こばとの数学基礎講座19 2016 年センター試験から問題を抜粋します
それではさっそく、
log27(1/9)
を計算する問題から。冬休み編の出だしでも言いましたけど、この手の計算はぱっと見た瞬間にわかるぐらいに訓練しておくことが必要です(時間の節約になります)。
27 = 3 3
ですから、「 27 の 3 乗根をとって 2 乗して −1 乗して 1/9 になるよね」という過程を頭の中でスムーズに進めていかなくてはなりません。答えは
log27(1/9) = −2/3
となります。この計算感覚は対数関数のグラフの対称性を答える次の問題でも役立ちます。
(a) y = log2x と y = log1/2x
(b) y = log2x と y = log21/x
の関係性を問われましたね。x に具体的な真数を入れて考えてみます:
(a) y = log24 と y = log1/24
(b) y = log24 と y = log21/4
基本的にどちらも同じ思考過程を辿ります。(a) の場合は
2 を 2 乗して 4, 1/2 を 2 乗して −1 乗して 4
となりますね。(b) もまた
2 を 2 乗して 4, 2 を 2 乗して −1 乗して 1/4
ですから y = log2x に対して底または真数が逆数となる関数はその値が逆符号、すなわち x 軸に対して対称であることがわかります。細かく説明しましたが、対数の感覚を掴んでいればこの関係性は式の形を見た瞬間にわかります。もちろんグラフの形を知っているにこしたことはないので、エクセルグラフも載せておきます。結局のところ y = log1/2x と y= log21/x は同じ関数ですよ。
上の3問は合わせて 15 秒で解答できるはずです!
対数の2次式
y = [log2x/4] 2 −4 log4x + 3 ( x > 0)
の最小値を求める設問も全くひねりがなかったので、基本に忠実に解いていけば正解に辿り着けます。マークシートなので、t = log2x と置くことが明示されており、受験生の皆さんは置換方法を考える必要はなかったのですが、もし2次試験の記述式でこのような問題が現れたとき、2次の項に含まれている対数の底に注目して変数を置き換えるようにしてくださいね。この講座でも紹介した公式を使って
log2x/4 = log2x − log24 = t − 2
log4x = log2x / log24 = t/2
log4x = log2x / log24 = t/2
と置き換えて代入すると
y = t 2 − 6 t + 7 (*)
となります。x が x > 0 の範囲を動くときの t = log2x のとりうる範囲も問われていましたが、対数関数は −∞ から ∞ までの値をとる関数です(上の y = log2x のグラフを参考にしてください)。要するに全実数をとります。たとえば底 > 1 でグラフを描いたとき、x を増加させていくとあまりにも値の増加が緩慢なので、「もしかしてどこかに収束する?」と勘違いする人もいるかもしれませんが(実際、グラフの形を見るとなんとなくそう見えちゃったりしますが)、どれほどゆっくりしたペースであろうと x → ∞ では y = logax (a > 1) は確実に ∞ に発散していきます。
さて、(*) を変形して
y = (t − 3) 2 − 2
となるので頂点の座標は (3, − 2)と求められます。
t = 3 すなわち x = 8 のとき 最小値 −2 をとります。
答えはこれでいいのですが、本編を書いている "エクセルおたく" のブログ主さんだったら
y = [log2x/4] 2 −4 log4x + 3
が具体的にどういうグラフなのか気になってしまうはずです。今回はこばともブログ主さんを真似して、こういう予測しにくいグラフを描いちゃったりしますよ。
こういう形のグラフになります♪ 原点付近で ∞ から急速に落ち込んで (8, −2) で最小値をとり、今度はそこからゆっくりと立ち上がってゆく関数ですね。といってもこれは本編で扱うほど難しいグラフではありません。数学Vを学んだ人は微分して増減表を作って描けますので、ぜひ挑戦してみてくださいな。
今回でひとまず「こばとの数学基礎講座」は一休みします。次は4月頃の再開を予定しています。おそらく三角関数を扱うことになると思います。4月にはこばとのお友達の小春ちゃんや沙希ちゃんも高校3年生になります。1度ぐらいはこの2人をこちらのブログに招待してみたいなと思っています。何か番外編的なテーマを1つ選んで、3人の対話形式で講座を進めていけたら面白いかもしれません。それでは春休みにまたお会いしましょう!