = a 1 / m a 1 / m ・・・・・・ a 1 / m

というように a を m 個の a 1 / m の積の形に表せます。逆に言えば、 a 1 / m を m 乗すると a になるということです。 a 1 / m を「 a の m 乗根」と呼ぶことにして場合によっては

a 1 / m = m√a   [8]

と書くことにします。どちらの記号を使うかは好みの問題です。m = 2 のときは数字を添えずに単に√a と書くことにします。また、[7] を用いれば a− m = 1 / a m ですから、

a − 1 / m = 1 / m√a

という形になります。

 これで [1] 〜 [4] で定義された指数が、ちゃんと

x m = a

の解となり、皆さんが学んできた定義と矛盾しないことがわかりました。

a m をさらに n 乗するとどうなるでしょうか? n も自然数としておきます。

( a m ) n = a m + m + ・・・・・・ + m   [9]

指数部分の足し算はぜんぶで n 個ですから、m n となり、

( a m ) n = a m n   [10]

というとても大切な公式が得られます。

( ab ) m の指数部分を m = 1 + 1 + ・・・・・・ + 1 のように m 個の 1 に分割してしまうと、[4] を用いて

( ab ) m = ( ab ) ( ab ) ・・・・・・ ( ab )

というように a, b 共に m 個ずつの積の形になりますので、

( ab ) m = a m b m  [11]

これも大切な公式です。

 以上の議論は [7] を用いれば負の整数でも成り立ちます。確認しておいてください。ずいぶんとたくさんの公式が出てきましたので、使いやすいように並べ直しておきますね。

a > 0, a 0 = 1, a 1 = a

( a m ) n = a m n

( ab ) m = a m b m

a− x = 1 / a x

a x + y = a x a y

 次回は指数部分が有理数の場合を扱いますが、すべて [1] 〜 [4] の式から導かれるので、それほどややこしい計算もなくけっこう簡単です。お楽しみに!

こばとの数学基礎講座04 指数計算 02 (指数が有理数)

 KOBATO です! 海に行ったり、山に行ったり、アイス食べたり、ごろごろ寝転んだり・・・・・・何をしていても夏は夏ですね! 数学をしていても夏は夏です! 頑張りましょうね! (自分でも何言ってるんだか、よくわからなくなってきた。暑いからだね、きっと)

 自然数 m, n を用いて m / n と表記された有理数を考えます。まず下に3つの数を並べてみます。

a m / n, ( a m ) 1 / n, ( a 1 / n ) m

 どうですか? 直感的に「どれも同じ数でしょー」と思えますよね。でもまだ証明されているわけではないので、きちんと確かめておきましょう。

まず、a m / n を n 回掛け合わせてみます。前回お話した指数関数の定義 a x + y = a x を使うと、

  ( a m / n ) ( a m / n ) ・・・・・・ ( a m / n )
  = a m / n + m / n + ・・・・・・ + m / n = a nm / n = a m

となりますね。ちょー簡単です。次も同じように ( a m ) 1 / n を n 回掛けます。

  ( a m ) 1 / n ( a m ) 1 / n ・・・・・・ ( a m ) 1 / n
  = ( a m ) 1 / n + 1 / n + ・・・・・・ 1 / n
  = ( a m ) 1 = a m

とこれもまた a m となります。最後も同じです。( a 1 / n ) m を n 回掛けます。

  ( a 1 / n ) m ( a 1 / n ) m ・・・・・・ ( a 1 / n ) m
  = a ( 1 / n ) ・ n m = a m

やっぱり a m となりましたね。

a m / n = ( a m ) 1 / n = ( a 1 / n ) m  [1]

が成立することが確かめられました。 m 乗してから n 乗根とっても、n 乗根とってから m 乗しても同じだということです。

 有理数 p, q に関するもう一つの大切な公式 ( a p ) q = a p q も証明することはできますが、 実数 x について( a x ) y = a x y を証明してしまえば、そこに有理数も含まれるので省きます。しかし指数法則を実数の範囲まで拡張するには実数 x, 自然数 m に関して

( a x ) m = a m x   [2]

( a m x ) 1 / n = a m x / n  [3]

だけは証明しておく必要があります。最初の式の証明は簡単で、

( a x ) m = a x a x ・・・・・・ a x = a x + x + ・・・・・・ + x = a m x

 [2]も今までと同じような手法でやればそれほど難しくありません。( a m x ) 1 / n を n 回掛けたものと、a m x / n を n 回掛けたものが等しく a m x になればよいのです。

   ( a m x ) 1 / n ( a m x ) 1 / n ・・・・・・ ( a m x ) 1 / n
   = ( a m x ) 1 / n + 1 / n + ・・・・・・ 1 / n = a m x

   a m x / n a m x / n ・・・・・・ a m x / n
   = a m x / n + m x / n + ・・・・・・ + m x / n = a m x

 はい。証明終わりです。[1] - [3] の公式は次回に使います。次回は指数部が実数の場合を扱いますが、本格的な議論に入る前に、ちょっと具体的なイメージを掴んでおきましょう。そもそも、2 √2 のように肩に無理数が乗った数というのはどういう数なのでしょうか?  √2 を具体的に書いてみましょう。√2 はヒトヨヒトヨニヒトミゴロ・・・・・・

√2 = 1.41421356 ・・・・・・

ですね。無理数とは循環しない数が無限に続く数だということは第1回でもお話しましたね。これをちょっと変形して足し算の形に表してみましょう。

√2 = 1 + 0.4 + 0.01 + 0.004 + 0.0002 + ・・・・・・

のように書き表せますね。足し算は無限に続きます。各項を分数に直してみます。

√2 = 1 + 4 / 10 + 1 / 100 + 4 / 1000 + 2 / 10000 + ・・・・・・

なので、2 √2 は、

2 √2 = 2 1 + 4 / 10 + 1 / 100 + 4 / 1000 + 2 / 10000 + ・・・・・・

となるのですが、ここですっかりお馴染みとなった指数の定義 a x + y = a x を使うと、

2 √2 = 2 1 2 4/10 2 1/100 2 4/1000 2 2/10000 ・・・・・・

このように積の形に表せます。これを見ると「 2 1 と 2 2 の間にある中途半端な数」だということがイメージできると思います。掛け算は無限に続きますが、後ろにいくほどその数は桁がどんどん小さくなるので、適当な場所で打ち切ってしまえば、関数電卓で近似値を計算することができます。√2 = 1.41421 で計算してみると(電卓への入力は 2 1.41421で構いません)、

2 √2 = 2.66514

という値が得られます。意味不明だった数も、具体的に値を見てみると何だかほっとしますね。それでは次回またお会いしましょう!

こばとの数学基礎講座05 指数計算 03 (指数が実数)

 KOBATO です! 由比ヶ浜で泳いできましたよ! ちょー楽しかったです! こばとはちょっとだけはしゃぎ過ぎて皆に迷惑かけてしまったけど、でもやっぱりちょー楽しかったですね!
 気分もリフレッシュしたところで、指数計算の最終回といきましょう。いよいよ肩に乗っている部分が実数の場合の公式を証明します。基本的には前回の終わりの部分と似たようなやり方なので、高校生以上の皆さんには、それほど難しくはないと思います。中学生の皆さんにはちょっときついかもしれないけど、決して理解できないお話ではないので、頑張ってついてきてくださいね!

 今回の議論に必要な公式を前回用意しましたね。改めて書き並べておきましょう。

a m / n = ( a m ) 1 / n = ( a 1 / n ) m  [1]

( a x ) m = a m x   [2]

( a m x ) 1 / n = a m x / n  [3]


 今回証明したい公式は( a x) y = a x y です。指数 y を正の整数 i, j, k ・・・・・・を用いて

y = i + j /10 + k /100 + ・・・・・・

と表しておきます。有限小数ならどこかで打ち切られますけど、無限小数や無理数なら上の足し算は永遠に続きます。

しかし、どうもこうずらずら足し算を並べると証明のときに混乱してしまいそうです。そこでもう少し簡単な形にしておきます。最初の i(整数部分)以外の部分、つまり、j / 10 + k / 100 + ・・・・・・ のところをまとめて ε としておきましょう。y = i + εです。( a x) y を計算してみましょう。

( a x) y = ( a x) i + ε = ( a x) i ( a x) ε

 ここで前回に証明しておいた( a x ) m = a m x を使えます。i は整数だからです。

( a x) y = a i x( a x) ε

 少しすっきりした形になりましたね。こうして少しずつほぐしていきます。次に ε を元の形に戻します。

( a x) y = a ix ( a x) j/ 10 + k /100 + ・・・・・・ = a i x ( a x) j /10 ( a x) k /100 ・・・・・・

 ( a x) j /10 という部分が問題となりますが、もともと a という数は a > 0 という条件がついているだけの正の実数で定義していました。すると a x も実数ですから、これ自体を新しい a と考えれば、[1]と[2]を用いて、

( a x) j /10 = [( a x) j] 1 /10 = [ a jx] 1 /10

と変形できます。さらに[3]を用いれば、

( a x) j /10 = a j x /10

となりますね。( a x) k /100 なども同じですから、

( a x) y = a i x a jx /10 a k x /100 ・・・・・・


となります。次は a x y を計算するのですが、これは簡単です。

   a x y = a x ( i + j /10 + k /100 + ・・・・・・) = a i x a j x /10 a k x /100 ・・・・・・

したがって、

( a x) y = a x y

が証明されました。


( a b ) x = ( a b ) i ( a b ) j /10 ( a b ) k /100 ・・・・・・


最初の ( a b ) i の部分は簡単で、

( a b ) i = ( a b ) ( a b ) ・・・・・・ ( a b ) = a i b i


問題は ( a b ) j / 10 以降の積です。公式[3]を使って j を中に入れてしまいます。

( a b ) j / 10 = [( a b ) j ] 1 / 10 = [ a j b j] 1 / 10


となりますね。 [ a j b j] 1 /10 を10 回掛けると a j b j となり、 a j /10 b j /10 を 10 回掛けても a j b j となりますから(こういうのも慣れてくると暗算できます)、

[ a j b j] 1 /10 = a j /10 b j /10


が得られます。したがって、

( a b ) x = a i b i a j / 10 b j /10 a k /100 b k /100 ・・・・・・

次に a x b x を計算してみると、

   a x b x = a i a j /10 a k /100 b i b j /10 b k / 100 ・・・・・・
     = a i b i a j /10 b j /10 a k /100 b k /100 ・・・・・・

となり、

( a b ) x = a x b x

が証明されました。

 これで指数計算の公式すべてが揃いましたよ。実数の公式さえ知っていれば、もう m とか n は忘れてしまってけっこうです。下にまとめておきますね。

a > 0, a 0 = 1

a x + y = a x a y

( a x) y = a x y

( a b ) x = a x b x


 次回は指数関数です。いよいよエクセル(Excel)の数学能力をお見せすることができます。お楽しみに!  
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